千葉県の七里川温泉は「フリー囲炉裏」! 持ち込み食材を焼くとマジで楽園【都内から90分】

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「当店には囲炉裏があります」

メシ屋を探していてこの表記があるお店にぐっと来てしまうかた、多いのではないでしょうか。囲炉裏で焼くだけでなんかおいしそうになりますよね。

今回、千葉県に評判の囲炉裏の宿があると聞き取材に行ってきました。宿の囲炉裏……せいぜい串に刺した鮎とか焼けるんでしょ、くらいに思っていたのですが、焼けるものであればなんでも持ち込んで調理可能、提供するメニューも豊富、そしてなによりうまい……! 囲炉裏の楽園がそこにはあったのです。


囲炉裏の楽園へ海と山を越えて行く

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今回の目的地である千葉県は、東京湾と太平洋に面した海の恵みがあふれる地域です。
アクアラインを使うと、ETC搭載車ならたったの800円で千葉に入れます。景色最高、向かうは楽園、もはや仕事モードはゼロなのです。

 

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最寄りのインターチェンジ「木更津東」から一般道に降り、山道を進んでいきます。
潮風のにおいを覚えたまま木のにおいを感じる……旅行気分が盛り上がりますね。

 

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山道を進むこと約40分。見えてきた小さな宿、七里川温泉です。建物に派手さはなく、周囲はとても静かな環境です。

“風呂デューサー”として言わせていただくと、温泉に滞在する環境として理想的ですね。泊まりで来たかった……宿の前に立った時点で心底思いました。

 

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建物に入ってみると、いきなり囲炉裏です。視界にはいるだけで4セットの囲炉裏がならび、少し年季の入った温泉宿の雰囲気が感じられます。

アイスを食べている人、テレビを見ている人……各々が自由にのんびり過ごしていますね。平和です。

 

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「メシの前の風呂は、メシを3割増しでうまくする」。私がつくった名言です。

その言葉に従い、入浴料金を支払って浴室に向かうと、脱衣場の前に「天然硫黄泉源泉かけ流し」の看板が。実は千葉県で源泉かけ流しを実現できるところは珍しいのです。胸を張って自慢できる貴重な温泉です。

 

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こちらが内湯です。

ほぼ無色透明の湯が湯口からトポトポと流れ落ち、湯船からあふれた湯は縁から流れていきます。これぞ源泉かけ流し!

窓の外はほとんどが青と緑で構成されています。家を出てから1時間30分でこの環境ですよ。自分で信じられていません。

 

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脱衣場から階段を上っていくと、露天風呂もあります。

 

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内湯から見えていた景色に入り込んだみたいだ!

暖かい日差しに山から駆け下りてくる涼しい風……どちらも都会のそれとは別物です。
湯船は2つ、どちらもこの地域の湧水を使用しており、透明感のあるさらっとしたお湯でした。


「焼く」のと「囲炉裏で焼く」のはどうやら全然違うらしい

昼間っからあの環境で温泉に浸かる……最高に贅沢でした。
もうメシの取材しなくてもいいような気さえします。とりあえずメニューを見てみましょうか。

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メニュー超豊富!

海の幸が豊富な千葉県とはいえこの山の中ですから、山菜とかキノコばっかりと思いきや、大半が海産物です。

 

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「写真映えするやつお願いします!」と注文したところ、大皿の手前側から

  • 鹿肉ソーセージ(3本1,000円)
  • 鮎の干物(380円)
  • 金目鯛干物(700円)
  • ホッケの開き(680円)
  • イワシ丸干し(320円)
  • 右の別皿には房総豚のみそ焼き(800円)

上記6点 を用意してくださいました。

結論からいうと、カメラさんと2人で食べきれず、隣で食べていたご夫婦のお客さんと分け合って食べました。そう考えるとこのボリュームでも一人あたり2,000円を切っています。安い!

 

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まずは火の通りやすそうなイワシ、ソーセージ、アユを焼いてみます。

囲炉裏に手を伸ばすとじわりと伝わる熱気。コンロの火より感じる熱が重厚なのです。
イワシはサクサクに焼き上がり、頭から丸かじりできました。アユの干物って初めて見ましたが、川魚の風味をしっかり残し、味が凝縮されていました。

うまい!

 

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鹿肉ソーセージはジビエの風味と黒コショウのきいた濃い目の味付けです。ビールを飲みたい人には強くオススメします。

ファーストバイトの際はアツアツの肉汁爆発に気を付けて食べましょう。あらためて写真を見ていたらまた食べたくなってきました。

 

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続いて金目鯛、ホッケを焼いていきます。
房総豚以外は冷凍の状態ですので、高温の囲炉裏とはいえ焼き上がりまで少し時間がかかります。

何度も焼け具合を確認してしまう私は囲炉裏素人丸だしなのですが、この確認作業が楽しかったりするんです。

 

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魚で一番うまかったのはホッケ。肉汁がすごいです。ホッケを囲炉裏で焼くと飲み物になるとわかりました。

どの食材にも言えるのは、身に汁が詰まったまま外に逃げないですね。

 

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誰もがビジュアル的に気になっていた、房総豚のみそ焼き。行ってみましょう。
このサイズと重量感……眺めているだけで幸せです。

 

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冷凍の魚と同じような感覚で焼いているとあっという間に焦げ目が。ここでも素人が出てしまいました。冷凍のものと同じ感覚で焼いてはいけないのです。

 

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房総豚そのものはとてもあっさりした味です。見た感じ味噌味が濃そうですが、食べてみると甘みが強く、塩気はほとんど感じません。飽きることなくペロッといただけました。

そしてなにより、肉汁があふれだしてくる。これが囲炉裏の力……! うまい! うますぎる!!

 

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〆は焼きおにぎりをいただくことにしました。

囲炉裏の火力でほんのり固くなった表面に対し、中はほくほくに仕上がりました。房総豚と同様の味噌がついているので塗りたくるのもいいでしょう。

 

食材の持ち込みOK! 囲炉裏味のアレを食べてみよう

七里川温泉では、お店で提供しているメニューを注文せず、持ち込んできた食材を焼いて食べてもOKです。私も途中で食材を調達してきました。

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道中の道の駅でしいたけとたけのこを購入し、コンビニでカニカマとさんまの塩焼き、チャレンジメニューとして駄菓子の「蒲焼さん」、バウムクーヘンを買ってきました。

しかし……写真の通り、腹がいっぱいなのです。甘いもの食べたいのでバウムクーヘンだけ焼くことにしました。

 

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表面はこんがり、なかはふんわり、ケーキを焼いているような甘い香りが漂っています。

「バターつけたらおいしそうですよね」 とカメラさんと話していると、お隣の夫婦がチューブバターを持ち込んでおり、貸してくれました。

噛むとカリッとした食感で、ジュワッとバターが染み出してきます。「バウムクーヘン囲炉裏味」……うまい!

 

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すごいものを見つけた! なんて喜んでいると、お隣のご夫婦は持ち込んだ鶏肉とねぎを串に刺して焼き鳥をつくり、持ち込んだ鍋に湧き水を注ぎ、うどんを茹でていました。

女将さんに聞くと「焼けるものであれば何焼いてもいい」とのことでした。アルミホイルを敷いて焼きそばをつくっている猛者もいたそうです。

 

お腹いっぱいになったら、さっぱりして帰れる

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ここは囲炉裏レストランではありません。囲炉裏の宿です。一度入浴料を支払えば、何度でも温泉に入れます。

囲炉裏を挟んだ向かいの人が派手にくしゃみをしてすすをあびても、洗い流してサッパリと帰路につくことができるのです。

昼頃と夕暮れの時間で趣の違う露天風呂を楽しむことができました。

 

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風呂あがりといえばの牛乳もしっかりと用意してあります。もはや囲炉裏を見ているだけで牛乳も普段よりおいしく感じました。

こんなに素晴らしい環境なのに東京から約1時間30分。半日でも時間があれば手軽に来れる距離もまた魅力です。

 

温泉もメシも、囲炉裏が生み出す人間関係もいい

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隣にいるかたは見ず知らずのお客さんです。私がライターであることを話すと、外房エリアには昔ながらの酒造があると教えてくれました。

そしてバウムクーヘンのくだりでも、隣で調理していたご夫婦のお客さんからバターを借りたり、囲炉裏を囲むことでおしゃべりが生まれるのです。

基本的にお店に入ったら食べるだけですよね。「囲炉裏で焼く」という行程が加わるだけで食材も心もジューシーに仕上がっていく。

これこそが囲炉裏の力であり、食べ終わったら温泉で語らい、さらに深い人間関係をつくれるのは七里川温泉の魅力だと感じました。

 

お店情報

いろりの宿 七里川温泉

住所:千葉県君市黄和田畑921-1
営業時間:9:00~22:00
電話番号:0439-39-3211
定休日:第1・3水曜日
ウェブサイト:http://shichirigawa-onsen.com/

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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