「競馬場は賭け事をするところ」。そのイメージは今回の取材でひっくり返りました。
東京シティ競馬はレトログルメに加え、競馬観戦をしながら食事を楽しむオシャレなレストランを完備。さらには広い敷地を活かしたグルメイベントを開催しており、もはや馬に興味がなくても、メシのウマさで十分楽しめちゃうのです。
東京シティ競馬の「4号スタンド」が食の楽園
東京シティ競馬にやってきました。東京モノレールの「大井競馬場前駅」、京急線の「立会川駅」から徒歩、もしくはJR「大井町駅」「大森駅」「錦糸町駅」から無料送迎バスが出ています。
この日は夜にかけてレースが開催される「トゥインクルレース」の日。夕方からの取材です。
ゲートを抜けると空間が広がり、その先に馬が走るコースが見えます。
今回取材にうかがうのは写真右手の建物「4号スタンド」です。
電気の色やダクトの感じ……レトロなメシのにおいがする!
約40年前に建てられたこのスタンド、果たしてどんなメシが待っているのでしょうか。
競馬を見ながら食べられるレストランが想定外すぎ!
「まずは4階にあがってみてください」
取材に同行してくれた方の言葉に従い、エレベーターで4階へ。
扉が開くとこの光景。え……? 想像と違いすぎる!
ここは東京シティ競馬のレストラン「ダイアモンドターン」 。パッと見、銀座の会員制クラブと言っても過言ではないラグジュアリー感です。
店内はビュッフェ形式。好きなものを選んで食べられます。
この日はシーフードフェアということで「エビとキノコのマカロニグラタン」や「白身魚の香草パン粉焼 ハニーマスタードソース」といったシーフードメニューから「魚介の軽い煮込み ナンチュアソース」といった、なんじゃ? と思わせる食べ物まで用意がありました。
窓際の席からは最後の直線に突っ込んでいく馬の姿を、ばっちり見届けることができます。
座席は写真のようなテーブル席に加え、横並びでレースが見られるカップル席、6〜7人で座れるボックス席、お一人用のカウンター席、一人10,000円の5人ボックス席「コンパートメントルーム」と、すべてあわせると500席を数えます。
レースが始まるとみなさん窓の外に目をやり、食事そっちのけで祈りを捧げています。
あまりにも競馬場っぽくないこのレストラン、やっと競馬場の光景を見られて安心しました。
ダイアモンドターンは2017年1月から改装のため3月まで休業となります。ご注意ください。
競馬場グルメ、やっぱ煮込みでしょう!
想定外のメシに驚きましたが、4号スタンド1階には私が待ち焦がれたメシもあります。
券売機に列ができる評判のお店「幸福堂」はビールに合う煮込みを中心に、ラーメン、カレー、うどんをそろえています。
こちらが自慢のもつ煮込み。
ああ……飛び込みたい! ひとしきり泳いでからビール飲みたい!
これぞ競馬場グルメの醍醐味(だいごみ)!
と、もつ煮込みの話を膨らませつつ注文したのは、メニューを見ても全容が想像できなかったこちら。
旧2号スタンドの赤もつ煮込串(手前)と白もつ煮込串(奥)です。赤もつは肺臓、白もつは胃袋で、からしと一味唐辛子が振られています。
ビールも買って準備は万端、煮込みが冷める前に席を探しに行きましょう。
東京シティ競馬には屋外席、屋内席に加え、指定席もあります。席を確保して早速いただきます!
赤もつは意外とあっさり。3~4cmの角切りで素材の味を活かしたザ・肉です。いーい食べ応えだ! 白もつはかむほどに肉と煮込み汁が感じられてうまい! 一味唐辛子の辛味と相性がいいですね。このボリュームで1本 200円は安い!
ビールと煮込み串を両手に持ち、コースの近くでレースを観戦してみました。
馬が一歩踏み出すたびに響く蹄の音、舞い上がる砂……! スゴイ迫力だ!
走る馬を見ながら飲むのも、なんだか男心が満たされた気がしますね。
競馬場のグルメイベントもウマい!
冒頭で4号スタンドに向かう途中にあったこの広場。じつはここ、「ウマイルスクエア」という名前のイベントスペースです。馬がいる、スマイル、メシが「うまい」と、うまいこと3つの言葉にひっかけた、言葉を扱うものとして拍手せずにはいられない新名所です。
後日、また訪れてみるとたくさんのテントが張られ、なにやらイベントが開催されていました。
このイベントは「全国ねぎサミット2016 in TOKYO×肉フェスⓇ(2016年11月26日・27日開催)」。肉は有名店9店、ねぎは28市町村から東京シティ競馬に集結しました。
競馬場で食イベントが開催されているなんて知らなかった……今までは内馬場で実施していましたが、ウマイルスクエアでは初めてのグルメイベントです。
肉フェスは専用のチケット、1枚 700円を購入して各店で商品と引き換えます。ねぎサミットは肉フェスとは別会計です。
最初にいただくのは、とんでもないインパクトで「これ食べなきゃダメだろ……」と私の心をわし掴みにしたのはこちら。ほぼ肉茶色のハンバーガー「かざま 東京・目黒本店」の「超贅沢!松坂牛プレミアムバーガー」!うわー、見ただけでうまい!!
ハンバーガーでいうパンの部分は便宜上「肉バンズ」と呼ばせていただきます。この肉バンズの凝縮された肉のうま味、1枚で十分うまいのに一口で2枚分食えてるぜいたくさ! 背徳感すら感じます。
そして肉バンズに挟まっている肉は脂が多い部位。そして唯一の野菜、玉ねぎもかむと甘みのある汁がブワァーっと出てくる! 「うま味の洪水」だこれは!
もう一つ、とても気になる名前の肉料理があったので食べてみました。「新日本橋 肉の匠 将泰庵」が提供する、その名も「飲めるハンバーグ」……!
箸をいれると肉汁がドバァーっと出るのかと思いきやそういうわけでもなく、そもそも結構かたくてうまく箸が入らない。
とりあえず頭から食らいつくことに。かみついた瞬間思いました。こ、これは……肉の水筒……!! 吸うとハンバーグから肉汁が出てくる! 肉汁といえばジュワー。その効果音の常識を覆し、チューチュー肉汁を吸う新型ハンバーグが世に現れました。うま斬新!!
肉汁をチューチューしていると、鎧武者達が武装した馬にまたがってコースを走っていました。
これは福島県南相馬市の伝統行事「相馬野馬追」。国の重要無形民俗文化財です。
本来東京で、こんな間近で見られるものではありません。競馬場がこんなに見どころだらけとは!
肉のウマさもいい。ねぎのアマさもいい!
肉、相馬野馬追、常設競馬場グルメと、だいぶお腹いっぱいになってきましたが、忘れてはいけません。このイベントはねぎも主役なのです。
多くのブースでねぎの試食、販売をおこなっています。そんななかで見つけたねぎのアレンジ料理を提供しているブース、松戸市の「あじさいねぎ」です。
こちらがねぎ焼き。お好み焼きのような生地にたっぷりのねぎと豚肉を乗せて焼いたものです。
産地直送の鮮度ゆえでしょうか、ねぎのシャキシャキ歯ごたえが口の中で永久にある! 生地、豚肉、ねぎ、アクセントの紅ショウガと、シンプルながらバランスの良い、完成されたねぎ料理です。
本イベントでもっとも変わり種だったのはこちら、岐阜県岐南町の「徳田ねぎ」。
タコスの皮のような生地に肉みそとねぎ、マヨネーズをトッピングした、その名も「ねぎナン」。え? これナン……?
「岐南(ぎなん)町のねぎ料理だから、ね岐南、ねぎナン」という由来があるそうです。
甘みのある肉味噌でねぎの辛味が引き立っています。味わいは「和風タコス」という表現がぴったり。完成されたうまさだ!
今後も続々大型イベントを開催予定!
今回紹介したイベント店以外にも、36の常設店舗が営業しています。
もはや競馬場でありながら食のテーマパークの様相。一日休みの日は競馬場で食い倒れてみては?
お店情報
東京シティ競馬(大井競馬場)
住所:東京都品川区勝島2-1-2
電話番号:03-3763-2151
営業日:大井競馬開催中(一部店舗は川崎・船橋・浦和場外開催中も営業)
※レストランおよびその他飲食店、ウマイルスクエアのイベントは開催日程による。詳しくはHPをご確認ください。
※この記事は2016年12月の情報です。
※金額はすべて税込みです。