味噌の食べ方にルールなんてねぇ!老舗味噌店が「味噌のフレンチトースト」で常識を超えてきた

f:id:Meshi2_Writer:20171007183650j:plain

味噌汁、普段飲みますか? 私は日頃味噌汁を飲まず、自分で味噌を買った経験もありません。同じようなかた、多いのではないでしょうか。

味噌離れが深刻化していくなか、老舗の味噌店が「味噌を食卓に取り戻す」をテーマに、味噌本来の味わいを守りながら新たな挑戦をしています。その新たな挑戦のひとつが、”味噌を使用したフレンチトースト”らしいのです。

 

味噌料理をしたくなる! 手厚いサポート

f:id:Meshi2_Writer:20171007183713j:plain

JR総武線の亀戸駅にやってきました。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007183854j:plain

亀戸駅から明治通り沿いに南下して3~4分、味噌一筋で昭和9年から営業を続ける佐野味噌醤油店が見えてきます。外から店内をのぞき込むと、なんだか異様な雰囲気……なにかがいっぱい並んでいるんですよね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007183917j:plain

その正体は大量の味噌だる! 全国から選りすぐった約60種類の味噌が販売されています。味噌ってプラスチックの箱に詰めて棚に並んでいるイメージですよね。佐野味噌醤油店は量り売り。300gから購入できます。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007183946j:plain

私はいまだかつて、「味噌を選ぶ」ということしたことがないため、選び方がまったくわかりません。そんな人でも適切な味噌を選べるように、味噌だるの上には味わい、合う食材、ブレンドすると合う味噌、味噌汁をつくるときに相性の良い出汁、味噌の製法、塩度が書かれたカードが。料理を普段する人なら、この情報でなんとなく料理のかたちが見えてくるはず!

 

f:id:Meshi2_Writer:20180708171437j:plain

さらに立札の裏側をのぞくと、味噌の紹介が書かれたテイクフリーのカードが。表の案内を読んでも食べるころには忘れてしまうもの、味とともにこの情報を見返せば舌の情報を言葉として記憶でき、次に味噌を選ぶときにひとつの基準になりますね。

はっ! こうして味噌にハマっていくのか……買ってつくって食べるまで、お客さんへのサポートが徹底している!

 

まずは究極の味噌料理を

こうしてお店を眺めるとあまりにも味噌一筋。一見「フレンチトースト」なんて料理とは無縁そう。

f:id:Meshi2_IB:20180704131226j:plain

お店の奥で営業しているのが、2016年夏の大規模改装工事で新設された食事処「味苑」です。味噌汁の味噌って堆積しますよね。その様子を透明の器に入れて横から見たらきっとこんな感じなんだろうな、と想像してしまう飲食スペースになっています。グレーの椅子がシジミっぽい!

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007184223j:plain

「味苑」では2種類の味噌汁が看板メニュー。写真はこの日のオススメ味噌、西京味噌を使った味噌汁「素(450円)」。具材はなし! 出汁と味噌、そしてまり麩、菊、ルッコラの吸い口のみで構成されたシンプルな味噌汁です。

まろやかな味にあと引くコク、優しい味……そしてなんといっても体に染みていく懐かしさ! 興奮するおいしさとは全く違う、しみじみとかみ締めるうまさ。忘れていた感覚が体に戻ったような、そんな味なんです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007184247j:plain

味噌はカウンターに陳列されたものから選べます。ブレンドもできるので、詳しいかたはオーダーしてみてもよいでしょう。行ったことのある場所、生まれ育った場所の味噌をチョイスして思い出に浸るのもいいですね。どの味噌がいいか選べない! そんな時は味のリクエストをすれば適切な味噌を選んでくれます。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007184807j:plain

シンプルの極み「素」に対して、こちらは季節ものの具材がたっぷりと入った味噌汁「具(750円)」。選んだ味噌は個性の強い野菜に合う味噌、山形の蔵王(くらおう)。飲んでみると、大豆の味わい、強いコク、そして味噌の味が強く飲みごたえがある! 

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007184831j:plain

具材は写真の通り、カボチャ、赤パプリカ、タマネギ、レンコン、大根、ブラウンマッシュルーム、サツマイモといった野菜(季節によって変わります)に加えて、肉と魚のどちらかを選べます。

全てに共通しているのは、具材のうま味、らしさが味噌汁に入っても強く残っていること。家でタマネギの味噌汁をつくっても、ベシャッとなってタマネギらしさって消えますよね。この味噌汁のタマネギはシャキシャキ! 食材に合わせた下ごしらえが徹底されているから、味噌と具材の味がごっちゃにならないんですね。

 

思い付きなんかじゃない! 修行の成果が生んだフレンチトースト

f:id:Meshi2_Writer:20171007184914j:plain

そしてこちらが「味苑」の新たな挑戦「フレンチトーストのみそキャラメルソース(700円)」。フレンチトースト専門店のものといわれても違和感ないですね。むしろどこが味噌なのかわからない……。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007184934j:plain

まずはかかっているソース。これはキャラメルと「江戸甘」という味噌を合わせたソースなんです。写真の通り、真っ黒い味噌ですね。

しかし真っ白な西京味噌と原材料、その分量ともに同じなのだそう。京都で白なら江戸の俺達は黒くしようじゃねえか! という江戸っ子の見栄が開発のきっかけで、たっぷりのこうじを使い、よく煮ることで黒く、甘み強めに仕上がっています。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007185001j:plain

ナイフを入れると、なんと柔らかい! フレンチトーストに味噌のソースをかけただけじゃない! 実はこの「味苑」をオープンするにあたって、社長、店長、代表社員の3人が半年間飲食店で修行、調理のイロハを習得してきたそうです。

加えてパンは毎日手作り、デニッシュ生地のみそパンです。「味噌と意外な組み合わせを模索したい」と考え、15年前に開発されました。味噌に対する熱い思いがつながって、このフレンチトーストが生まれたんですね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007185118j:plain

さて、アイスをのせて食べてみると、最初にほんのりと塩気を感じ、濃い甘みが口に広がっていく……! キャラメルとアイスクリームの甘みのバランスを、味噌がうまいこと調整してくれています。加えて味噌の塩気が一層甘みを引き立てていますね。甘党にはたまらない、濃い口のデザートだ!

 

味噌を食卓に取り戻す! 老舗の熱い思い

最後に佐野味噌醤油店3代目、佐野さんにお話をうかがいました。

f:id:Meshi2_Writer:20171007185149j:plain

「『味苑』は、味噌を食卓に取り戻すというテーマのもと、2016年の改装で新設しました。昔は当たり前のように飲んでいた味噌汁は現在、食卓に並ぶことは少なくなってきています。その理由は、味噌汁といえば出汁が必要で、具材はコレ……といった具合に、様式にとらわれているんですよね。私達は、味噌汁はもっと自由なんだと、この場所で伝えていきたい。具材に入れてはいけないものなんてありませんし、マグカップで飲んだっていいんです」

朝は忙しいから、使い方がわからないから、味噌汁にしか使わないから……この時点で味噌の様式にとらわれている! この様式を取り払うための自由な味噌料理の提案こそ、「味苑」の存在意義!

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007185303j:plain

そんな熱い思い、間違いなくスタッフ全員で共有されています。食後には「お味はいかがでしたか?」、商品を探していると「お探しのものがありましたらおっしゃってください」。とにかく丁寧な接客。お客さんに味噌を気持ちよく選んでいただきたいという思いが伝わってきます。

加えて、スタッフのなかには総合的な味噌の知識を所有した「噌ムリエ」という社内資格を持つかたもおり、食べたい料理を伝えれば的確にアドバイスをしてくれます。味噌、そして接客レベルも高い!

 

f:id:Meshi2_Writer:20171007185320j:plain

「味苑」での体験を通し、改めて味噌に魅力を強く感じました。

MISO IS FREEDOM。みなさんも味噌の様式にとらわれてはいませんか? まず一度、自分の発想に任せて、自由に味噌を使ってみてください。その踏み出す一歩、踏み出した二歩目を、佐野味噌醤油店はサポートしてくれます!

 

お店情報

佐野味噌醤油店

住所:東京都江東区亀戸1-35-8
電話:0120-120-685
営業時間:9:00(日曜日は10:00)~19:00
     味苑は11:00~17:00
定休日:1月1日、2日、3日
ウェブサイト:https://sanomiso.com/

www.hotpepper.jp

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

過去記事も読む

トップに戻る