川崎大師に初詣ならココに行くべし!仏の気分でいただく、その名も「ごりやくケバブ」

エリア川崎大師

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最近めっぽう寒くなってきましたね。風呂デューサーの毎川直也です。年明けのお正月は連日のおせちで、ファストフードを食べたくなるのは私だけではないはず。

そんな気持ちを満たすことができるチャンス、それは家から出られる初詣の時ではないでしょうか。関東の有名初詣スポット「川崎大師」にはなんと! ケバブがご利益グルメとなっているのだとか。

 

川崎から5分で旅行気分! 素敵な門前町「川崎大師」

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京急川崎駅から3駅、関東屈指の門前町、川崎大師にやってきました。

正月三が日だけで50万人もの参拝客が訪れる初詣スポットです。私は比較的近所に住んでいますが、その数字にビビって三が日に訪れたことがありません。

 

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川崎大師へ向かうと現れるこの壁。川崎市内とは思えない、どこか遠くの城下町へ旅行に来ているようです。この壁の反対側にはマンションが並び、住宅の建設が進んでいる地域でもあります。

 

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川崎大師の前には、道の両側にお店が並んでいます。ここは仲見世通り、川崎大師名物、薬草を混ぜ込んだ「せき止め飴」、店頭でトントコ音を立ててカットしている様子を見学できる「トントコ飴」、店内にひたすら「だるま」が並ぶお店、そしておめでたい字をあてた「久寿餅(くずもち)」を扱うお店が営業しています。ここもまた川崎とは思えぬ雰囲気、財布のひもがゆるゆるになります。

 

雲上仏風呂が極楽浄土

目的のケバブの前に、銭湯で汗を流して食欲を高めます。

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川崎大師から一番近い銭湯がこちらの「寿恵弘湯」(すえひろゆ)。名前からしてご利益だらけの銭湯です。

 

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浴室では水風呂、薬湯、ジェットと寝風呂がついた主浴槽の3種類を楽しめます。

背景画は「山に雷が落ちているイメージと聞いたことがありますが、はっきりと意味があるものではないようです。お客さんが見て感じたものをそのまま受け取ってほしい」と語ってくれた店主さん。私には地上に極楽への階段がのびているように見えます。

 

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寿恵弘湯のウリは、2013年の改装で増設したこちらの湯船。外気をそのまま取り入れた、露天風呂のような清涼感が特徴です。

真っ白なこのお湯は微細気泡が表面を覆ったシルク風呂。雲のようなシルク風呂に漬かり、涼しい外気に顔だけ包まれると、まるで雲の上にいるよう。煩悩なんぞどこかへ飛んでいきます。

 

川崎大師ご当地ケバブ「ごりやくケバブ」……!

寿恵弘湯では人間を超越した悟りみたいなモードに入ることができました。あらゆる欲も捨て去ったせいか、空腹でも満腹でもない状態になっていますが、今回の目的、ケバブをいただきにまいりましょう。

 

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やってきたのはこちら、「Aideen kebab(アイディーンケバブ)」。

門前町、川崎大師でケバブ……! 字の並び的にご利益が関わる料理ではないような気が……ただ、もし三が日連続おせち状態でこの旗を見たら、きっと食べずにはいられないはず……!

 

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メニューを見ると……「ごりやくケバブ(500円)」! ソースは甘口、辛口、激辛、ガーリックの4種類から選べます。

川崎大師にあやかっているだけでは」。誰もが脳裏をよぎることでしょう。想像したところで味がわかるはずもありません。早速いただきましょう!

 

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パンッパン! ピタパンの両サイドが裂けそう! ほろほろとジューシーな鶏肉、かむほどに肉本来の味が染み出てくる! ケバブはソースの味。そう思っていましたが、ここのケバブは素材の味をいかしています。

かかっているのは甘口ソース。スパイスの調合は素材の味を消さず、しっかり口の中に残る……計算されてるなぁ!

 

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”ピタパンの奥まで肉が入っていない”というのはケバブあるあるですが、こちらのケバブは奥までしっかりと肉が入っています。

 

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包み紙のなかを見てみると、なんときれいな鶏肉の油……! 清らかさすら感じます。

 

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さらにこちらでは「ケバブ丼(550円)」も食べられます。男性が食べても十分に満足できるボリュームがウリです。ソースは辛口とガーリックのミックスでガッツリといただきます。

 

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もちもちのご飯、ケバブ肉との相性はなんとも新鮮。そしてシャキシャキ触感の玉ねぎがとてもいいアクセントになっています。そしてソースの後引く辛味、チーズのようなコクとほんのり香るニンニク、ミックスソースにご飯の甘さが引き立つ! ガツガツ食べるには最高、止まらないうまさ!

 

ケバブ道を貫くこと10年。職人の技を聞いてみた

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こちらがアイディーンケバブのご主人、モハメット・ザーケリーさん。イラン西部、トルコ寄りの地域に生まれ、幼い頃からケバブに親しみを持って育ってきたのだそう。仕事のために来日し、さて帰国しようと駅を歩いていたところ、すれ違った女性に一目ぼれ。その女性と結婚し、今年で在日27年となりました。

 

──なぜ日本でケバブ店を?

 

小さい頃から、肉が棒に刺さってグルグルまわっている様子を見てきて、いつかお店をやってみたいという憧れはありました。日本に来てからはサラリーマンとして働きつつ友人のケバブ店を手伝いながら勉強して、8年前に川崎大師で条件のいい物件と出合い、お店を開きました。

 

──川崎大師という街、ケバブと縁がなさそうなイメージがあるんですが……実際どんなかたが買っていくんですか?

 

若いかたは幼稚園、年配のかただと95歳のおばあちゃんまで常連さんがいますよ! この街の好みを知るために、1カ月ごとに味を変えてはお客さんに「前の味と比べてどう?」って聞いて、味を調整していったんです。

 

──その研究の成果……ぜひ教えてください!

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使っている鶏肉はジューシーで柔らかい鶏もも肉です。むね肉はパサつきが出やすい、牛肉は時間がたつと硬くなりやすい、それぞれ特徴があるなかで、日本人の口に合っていると思い選びました。焼くときにはじっくりと時間をかけて火にかけます。火力をあげすぎると表面が焦げたり、ぱさぱさになってしまいますから。とにかくゆ~っくり、ですね。

 

──味付けはどのように? 肉に刷毛(はけ)か何かでタレを塗るんですか?

 

いえいえ、複数のスパイスをブレンドしたタレに一晩漬け込んで味付けしています。すぐに味付けできるわけではないので、前日にお客さんの入りを予測して肉を仕込み、売り切れた場合は早めにお店を閉めます。売れ残った場合、その肉は翌日に持ち越しません。味が変わってしまいますからね。

 

──そこまでこだわる理由は?

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いつも楽しみに来てくれるお客さんに、同じ味を提供し続けたいからです。去年お大師様にお参りに来たお客さんが、今年もまた来てくれて「去年はこんなお願いをしてこの1年でかなったんですよ」と報告してくれるんですよ。これからも川崎大師に来た時に寄ってくれる場所であり続けたいね!

 

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アイディーンケバブは全7席の小さなお店。この距離感、待ち時間にモハメットさんと会話するにはちょうどいい。

 

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店内に掲げられていた「道」という詩、これを読んで気が付きました。モハメットさんがお客さんを思いケバブをつくっていることに比べて、自分はご利益ご利益……自分の願いばかりだ……! なりたい自分になれるはずがない! 年の瀬に大事なことに気づけた気がする。

寿恵弘湯の雲上仏風呂、アイディーンケバブのごりやくケバブ。新年一発目にはふさわしいメシと風呂、川崎大師への初詣とあわせて体験してみてはいかがでしょうか。

 

お店情報

アイディーンケバブ

住所:神奈川川崎川崎区東門前1-12-18
電話番号:090-8486-1116
営業時間:11:30~21:00(お肉が終わり次第終了)
定休日:水曜日、日曜日

www.hotpepper.jp

 

寿恵弘湯

住所:神奈川川崎川崎区大師駅前1-6-20
電話番号:044-266-6231
営業時間:15:00~翌1:00(最終受付0:30)
定休日:4日、14日、24日(土曜日・日曜日・祝日の場合は営業)
ウェブサイト:http://www.suehiroyu.co.jp/

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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