カレーとラーメンを一緒に食べるのはロマン、だが果たしてその食べ合わせはうまいのか

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突然ですが、質問です。

カレーラーメン、どっちを食べたい?」 と聞かれたらどっちを選びますか?

簡単には決められないですよね、どっちもうまいですから。

 

私ならこう答えます。「どっちも食べる」と。

今回はそんな欲張りな私の欲望を持たすお店、大田区西蒲田のインディアンを紹介致します。

 

「武田流」「古式」……メニューに並ぶ聞きなれない言葉

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東急池上線の蓮沼駅から徒歩2分、静かな住宅街になにやら看板が出ています。看板の文字がちょっとだけ見えない、絶妙な位置に自販機が設置されていますね。

 

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近づいて見えてくるのは「武田流」「古式」の文字。なんだか強そう。

 

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至って普通な店内の様子。

 

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こちらがメニュー表。

もうおわかりですね。ここはカレーラーメンを一緒に食せる夢のようなお店なのです。四の五の言わず「支那そばと半カレー(1,050円)」をいただきましょう。

 

まずは支那そばから

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まず卓にやってきたのは支那そば。トッピングの焼き豚、メンマ、ほうれん草、煮卵がスープの色に映え、表層の香味油に反射した光の神々しいこと……。

 

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スープは玉ねぎ、ニンニク、生姜といった野菜からとった出汁と、ソーダガツオの出汁を1対1で合わせたものに、日高昆布と厚切りのカツオ節で作った塩味の元だれを加えたもの。飲むとあっさりとした味わいで、簡単に飲み干せてしまいます。

 

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麺は先代が近所の製麺所「菅野製麺」と、スープに合うように開発した完全オリジナル。つるっとした口触り、そしてどこか懐かしい味わいです。スープ単体で飲むよりも、麺を食べたほうが味がしっかりしているように感じます。

 

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影の立役者こそが、この焦がし玉ねぎの香味油。しっかりとスープと麺を絡ませてくれます。麺を食べると味が強く感じられるのは、この香味油のおかげです。

 

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焼き豚は丸一日特製の漬けだれに漬け込んだ肩ロース。脂身の多い部分と少ない部分に分けてカットし、店主がお客さんの性別や年齢を見て脂身の量を変えているのだそう。好みがあれば注文時に伝えましょう。脂身の多い焼き豚は脂が出て、スープの表情が変わってきます。脂身が少ないと付けダレの味がよく感じられ、食べ応えある焼き豚を味わえます。

 

最高級の理由は仕込みの手間にあり

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支那そばをある程度食べ進めたころ、カレーが卓へとやってきました。上品に盛られた米、そして黒いルー。高級感がありますね。

口に運ぶと、まずは広がる優しい苦味。そして終始強く感じるのは深~いコク。そのあとはほんのりと甘みが広がってから、辛味が残る。柔らかめに炊かれた米の甘みで辛さが少しずつ調和されていきます。

 

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このカレーは主に3つの材料で構成されています。

まずはこれ、何かわかりますか? 実は小麦粉なんです。黒っぽい褐色なのは、焙煎しているから。これがコク深さと苦味、そして昔の洋食屋さんのカレーらしい黒さを担当しています。完成までに必要な焙煎時間は4時間。そりゃ黒くもなるわ!

 

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もう一つは色鮮やかなペースト。これは黄桃とリンゴ、バナナのピューレです。リンゴは甘みを引き出すため、ピューレにする前日に塩ゆでし、冷蔵庫で1日寝かせています。インディアンでは甘みはすべて自然由来。支那そばカレーともに砂糖を一切使っていません。それにより飽きない味に仕上がっているのだそう。

 

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そして最後にあめ色に炒めた玉ねぎです。甘さを出すため、1年分をまるまる仕入れ、八百屋さんの冷蔵庫で寝かせたものを使っています。しんなりするまで強火で1時間炒めてからは、そこから3日間、1日3~4時間炒めてあめ色に仕上げていきます。とんでもない手間をかけた炒め玉ねぎがカレーに使われているんですね。

 

食べ合わせは順番が大事

さて、それぞれ味わっただけでも大変満足できる支那そばカレー。果たしていっぺんに食べるとどんなハーモニーが口の中で奏でられるのか。

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支那そばカレーを同時に口に放り込むと、口に中でうまいこと味が混ざり合う……という感じではなく、カレーのコク深さと辛味が支那そばの繊細な部分を隠してしまいますね。なんかこう、劇的な化学反応が起きるなんてことはなく、この世の法則通りに混ざった感じです。

 

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なんて思いながら辛味を紛らわそうと、不意に口に運んだ支那そば。スープが通過したところだけ辛味が和らぎ、支那そばカレーのコクと辛味がのっかってくる! 味の原型を留めつつもカレーのコク深さ、辛味をうまいこと取り込んだ味わいです。

カレー→支那そばの流れこそがインディアンの神髄、そういうことですね、 親父さん。

 

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「うちのカレーと支那そばに決まった食べ方なんてないよ。注文がなければ支那そばから出しているけど、カレー先と言ってもらえればそのように対応します。好みは人それぞれだから」

お店のスタイルをお客さんに強制しない、お客さん本位なインディアンの親父こと、永岡さん。食べただけでは解決しない疑問を聞いていきましょう。

 

支那そば誕生のきっかけは、二日酔いの常連さんだった

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── なぜ支那そばの提供が先なんでしょうか? カレーのほうが出来上がるの早そうですよね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:支那そばの繊細な味をまず楽しんでもらいたいのが一つ。あと支那そばにのっている焼き豚、このタレの味が時間の経過とともにスープに移って、味の強いカレーに合うようになってるんだよ。

 

──そんな計算が器のなかに組み込まれていたんですね……!

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:そう。焼き豚の付けダレがスープに出てこそカレーとの組み合わせがいきる。だから支那そばを先に食べ切っちゃいそうなお客さんには「少し残しておいたほうがいいよ」と、一応声はかける(笑)。

 

──焼き豚ですが、性別や年齢によって脂身の量を変えているんですよね。

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:若い男性には脂身多め、年配の女性は脂身が苦手なんじゃないかなと思って少なめにしています。あとは食べ終わりの器を見ると何が苦手かわかるから「あの人だな」ってわかるようになったら、好みにあわせて出すよ。

 

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── 焼き豚が自分好みで出てくるのは、常連さんの特権ということですね。その支那そばカレーの「武田流」、「古式」、「最高級」とはどういう意味なんでしょうか?

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:インディアンの前身、常盤(ときわ)軒の店主が武田金蔵さんってかたで、俺はそこで修行を積んだんだよ。支那そばは武田さんが開発して、それを私が受け継いだ。だから「武田流」。古式、最高級っていうのは、このカレーを出し始めたのが戦後の時期で、その当時はホテルのレストランとか、高級なところでこういうカレーを出してたから最高級を銘打ってます。

 

── なぜメニューが支那そばカレー、2つだけなんでしょうか?

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:常盤軒は洋食屋さんとして営業していて、もともとステーキとかエビフライを出していたんだよ。時代の流れなんだろうね、あまりそういったメニューが注文されなくなった。そんななかでも人気だったのが支那そばカレーだったから、じゃあこの2つに絞っちゃおうって。

 

── 洋食屋さんで支那そばを出していたんですか?

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:最初はカレーに塩味のスープを添えて出していたんだけど、二日酔いのお客さんから「サッと食べたいからこのスープに麺入れて」って注文があったんだよ。入れてみたらおいしくて、メニューになった。

 

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── お客さんからの声がきっかけだったんですね。他にもお客さんの声が実現したものってありますか?

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:焼き豚やカレーのお持ち帰りもそうだし、お店の名前もお客さんが考えたんだよ。

 

── え? インディアン、ですか? 一体どんな意味が込められてるんですか?

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:わからない。響きで決まったみたい。

 

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── そもそもなんですけど、インディアンって、カレー屋さんなんですか? ラーメン屋さんなんですか?

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:うちは支那そばカレー、2つを引き継いで営業しているお店だから、両方あってインディアン。どちらか片方という考えはないね。

 

店主が通う銭湯は、支那そばのスープとそっくりの温泉が湧いている

── ちなみに、歩いてすぐのところに銭湯がありますよね。

 

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f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:毎日行ってる。立ち仕事だから脚がだるくなったりするんだけど、ここの温泉にはいるとすっきり疲れが取れるね。

 

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2017年12月、大正ロマン風にリニューアルオープン。全湯船が温泉という、最高に恵まれてる銭湯なのです。

 

f:id:Meshi2_Writer:20181006184422p:plain永岡さん:炭酸泉に5分、体洗ってから温泉の湯船に3分、最後に炭酸泉に3分はいるとすっきりと疲れが取れるよ。オススメ。

 

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私個人としてはサウナからの水風呂がオススメ。都内では数少ない、源泉掛け流しを実現した湯船はマジで極楽です。そのお湯の色が支那そばのスープとそっくり。この温泉は塩気を含んでおり、湯上りに温かさが持続する泉質です。

カレー、支那そば、はすぬま温泉。この三拍子はぜひセットで体験していただきたい!

 

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twitter.com

※はすぬま温泉の浴室は許可を得て、営業前に撮影しています。営業中の撮影は厳禁です。

 

お店情報

インディアン本店

住所:東京都大田区西蒲田6-26-3
電話番号:03-3738-1902
営業時間:11:00~18:00
定休日:木曜日

www.hotpepper.jp

 

はすぬま温泉
住所:東京都大田区西蒲田6-16-11
電話番号:03-3734-0081
営業時間:15:00~翌1:00
定休日:火曜日

 

書いた人:毎川直也

毎川直也

風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。

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