「ビックリマンチョコ」が世代を超えて愛される理由とは?ロッテの担当者を直撃してみた

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ロッテの担当者を直撃

『メシ通』をご覧のみなさん、これご存じですよね。

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ビックリマンチョコ!

 

いまだ現役の評判の菓子ですよ。

なんたって最近は国民的マンガとのコラボや、

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国民的アイドルのコラボもやってるんだから。

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僕ら団塊ジュニア世代にはおなじみのカルチャーではありますが、その秘密に改めて

迫ってみたり、歴史を振り返ってみたりしたことって、あまりないですよね。

 

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そこで、物心ついたときからビックリマン大好きなニポポがロッテ本社の門をくぐり……

 

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かわいいコアラ(のマーチ)をナデナデし、

 

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ショーケースで最新バージョンを確認してから、

 

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ロッテさんの社員であり、ビックリマンチョコ担当の本原正明(ほんばらまさあき)さんを直撃しちゃいましたよ!

 

知られざる誕生秘話

── 本原さん、今日はよろしくお願い致します! まずはビックリマンチョコの代名詞とも言える「ビックリマンシール」の歴史についておうかがいしたいのですが。

 

本原:はい。ビックリマンは1977年に誕生しました。以後いろいろシリーズが生まれたんですが、いちばん大ヒットしたのが1985年の「悪魔vs天使」シリーズなんです。初代からちょうど10代目のシリーズですね。

 

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── え!? 初代のどっきりシールや7代目のまじゃりんこシールなんかも相当な話題のシリーズだった印象ですが……。

 

本原:実は「悪魔vs天使」が生まれた当時、ビックリマンはいろいろ困難な時期にさしかかっていて、シールシリーズとしては「今回で最終企画にして、これで終わりだから思い切ったことにチャレンジしよう」と挑んだシリーズだったんですよ。

 

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▲「悪魔vs天使」シール以前には「どっきりシール」や「まじゃりんこシール」があった。懐かしい!

 

── それにしても「悪魔vs天使」シリーズはストーリー性やバックグラウンドの設定なんかがしっかり考えられていますよね。これは当初からどの程度まで考えられていたものなんですか?

 

本原:ビックリマン生みの親とも言われている当時の担当者が、それまでのギャグ路線から、世界観まで持たせる形にまで振り切ったわけですが、第一次聖魔大戦くらいまでは考えて挑んでいたみたいですね。

 

── となると、第6弾くらいまではシリーズ自体が考えられていたという感じですか?

 

本原:そうですね。4カ月に1回くらいのリリースペースでしたので。

 

── シールの素材選びなんかにも大変なこだわりが見受けられますが、こういった部分も当初から考えられていたんですか?

 

本原:やはりコミュニケーションツールであるシールでビックリさせるということが根幹コンセプトなので、素材でもビックリさせよう、違うことをやろうという思いはあったようですね。第6弾で登場したブラックゼウスのホログラムなんかは、主にセキュリティ技術として用いられていたもので、子ども向けグッズに転用したのは革命的でした。

 

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▲さまざまな素材を利用したビックリマンシールの一例

 

── イラストのデザインはどうやって決めているんでしょうか? 細部まで作り込んでから依頼していたのか、それともザックリとしたものだったのか。

 

本原:イラストレーターやデザイナー側と一緒に作り上げている感じですね。ザックリとしたテーマや設定をビックリマンプロジェクト側で決め、一緒に会議をしながらテーマや設定といった詳細を詰めていっています。例えばスーパーゼウスなんかは阪神タイガースのバースをモデルにしているんですよ。

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── 確かにちょっと似ているような気が……。

 

本原:イラストレーターの方が大の阪神ファンだったので。この情報が公になった後、2015年には「バースゼウス」が実際にロッテとの交流戦の際、阪神甲子園球場で配られるということもありました。。他にもタイガー王神というキャラなんかもあって、あれは思いっきり阪神でしたね(笑)

 

── ロッテなのに……!

 

コレクションを見てもらった

── あの、実はちょっと厚かましいんですけど、僕のビックリマンコレクションも見てもらいたいのですが……。

 

本原:そうくると思いました。そもそもヘッドロココTシャツで現れる人なかなかいませんからね(笑)。

 

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── そのツッコミ、うれしいです!

 

本原:おお、ビックリマン神社! これ、箱買いしないともらえないヤツですよ。レアですね! スター・ウォーズコラボもありますし。ちなみにスター・ウォーズは世代としてはドンピシャですか?

 

── 今41才なんでドンピシャです! スター・ウォーズグッズを部屋に置いておけばモテると錯覚していた世代ですから(笑)

 

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本原:ヘラクライストやヘッドロココ、ホログラムなんかもありますが、どれもめちゃくちゃ保存状態がいいですね。どうやって保管していたんですか?

 

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── 当時懸賞でもらえたビックリマン缶ケースやシールホルダーに速攻で収納しまして、友達とかにもあんまり見せませんでした(笑)。

 

次世代ファンを育てたい

── それにしても、ビックリマンほどいろんな世代に浸透しているキャラクターもののお菓子ってないですよね。

 

本原:ただ、意外に思われるかもしれませんが、ビックリマンって40年の歴史を振り返っても結構浮き沈みが激しいシリーズなんですよ。 

 

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── そうだったんですか! てっきり安定のコンテンツかと思っていました。それでも続いている理由ってどんなところにあるとお考えですか?

 

本原:誰でも子どもの時の記憶って鮮明じゃないですか。そのときにファンになった人たちの印象に強く残っているのが存在理由かと思います。とは言え、若い人たちにとって「古い」存在になってしまう危険性もあるわけで。仮に今後10年20年経ったらどうなるか。そのときに支えてくれる次世代ファンを育て、入り口を広げていかなければいけないなとは常々思っていますね。

 

── モノを作って売る側にしてみればジャンルに関わらず、すごく普遍的な課題ですよね。チョコのウエハース味も時代に合わせて変化しているような印象ですが。

 

本原:味は時代ごとに微妙に変わっていますよ。以前はピーナッツだったのが2010年からはビスケットクランチになっていたりします。というのも、近年はピーナッツアレルギーやアレルギー表示に対する親御さんの関心が高いこともあります。元々ビックリマン自体が子どもに喜んでもらえるブランドであり続けなければいけないので、そうした事情にも対応していこうと。

 

── これほど長く続いているブランドでも味は変わっていくんですね。

 

本原:お客様センターにも「味変わりましたよね。なんでですか?」といった問い合わせが結構来ますね。

 

── なんと!

 

本原:でも、これってすごいことなんですよ。30年前の味を覚えていてそれが違っているということに気がつけるなんて、他のブランドではなかなか起こらないことです。それくらい影響力があって、舌に刻まれているということなんでしょうね。

 

斬新なコラボで新規開拓!

── ビックリマンチョコの実際の購買層ってどんな感じですか?

 

本原:それこそちょっと前まで、例えば2010年の復刻版発売時は購買層の8割以上が30~40代でした。それを見て青ざめちゃったんですよ、「子どもが買っていない!」って。そこからコラボをはじめとした改善案を展開していって、2016年では10~20代の購買が35%を締めるまでに持ち直しました。

 

── すごいブランディングですね! ただの懐かし物にしないという心意気の表れかと思いますが、やはりコラボレーションシリーズが功を奏しているのでしょうか。

 

本原:そうですね。今だったらAKBコラボが人気で、「30年ぶりに手に取りました」というお客さまもいらっしゃいます。30年間手に取っていなかった方に、再び手にとっていただくということは実はすごいことなんじゃないかなと。その点ではワンピースコラボも影響が大きかったですね。一気に購買層が子どもにまで広がりました。

 

── AKBやワンピースは知名度の点でもアドバンテージ大きいですよね。


本原:ビックリマンでは、ルフィがルーシーに変装した背景を狙って「ルフィセウス」を作ったんですが、子どもたちから「スーパーゼウスってルーシーのパクリなんですか?」なんて逆転の指摘があったりしましたし、カミカミの実を食べたという設定があったのですが、「悪魔の実二つ目だけど大丈夫なんですか?」なんて鋭い指摘があったりして、仕掛けたこっちが驚かされました。

 

── 子どもたちの指摘もまた容赦ない……。でも、ひとつの新規開拓の成功例ではありますよね。よしもと芸人とのコラボシリーズでは、また違った層のファンも付いたんじゃないかと察します。

 

本原:おっしゃるとおり、女性のお客さまによく購入いただきました。ビックリマンでは、リアルな方々たちとのコラボ、ビックリマンでしか出来ないコラボをやろうという思いは強いですね。キャラクターやアニメであれば版権の調整が整えばスムーズに進むんですが、タレントさんとのコラボって版権がいろいろと絡んでくるので、思うように進まないことも多いので。

 

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── 数あるコラボの中でも僕は「人生ゲーム」とのコラボに衝撃を受けたんですが、あれはどういった経緯で?

 

本原:人生ゲームは元々僕が人生ゲームの大ファンだったんです(笑)。正月に親族一同で遊んだ思い出があり「親子の絆を結ぶには人生ゲームしかないだろう!」と、タカラトミーさんに直談判に行きまして。そしたら、先方も面白い会社で「やっぱりウエハース状じゃないと」とか「シール付けましょう」「コストはかかるけど、パッケージは箱じゃなくてフィルムで」というアイデアをくださり、実現にこぎつけました。

 

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── 本当にあのジャンボサイズのビックリマンといったものが発表された時は驚きましたし、ソク購入してましたよ!

 

本原:奇跡の商品ですよね、あれは。こういった奇想天外なことも「ビックリさせる」という本懐なんです。ただ、コラボしか出てこないようだと飽きられてしまいますし、これからも新しい「ビックリ」を模索していきたいですね。

 

ライトユーザー目線を活かす

── ところで、本原さんご自身はビックリマンに新しい流れを積極的に取り入れている印象ですが、当初の風当たりはいかがでしたか?

 

本原:私自身が1984年生まれなんで、89年のビックリマンブームのピーク時に5才くらいだったという、いわゆるライトユーザーなんです。いままで、ビックリマンへの思い入れの強い方が担当することが多かったので、ライトな目線でビックリマンを見られる初めての担当者だったのかもしれないですね。

 

──でも、それがかえって功を奏したのかなとも思いますけども。

 

本原:私のようなライトユーザー目線で、自分たちの世代や子どもたちがどうやったら興味を持つか、どうやったら将来に残していけるかという点を模索していった結果が今につながっているのかもしれません。

 

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── 頼もしいですね~! では最後になりますが最新の「ビックリ」などありましたら。

 

本原:今、Jリーグの川崎フロンターレさんと共同でお話を進めていまして、等々力競技場でしか配られないというビックリマンシール企画がそろそろスタートします。
こういったリアルな場所でしかもらえないシールという提案も続けていきたいですね。

 

── これからの展開にも期待しております! ドンピシャ世代代表としてこれからも買い支え続けますので。今日は本当にありがとうございました!

 

ニポポもコラボしてみた

いやぁ~、本当に貴重なお話を聞かせていただいただけでなく、本原さんにコレクションまで見ていただけて光栄の極み!

そんなお礼も含め、早速ビックリマンチョコ買ってきたよ~!

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すぐさま開けてみると……

 

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うむ! これもまた人生と言う名のゲーム!

 

で、僕からのスペシャルなビックリマンチョコちょい足しコラボレシピをご紹介しちゃうぞ!

 

ビックリマンチョコにチョコホイップとチョコチップという新三種の神器を用意し……

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デコレーションンンンン!!!!!

 

これがまたね……

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サクサクのチョコウエハースにしっとり感が加わるという絶妙な味わいで最高なのですよ。ホント試してみて!

 

もういっちょオマケ!

なんとロッテの本社には驚きの……

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ガム自販機があるんやでこれ!!

 

もちろんこれ、

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お金入れると……

 

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出てくんのよ!

 

さすがお口の恋人!!

 

以上、ニポポでした。

 

書いた人:ニポポ

ニポポ

トンガリキッズのメンバーとして「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。徳間ジャパンコミュニケーションズより発売のソロ楽曲 CD も1万枚以上のセールスを記録。一方で、潜入ルポや珍品コレクションを披露するイベントも主催。週刊誌やWeb媒体での執筆活動も続け、これまで掲載された記事点数は1万記事を超える。

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