食文化魔改造に新たなアイテムが出現
諸説あるけど東郷平八郎が、イギリス留学時代に食べたビーフシチューを食べたいと舞鶴鎮守府でワガママいい、料理係が少ないヒントとありあわせの材料から作ってみたビーフシチューもどきが肉じゃがの原型、って話ホント好き。
このような「食文化魔改造」は日本のメシの特徴でもあります。
たとえばカツカレーは「イギリス経由でやってきたインドのカレー」と「フランスのコートレットあるいは、ドイツ、オーストリアのシュニッツェルが日本で魔改造されてできたトンカツ」の悪魔合体でありながら、完全な日本の食事となっています。コンゴトモヨロシク。
そんな食文化魔改造の極北は、なんといっても「カレーうどん」でしょう。
イギリス経由のインド料理がコテコテの日常食として、日本のソバ屋さんやうどん屋さんの定番メニューとなっているのです。
あとまあ、夜食というか少ない手数でそれなりにおいしく作れるので便利ですよね。湯通ししたうどんにレトルトカレーをバシャーとかければできあがりですもの。
そんなレトルトカレーで作るカレーうどんに、専用のだし汁ができたという。だったら試してみたいのが人情です。
YK STORESと北九州のごとう醤油とのコラボアイテム「レトルトカレーをカレーうどんにする素」(580円)です。
太陽に透かしてみれば出汁の素材がぎゅっと濃縮されているのが見えるじゃないですか。うまそう。
それではいい感じの写真も撮れたことですので、近所の公園をあとにしたいと思います。
カレーうどん作りがちょろい
帰宅してラベルを確認。原材料にはかつお節、昆布、しいたけと、出汁として優秀なスタッフが名を連ねています。
この「レトルトカレーをカレーうどんにする素」。若干のとろみがついています。うまそうな演出であり、実際にうどんに絡みやすいという効果もあります。このへん絶妙。
カレーうどん一人前の場合、60mlのお湯に対して「素」大さじ2杯を溶かします。
このだし汁でカレーを割ります。
作り方どおりにレトルトカレーを湯煎して。
丼に用意していた「レトルトカレーをカレーうどんにする素」と混ぜあわせます。
とろとろー。
しっかり混ぜあわせまして。
うどんをぶっこみます。
完成。
ちょろい。
カレーの味がしっかり出てくるのね
さっそくテイスティングです。
うどん後入れのカレーうどん、かき混ぜてない状態だとコントラストがきれいですね。初めて知りました。
底のほうからうどんを引っ張り出します。うおおう、これこれ。おいしそう。
なるほど、しっかりカレー味のうどん。これはうまい。素材であるレトルトカレーの味がそのまま出る。
たとえばめんつゆでカレーを割ることもできますが、それだと醤油とかつおだしのフレーバーが前面に出てきてしまって、カレーの個性といいますかメーカーが工夫したカレーの特徴が目立たなくなってしまいますよね。
「レトルトカレーをカレーうどんにする素」だと、まず最初にカレーが来るんです。そして濃厚な出汁が後からしみじみとやってくるんですね。
ああ、おいしかった。
カレーうどんをレトルトカレーで作る場合、カレーそのままのケースと、なんらかの出汁で割るケースがあると思います。
カレーそのままだとやや食べにくいですよね。
めんつゆ等で割る方法にはいろんな流派があるはずです。
まず通常のかけうどんを作ってそこにカレーを注ぐタイプ。
めんつゆの量を加減してカレーうどんとして最適な汁量を模索するタイプ。
いろいろあっていいのですが、実はめんつゆのカレーうどんってちょっとしょっぱくないですか。あと、最適汁量も難しい。
「レトルトカレーでカレーうどんをつくる素」は、出汁成分が強めなのでしょっぱくならずに「カレー味のうどん」を楽しめるんです。あとレシピ通りに作れば汁量もベストになります。
やってみてわかりましたが、これは便利でおいしい。なるほど、専用の素ってだけはあります。
レトルトカレーならなんでもいけるぞ
レトルトのグリーンカレーとフォーと「レトルトカレーでカレーうどんをつくる素」を使って、グリーンカレーフォーを作ってみました。
グリーンカレーがいい感じのスープになって、気分は東南アジアのどこかの国にいるによう。頭皮からの汗が止まりません。辛いー。
しかしこれ、レトルトカレーならなんでもうどんにできるな。
開発秘話にはパパの愛があった
さてこの「レトルトカレーをカレーうどんにする素」を開発したYK STORESの吉田一直さんにお話をうかがいました。
過去記事の(「宇宙醤油」を宇宙食プリンにかけたら宇宙ウニ味の夢を見るか)もご覧ください。
ーーどうしてこのアイテムが必要だと思ったのでしょうか。
4歳と2歳の娘がいるんですが、家でカレーを作るとしても、子どもに合わせると味がヌルくなってしまうじゃないですか。レトルトカレーだったら、家族全員が自分の好きなカレーを食べられるなと思ったんです。レトルトを4種類そろえて、それぞれが好きなものを食べる。この方法だとカレーうどんもできるんですけど、そのときにカレーうどん用のだし汁があったらいいなと思ったんです。レトルトカレーだから手を抜いているようでも食事が豊かになる。これはいいと思ったんです。
ーーいろんな出汁がある中で「かつお節・昆布・しいたけ」の組み合わせに決まった理由はなんですか。九州といえばトビウオのアゴ出汁が有名だし、あれもおいしいと思うんですけど。
重要視したのは香りです。カレーに負けない香りが必要だったんです。それにいろんなレトルトカレーがあって、それぞれ香りに特徴があるじゃないですか。普通のカレーにキーマ、グリーン。それらに合わせるには、かつお節、しかも削りたてのかつお節がいちばん香りで負けないんですね。うまみとコクも求めていまの組み合わせになりました。
ーーこだわった部分はありますか。
「カレーうどんの素」を作るんだという気持ちですね。出汁を作るのではない。めんつゆを作るのでもない。レトルトカレーでカレーうどんを作るためだけの素だというところにこだわりました。数百種類あるレトルトカレーすべてに合うような味や香りを模索して、何度も試作したんですよ。
レトルトカレー専用でカレーうどんを作るためだけのものなので、名前もこんなふうに長くなってしまって。レシートに商品名出るじゃないですか。名前が途中で切れるんですよ(笑)。
ーー開発で苦労した点はなんですか。
カレーらしさとうどんらしさのバランスをとることに苦労しました。麺とのからみをよくするために「トロみ」をつけているんですよ。このバランスを見つけるのに苦労して、開発が長引いてしまいました。本当は冬に出したかったんです。カレーうどんなんで。試行錯誤してるうちにいまになってしまいました。5月末が発売開始日なんですけど、もうギリギリの発売日ですよね(笑)。
ーーどのような人に使って欲しいですか。
実際に買ってくれるのは一人暮らしの人だろうと思うんですけど、もともとはファミリー向けに開発したものなので、やはり家族で食べて欲しいですね。
家族みんなが自分の好きなカレーをそれぞれで食べて、ちょっとずつ分けあったりして「お母さんのカレーはお肉大きいね」とか「パパ食べてるの辛いねー」という会話があると、なんかいいですよね。
「レトルトカレーをカレーうどんにする素」は、簡単にカレーうどんを楽しめるだけでなく、意外にもパパの愛がありました。
一見バカバカしい商品ですが、九州の老舗醤油メーカーがかつお節やしいたけの出汁をしっかりきかせて作った本格派です。一本あると結構便利だし、食卓がなんだか豊かになった気がします。
商品情報
レトルトカレーをカレーうどんにする素
発売日:2016年5月31日
販売価格: 580円
容量:150ml
ウェブサイト:http://www.ykstores.com/
紹介動画:https://youtu.be/ZEAGzVo5kw4
※金額はすべて消費税込です。
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