すっぱおいしい手羽元のさっぱり煮……と見せかけて煮汁のほうで麺をいただく大作戦
手羽元を酢と醤油ですっぱめに煮込む料理、一般に「さっぱり煮」と呼ばれるアレ。
お酢の力でお肉が柔らかく仕上がり、すっぱさによって食欲がないときでもわりと食べられ、疲労回復効果でおなじみのイミダペプチド(イミダゾールジペプチド)が含まれる鶏肉料理。
うまさと健康、まさにいいことづくめです。
そうそう、これこれ。こういうの。
おいしいですよね。
ところで煮物の汁って捨てちゃいますか。
煮汁が欲しいので煮物を作る、みたいな本末転倒な目的じゃダメですか。
この煮汁をスープにしたラーメンがどうしようもなくオイシイんですけど。
骨から出たダシ、酸味と甘みを持つスープ。これって東南アジアを思わせるすっぱしょっぱい麺にちょうどいいんです。
そう。
目的は手羽ではないのです。
翌日に激ウマ麺を食べるために、今日手羽元を煮るのです。
まずは手羽元のさっぱり煮をつくる
さっぱり煮は酢と醤油で鶏肉を煮る料理です。
酢と醤油の割合は〈酢:醤油=2:1〉。
今回の具の量の場合、酢200cc、醤油100ccでやってみました。
材料(二人分)
具
- 手羽元(チキンウイング)12~15本
- 卵 4個を固ゆでにしておく
煮汁
- 醤油 100cc
- 穀物酢 200cc
- 砂糖 50g
- にんにく 1~2片
- ショウガ にんにくと同じくらい
- 水 100cc(最初の段階)
にんにくはレミイズムを発揮して案の定ボウルの底でたたき潰し、ショウガはスライスします。臭み消しですが、気持ち多めにしたほうがあとあと楽しいです。
あらかじめ計量した砂糖50g。
酢、醤油、砂糖、水100cc、にんにく、ショウガを鍋に一気に入れて火にかけます。
水で割らないと調味料だけを煮立てることになり、ちょっとキビしいですよ。
煮立つまでの時間を利用して手羽元を用意。グラム68円。安い。
14本で1キロくらいになりますね。
ペーパータオルでくるんでぎゅっと握って水気を拭き取ります。
ここ、わりとおいしさポイントです。臭みがダンチです。
ゆで卵も用意しましょ。
塩水からゆでて、沸騰し始めから中火で10分ゴボゴボさせたものです。
わあ、煮汁が煮立った。
具材をどーん。全部どーん。
そして具がひたひたになるまで水を追加。追いウォーターです。
フタをして20分、中火で煮ます。
煮物は楽だなあ。
できた。ちょろい。
手羽元のさっぱり煮。★みっつです。
肉も柔らかく、骨離れもよく、すっぱしょっぱいテイストは食欲がないときでも食べられる。健康にもいい。
ヌハハハ! だが、本来の目的は、こっちだー!
煮汁です。
これが欲しくて手羽元を煮たのです。
鶏ガラからダシが出て、醤油と砂糖、酢で調味されてて、にんにくとショウガのエキスが染み出しております。チキンの油も浮いております。
構成要素だけで考えると、ラーメン有名店のスープとあまり変わらんのです。
この煮汁を捨てるヤツは一生地をはうことになりましょう。
鍋のシメでラーメンやるのに煮物のシメでラーメンやらない理由がありますか。
煮物にシメがあるだなんて新発見です。ラーメンの新発見です。
びっくりおいしいラーメンスープを捏造(ねつぞう)する
一人分のパウダーがこれです。
煮汁をベースにしてラーメンスープにカスタムするのです。
手羽元のさっぱり煮から得られたものを捨てることなくすべて味わう。ハイコストパフォーマンスなMOTTAINAI精神。煮汁を捨てないエコ運動でおいしく地球を守れ!
パウダーはそれぞれティースプーンで1杯くらいかな。
- 魚介系ダシの素 これをプラスするだけでマルチダシになります
- 鶏がらスープの素 正直、ちょっともの足りない部分を強化します
- うま味調味料 元からある砂糖とともに、東南アジアの味に近づきます
- 一味唐辛子 魚介系ダシのレベルを上げるチートアイテム
中華麺です。
ゆでます。
火力重視、強火でゆでたいので直径の大きな炒め鍋を使用。
パウダーに煮汁あらためラーメンスープを注ぎ、熱湯で割ります。
このとき、めんつゆやナムプラーで調味するのも楽しいです。
ていうか、したほうがいい。
ほら、ほらほら。期待できるビジュアル。
これがもともと煮物の汁だとは思えないでしょ。街道沿いの気合い系ラーメン店の、あるいは東南アジアの屋台の、あのスープみたいでしょ。
最終段階の調味をめんつゆにするとやさしいお味に、ナムプラーでやるとエスニック料理になります。エスニック料理て。
おっと。偶然手元に手羽元があったので、フォークでほぐして具にします。
すげー簡単にほぐれる。さすが酢醤油煮。なぜかいい感じに完成した煮玉子もあったのでトッピングしちゃいましょう。
おいしい。すごい。お店みたい!
ダシがしこたま効いているので、すすればすするほどもっとすすりたくなるんですよ。
ラーメンとしての構成要素や工程で考えると、すでにご家庭レベルは軽く越えています。
酢をたくさん使ってることでビビっている人もいるかもしれないですけど、酸味はわりと飛んでいるので刺さるような酸っぱさではなく、むしろ酸辣湯麺とかトムヤムクンラーメンとか、ああいったものに感じる「いいほうの」酸味。
ラーメンのためだけと考えるとすっげえ面倒くさいですけど、煮物の残りものなのでちょろいんです。
鍋のシメでラーメンやるのに煮物のシメでラーメンやらない理由は、ほら、ないのです。
※この記事は2017年6月の情報です。