※この記事は緊急事態宣言前の2020年3月頃に取材したものです。
餃子はやっぱり自分で包んでナンボ
餃子は、たくさんの人が自分なりのこだわりを持って作っているソウルフルなフードですが、作るための実践的なノウハウを知れば、さらに皆さんの食卓が豊かになります。
【材料】(40個分目安)
- 餃子の皮 40枚(市販のもの)
- サラダ油 分量外
- タレとして 醤油、酢、ラー油、胡椒など 分量外
餃子のアンコの材料
- 白菜 500g
- 長ネギ 1本100g
- ニラ 1束
- ショウガ 20g
- ニンニク 10g
- 豚ひき肉 500g
- 塩 4g
- 上白糖 6g
- 醤油 15g
- 酒 10g
- 胡椒 適量
- ごま油 10g
麻辣餃子の場合(普通のアンコ500gに以下の材料を追加してアレンジ)
- 山椒 1g
- 唐辛子 お好みで40gくらい
- 特製ラー油(底の粉) お好みで20gくらい
- 豆苗 1パック
- タレとして 麻辣ソース(醤油大さじ1.5、砂糖大さじ0.5、酢大さじ1、山椒の粉小々さじ、ラー油大さじ1)
- タレとして 追加ラー油 分量外
【手順の概要】
- 白菜、長ネギ、ニラ、ショウガ、ニンニクをみじん切り(ショウガとニンニクはすりおろして叩いてもいい)
- 調味料を合わせる
- 豚ひき肉を練り、調味料を合わせ練る
- そこに野菜を混ぜ、ごま油を入れる
- 休ませたアンコを皮で包む
- フライパンで焼く
まずは野菜を切る
人長:最近、厨房でコケて肘を負傷して、めっちゃ痛いんですよ。ほら、アザができているでしょう。
──手負いの状態のところ、すみません。
人長:血流が悪くなるんでしょうね。いままでの火傷の跡が浮き出てきているんです。レントゲン撮ったら大丈夫だったんですけど、コケた瞬間はもう折ったと思ったんですよ。そんなわけで私の本来の実力を出し切れるかわからないですけど(笑)、よろしくお願いします。
──じゃあ本日もご安全に!
人長:ご安全に!
人長:まずはお野菜から切りましょう。長ネギ、ニラ、白菜。この3つです。
──餃子作りにはこだわりが強い人が多いですよね。流派としても、白菜派だったり、キャベツ派だったり、いろいろあるじゃないですか。
人長:今回はまあ、どっちでも……あ、やっぱ良くないです。
──おっと、どっちがいいすか。
人長:両方よくあるんですけど、僕は白菜を使います。なんでかというと、白菜はキャベツと比べて水分が多いので、この水分を活かした方法で作りたいんです。まずは、長ネギから切りますか1本、100gですね。
人長:目入れをしております。
──見事にささら状になっております。
人長:触って、硬いところがあったら、そこはまだ芯が残ってる。目が入ってないところなんで、サクサクっとやってください。僕はプロフェッショナルなんで、硬いところはないですけど(笑)。
人長:ちゃんと目が入ってると右手の指のとこみたいにフニャッとした感じなんですよ。で、目が入ってないのが左手の方。これくらいへこまない。
──で、目入れしたら端っこを切り落として。あとはいつものようにみじん切りです。
人長:肘を痛めているなか、がんばっております。
人長:続いて白菜。500gですね。
人長:芯は外しましょう。
人長:刻んで小さくしたほうが握りやすいかもしれないですね。
──握る? NI・GI・RU? 寿司みたいに言いますね。
人長:「中華の料理人あるある」なんですけど、「餃子を握る」とか「焼売を握る」とか言っちゃうんですよ〜。
──まずは細切り。いくら肘を痛めてても包丁の動きがクランク運動になるんですね。さすが。
人長:真下に包丁を動かすと、白菜が広がっちゃうんですよね。クランク運動にすることで内に内に、白菜がまとまる方向に力がかかるというか。
人長:このくらいに切りました。これ、塩もみしたりボイルしたりして水を抜く方法が多いかもしれないですけど、僕は切ったまんま使います。
人長:修行時代、「最初に塩もみする」と教わったので、なんの疑問も持たずにやってたんですけどね。自分でお店を始めるに当たって「野菜を絞った水は絶対おいしいよな、野菜の旨みがあるな」と思って。
それで、餃子も食べたときに小籠包みたいにジュワーッとくるスープがあったほうがおいしいよなと思って、試しに塩もみしないで作ってみたら、すごくおいしかったんですよ。僕はこの状態でやってます。
──具材から出る水で蒸すというか、無水調理みたいな感じ?
人長:……ちょっと違いますー。
人長:ニラちゃんです。スーパーで売ってる1束がおよそ100gなので、このままいっちゃいましょう。下は切り落とします。
──ニラは好き嫌いありそうな食材ですけど、やっぱり入れたほうがいいですか。
人長:ニラを入れると元気が出る!
──元気が!
人長:絶対に入れましょう。餃子にはニラの香りも合うし、絶対おいしいですよ。そしてニラは水で洗うと水っぽくなっちゃうので、拭いてあげてください。こういうところに泥がついてたりすることもあるし、セレウス菌(※)とかも怖いんで。
(※セレウス菌:河川や土の中など自然界に広くいる細菌。食中毒の原因になる)
人長:こうやってタオルでまとめてあげると切りやすいです。
──根本から切るか、葉先から切るかですけど。
人長:人によって違いますよね。後半になると先っちょがバサーってなってきて切りにくいので、僕は葉先からいきます。こっちのほうが楽だなあと。
──先読みしてるんですね。
人長:葉先は、どうしても広がるじゃないですか。そうなると切りにくいので。大げさにやると、こんなふうに動かしてるんです。
──ああ、まっすぐ下に切っているように見えて、若干包丁をクランク運動させているんですね。ニラを中心に向かって集める方向に力がかかっている。
人長:こうしないとニラの最後のとこがビビビビーとひと繋ぎになってしまうんですよ。
──ああ、そうなるー。わかるー。ニラのおいしそうな匂いがしてきましたねえ。
自宅餃子のニンニク、ショウガはフレッシュを使おう
人長:次はニンニクとショウガ。今回、ちょっとチューブじゃない方向でがんばりましょう。
──おっ?
人長:餃子に関しては薬味がすごく大事なんですよね。ニンニク、ショウガ。おいしいものを作るために、ここは手を抜けない。とくに餃子って、こだわりがある方が多いと思うので。
──妥協すればチューブでもできるところを、あえて……。
人長:あえて、ぜひ、フレッシュを使っていただきたい。点心ってすごくわかるんですよ。焼売とかエビ蒸餃子もそうなんですけど、やっぱり炒めものなどと違って素材の味がそのまま出てしまうので、香味野菜はフレッシュを使ったほうが断然いい。
人長:麻婆豆腐などの炒めものの香りは、豆板醤とか花椒とかショウガとか、いろんな素材が相まってできあがるじゃないですか。
そういう料理は多少チューブを使っても気にならないと思うんですが、点心に関してはショウガやニンニクの香りがより直接出やすいんですよ。なんで、ここはがんばってなるべく生のもの、フレッシュにしましょう。
──つまり、家庭で餃子を作る場合、ショウガやニンニクをチューブではなくフレッシュにするだけで大きな効果を感じられるということですね。香りが大きく変わってくると。
人長:そうですそうです。ぜんぜん違います。ショウガは、みじん切りにします。
人長:包丁で叩いて細かくしようとするとかえって時間がかかるんですよね。薄く切ってからのほうが早くできるんです。無駄をなくすためにあえてこうしているんです。
人長:つまり、決して技術を見せびらかしてるわけではないんです!
──うんまあ、わかりますよ。
人長:ニンニクと違って、ショウガって繊維質じゃないですか。
人長:だからしっかり繊維を断ち切ってあげないと細かくならないんですよね。
(トントントントントントントントン)
──けっこう叩くんですね。
人長:ホントに細かくしたい場合は包丁を2本使って。
──なめろうと同じだ。
(タンタカタンタカタンタカタンタカタンタカ)
──時代劇で馬が走ってる音がしますね。
人長:中華の料理人って、ホントにこれをやるんですよ。利き手を2回、逆の手を1回。なんでかっていうと、ニンニクとかショウガのソースを作るときに、食感を良くするためにドロドロになるまで1時間くらいこれ続けるんですよ。
単調なリズムでやるとすっごく疲れるんですけど、こういうふうにビートを刻むと疲れにくくてずーっとできるんです。
──ちなみにこれ、止め時というのは。
人長:あ、ぜんぜんドロドロまでしなくて大丈夫です。こんなに叩かなくていいです。
──ズコー。読者全員ズッコケますよ。
人長:やりたいだけでした(笑)。まあ、なるべく細かくしたほうが口当たりは良くなりますので。えーと「0.3ミリ角に切る」と書いておいてください。
──書きますけども。これ、すりおろすのとは違うんですか。
人長:包丁で叩くと香りがぜんぜん違うんですよ。すりおろすと繊維が残るんですよ。なので、すりおろした場合は、さらに包丁で叩くといいと思います。
──なるほど!
人長:おろし金にアルミホイルを巻くのを知ってますか?
──知らないです。
人長:おろし金の目に繊維が絡まって、洗うの大変じゃないですか。そこでアルミホイルを巻いておろすと。
──ホントだ。ちゃんとすりおろせるし、ぜんぜん詰まらない。
人長:これでペロ~ンて剥がすと。掃除が楽になりますね。
人長:これでもまだ多少繊維がありますよね。こういうのを包丁でトントントントンと。
──ペースト状になるまで叩くと。
人長:さっきよりはずいぶんなめらかになりますよね。
人長:ニンニクですね、2片。
人長:包丁の腹で潰して、シンプルに叩く。
(トントントントン)
──ニンニクは潰せるので工程がシンプルですね。
人長:ニンニクは国産でなくてもいいので、ぜひぜひフレッシュを使ってください。
──香りがすげー食欲を誘う。
人長:切りものはこれで終わりです。
肉を練り、餃子のアンコを作る
人長:先に調味料を合わせておきます。点心って計量がわりと重要なんですよ。大さじ小さじって、人によって変わってくるので「○○g」っていうふうに統一しますね。
──お菓子作りみたいなものですね。
人長:フライパンでジャーっと作るものは途中で味見できるじゃないですか。でも点心は包んじゃうので途中で味の調節ができないんですよ。
お塩4g。
お砂糖は上白糖で6gです。
醤油が15g。
お酒が10g。
胡椒が適量。8回くらいパッパします。
人長:調味料を先に合わせておくのは、お肉に味をつけていくときに粉がかたまりで入ると、ダマになったりして味が均一に混ざりにくいからです。
こうして先にちゃんと溶かしてあげる。お砂糖とお塩が溶けて音がジャリジャリしなくなればオーケーです。
──グラニュー糖スティック2本で6gになりますが、それではダメですか。
人長:いいんですが、上白糖とグラニュー糖とでは甘さが違うのでオススメしないですね。
人長:調味料を合わせたら、ひき肉と調味料を混ぜます。今日は豚ひき肉です。お好みで、合い挽きでもいいですし、挽き方も粗くても細かくてもいいです。とくにこだわりはないです。
用意する豚ひき肉は500gですが、何人前とかの目安ではないです。まあ、いっぱい作って冷凍すればいいんです。餃子パーティすればいいんですよ。
──そうですよね。餃子は冷凍保存しとけば、いざというときに便利ですしね。
人長:ムニュムニュっと崩したら、ここに味を入れます。
人長:ちょっと残った合わせ調味料はお肉できれいにぬぐってあげる。せっかくちゃんと計量しましたしね。
人長:にぎにぎしてあげてください。ある程度混ざったら練ります。
──目標とする状態は。
人長:今はまだピンク色なんですけど、よく練ると脂が白っぽくなってきますので、それが目安です。練る時のコツなんですけど。こうやって棒立ちで、腕だけで練っているとすごく疲れます。
人長:なので、まず腰を落とす。ボウルをしっかり握る。混ぜるときに、腰を入れるんです。こう。腰をこう。
人長:すると、腕に負担をかけずに練ることができるんです。ちなみに手の形はこう。
──熊の手ですね。モンスター握り。
人長:うんしょ、よいしょ。家に「ひき肉を練るマシーン」がある人は、それを、使って、いただいて、かまいません。うんしょ、よいしょ。
──ひき肉を練るマシーン。いや、普通は持ってないんですよっ。
人長:お店だと、1回に4キロ分とかを練るんで専用マシーンがあるんですよ。それだと4キロのお肉が3分で練り終わります。手だと30分もかかるんです。結局、手で練ると手の熱でお肉がダレてくるんですよ。傷みが早いですし。正直、機械に勝るものはないですね。
──みなさんも、可能であればマシーンを使いましょう(笑)。
人長:なんでこんなにお肉を練るかというと、ちゃんと練れてないと餃子を食べたときにポロポロポロってこぼれちゃうんです。かじったときに餃子のアンコが中にキュッとなってるように、ここでちゃんと練ってあげる。
──たとえば空気を入れるようにとか、コツみたいなものはあるんですか。
人長:そんな意識はないんですよね。とにかく腰を。腰を! 腰を入れて練る! たぶん疲れるので連続で練り回せないと思うんですよ。僕も手だけだと無理ですもん。
──腰で体重を乗せるから練れてるんですね。運動になるので「餃子作りダイエット」ってのはどうですか。
人長:いいですね、DVD出しましょう。
──結局は餃子をたくさん食べちゃって、痩せないという。
人長:(無視して)はいあと5秒だよ。3、2、1、ゴール!
人長:こうやってお肉がまとまりました(ハアハア)。
人長:ちゃんとお肉を練ってから、ニンニクとショウガを入れるんですよ。
──そして残りを肉でぬぐう。
人長:ウニウニと混ぜまして。
人長:ここに野菜を入れます。
──今回、比率としては野菜がかなり多いんじゃないですか。
人長:はい、お肉と白菜で1:1ですね。そこにニラとネギも入りますね。野菜が入ってナンボだと僕は思います。餃子は野菜がウマいんですよ。
人長:混ぜ方、これポイントです。ガッと混ぜるとせっかく切った野菜から水が出ちゃう。「お肉の中にお野菜を練り込ませる」イメージで、ゆっくり混ぜてください。
──重要なのはスピードではないと。
人長:優しさとテクニックです。
──陶芸で土を練るみたいですね。菊練りというか。早くもまんべんない感じになってきました。
人長:はい、まんべんなくまとまってきました。
──あ、ここではそんなにしつこく混ぜないんですね。
人長:この段階で混ぜすぎると野菜から水が出ちゃうんで、極力、混ぜたくないんです。「混ぜたくないんだけど、いちおう仕方なく混ぜる」という感覚でいきましょう。均一になればそれでオッケーです。
人長:そしたらごま油をいれて、さっくり混ぜる。
──ごま油もアンコできれいにぬぐうと無駄なく使えます。
人長:冷蔵庫に30分くらい寝かせます。なんで寝かせるかというと、味がまとまりやすいのがひとつ。もうひとつは、握りやすくなります。手の温度でお肉がダレてる状態から1回シメてあげると握りやすいんです。
──それではここで30分、冷蔵庫に寝かせて休憩しましょう。
餃子を「握る」
人長:片栗粉(分量外)を敷いたバットとヘラを用意して、餃子を握ります。
──僕ら素人が抱える問題は、アンコの量が一定にならないと、閉じない・破れる・裂けるということです。
人長:量に関しては、お店ではアンコを計量してやってるんですよ。今回はそれを手の形でなんとかしてもらおうかと考えてます。
餃子の皮は乾かないように濡れ布巾をかけたりしてください。割れたり切れたりするのは、皮が乾いちゃってるんですね。一度乾いた皮を濡らしても結局ダメなんすよね。
人長:これが餃子ベラ。
──竹のヘラを使っているのはなにかこだわりがあるんですか。
人長:僕の先輩が香港みやげで買ってきてくれたんですよ。これは握ってて痛くないので使ってます。決して竹とんぼではありません。
──逆に、竹とんぼで餃子を作ってもいいですか。
人長:いいですけども。形状がほとんど一緒ですからね。使えちゃうと思います。
──竹とんぼ、アリだそうです。
人長:ちなみにスプーンでもできますので、わざわざ餃子ベラ買う必要はないですよ。まずはアンコを拾います。お手々を、こうじゃなくて、こう。
人長:アンコが入る形に手に凹みを作って、アンコを埋め込んであげるんですよ。
──アンコは最後に漏れないように、たたみ始めのサイドに若干寄せてのせると。
人長:ヒダがこっちにつくので、ちょっとこっちを多めにしてあげるんですね。
人長:皮を余らせているので、つまんでいくとたるみがありますよね。これをキュッと押す。これを繰り返せばいいですね。
──終わり側の皮に余裕をもたせておいて、握っているとアンコが寄ってくるので、そこで帳尻を合わせる感じですね。
人長:水餃子の握りはかなり違います。
人長:ちょっとアンコ少なめにします。水餃子は皮を食べるものなので。
──八ツ橋のように真ん中合わせで、Z字に折り返して、ギュー。
人長:そうそう、こう折り返して……ゼーット!
──ゼーットのところで合わせ目をギューッと握っております。
人長:水餃子にする場合はこういう握り方のほうが皮がモチモチしておいしいんですよ。まあ本来は水餃子は皮もアンコも違うんですけど。
──水餃子、焼き餃子、握り終わりました。
棒餃子に包んで麻辣餃子にアレンジ
人長:麻辣餃子も作りましょう。さっきの残り、アンコ500gに対して、山椒、唐辛子などを混ぜていきます。山椒の粉1g。
人長:唐辛子の粉7g。
人長:特製ラー油の底の粉を10g。
人長:この「特製ラー油の底の粉」については、過去のこちらの記事を参考にしてくださいね。
──すごく高いところから唐辛子の粉を落としておりますが。
人長:なぜかというと均一に混ぜやすいからですっ。
──すごく早口。
──明らかにアンコのオーラが変わりましたね。
人長:混ぜます。ちなみに僕の好みは、さらに特製ラー油の粉を10g追加したもの。
──いやもっと入ってるって。さっき10gと言った意味がないですって。
人長:唐辛子の粉も追加します(ドバドバー)。
──わわわー! もう計量もしてねえ。
人長:麻辣餃子っていうんだから、このくらいじゃないと(笑)。
──さすがにいい色ですね。香りもすごい。目も開けてられない。でもこれくらいなら……まだ食べられる(笑)。
人長:なんてこと言うんですか(笑)。「まだ食べられる」って。罰ゲームじゃないんですよ。麻辣にしたアンコは棒餃子で握ってあげます。
人長:半分あたりまで巻いて、アンコを手前に寄せる。
人長:クルッと巻いて、合わせ目を下に。
人長:この横の穴に指を入れて、皮をつまんで横にクッと引きながら押さえる。
──具を中央に寄せる感じ。
人長:棒餃子の握りはこれで完成です。
──巻いて、皮を引っ張りながら下に押し付けて、アンコを中に寄せる。真ん中からちょっとズラしてアンコを乗せるのと、合わせ目が真下になるのがポイントですね。
人長:合わせ目が下になってないと焼くときにバラけるんですよね。具の量はさっきの餃子の握り方と同じ。超簡単でしょ。
──これはマネしたくなりますね。お子様もお手伝いできるのではないでしょうか(棒読み)。
人長:棒餃子のいいところは、楽なんですよ。形がきれいにできなくて恥ずかしいとか思う必要もないですし。あと作業が早いですよね。
──アンコ1回作ってこれだけ楽しめるのはいいですね。普通のと、辛いのと、水餃子と。まあ水餃子はアンコも皮も違うので、今回ムリヤリ作ってもらいましたけど。
餃子を焼く、茹でる
人長:焼きます。まずサラダ油を大さじ1。
人長:そして火を点けて、鍋全体に油を回します。餃子を並べていきましょう。
──あんなにテキトーに握ってたのに、まさかちょうど収まるとはなあ。
人長:強火にしてチリチリ言い出したらお水を入れましょう。100cc(分量外)入れました。
人長:フタをして中火です。7分蒸し焼きにします。
人長:焼き餃子、7分経ったのでフタを開けます。
──おおー。乳白のぷるぷる。
人長:ここに差し油です。けっこうたっぷりめにいきます。そして強火にします。
──まんべんなく焼きを入れて焦げ目をつける感じですね。
人長:いまからちょっと、マジモードで集中します。
──餃子ユニットが浮いて、フライパンの中でくるくるしております。
人長:ホラホラ踊ってるよ~。
──焼き目全体をキツネ色にしているんですな。
人長:さあ、クライマックスですよ。
──おおおお! いい色ー。うまそうー。
人長:麻辣餃子も同様に焼けますよ。
──水餃子は沸騰したお湯にポン入れ。6分です。
人長:中国ではお湯で茹でるんです。スープで煮るんじゃなくて。
──そうか、中華スープに浮いてるイメージでした。
人長:茹で上がった水餃子はザルにあげて。
人長:残り湯で豆苗を30秒茹でます。
人長:いい緑に仕上がった豆苗を敷いて、水餃子をのせます。
人長:麻辣ソースをかけます。お好みで、お酢と醤油とお砂糖を合わせてちょっと甘酢みたいに作って、仕上げに「追いラー油」をかけてあげるといいですね。
人長:我ながらうまそうです。
食べましょう
人長:麻辣餃子からいきます。見た目ヨシ、香りヨシ。
人長:まずは、なにもつけないでいただきます。
人長:うむ、辛い。
──あんなに唐辛子を追加したからですよ。
人長:つけダレは醤油とお酢と特製ラー油。あっ、お酢効いてるとおいしいすね。
人長:水餃子はどうかな。
人長:下に敷く青味はなんでもいいんですけど、豆苗は餃子に合いますからね。
──シャンツァイ(香菜)とか、いいでしょうね。
人長:うむ! おいしい!
──わはは、自分でびっくりしてますね。今回のは水餃子用に作ってないですもんね。
人長:この握り方をすると皮が普通の餃子よりもプワってなりますよね。茹でるとこの皮がモチモチして、非常においしいです。
──イカでいうエンペラ、餃子のエンペラがおいしいんですね。
人長:そうです、このペラペラの部分。ここ、めっちゃおいしいです。皮のモチモチが最高です。
──水餃子ってなんでこうおいしいんですかね。
人長:次は焼き餃子です。
人長:今日握ったのはフライパン2周ぶん。まずはなにもつけずにいただきますね。
人長:ふんふんふん、ジューシィ。野菜から出る水分と肉汁が。ふんふん、いいですね。
人長:酢胡椒いきましょうか。うまいな……。
──しみじみしてる(笑)。
人長:ちなみに麻辣餃子を酢胡椒で食べるとすっごく辛いですよ〜!
──辛さに強い人長さんが汗をかくほどでした。唐辛子と胡椒、2方向の辛さって手強いんですね。
水餃子
とにかく皮がモチモチしていて、そこに麻辣ソースの刺激がいい感じです。
豆苗のシャキ感がリズムになるんですね。青物、合います。これは具にエビを入れてもいいとのことです。シーフードミックスのエビで十分イケるはずです。
麻辣餃子
マジで辛いけど、ここまで辛くないと作る意味がないですね。どっさり辛いのを入れてOKです。酢胡椒より酢醤油の餃子のタレが合います。
辛味には酸味をぶつけましょう。
焼き餃子
野菜がおいしい。狭い空間で蒸された野菜の旨みパワーが肉汁と合わさって、餃子の完璧さを感じることができます。
メイラード反応、すなわちおこげがあるほうがいいですよ。
ちなみに餃子に合わせる飲みものは、何をおいてもビールが最高っす。
人長さんの作るプロの餃子が食べたくなったら
ものすごくおいしそうな餃子だけど、作るのはちょっとめんどくさい……という人は、日本橋にある人長さんのお店に行くといいですよ。
素材の扱いから調理法まで、細部にこだわったプロの餃子を堪能できます。
※この記事は緊急事態宣言前の2020年3月頃に取材したものです。
撮影:平山訓生
お店情報
リバヨンアタック
住所:東京都中央区日本橋室町3-4-4 OVOL日本橋ビルB1F
電話番号:03-3548-0840
営業時間:ランチ/月曜日〜土曜日11:30~15:00(14:30 LO)、祝日11:30~14:30(14:00 LO)
ディナー/平日17:30~翌0:30※金曜日のみ翌1:00まで(23:00 FLO/24:00 DLO)、土曜日17:30〜翌0:00(23:00 FLO/23:30 DLO)、祝日17:30〜22:00(21:00 FLO/21:30 DLO)
定休日:日曜日(20名様以上のご予約の場合は、営業させて頂きます)