クラフトビール風に100円台の手頃なビールを化けさせる裏ワザ【BEER HACK】

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マイクロ出版社ferment booksの(よ)です。

 

やっぱり夏はビールっすよね~。とくに、大流行のクラフトビールをグイッとできたら最高です!

 

でも、クラフトビールってけっこう値が張りますな。

 

350ml缶だと、どんなに安くても1本 250~300円くらいから。お店で飲むとパイントグラス(500ml前後)で1,000円くらいはします。

 

なんとか、財布に優しく楽しめないものか……。

 

あっそうだ! 自分で作ってみよう!!(突然)

 

ムクムクっと湧き上がってきたワケのわからないDIY精神に突き動かされた結果、安価な「第3のビール」をクラフトビール化する計画をぶち上げ、試行錯誤を開始しました。

 

第3のビールとは、「発泡酒」とは異なるビールテイスト飲料のカテゴリー。酒販店やスーパーに行くと、350ml缶が100円ちょいくらいの価格で販売されていますよね。

 

この「第3のビール」に、コーヒー、フルーツ、スパイス、ハーブといった、クラフトビールっぽいフレーバーをつければ、けっこう雰囲気出るんじゃなかろうか?

 

さっそく、クラフトビールに詳しい「麦酒処ぬとり」の山田泰一さんに相談しに行きました。

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山田さんは、ビール関連イベントなどに出店してクラフトビールを提供する活動を展開中。また、謎のビールスポーツ「ビアポン」の普及につとめたり、王冠を曲げずに開栓できる栓抜き作りのワークショップ(ビール王冠コレクター向け)などを行いつつ、日常的にさまざまなビールを楽しんでもらうお店「麦酒処ぬとり」のオープンを目指すビールクリエイターです。

 

「第3のビール」にコーヒーやフルーツといった素材の風味をプラスして、クラフトビール化できるかどうか、さっそく山田さんにたずねてみました。

 

楽しい実験、ということで考えるなら、めちゃくちゃアリだと思います」(山田)

 

アリですか!

 

「もともとビールづくりには、醸造工程のさまざまな段階でフルーツやスパイスなどの副原料を投入してフレーバーを出すテクニックが存在します」(山田)

 

ほう!

 

「また、ランドルフィルターという器具もあります。お店で生ビールを提供する際、それにホップやフルーツなどを詰め込んで樽につなぎ、フレーバーを添加しながらグラスに注ぐんです。この実験は、そういった手法に通じるところがありますね」(山田)

 

なるほど!

 

要注意点は、アルコール度数20度未満のお酒に食材を漬け込むと、酒税法の「お酒の製造」に該当する可能性があること。そこで、ノンアルコールのビール風飲料に素材を漬け込んで作った「原液」に対して、飲む直前に「第3のビール」を注いで完成させる方法を採ることにしました。

 

まとめると、こんな感じ。

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かなりイケそうな感触! さっそく実験開始です。

 

その① 甘夏ホワイトエール風

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【原液の材料】

  • 甘夏 2個
  • ビール風ノンアルコール飲料 350ml(1本)

 

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甘夏を適当なサイズに切り分け、ビール風ノンアルコール飲料とともにガラス瓶などに入れて一晩漬け込みます。

 

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そして、飲む直前に上記の原液を茶こしなどでこします。

 

こした液体をグラスに1/3ほど注ぎます。

さらに、ホワイトエール風の「第3のビール」を2/3ほど注いでグラスを満たします。

 

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完成。

 

さっそく山田さんにテイスティングしてもらいましょう!

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山田さん評価:6点!(10点満点)

★★★★★★☆☆☆☆

「めっちゃ甘夏が効いていて、柑橘の黄がキレイ。ホワイトエールとも相性良し。もっと炭酸が効いていて、冷えていたらさらに良いですね。あと、柑橘の苦味は、漬け込み時間を少なくするか、原液を少なくするかで改善すべき」(山田)

 

なるほど~。

 

一晩漬けた原液はすでに炭酸が抜けているので、開栓直後の「第3のビール」と合わせても炭酸が弱くなってしまう……。これは課題ですね。

 

温度の問題は、原液と「第3のビール」を冷蔵庫でしっかり冷やしておくことでクリアできそう。

 

次に行ってみましょう。

 

その② コーヒースタウト風

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【原液の材料】

  • 粗めに挽いたレギュラーコーヒー 100g
  • ビール風ノンアルコール飲料の「黒」 約700ml(2本)

 

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上記を一晩漬け込み、原液とします。

 

原液をこして、

 

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飲む直前に、「第3のビール」の「黒」とミックス。

 

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完成。

 

テイスティング、お願いします!

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山田さん評価:7点!(10点満点)

★★★★★★★☆☆☆

「ほ~! コーヒースタウトの味だ。ウマい! 色も澄んだ漆黒ですし。漬け込み時間を減らしてコーヒーの酸味を抑えたいです。これに関しては炭酸が少ないのが、かえってプラスに働いてます」(山田)

 

「ウマい!」の一言、ありがとうございます。

 

その③ チョコレートビール

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【原液の材料】

  • ココアパウダー 100g
  • ビール風ノンアルコール飲料の「黒」 約700ml(2本)

 

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例によって材料を一晩漬け込んだあと、ココアパウダーは粒子が細かくて茶こしではこせないので、コーヒー用のペーパーフィルターでこしておきます。

 

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こした原液と、「第3のビール」の「黒」を合わせましょう。

 

さーて、テイスティングタイム!

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山田さん評価:7点!(10点満点)

★★★★★★★☆☆☆

「これも炭酸が少ないのが、かえって良いです。まさにチョコレートビール。さっきのコーヒーより、色が少しブラウン寄りの黒で、面白いですね~。デザートビールとして楽しめそうです」(山田)

 

ここで突然、山田さんが、先ほどのコーヒースタウトと、このチョコレートビールをハーフ&ハーフでブレンド! 飲んでみて、「角が取れて、こっちのほうがウマい。8点!」と高評価。実験精神、さすがです。

 

その④ トムヤムビール

さて、ここからは少々ハードルが高いレシピが登場。

 

まずタイ料理の名物スープ、トムヤムクンに使うハーブを使用した、「トムヤムビール」です。

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【原液の材料】

  • レモングラス 数本
  • こぶみかんの葉: 0枚ほど
  • カー 1個
  • 唐辛子 数本
  • ビール風ノンアルコール飲料 約700ml(2本)

 

「カー」は生姜に似たタイ料理の食材。アジア系食材店やネットの通販サイトで入手できます。

 

これらを適当なサイズにスライス。

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材料全てを、ビール風ノンアルコール飲料と一緒に一晩漬け込み……。

 

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できた原液を、ホワイトエール風の「第3のビール」と合わせます。

 

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さあどうぞ!

 

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山田さん評価:5点!

★★★★★☆☆☆☆☆

「うわ、刺激的。かなーり辛いです。餃子から揚げなど、料理と合わせたいですね。調味料的なビールかも。沖縄コーレーグスを思い出しました。アジア料理ともペアリングしたい。柑橘系の味わいも感じます」(山田)

 

柑橘系のフレーバーはレモングラスや、こぶみかんの葉から出ています。料理と合わせたいという意見には、納得。

 

その⑤ スモーキービール

ドイツに、燻製した麦芽を使用する「ラオホ」と呼ばれるビールがあり、飲むとスモーク香がします。そのビアスタイルを意識したレシピ。

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【原液の材料】

  • 燻製用チップ 100g
  • ビール風ノンアルコール飲料 約700ml(2本)

 

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チップをフライパンなどで熱してスモークをたたせ、褐色になったところで火から下ろします。粗熱がとれたら、ビール風ノンアルコール飲料とあわせて一晩漬け込みます。

 

こした原液は、ラガーテイストの「第3のビール」と合わせましょう。

 

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さて、どうでしょうか?

 

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山田さん評価:8点!!(10点満点)

★★★★★★★★☆☆

「スモーキーに仕上がるかと思ったら、乳酸菌みたいな甘さで、後味がヨーグルトみたい。燻製香よりヨーグルトっぽさが強いです。ラオホとは全然違うけれど、結構ウマい! この甘さは、スモークチップの木に由来しているのかな?」(山田)

 

狙ったところとは、全然別のツボで評価いただきました!

 

「バレルエイジド」と呼ばれる、樽で寝かせるビールと似たような味わいを出す目的で、ビールにオークチップを加えて樽香をつける手法もクラフトビールにあるのだとか。う~ん、勉強になります!

 

大ラス⑥ パクチービール

好みの分かれるパクチーですが、あえてビールにして楽しんでみましょう!

ダメ押しで、パクチーの種であるコリアンダーシードも大量に使用します。コリアンダーシードは、カレーにも多用されるので、手づくり派カレーファンにはおなじみのスパイスですね。

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【原液の材料】

  • パクチー 50g
  • コリアンダーシード(ホール) 50g
  • ビール風ノンアルコール飲料 約700ml(2本)

 

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パクチーは適当な大きさにカット。コリアンダーシードは軽くすりつぶして、ビール風ノンアルコール飲料と合わせ、一晩待ちます。

 

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この原液は、ホワイトエール風の「第3のビール」と合わせましょう。

 

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さて、お味はいかがでしょうか?

 

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山田さん評価:9点!!!

★★★★★★★★☆

「おぉ~!! これ、今回の実験で一番ウマいかも! バランスが良いですね。パクチー臭はなくて、それより柑橘というか、ホワイトビールを濃縮したような味わい」(山田)

 

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ペールエールっぽい琥珀(こはく)色で、見た目もビールらしい。いわゆるカメムシ臭というか、セメダイン臭というか、おそらくパクチー嫌いの人が気にするニオイはぜずに、コリアンダーシードが立っています!」(山田)

 

パクチービールは、もっともハードルが高いと思いきや、意外な高評価です!

 

まとめ

今回試した6種類の原液です。

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いやー、パクチービールがダントツの9点で、まさかのダークホースでした!

 

「すべてが予想の斜め上でした。炭酸が弱くなってしまうのは、甘夏ホワイトエール以外はまったく気になりません。むしろ炭酸が少なくて良かったくらい。トムヤムは番外編というイメージで、好みがわかれそう」(山田)

 

うーん。個人的にはトムヤムビール、自信作だったんですけどね。

 

バランスが良かったのはコーヒーとチョコ。あと、このふたつをハーフ&ハーフであわせたのが気に入りました。燻製チップのヨーグルトっぽさは謎ですが、意外だったのがパクチー。一番おいしかったです」(山田)

 

パクチービール、パクチニストにはぜひ試してほしいです。

 

「ビールは自由なお酒なので、こういう実験はどんどんやってほしい」と山田さん。

 

近い将来、山田さんがオープンするお店も楽しみですね~。

 

自由なビールに乾杯!

 

※この記事は2017年7月の情報です。

 

書いた人:(よ)

(よ)

『味の形 迫川尚子インタビュー』などを発行するマイクロ出版社「ferment books」の編集者で、ベトナム大好きのアジア料理フリーク。ただいま発酵食品についての書籍を製作中。3ヶ月に一度開催されるECODA HEMでのイベント「ろじものや」では「発酵書店」としてポップアップ書店も展開している。

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