君は、南インド式カレー定食「ミールス」を食べたことがあるか?
食べたことがあってもなくても、もしもカレーが好きならば、マサラワーラーの活動には絶対に注目すべきだ。
マサラワーラーは武田尋善さんと鹿島信治さんからなるインドユニット。2008年の結成以来、日本全国どこでも出張してミールスなど南インド料理のケータリングイベントを開催している。
2018年12月某日、彼らの遠征をおっかけて富山県射水市「櫛田公民館」でのイベントを訪ねた筆者は、60名にのぼる参加者とともに本格ミールスを味わった。
そして、マサラワーラーの伝える南インド・カルチャーと、地元のパキスタン・コミュニティーが育んだ富山カレー・カルチャーがクロスする現場に居合わせることができた。
(全国でも富山県射水市はパキスタン人の人口比が高く同国の料理店が多い。地元の日本人カレーファンたちは、当地をイミズスタンと呼び、ディープなパキスタン・カレーに親しんでいる。独自発展中の富山のカレーシーンについては、後ほど解説)
女子高生が「パヤ」を食べてる富山県
イベントは、「カレー漫才」とでも言いたくなる、彼らの爆笑MCからスタートした。
▲武田尋善さん(左)と鹿島信治さんからなるマサラワーラー登場!
(会場一同、われんばかりの拍手)
武田:そろそろはじめますかね。
鹿島:はい。みなさんマサラワーラーと申します。
武田:みなさんの中で、今日、何をするためにここに来たか全っ然知らない人っていますか?
(会場一同、笑)
鹿島:たまにいるんですよ。カノジョに予約を入れられて「夕方6時に櫛田公民館に来て。カレー食べよう」って言われて来たのはいいけど、なーんか浮かない顔してるカレシとか。
武田:いやね、ちゃんとミールス食べてくれて、おかわりまでしてるのに、なんとなく納得いかないような顔をしてるんですよ。で、どうしたのかなーって思って聞いたら「あのー、カレーっていつ出るんですか?」って。
(会場一同、笑。ミールスは、いわゆるジャパニーズ・ルー・カレーとはまったく非なるカレー。カレーと言えばルー・カレーと思い込んでいたカレシ側はミールスを「カレー」と思わなかった、というギャグなのであった)
鹿島:でも、今日は大丈夫ですよね。富山のみなさんですからね!
武田:富山に来てね、ほーんとびっくりしたんですよ。東京なんかだと、ガチンコなパキスタン料理のお店に食べに来るのって、基本、パキスタン人だけじゃないですか。
鹿島:あとは、こういう人ね。
(現地開催スタッフのひとりで美食家として知られる男性を指さす。会場一部、笑)
武田:でもね、びっくりしたのはね、富山ではフツーに女子高生がパヤを食べてるんですよ(パヤとは羊のひづめやすね肉などを煮込んだマニアックなパキスタンカレー)。
(会場一同、笑)
鹿島:女子高生がパヤ食べてるのって、全国でも富山県だけですからね!
武田:すごいよねえ。
鹿島:すごいねぇ。でさ、肉をスプーンで持ち上げて脂がしたたってるところを「はやく撮って撮って~」とか言ってインスタにアップするんですよ。
武田:ハッシュタグ「ひづめ」でしょ?
(会場一同、大爆笑)
鹿島:そんな彼女たちもね、大学進学で東京に出たりすると、パヤが食べられなくてカルチャーショックを受けると思うんですよ。だから富山のお母さんは娘さんにちゃんと伝えておいてほしいんですよね。「東京にパヤはない」って。
(会場一同、大爆笑)
こんな感じで、つかみはバッチリ。
バナナ葉にカレーを盛るのが本格ローカルスタイル
マサラワーラーのふたりは、このあとも会場をドカンドカン笑かしながら、以下のミールス基礎知識を伝授してくれた。
基礎知識① 富山のカレーファンたちが親しんでいるパキスタンはインドの北西に接する国。ミールスはインド南部の名物。だから、同じく本場のカレーでも、パキスタン料理とミールスは距離的にメチャクチャ離れた地域の料理である。
基礎知識② 参加者の着いた席にはバナナの葉がしいてある。カレーなどの料理やライスを、バナナの葉に盛るのが南インドの本格ローカルスタイル。
基礎知識③ 今日のメニューについて(後ほど解説)。
▲会場のホワイトボードには、武田画伯による本日のメニューの説明イラストが
基礎知識④ 給仕方法についても南インドのリアルなローカルスタイルを再現。マサラワーラーと主催スタッフが席をまわって順番に料理をバナナの葉に盛っていく。出た料理からどんどん食べ始めてOKだし、料理がそろった写真を撮ってから食べ始めるとかでもまったく問題なし。
基礎知識⑤ 料理が出そろったあともぐるぐる客席をまわって「わんこそば状態」で追加するので、食べまくるべし。でも、無理は禁物。ごちそうさまする人はバナナの葉を二つに折れば満腹のサインになる。
基礎知識⑥ スプーン&フォークで食べてもいいが、現地スタイルの「手食」がオススメ。指先でつまもうとすると失敗する。コツはカレーをまぶしたライスを押し付けて固めて、そろえた指を回転させるようにしてすくって指の腹にのせる。で、口に持っていき、親指で押し入れるようにするとうまくいく。
▲笑いとともに手食のコツを会場に伝授する
ふたりの掛け合いに大笑いしてるうち、さくっと要点が頭に入ってしまった。
さあ、食べてみよう!
全12品の南インドカレーフルコース
マサラワーラーとスタッフが会場を歩きまわり、次々とテーブルにしかれたバナナの葉に料理を盛っていく。
給仕用のスチール製バケツとスプーンを携えた鹿島さんが料理を解説してくれた。
鹿島:これ、富山の小松菜のポリヤル(炒めもの)なんですよ。
▲富山産小松菜のポリヤル、美味なり
バナナの葉に盛られたポリヤルをひとつまみ口へ。
ほぉ~、マスタードシードが効いた小松菜。イケる!
聞けば、ふたりはこの小松菜をつくっている射水市の農家に宿泊しているそうだ。その他の野菜は、旅の途中に寄った金沢で仕入れてきたとか。北陸野菜 meets 南インド。マサラワーラーと地元コミュニティの交流も気になるところだ。
そうそう、今回のミールスは現地でもポピュラーなベジ(菜食)ミールス。野菜中心で、乳製品以外に動物性の食品は使われていない。
給仕している彼らとのちょっとした会話もイイ雰囲気。気分も上がったところで、バナナの葉のうえに全料理がそろった。
この食欲そそる南インド感満点のビジュアルを見よ!
① ライス
② サンバル(ミールス定番、野菜と豆のカレー)
③ ラッサム(ミールス定番、酸っぱいスープ)
④ さつまいものコロンブ(タマリンドで酸味のあるカレー)
⑤ ほうれん草のクートゥ(豆とココナッツの煮込み)
⑥ かぼちゃのカーラン(ヨーグルトとココナッツの和えもの)
⑦ 小松菜のポリヤル(炒めもの)
⑧ 柚子のウルガ(漬けもの)
⑨ ワダ(豆粉をドーナッツ状に揚げたスナック)
⑩ チャナ豆とコリアンダーのチャトニ(付け合わせのペースト)
⑪ アッパラム(豆粉の薄いパリパリせんべい)
⑫ カードチリ(ヨーグルト漬けの塩辛い唐辛子)
ミールスになくてはならないサンバル&ラッサムを中心に、カレー、スナック、付けあわせなどが全12種。
カレーリーフやココナッツ、マスタードシードなどの味わいに南インドの息吹を感じつつ、おや? と思ったのが柚子のウルガ。「ピックル」とも呼ばれるスパイシーなインド風の漬けものだが素材は和を感じる柚子だった。これは新鮮。
唐辛子を塩とヨーグルトに漬けてから乾燥させたものを揚げるという手の込んだカードチリ。これをたまにかじって塩味と辛味の刺激を感じつつ、さらにカレーとライスを食べ進めれば、どっぷり現地のムードに包まれ幸せになる。
ふと会場を見渡せば、おおよそ半数以上の参加者が手食しているじゃないか! みんな本格派!!
「最初はすごい抵抗があったけど、思い切ってやってみたら、手食のほうがおいしいですね!」
そう言うのは、マサラワーラーのイベントではじめて南インド料理を食べてカレーにはまったという参加者の女性。
確かに。手食、アリだわ。
バナナの葉の手触りも味わいつつライスとカレーを混ぜ合わせ、食材のテクスチャーと温度を感じながら指にのせて口に運ぶ。なんか、料理とダイレクト。これ、覚えたら病みつきです。
マサラワーラーに食べさせられ放題!
ひと通り料理を給仕し終えると、今度はおかわりを配り始めるマサラワーラー。
武田:ライスライスライスライスライス……
鹿島:コロンブ~さつまいも~コロンブ~さつまいも~
会場にこだまする、このユーモラスなかけ声に油断していると、どんどんおかわりを盛られてしまう(笑)。
でも、おいしいのでペロリ。なーんて楽しんでいるうち、かなりの腹パン状態に。
武田:ワダーワダーワダーワダー
おっと武田さん、今度はワダのおかわりを配りにやってきた。
▲ワダの集合体、つまりは大ワダ
武田:まだまだイケるでしょう? はい、ワダ、もう一個。
(拒否する間もなくポンとワダを置いていく)
え~!? もうお腹一杯……でも、食べちゃおう!
こんなやり取りで、さらに食べていると、さすがに、も~限界。でも、南インド料理は全般的にさらっと軽く、限界まで満腹しても決してあとで胃にもたれたりしないのが不思議(あくまで筆者の場合だか)。
膨らんだ腹をさすりながら、ちょっとキッチンにおじゃましてみよう。マサラワーラーにインタビューである。
知られざるカレー先進県、富山
マサラワーラーのふたりにはケータリング以外の活動もあって、鹿島さんはミュージシャンでもある。2人組ユニット「Conti」メンバーで、シタール・プレーヤーだ。
画家でもある武田さんは、本イベントの直後に個展を控えており、作品制作で超多忙のなか富山にやってきた。一時期は、来れないかも、とうわさされていたが……。
武田:実際メッチャ忙しいけど来ましたよ!
鹿島:昨日も(宿泊先で)描いてたもんね。このイベント組むとき、武田くんが「行けるかなあ?」って悩んでたけど、俺は絶対に来ると思ってたんで、フツーに予定を組みました。俺だけに楽しまれるのが嫌なんですよ。ハハハハハ!
武田:富山には来ないわけにいかないでしょう! 今年(2018年)2回目だよね。
鹿島:前回はモスクに行ったときだから、6月だね。
マサラワーラーの富山遠征は今回が3度目。そして、このイベントの約半年前の2018年6月にも富山に来たばかり。
今回同様、ミールスイベントや料理教室を開催し、オフタイムには射水市の「富山モスク」を訪問。ムスリムたちの「イフタール」(ラマダン期間の食事会)に参加した。
▲富山モスクのイフタールに参加する、武田さんとアジアハンター小林さん
ここで富山のカレー・カルチャーについて、すこし解説しておいたほうがいいかもしれない。
富山県射水市は1990年代にロシア向け中古車輸出が盛んになり、中古車売買業を営むパキスタン人が多く住むようになった。
イスラム教徒である彼らは、やがてコミュニティーの拠点となるモスクを建て(元コンビニの建物を流用)、母国の味を提供する料理店をオープンするようになる。
▲富山モスクはイミズスタンのシンボル
そうしたお店が提供するパキスタンカレーに舌鼓を打った一部の日本人カレーファンたちは通いつめ、「射水市」の名称をもじって当地を「イミズスタン」などと呼び始める。さらに、パキスタンシェフたちとの交流を深めながら、富山独自のカレーシーンを盛り上げてきた。
このあたりの事情は雑誌『スペクテイター vol.40 カレー・カルチャー』で筆者がリポートしているので、興味がある人はぜひ読んでみてほしい。
今回のイベントの参加者にも、こうした地元カレーファンのサークルに属す人たちが多く、前回マサラワーラーを「富山モスク」に案内したのも、そのメンバーのひとりだった。
「会場、火、水、お客さん」がそろえばどこでも!
鹿島:富山はけっこう濃いメンバーが集まってますからね~! ハハハハハ。でも、すごいやりやすいですよ。みんな結束が固いっていうか、お客さん集まるのも早いし。
武田:やっぱり富山はね、パキスタンが強くて、南インド系がそんなにないじゃないですか。だから、あんなにハラルのお店(イスラム教徒向けの飲食店や食材店)があるのに、ココナッツ売ってなかったりするんですよ(南インド料理で多用されるココナッツがパキスタン料理ではあまり使われない)。なくなったら、こっちで買えばいいと思ってたけど、けっこうないの。
基本、イベントで使う食材などはすべてマサラワーラーが調達するのだそうだ。
▲食材、料理器具、食器類などすべて持参
鹿島:野菜やスパイスとか食材、あと鍋からカトリ(カレー用小皿)まで、全部こっちで用意しますよ。
武田:会場と火と水、あとお客さんさえ用意してくれれば、どこでもできます。
鹿島:よく「マサラワーラー、うちらみたいなところには来てくれないですよね」みたいなこと言われるんですけど、(武田さんに向かって)行くよねぇ?
武田:うん。どこでも行きます、すぐ行きます。
鹿島:マサラワーラー、けっこうチョロいなって感じ?
武田:軽~い気持ちで、どうぞ。
鹿島:呼んだら、あ、来た来た来た、来たよ、って。ハハハハハ!
油断してるとすぐ笑いに持ち込むマサラワーラーのふたりだが、場所や状況を選ばずいつでもお客さんを楽しませることができる、というプロ根性みたいなものもちょっと感じたりして。
マサラワーラーのケータリング活動は、本取材の時点で11年目になるそうで、通算イベント回数600ほどにもなるという。現在、ほぼ週1回以上はどこかでイベントをやっているという好評ぶり。富山のほか、福岡と福島にも毎年必ず遠征している。
どこにでも行き、しゃべって、作って、給仕もする。今のスタイルはどうやって確立したのだろうか。
鹿島:南インドでミールスを食べているときに、給仕の人たちに囲まれちゃう、あの感じが好きだったんですよ。
武田:もういらない! って言ってるのに盛られちゃう、あの感じね。
鹿島:あれをやりたかった。
武田:盛る側になりたかった。
鹿島:とはいえ、現地のお店では料理作っている人と、盛っている人は別の人ですからね。それを全部やってるから、二倍大変。ハハハハハ!
武田:でも最初の何回かは、料理作るだけだったね。
鹿島:お客さん、誰が来ているのかもわからずにやってたよね。ほかの人に配膳してもらって、ただ後ろ向いて料理作ってるだけで。そのとき「俺、何やってんだろう」って思っちゃったんですよ。
武田:やっぱりね、これ持ってね(ミールスサーブ用のスチール製バケツをスプーンでカチーン! と鳴らして)、お客さんの顔見ないと!
鹿島:南インドの、あの楽しい感じを醸し出したいよね。
武田:単に料理が好きなだけじゃなく、絵も描くし、音楽もあるし、いろいろ発表したくなるクセがあるっていうか、全体としてひとつのパフォーマンスなんですよ。
鹿島:ただ料理作ってるだけだったら、こんなにいろんなところに呼んでもらえてないだろうしね。あと、富山に関してはね、石井さんがいたから来れたんですよ。
とにかく南インド料理が食べたかった
マサラワーラーによる料理だけでない南インドの楽しさを富山に運びこんだのは、富山在住のカレーファンのひとりで、今回のイベントの主催者である石井良子さんだ。
▲左が今回のイベント主催者、石井良子さん
どうして石井さんはマサラワーラーを地元の富山に呼ぼうと思ったのだろうか?
石井さん:とにかく南インド料理が食べたかったんですよ。富山ではあんまり食べられませんから。
パキスタンは充実しまくっているが、南インドやスリランカの料理が富山にはない。カレーにおいては、いわば「北高南低」の富山。カレー好奇心が人一倍強い石井さんは、南のカレーに飢えていた。
そこで、富山のお店だけに飽き足らず、たびたび東京にもカレーを食べに来ていた石井さん。そんな折に出席したある食事会で、『メシ通』でも過去にご出演くださったインド食器販売「アジアハンター」の小林真樹さん(後ほど登場)と同席。
南インド料理を富山で食べたいと相談したところ「マサラワーラーを呼んでみたら?」とアドバイスを受けたのだ。
これが、そもそものはじまりだった。
石井さん:最初は来てくれないんじゃないかと思ってましたけど、小林さんが「大丈夫、来てくれますよ」と後押ししてくれたので、イベントを企画することができました。
最近、石井さんは現地の味を確かめるため、インドに出向くことも多い。
石井さん:インドに行けたのも小林さんのおかげですね。インド旅行にはいろいろハードルがありますけど、行く勇気をくれたのは小林さんなんです。
富山のみならず東京のカレーシーンのキーマンでもある小林さんには後ほど登場願うとして、石井さんの原動力は「カレーを食べたい」という素直な気持ちのようだ。
その活動はマサラワーラーを富山に呼ぶだけにとどまらない。
料理の引き出しの多い富山在住インド人シェフと懇意にし、彼を起用して南インド食事会を開催したり、カレーサークルの中から現れたスリランカ料理人志望の仲間による食事会をたびたび企画しているうち、ついに県内でスリランカ料理店オープンの話が持ち上がるまでに進展している。
現在は、東京からスリランカ料理の先生を呼び料理教室を開く計画も進んでいるらしい。
ネットを中心に盛り上がる地方のカレーシーン
こんなふうに精力的にシーンを盛り上げる石井さんだが、そもそも最初にカレーにはまった理由は何だったのだろうか。
石井さん:いまから6、7年前に「ホットスプーン」というお店に行ったのがきっかけですね。それまでは富山のパキスタンカレー、食べたことがなかったんです。「ホットスプーン」に行ったのは、「やみちゃん」のブログの影響ですよ。
「やみちゃん」は富山カレーシーンの黎明期を担い、今でも中心的役割を果たしている名ブログ「やみちゃんの富山食べ歩き」の主で、今回のイベントの共同主催者でもある。
▲やみちゃんは顔出しNG。かわりにブログのアイコン「やみちゃん」人形を
やみちゃん:ブログ記事のコメント欄でやりとりすることで、カレー好きたちの集まりが徐々に育っていったんです。そういうグループで集まって、パキスタン料理店などで食事会を繰り返してきました。
まだSNSが一般的じゃなかった時代は、ブログの「オフ会」が人と人をつないでいく場として機能したのだ。
その「オフ会」も、ただ集まってカレーを食べるだけでなく、インド人やパキスタン人シェフたちのポテンシャルを引き出すオリジナルな食事会として発展し、お店側の意識も高めてきた。
やみちゃん:最近は、マサラワーラーやアジアハンター小林さんが東京から来てくれたりして、活動が一気に加速しています。
中古車ビジネスが生んだパキスタン・コミュニティが富山にパキスタン料理を持ち込み、それをリポートするやみちゃんのブログが富山カレーファンのサークルを形成。
さらには、そのサークルが東京のカレー・カルチャーと交流することで、新たな次元の広がりを見せている。
なんだかワクワクする話じゃないか。
先ほどから話に出ているアジアハンター小林さんも、この日の会場で「ナマステ富山」と呼ばれるインド食器販売ブースを構えていた。
イベントの記念にインド食器をゲットして帰った参加者も多かったようだ。
▲段ボールに「ナマステ富山 展示大会場」(笑)
アジアハンター小林さんに聞いてみる。今回のようにマサラワーラーのイベントに同行することは多いのだろうか?
小林さん:もちろんありますけど、富山みたいに何度も一緒に来ているところはないかもしれませんね。
富山には、他の街にない独特な魅力があるという。
小林さん:個人的には仕事抜きでも来たい場所です。人の魅力もそうですし、富山のパキスタンコミュニティも興味深いですしね。
▲富山のカレーファンにも慕われるアジアハンター小林さん
南アジア食文化の探求と、同地域の人たちが日本で形づくるコミュニティついても深い関心のある小林さん。本日のイベントの立役者でもあり、富山カレーファンたちの心のよりどころになっているようで、皆に慕われていた。
終始笑いが絶えず、なごやかな雰囲気で運んだイベントも、そろそろ撤収の時間となったようだ。
撤収作業もこれまた富山らしい。参加者みんなが一斉に片づけを手伝い、あっという間に終わってしまった。リピート参加している人たちが多く、例えば公民館の椅子をどこに片づけたらいいかなど、みんなよく知っているのだ。
それぞれ参加者たちの笑顔には、手作りのイベントの一端を担った充実感が満ち満ちていた。
いや~、なんだか気持ちの良いイベントだったなあ。
富山以外の地域にも、石井さんや、やみちゃんのような、熱い心を内に秘めたカレーファンがきっといるに違いない。
そんな君の街にも、マサラワーラーを呼んでみないか?
書いた人:(よ)
「ferment books」の編集者、ライター。「ワダヨシ」名義でも活動中。『発酵はおいしい!』(パイ インターナショナル)、『サンダー・キャッツの発酵教室』『味の形 迫川尚子インタビュー』(ferment books)、『台湾レトロ氷菓店』(グラフィック社)など、食に関する本を中心に手がける。