なにかと経営手腕が注目されがちな「ゴーゴーカレー」宮森社長の“カレー愛”を確かめたい

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黄色い看板とゴリラがトレンドマークの「ゴーゴーカレー」。

石川県金沢市発祥の「金沢カレー」を提供するカレー店だ。首都圏と中部地方を中心に全国に約70店舗、そしてアメリカとブラジルの海外に9店舗展開する有名カレーチェーンのひとつである。

 

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金沢カレーとは、濃厚でドロっとしたカレーソースの上に、キャベツの千切りとカツがのったもの。カツにはソースがかけられている。

 

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▲ゴーゴーカレーの各店舗には「金沢カレー」の定義がきっちり説明されている。ご覧の通り、いわゆる「カツカレー」

 

そんな「ゴーゴーカレー」が誕生したきっかけは、2003年4月に元メジャーリーガーの松井秀喜さんが、ニューヨーク・ヤンキース移籍後、本拠地開幕戦で満塁ホームランを打ったことだった。

 

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▲本社入口に飾られていたHIDEKI MATSUI選手のフィギュア。かなりアメリカンなゴジラである

 

実は「ゴーゴーカレー」の代表・宮森宏和社長と松井秀喜さんは、石川県出身で同世代。松井秀喜さんの活躍を見て、「自分もニューヨークで活躍したい!」と思い立ち、勤めていた地元の旅行会社を30歳で脱サラ。

そして金沢カレーに目をつけ、2003年12月に「ゴーゴーカレー」を立ち上げたのだった。「ゴーゴー」とは、松井秀喜さんの背番号「55」が由来する。

起業から現在に至るまでの快進撃はあえて説明するまでもないだろう。2004年に東京新宿に「ゴーゴーカレー 新宿本店」をオープンしたのを皮切りに店舗数をジワジワと増やし、2007年5月には目標であった「ゴーゴーカレー NY本店」をオープン。

最初の数年は経営に苦戦したものの、現在はニューヨーク内だけで6店舗も展開するほどに成長。いまや全米、さらにはフランスをはじめとしたヨーロッパ展開を目指すほどになった。

 

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▲数種類のレトルトカレーも販売している

 

近年では、M&Aも手掛けている。

2017年2月1日には、金沢の老舗インドカレー店「ホットハウス」を、事業承継した。ここまでに関しては、ニュースにも取り上げられた話題なのでご存じの方も多いだろう。

www.asahi.com

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▲金沢市内にある老舗インドカレー店「ホットハウス」のメニュー

 

社長登場で緊張度MAX

しかしカレー好きの筆者としては、気になるのが宮森社長の“カレー愛”だ。どうしても独特の経営戦略などで注目を集めてしまうため、宮森社長自身のカレーに対する思いに注目されることは意外と少ないように思える。

そこで、どれだけカレーが好きなのか確かめたく、「今回のM&Aに関するインタビューをしたい」という口実で、宮森社長に会いに行ってみることにした。

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宮森社長と待ち合わせたのは、大手町駅から徒歩約7分の「ゴーゴーカレー 大手町日本ビルパーク」。

実は、同じ建物内に本社をかまえる。宮森社長は忙しいため、筆者に与えられた時間はわずか30分。

 

と、そこに現れたのは……

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こんなラフなスタイルの、

 

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こんなバックプリントで

 

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こんな袖のパーカーを着て、

 

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こんなネームカードをぶら下げて(みやぢは小学校時代からのあだ名なのだとか)、

 

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こんな名刺を差し出す(キンキラキンな色使いは金沢の工芸品である金箔をイメージしているとのこと)、

 

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宮森社長、その人なのであった。

 

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が、眼光鋭っ……

 

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圧倒的存在感の宮森社長を目の前にして、緊張しかない……。

 

昔から「ホットハウス」の味が大好きだった

── 今日はありがとうございます!「ゴーゴーカレー」といえば金沢カレーですが、近年はM&Aも手掛け、インドカレー店も経営されていますよね。なぜ、そのような取り組みを行ったのか、きっかけを教えてください。

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:今までM&AはIT業界や大手企業がやるもので、自分には関係ないと思っていました。だけど経営塾に通っていた時に「M&Aは会社を大きくするためではなく、自分の好きな会社やお店を仲間にすることだ」と教えてもらったんです。

 

── 経営塾に通われていたんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:はい。3~4年前から通いはじめ、今も別の経営塾に通っていますよ。やっぱり気合と根性だけでなく、経営学も必要だなと思って。元々「ゴーゴーカレー」も、金沢の老舗カレー店である「ターバンカレー」で出していた金沢カレーの味を広めようと思ったのが始まりでしたし、「ゴーゴーカレー NY本店」を出店した時も、居抜き物件で人材もそのまま。ただ看板を変えただけだったので、振り返ってみれば、我々がやってきたことはM&Aだったんですよ。

 

── 実は、他人事ではなかったと。でも、なぜ「ホットハウス」を承継したのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:20代の時から通っていた、大好きなカレー店だからです。ここのマサラカレーが絶品なんですよ。以前「ホットハウス」のマスター・五十嵐(憲治)さんに「おいしいから、フランチャイズ展開したら?」なんて話をしたことがあるのですが、その時に「後継者がいない」と言っていて。いま飲食業に限らず、後継者がいないことで廃業・休業する企業は多く、問題となっています。それでM&Aを考えた時に、真っ先に思い浮かんだのが「ホットハウス」でした。「もし跡継ぎがいなくて困っているようでしたら、ゴーゴーカレーが継ぎたいです」と申し出たところ、ちょうどタイミングが合いまして、とんとん拍子に話が進みました。

 

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▲M&Aに関する記者会見では、五十嵐さん(写真右)と宮森社長(写真左)は、まるで親子のように仲のいい姿をみせた

 

アキバにも「ホットハウス」が

石川県金沢市に店舗を構える「ホットハウス」は1979年にオープン。宮森社長によれば、料亭で働いている人や芸者さんなど、舌が肥えた人たちが集まる“大人のレストラン”で、金沢でも知る人ぞ知る名店だったそう。

提供するカレーは、北インドカレーをベースにしつつも、タマネギを2日間かけて炒めたり、リンゴのすりおろしを入れたり、赤ワインで煮込んだり。また鶏肉や野菜から抽出したダシを使用するなど、本場インドにはない調理法も加えていて、他のインドカレーやネパールカレーとは一線を画す味わいらしい。

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▲「ホットハウス」の評判メニュー「伝説のチキンティッカ」(1,350円)。国産の鶏モモ肉を自家製ヨーグルトと特製ブレンドのスパイスに漬け込んだ名物料理。おいしそう~!

── M&A後、周囲の反応は?

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:いざ承継したら、地元の人たちから大ブーイングでした。「ベンチャー企業が老舗カレー店を買収するなんて、生意気だ!」なんて言われましたよ。

 

結局、M&Aとはいえ「ホットハウス」のスタッフをそのまま雇い、味もそのまま。ブランドを大事にし、経営だけを引き継ぐ形になった。

変更した点といえば、今まで40代~70代がメインの客層だったところ、20~30代の女性目線を取り入れ、外観を目立つようにし、トイレを男女別にしたこと。またお子様用のメニューを取り入れたことなど、マイナーチェンジの範疇(はんちゅう)だ。

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▲「ゴーゴーカレー」のイメージカラーでもある黄色を取り入れることで、道路からも目立つようになった

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:大好きなカレー店が、後継者不足により廃業されては困りますから。このカレーをもっと多くの人に広めていきたいですし、五十嵐さんからは「100年続くお店にしてほしい」と言われています。そのことを知ってから、ブーイングしていた方たちも「よくぞこの味を守ってくれた!」と、応援してくれるようになりました。

 

── なるほど、好きなカレー店を廃業させないために、事業承継したのですね。「ホットハウス」は2018年12月、「トレッサ横浜」内に2号店をオープンしたそうですが、反響はどうですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:あまり宣伝していなかったのですが、想像以上にいい出だしで、ファミリー層の来店が多いですね。「ホットハウス」のカレーが、人生初めてのカレーというお子さんもいました。

 

──えっ、人生初カレーにして、いきなりそんな本格デビューしちゃうんですか。

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:実は今、家庭でカレーを作る機会も少なくなっているようなんですよね。(さびしげに)僕らの世代からしたら信じられないんですけどね。

 

── たしかに市販のカレールウの売上は下がってきていると言われていますが、そうでしたか……。

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:ほかにも金沢出身の方が、懐かしんで来店してくれたり。2019年夏には、秋葉原にもオープンする予定です。

 

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▲「ホットハウス トレッサ横浜」の様子。バカでかいナンの看板に心ひかれる……!

 

── なぜ秋葉原なのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:カレーといえば神保町が有名ですが、最近は秋葉原もカレーの街として認知されつつあります。また秋葉原は日本人だけでなく、外国人も集まるので、海外に発信する拠点として最適なんです。というのも、いずれは本場インドの進出を考えています。

 

── 海外進出にそなえて、秋葉原に店舗を。

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:はい。今は、金沢の本店で手作りしたカレーを横浜店まで運んでいるので、かなり手間暇がかかっています。この味を工場で大量生産できるようになれば、他社にはまねできない強みになりますし、海外進出もできるのではないかと。

 

── たとえば大量生産が可能になれば、今後「ホットハウス」のカレーを「ゴーゴーカレー」の店舗でも提供することはあるのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:なきにしもあらずですね。その逆もあるかもしれません。ただ現時点では、ナンを焼くタンドールが「ゴーゴーカレー」の店舗にはありません。もし設備などのイノベーションが起これば「ゴーゴーカレー」の店舗でナンを食べられる日が来るかもしれません。

 

── まったく違うジャンルのカレーですし、そうなると今後「ゴーゴーカレー」のイメージが変わりそうですね。

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:そうですね、変わるかもしれません。ただ「ゴーゴーカレー」のミッションは「美味しいカレーを世の中に広め、世界を元気にすること」ですから。M&Aは、2020年までに5ブランド承継するのを目標にしています。現在ビズリーチさんのM&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を活用して、譲渡希望の企業を募集しています。すでに数社からの応募があり、商談を進めているところです。

 

── 素敵なミッションですね……! 

 

一緒にカレーをいただいてみることに

── ぶしつけな質問ですが、宮森社長は普段からカレーを食べているのでしょうか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181227112832p:plain宮森社長:もちろん食べていますよ! この店舗(大手町日本ビルパーク)にはよく来ますね。そうだ。ちょうどお昼時だし、よかったらウチのカレー食べながらお話しませんか?

 

── ええっ、そ、それは……メチャチャうれしい……です。

 

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というわけで大定番のロースカツカレー(中盛、800円)を注文

 

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ゴーゴーカレーの社長とゴーゴーカレーを食べる日が来るとは。しかしキンチョーする……

 

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うん、やっぱりおいしい。

この味、クセになる~!

 

と思ったら……

 

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しゃ、社長の顔が……

 

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急に笑顔になったーーー(^o^)!

 

タイカレーにも挑戦してみたい

── やはりカレーがお好きなんですね。社長の笑顔を見て実感しました。

 

f:id:Meshi2_IB:20181230115049p:plain宮森社長:子どもの頃は家のカレーが大好きでしたし、給食がカレーの日はうれしかったですよ。最近はあまりやっていないですが、以前はスパイスを使ったカレーをよく作りましたし、カレーパスタやカレーうどん、カレー鍋とかもよく作って食べてました。多分皆さんもそうだと思いますが、なんだかんだ自分で作ったカレーが一番おいしいですよね。

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▲場がなごんで良かった。やっぱりカレーは偉大だ……

 

── それは意外でした! 宮森社長の一番好きなカレーは何ですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181230115049p:plain宮森社長:そりゃ「ゴーゴーカレー」と「ホットハウス」です(笑)。

 

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▲「ゴーゴーカレー」のTシャツとパーカーは完全デフォらしく、ご自身の結婚式ですらこの服装だったらしいが、どうしてもフォーマルな服が必要な場は、このネクタイで臨むという

 

── あ、それはそうですね。愚問でした……。

 

f:id:Meshi2_IB:20181230115049p:plain宮森社長:でも他には、スープカレーやタイカレーが好きですね。いつかタイカレーのお店もやりたいです!

 

── なんと!「ゴーゴーカレー」が経営するタイカレー屋さん。それは楽しみです! 今日はありがとうございました。

 

実際にお会いして話してみると、とても気さくな宮森社長。つい奇抜なファッションや経営方法などに注目を集めがちだが、その根っ子には、しっかりとカレー愛が。

ちなみに、起業のきっかけとなった松井秀喜さんには、創業から数年後にお会いし、実際にニューヨークの店舗に食べにきてくれたことがあるのだとか。壮大なミッションである「美味しいカレーを世の中に広め、世界を元気にすること」が達成される日も、今から待ち遠しい。

 

【余談】

取材後にゴーゴーカレー開運手帳をいただいたのですが、

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手帳を開くと、しっかりこう書かれていました。

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やっぱ使命感、大事!

 

お店情報

ゴーゴーカレー 大手町日本ビルパーク

住所:東京都千代田区大手町2-6-2 日本ビル・パソナグループ本部ビル地下1階
電話番号:03-3246-0755
営業時間:11:00~21:00
定休日:土曜日・日曜日・祝日

www.gogocurry.com

 

書いた人:名久井梨香

名久井梨香

フリーライター。東京都出身。新卒で大手広告会社に就職するも、会社員は向いていないと挫折。1年で退職し、その後フリーライターの道へ。趣味は、Jリーグとカレー。週1回、新宿ゴールデン街でバーテンダーもやっています。

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