「タンドリーゴビ」という料理をご存じだろうか?
「ゴビ」とは、ヒンディー語でカリフラワーを指す。タンドリーチキンが、タンドールと呼ばれる壷窯型オーブンで焼いた鶏肉料理であるように、タンドリーゴビとは、タンドールで焼いたカリフラワーのことなのだ。つまり、インド料理の一種である。
数年前、インドの調理学校に通ったことがあり(数日間だけだが)、その時にタンドリーゴビと出合った。
▲インド、デリーの調理学校にて
▲スパイスで真っ黄色になったカリフラワー。こんなの初めて見たのだった
▲このときは丸ごとではなく、バラしたカリフラワーを串刺しにしてタンドールで焼いていた
今までカリフラワーをおいしいと思ったことがなかったのだが、タンドリーゴビを食べた時に、あまりのおいしさに“カリフラワーってこんなにおいしいの!?”と衝撃を受けたものだった。おそらくカリフラワーを一番おいしく食べる調理法だと思う。
実は、インドはカリフラワー生産国世界2位だそうでカリフラワーを頻繁に食べる。
(ちなみに生産国1位は中国)だからカリフラワーのおいしい食べ方を知っているのだろう。
32種類のスパイスをまぶしてタンドール窯へ
そんな「タンドリーゴビ」を多くの人に味わってもらいたい。
ということで、都内のインド料理店へタンドリーゴビを食べに行ってみることにした。
やってきたのは、JR新橋駅または東京メトロ銀座駅から徒歩約5分の「カーン・ケバブ・ビリヤニ」。
店名に「ビリヤニ」と入っているだけあって、ビリヤニ(いわゆるスパイスの炊き込みご飯)が人気のインド料理レストランである。
モノトーンを基調にした店内は高級感漂う雰囲気で、最大110席まで着席可能。
そんな同店では、ディナータイム時のみ「タンドリーホールゴビ」(1,645円)を提供している。
作り方を簡単に説明すると、32種類のスパイスが入った“スペシャルマサラ”などでカリフラワーに味付けをする(写真上)。
その後、タンドールで15分ほど焼く。実にシンプルな調理法である。
一瞬メロンパンに見えるが、カリフラワーである。
タンドールの中はこんな感じ。
こんがり焼けてて香ばしそう
そして完成したのが「タンドリーホールゴビ」。
スタッフのSEK(シェーク)さんは、インドのコルカタ(旧カルカッタ)出身。来日してまだ5年だそうだが日本語が堪能で、難なくコミュニケーションがとれる優秀な方だ。
コルカタでもタンドリーゴビはよく食べられているという。また同店では、インドカリフラワーという種類のカリフラワーを使っているそうだが、日本のカリフラワーとほとんど大差ないそうだ。
こんがりと焼き上がったタンドリーゴビ。かわいらしい盛り付け方でカリフラワーに見えない。
ナイフで切り分け、一皿を2~4人でシェアして食べる(上の写真はお店の方に切り分けていただいた後)。
他にもタンドリーチキンなどの料理も含めて、複数の前菜を注文するのが一般的だ。
お好みで、別添えの自家製ミントソースをかけて召し上がれ。
ミントソースの作り方は秘密とのことだが、ヨーグルトをベースに、スパイスやニンニク、ショウガなどが入ったものだろう。
あんな大きかった「タンドリーホールゴビ」も、食べるときはひと口サイズに。
いかにも香ばしそう!
「茎の甘さ」に目覚める
いただく前に、SEKさんにちょっと質問。
──SEKさん、こちらのお店のタンドリーゴビは辛いですか?
SEKさん:そこまで辛くないですよ!
そんなやりとりがあったのだが、食べてみるとまあまあ辛い。
キレのある辛味だし、塩味も結構効いている。SEKさんによると日本人はBBQ的な味わいが好きだから、多少日本人を意識した味つけにしているらしい。
でもそのおかげで、カリフラワーの茎の甘みが際立っている。
カリフラワーの茎って、こんなにうまかったのか……!
SEKさん:お味はいかがですか?
──おいしい~!!!
そう答えたら、“だろ?”と言わんばかりのドヤ顔をされた。どうやら自信作のようだ。
SEKさん:ここ最近「タンドリーホールゴビ」の注文数は伸びていますね。
というのも、コース料理に含まれているため、そこでタンドリーゴビの魅力に気づき、リピーターとなっているそうだ。たしかにリピーターになってしまうのも頷ける。
お酒の絶好のアテにも
タンドリーゴビのもうひとつの絶大な魅力 ──。
それは、お酒のアテにもなるという点だ。
そんなわけで、ビールをオーダー。
注文したのは、インドのラガービールである「GOD FATHER (ゴッドファーザー)」(620円)。
GOD FATHERは、想像以上にのどごし爽やかな一杯。タンドリーゴビの辛味とも相性◎。言われなければ、日本のビールだと思ってしまいそうなほど、クセもなくて飲みやすい。
くぅ~~~!!!!
窓からは、首都高がよく見え、新橋の街を少し上から眺められる。夜ならムーディな雰囲気になるのかも。こんなシチュエーションで食べるタンドリーゴビは、言うまでもなく最高である。
さて、タンドリーゴビとインドビールをたっぷり堪能したので、メインディッシュの「ラムビリヤニ」(1,855円)を。
日差しの加減も相まって、黄金色に光っているようだ。
タンドリーゴビをつまみにビールを飲んで、シメにビリヤニを食べる。この飲み方、なかなかいい。我ながら気に入ってしまった。ただし、ひとり飲みにはやや量が多いので、できれば2人以上で。
ということで、誰かタンドリーゴビ飲み会やりましょう~~!!!
店舗情報
KHAN KEBAB BIRYANI(カーン・ケバブ・ビリヤニ)
住所:東京都中央区銀座8-8-11 博品館6F
電話:03-6280-6242
営業時間:11:00~15:30/17:00~23:00(L.O22:30)
定休日:無休
書いた人:名久井梨香
フリーライター。東京都出身。新卒で大手広告会社に就職するも、会社員は向いていないと挫折。1年で退職し、その後フリーライターの道へ。趣味は、Jリーグとカレー。週1回、新宿ゴールデン街でバーテンダーもやっています。