蒸し暑い夜だった。
10人の戦士が闘技場に集まっていた。
戦士たちは心の中で、自分の相棒に語りかけていた。
「頼むぞ……」
いよいよ、戦いが始まるのだ。
「第1回 フードマンバトル」
腕に自慢のフードマンバトラーたちが、己の分身であるフードマンにすべてを託し、激突する。
「フードマンオープン!」
「行け! マッド・ドッグフード!」
「負けるな! マニアック・コップンカー!」
男と男のプライドが激突する。時が、止まる。
フードマン、それは株式会社シービージャパンの販売する薄型弁当箱である。
A4サイズの書類とぴったり幅の、わずか3.5cmの薄型ランチボックス。
しっかり固定の4点ロックにより密封性に優れているので、縦にしても汁が漏れない。
つまりカバンにも縦入れできるという画期的な弁当箱なのだッ!
▲これがフードマン。写真はミントグリーンだが、他にイエローやネイビーもあるぞ
筆者もお昼は仕事場で愛妻弁当を食べているのだが、数カ月前からこのフードマンに入れてもらっている。
カバンに縦入れできるというのは、本当に便利。
筆者の周囲でも、フードマン愛好者がじわじわと増えていた。
▲筆者が奥さんに作ってもらっているフードマンだ。密封されてるけど、ファスナー付き保存袋のLサイズに入れておくと汁漏れ対策は完璧だぞ!
「フードマンに好きなおつまみを詰めて、みんなで飲み会したら楽しいんじゃね?」
「あー、いいね。フードマン、持ち寄り飲み会。やろうやろう」
気がついたら、参加希望者がどんどん増えていった。
そして誰からともなくこう言い出した。
「これは飲み会じゃない。フードマンバトルだ」
いや、ま、飲み会なんですけどね。
フードマン、何かよいかって、このネーミングですよ。
フードマン、つい口にしてしまいたくなるかっこよさ。
弁当箱の名前とは思えないイカしたネーミングじゃないですか。その名前に引っ張られるように、この飲み会は「フードマンバトル」と呼ばれるようになっていたのです。
バトル会場は池袋
さて問題は会場。食べ物持ち込み可のいいお店がないかなぁと探していたら、ありましたよ。池袋・美久仁小路の「しょうちゅうざんまい」。
60分1,500円で400種類以上の焼酎が飲み放題。そして料理やソフトドリンクは持ち込み推奨。二階は畳の座敷と、まるで「フードマンバトル」のためにあるようなお店じゃないですか。
▲「しょうちゅうざんまい」 渋い店構え。二階のお座敷も下宿感があって最高
「第1回 フードマンバトル」の日にちが決定してからは、SNSで参加者たちがけん制しあって、匂わせたりはするものの、手の内を明かそうとはしません。
もちろん僕だって、内緒です。というか、いろいろ忙しかったこともあって、方針がなかなか決まりませんでした。
他の参加者がSNSで「よしメインは決まった!」なんて言ってたりすると、焦るばかり。開催数日前に、ようやく「とにかく焼酎によく合うメニュー」という方針を決め、そこから
- 豚の角煮
- さつま揚げ
- からし蓮根
の三本柱で勝負することにしました。
名付けて「トリオ・ザ・クマモン」。
開催当日の午前中に制作。
午後から仕事をしようかと思ったんですが、もう「フードマンバトル」が気になってソワソワしちゃって、仕事が手につきませんでしたよ!
さて、いよいよ「第1回 フードマンバトル」の開催です。
▲これにカメラマンのねじ君を加えて10人。闘気がみなぎっているぞ!
それでは、今回の「フードマンバトル」の参加者(フードマン使い)と自慢のフードマンを見ていきましょう。
エントリーナンバー1 鶴見六百(ゲーム制作者)
フードマン:マッド・ドッグフード
「地元の横浜にこだわりました。横浜といえば、崎陽軒。普段は買わない海老シウマイとカニシウマイを奮発しました」
「この間にあるベビースターは?」
「よくぞ聞いてくれました。中華街にはベビースターランドがあるんですよ。そこで買ってきました!」
「これも横浜産!」
「あとはコーン、ナポリタン、ちーかま、昆布巻、しいたけ、金山寺味噌、あと練り物という常備のおつまみ」
「ところでフードマンネームの由来は?」
「マッド・ドッグを日本語で言うと?」
「狂犬?」
「きょうけん、きようけん、崎陽軒……」
「!!!」
「ちゃんと掛け紙も作ってきました!」
「……こ、これは!!!」
エントリーナンバー2 やぎねえ(WEBクリエイター)
フードマン:マダム・アフィリエイター
「いつもはフードマンミニを使っているんですけど、今日は息子のフードマン借りてきました。私は会社勤めなので、朝に作ってオフィスの冷蔵庫にインしてました。梅雨時で危ないですからね。というわけで、冷えてもおいしいというところに重点を置いてます」
「フードマンネームの由来は?」
「レシピのブログやってる人が作りそうな感じ。アフィリエイト代も期待して(笑)」
「あー……」
「まずは麻婆春雨。これはテレビで栗原はるみ先生が作っていたレシピをベースにしてます」
「あー……」
「こっちはナスとピーマンと玉ねぎの味噌炒め。お酒に絶対合います」
「おお」
「それからこれは切ったキュウリにゆかりをふりかけただけ。このまま放置しておくと味がなじんでくるという」
「フードマンの中で出来上がるのか!」
「レシピのブログでは定番、主婦の手抜きメニューですよ」
「ああ……」
▲これがフードマンの中で成長する、マダムの秘密兵器、ユカリ・キュウリだッ!
エントリーナンバー3 酒徳ごうわく(映像作家)
フードマン:マニアック・コップンカー
「仕事が7時までで、これが8時からでしょ? 1時間しか余裕がなかったんですよ。そこで考えたのが、お店に丸投げするという方法です!」
「丸投げ?」
「いつも行ってる、池袋の立ち飲みタイ料理店バーンカオケンで『お弁当箱渡すので、3品詰めて下さい』とお願いしたんです」
「そういうのもアリか! 確かにこの詰め方はプロの仕事だ!」
「タイ風焼きそばのパッタイ、チェンマイのソーセージ、そしてナマズのスパイシー炒めの3品です」
「おお、これは酒が進みそうな3品!」
「あ、でも僕、下戸なんですけどね」
エントリーナンバー4 とみさわ昭仁(特殊古書店主)
フードマン:ペイント・イット・ブラウン
「自分が好きな酒場のつまみを3つ集めました。まず、亀有の江戸っ子の肉だんごとカシラをタレで」
「おお、とみさわさんいきつけのもつ焼き屋さんですね」
「そして上野、肉の大山の特製メンチカツ」
「うわー、そう来たか。しかもサイズがぴったりハマってる!」
「時間が許せば町田の柿島屋の馬肉メンチというのも考えたんだけどね。そして最後は有楽町のジャポネのジャリコ」
「みんな大好き極太スパゲッティのジャポネ! しかし、3店とも駅がバラバラじゃないですか。なんという労力……」
「茶色いものはだいたいうまいんですよ。なので、『ペイント・イット・ブラウン』と名付けました」
「なるほど!」
「別名、『ジャポネが主食』」
「……そのネタは止めましょう」
エントリーナンバー5 タムラアキラ(指圧師)
フードマン:オカチマチ・ウミノサチ
「全部、魚介類でまとめました。そして基本的に御徒町の吉池で買いました」
「それでオカチマチ・ウミノサチなのね」
「魚を一匹まるごと入れたいと思ったので、今が旬の鮎の塩焼きを」
「これはインパクトあるわー」
「あとは吉池のかまぼこ、吉池のわさび漬け、吉池の焼きたらこ、そして吉池のタコを買って、これだけはローソンなんですけど、オニオンサラダを買って…」
「なぜ、それだけ?」
「タコとオニオンサラダをドレッシングであえて、カルパッチョ風にしてみました」
「おお、簡単クッキング!」
「鮎のサイズがぴったりだったのが、うれしかったですね」
エントリーナンバー6 杉山圭一(作曲家/編曲家)
フードマン:シュッチョウバン・ダンシベントウカイ
「朝の時点で冷蔵庫にあったものだけで作りました」
「たまたま鰻が冷蔵庫にあるのか!」
「鰻のタレも自作です。その下は麦ごはんです。スパゲティはナポリタンとペペロンチーノ。いつもこの状態にして冷凍してあるんですよ、常備菜ですね」
「お、おう……」
「唐揚げは、学生時代に働いてた中華料理店仕込みの味です。それからミニトマトをくり抜いてチーズを詰めたカプレーゼと……」
「なんかもういろいろすごいんだけど、なぜそのフードマンネーム?」
「いや、僕、1年に1回男子弁当会というのを主催してるんですよ。それの出張版という位置づけで」
「これ、男子のレベルじゃねぇよ!」
エントリーナンバー7 マスミ(介護士)
フードマン:グリーン・レクイエム
「おお、ミニサイズですね。女性っぽい! フードマン・レディだ!」
「単に私の好きなものを詰めてきました。まず、キュウリが好きなので、たたきキュウリ。それからもやしナムル、そしてほうれん草の胡麻和えです」
「なんか韓国料理店で最初に出てくる突き出しみたいですね」
「これが好きなんです!」
「しかし、見事に緑ですね」
「他の人たちが茶色すぎるんですよ!」
エントリーナンバー8 ねじ(カメラマン)
フードマン:スモーキン・ビリー
「自家製燻製トリオです。チーズ、卵、鶏肉」
「あー、つまみに最高だよねぇ、燻製」
「それからギリギリまで自宅にいられたというアドバンテージをいかして、生もの入れてきました。カツオのなめろう」
「あー、そりゃたまんないね」
「そして下戸の人も何人かいるということで、肉じゃがも入れてみました」
「意外に気を使うんだ」
「使います」
エントリーナンバー9 大木テングー(編集者)
フードマン:ジ・オトオシ
「僕はフードマンは毎日自分で詰めてますからね。もう隅々までわかっているんですよ。フタを密着させるために、プッシュするじゃないですか。だから、押すものがいいんじゃないかということで、バッテラ寿司!」
「いやー、2部屋同じもので埋めちゃうとは、大胆だなぁ。これはなかなか勇気がいるよ」
「やっぱりね、今日はみんなで食べられるということを考えましたからね。そしてこっちは、みんな大好き鶏皮ポン酢」
「大きい部屋に鶏皮ポン酢をぎっしり詰めるとは、これも大胆だなー」
「梅雨時ということも考慮して、シソとミョウガも添えてみました」
「か、完璧だ」
「ビールなら唐揚げだけど、焼酎ということを考えるとしっとり系がいいんじゃないかなということで。こういうお通しが出るお店はいいなぁということで、ネーミングしました」
「このバッテラのサイズぴったりなところ含めて、達人感あるな……」
エントリーナンバー10 安田理央(ライター)
フードマン:トリオ・ザ・クマモン
というわけで、主催者である筆者のフードマンは「トリオ・ザ・クマモン」。
芋焼酎にあわせた熊本名物3本立て。
からし蓮根は自作するのは大変そうなので、通販で熊本から取り寄せました。
なので、バトル当日に制作したのは、豚角煮とさつま揚げチーズ焼き。
豚角煮は、炊飯器を使ってコーラで豚バラブロックを煮込むという方法を試してみました。フライパンで軽く焼いた豚肉に、コーラと醤油、生姜、長ネギの青いとこと一緒に炊飯器で煮込むだけ。
ついでにゆで卵も入れて煮卵も作ります。
実に簡単。
さつま揚げチーズ焼きは、フライパンでとろけるチーズを焼き、ちぎった大葉を乗せて、さつま揚げと一緒に焼くだけ。
これも簡単です。という熊本つまみトリオ。
焼酎に合わないわけありませんよ!
そして、実食タイム
さて、ずらりと並んだ10個のフードマン。
第1回から、こんな強豪ばかりが出そろうとは思っても見ませんでしたよ。
いよいよ戦いのゴングが鳴りました。
第1回戦は、安田理央の「トリオ・ザ・クマモン」 VS 大木テングーの「ジ・オトオシ」!
先行は安田理央。
「いきなり大技で行くぜ! コーラ煮込み豚角煮を食らえ!」
「まずこれ食べてよ。今朝作ったんだけどさぁ」
「どれどれ。いただきまーす」
「うまーい」
「じゃ、おれはこの鶏皮ポン酢を」
「うまーい」
「うまいですねぇ」
「からし蓮根と芋焼酎、この組み合わせはヤバイですねー。うわー」
「うー、バッテラうめー」
「いやー、いい勝負ですな」
「早く他のも食べたいですな」
そんなわけで、もう後はみんなのフードマンをつまみ合いですよ。
バトルロイヤルですよ。
どんどん空になっていくフードマン。
なにが楽しいって、積んである一升瓶の焼酎を勝手に飲んでいいんですよ。
なにこの飲兵衛の天国。
ちなみに一番最初に空になったのは、とみさわさんのフードマン。
いやー、楽しかった。楽しすぎた。
これは早々に「第2回 フードマンバトル」を開催しないといけないと思ったんですが、第1回からこんなにレベル高いと、ハードル上がっちゃいましたねぇ……。
次、どうやって戦おうか。
そんなわけで、みなさんもぜひフードマンバトル、やってみてねー!
注:この原稿はシービージャパンさんからお金はいただいておりませんからね!
単なるフードマンファンなんだよ、おれたち!
株式会社シービージャパン CB JAPAN CO.,LTD|商品情報 【薄型弁当箱フードマン800ml】(dsk.pig)
店舗情報
しょうちゅうざんまい
住所:東京都豊島区東池袋1-23-5 美久仁小路
電話番号:03-5956-0083
営業時間:17:00~翌1:00(最終入店 24:00)
定休日:日曜日
※この記事は2017年7月の情報です。
※金額はすべて税込です。