昭和なフンイキの旦過市場で味わう「大學丼」はよりどりみどりで安し美味し

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「メシがうまい!」と話題の福岡ですが、多くの人は福岡と言えば博多をイメージしますよね?

 

同じ福岡の中でも、福岡市より70キロほど本州よりの北九州市はどことなく影が薄い印象……。

関東の人からすれば、「北九州市ってどこ?」と思う人もいるのではないでしょうか。

 

今回は、そんな北九州市の隠れた魅力を伝えながら、

ここ数年、密かな話題となっている「大學丼」という丼を紹介します!

 

昭和の匂いが残る街、北九州

まず北九州市ですが、高度経済成長期に工業都市として栄えた街。

関門海峡にも面するので物流の要、港湾都市としても発展しました。

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北九州市の中心とも言える「JR小倉駅」を降りてすぐ目の前に飛び込んでくるのは、駅ビルの中に発着駅が入り込み、街中で上空を過ぎていくモノレール!

 

なんだか未来都市のよう。

 

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(写真提供:奥村峻)

 

未来都市かと思いきや、駅から降りてしばらく歩くと昭和を感じさせる光景も。

 

昭和感あふれるレトロな街並みで、数々の映画のロケ地にも選ばれています。(ちなみに写真は女優・宮崎あおいさんが主演を務めた映画『初恋』のロケ地)

 

にしても、北九州……。

なんだかいろんなものが入り混じった、カオスな感じが早くもしてきますね。

 

改めて、今回のお目当ては丼! どんぶりです!!

なんでも旦過市場という市場の中にある「大學堂」という場所で食べられるらしいのです。

北九州市は福岡市よりも人口も少なく、物価も安い。九州のメシは基本的にうまいので、これはうまいものを安く食べられるはず!

では行ってみましょう。

 

外観と中のギャップがすごい

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こちらが旦過市場!

 

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(写真提供:奥村峻)

 

……って、なんじゃこの廃墟のような建物は!?

まるで香港の九龍城のよう。

実はここ、昭和30年代に大部分が建てられた国内唯一の水上マーケットだそう。

こんな場所が平成の日本に、しかも北九州にあったとは。

 

恐る恐る市場の中に入ったところ、廃墟感漂う外観とは裏腹に活気に満ちていました。

 

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学校帰りの学生から今晩のおかずを求める奥さん、近所のおじいちゃんおばあちゃん、大きな荷物を持った観光客らしき人たちまで、多くの人で賑わっています。

 

全長180メートルの通りを中心に横道にそれた路地が続き、想像以上に広そうです。

鮮魚店や青果店、惣菜店など集まっている店舗数は120にものぼるとのこと。

 

市場の楽しさが詰まった「大學丼」

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市場の中ほどまで進んだところで、噂の「大學堂」を発見しました!

 

説明が遅くなってしまいましたが、そもそも「大學丼」とは?

 

大學丼(だいがくどん)

「大學堂」で白米をよそった丼を購入し、丼を片手に旦過市場の各店舗で購入した具材を次々に乗せた丼。自分だけのオリジナル丼をつくることができる。

 

そう、美味しそうだけど持ち帰ることができない刺身などでも、丼に乗せることでその場ですぐに食べられるんです!

どの店舗の食材でもご飯の上に乗せられる、まさしく市場全体が「大學丼」そのもの!

 

では実際に「大學丼」をつくって食べてみましょう。

 

まずは市場にどんなお店があるのか、その日売っている食材をチェック

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旦過市場には約120もの商店が集まっています。様々な食材がある中で、丼に何を乗せようかと悩んでしまうはず。せっかくの白ご飯を冷まさないためにも、事前の下見が重要です。

 

「大學堂」で白ご飯(200円)を注文

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ある程度乗せる具材の目星をつけたところで、「大學堂」で白ご飯を注文します。

 

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今回熱々の白ご飯をよそってくれたのは、一日店長の本田さん。現役の学生さん!

 

「大學堂」では、北九州市立大学の人類学ゼミに所属する10人ほどの学生が日替わりで店長をやっているそう。

 

①で目星をつけたお店へ直行!

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欲しい具材を求め、下見のときに気になっていたお店へ向かいます。

 

お兄さんお兄さん、今日は天然のブリが入ってるよ。しかもラスト1つ! 通常1,000円のところを今回だけ特別に800円でいいよ!

 

通りを歩いていて、威勢よく声をかけられたこちらの「(有)浜田水産」で、最初の具材を乗せることにしました。

ということで、ブリを追加!(800円)

 

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購入したお刺身はお店の人が親切にさばいて、丼の上に盛り付けてくれます。

おお! 思っていた以上に量も多いですね。

でもまだまだ乗せていきますよ。

 

好物の牡蠣を丼に追加!

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続いては「(有)武藤本家」。 

 

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僕は無類の牡蠣好きなのですが、なんと1つ 150円という看板が目に入ったので、思わず購入しました。

 

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牡蠣を丼にイン! (1つ 150円)

 

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丼の中がより賑やかになってきましたね〜。

 

タイをのっけて「大學丼」完成!

もうこれでも結構いっぱいなのですが、調子に乗ってもう1品ぐらい追加しましょう!

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最後に「西村鮮魚店」でタイを購入!(400円)

 

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お店の方が「これはもう乗せられないよね? ビニール袋で持って帰る?」と聞いてくださいましたが、無理矢理盛り付けてもらいました。

 

これで「海鮮丼 メイドイン旦過市場」の完成です。

 

「大學堂」に戻って実食

では出来上がった丼を持って「大學堂」に戻ります。

飲食スペースが設けられていて、お茶や醤油もこちらでもらえます。

 

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「大學堂」では味噌汁も売っているので、丼と合わせて食べることも可能。

(取材したときにはすでに売り切れていました。残念!)

 

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いや〜それにしても白ご飯が見えなくなるぐらい乗せまくりましたね。

もちろん、今回はお刺身で海鮮丼をつくりましたが、コロッケや唐揚げなどの惣菜を乗せたっていいんです。

 

そう、「大學丼」は自由!

 

(なんだか、近未来的なものやレトロなものなどいろいろ混じっている北九州の自由な空気を象徴しているようにも感じますね)

その日の気分で、あなただけのオリジナル丼をつくることができます。

 

それではいただきます!

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さすが、市場の食材なのでどれも新鮮なものばかり!

刺身は時季のものだけを出しているので、旬を知れるのもいいですね。

 

ゼミ生の発想から生まれた

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夢中で食べていると、本日の店長・本田さんと、本田さんのお手伝いに来たという人類学ゼミの学生・三崎さんが雑談を始めました。

僕も加わり、「大學丼」についてもう少し聞いてみることに。

 

そもそも、この「大學堂」、それから「大學丼」はどのような経緯でできたのでしょうか?

 

8年ほど前に、旦過市場で行われた「食市食座」というイベントに人類学ゼミも出店したことがきっかけです。そこで市場のみなさんから「イベントが終わってからも何かお店をやってみないか」と場所を貸してもらい、自分たちが商売をする店舗として「大學堂」を運営しています。(本田さん)

 

人類学ゼミではフィールドワークによる社会調査に興味がある人々が、サロン形式の研究会を続けています。これまで国内外での社会調査や村落開発事業など、外部からの事業委託も多数受けてきました。

そうした事業の一環として、人類学ゼミは市場の持つ面白さと人が集まる場所としてのポテンシャルに注目し、市場のイベントに参加したそうです。

 

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今回いただいた「大學丼」も、そこから発展してできたものでした。

 

「大學丼」が生まれたきっかけは、「大學堂」に遊びに来ていたゼミの学生の1人です。彼がご飯をよそった丼を片手に市場の中をウロウロしていた様子を、別の学生が見てヒントにし、そこから「大學丼」が生まれました。(三崎さん)

 

何か新しく創り出したというより、すでにそこにある資源をうまくいかしたアイデアだったのですね!

 

メディアからの取材を受けて有名になり、今では「大學丼」を求めて国内外の観光客がよく来られるとのこと。

「大學堂」が小倉の新名所として旅行ガイドブックにも取り上げられているようです。

 

ただ、この旦過市場自体の老朽化が問題になり、残念ながら市場の移転の話も出ています。

これは「大學堂」の存続も危ぶまれる問題……。

つくって楽しい、食べて美味しい「大學丼」。市場が移転してしまう前に、ぜひ体験してみませんか?

 

お店情報

大學堂

住所:福岡県北九州小倉北区魚町4丁目4-20 旦過市場
電話番号:080-6458-1184
営業時間:10:00〜17:00(大學丼は11:00〜)
定休日:水曜日、日曜日、祝日

 

書いた人:栗山遼(くりやまりょう)

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1989年生まれ、福岡出身の編集者・ライター。「働き方を変えた人たち」を特集したリトルプレス『HOWLAND』を創刊。ライターとしては雑誌『ケトル』、ウェブサイト『福岡移住計画』などに執筆経験アリ。和食好きです。

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