「突然ですが、『マンハッタン』ってお好きですか?」
何の前振りもなく、いろんな人に聞いてみました。
「大好き! 以前、アッパーウエストに2年間住んでいたんです。自然史博物館やセントラルパークがお散歩コースでした」(40代女性/東京出身)
「行ったことはないけど、『SEX AND THE CITY』が好きだったので憧れ!」(30代女性/東京出身)
「『マンハッタン』はカクテルを飲みはじめたときに頼んだことがあるけど、味は記憶にないなぁ……」(30代女性/東京出身)
「カッコつけて注文したこともあるけど、基本ギムレットのほうが好きかな」(30代男性/埼玉出身)
……えっと、言葉足らずですみません。どっちも合ってますけど、私が言いたかったのはその「マンハッタン」じゃないんです。
「『マンハッタン』って、リョーユーパンのじゃなくて? あのドーナツ大好き!」(20代女性/福岡出身)
「パンの『マンハッタン』? 食べごたえがあっておいしくて大好きです。大学時代のお昼ごはんによく食べていました」(30代女性/佐賀出身)
そう! それーーー!! 私が言いたかったのは、リョーユーパンの「マンハッタン」のことなんです!!
福岡にあるパンメーカー、リョーユーパンが販売しているドーナツである「マンハッタン」。発売されてから40年以上経つロングセラーで、とくに九州に住んだことのある人にとってはなじみのある商品なんです。
九州・中国・四国地方と関西地方の一部でのみ販売されているそうなのですが……、
控えめに言って!
それ以外の地方に住んでる人は!
人生において大きな大きな機会損失だと思うんですよ!!(真顔)
なので、今回は福岡育ちの筆者が声を大にして「マンハッタン」の素晴らしさをご紹介しますね。
販売から40年余のベストセラー! (ただし一部地域で)
……と言ってはみたものの、私ひとりでは心もとないので、リョーユーパン企画広報部の北村桃子さんにお話をうかがいました。
——1974年にこんなハイカラな商品を開発されたなんて素晴らしいです!
ありがとうございます(笑)。ちょうどそのころ、ミスタードーナツやダンキンドーナツが日本に進出して「ドーナツブーム」が起きていたことも大いに関係していると思います。
——うわ! ダンキンドーナツとか懐かしい! 20年くらい前に撤退しちゃったんですよね……好きだったのに。ところでそもそも、なぜ「マンハッタン」という名前なのでしょうか?
弊社の開発担当者が、アメリカに渡ってドーナツの製法を習得し、マンハッタンで見つけたドーナツを参考に、新商品の開発を行ったことが誕生のきっかけなんです。地名をそのまま採用した、というわけですね。
——わかりやすい(笑)。でもそのせいで、売ってない地域の人にはそのまま地名だと思われたり、カクテルだと思われたりするんですよ……(前述)。
す、すみません。でも、名前はもちろん、パッケージも発売当時のままで、42年間変わっていないんですよ。愛着を持ってくださっているお客さんも多いので、これは変えられませんね。
——たしかに。このアメリカ国旗をあしらったデザインとレトロなロゴは私も大好きです。絶対変えないでください! ところで、リョーユーパンのなかで一番好評なのはやっぱり「マンハッタン」でしょうか?
販売実績をお答えすることはできないのですが、多くの方から“リョーユーパン=「マンハッタン」の会社”と思われているんじゃないでしょうか。ロングセラー商品ですから、根強い人気があることはたしかです。
東京の友人から「こっちに来るときには『マンハッタン』を買ってきて」とリクエストされることもあるんです。そんなときは製造日から日が経っていないおいしい状態で食べてもらいたくて、おのずと上京当日に買うことになるので、飛行機に乗る前はいろいろと忙しいんですよ(笑)。
——ご友人の気持ち、すごくよくわかります! 東京にもたくさんドーナツはありますし、「海外から上陸した話題のお店!」みたいなのもありますけど、やっぱり“マンハッタン欲”は「マンハッタン」でしか満たされないんですよね。サクっとしてるのに、中がずっしり詰まっているなんとも言えない食感……。どうしてこんな食感が生まれるのでしょうか?
詳しくはお答えできないのですが……やはり「マンハッタン」の特徴である“ねじれた形”が、独特の食感を生み出している秘密のひとつですね。
——なるほど。この「ねじり」がクリスピーな食感を生み出している、と。あの、なんとか東京にも置いてくれませんかね……?
残念ながら、今のところは予定がございません。ぜひ、販売エリアにお越しの際は、探して食べてみてくださいね。
——そうですか……。あ、ありがとうございました……。
あたためて! 冷やして! 牛乳にひたして!
……と、ここで終わる筆者ではありませんよ! 偉大なフォースを使って「マンハッタン」を手に入れました! (福岡の実家から送ってもらいました)ここからは、いろんな食べ方をご紹介します!
まずは普通に
あー、これこれ。かんだとたん、「サクッ」と「モチッ」が同時にやってきて、ぎっちり詰まった歯ごたえがなんともたまらないんですよね。チョコもベタっと甘すぎず、香りが後から追っかけてくる感じ。安定感あるなー。
牛乳にひたす
常温の「マンハッタン」を牛乳にひたしてみます。ほら、よく「フランス人はパンをカフェオレにひたして食べる」っていうじゃないですか(ちょっと違う?)。
牛乳にひたしてもサクっと感がなくならないのはどういうことなんでしょうね……。むしろチョコが瞬間的に冷やされて、パリっと感が増す感じ。「ひたす」といっても、中がぎっしり詰まっているので、ちょっとやそっとじゃヘタレない強さを感じます。結局「牛乳を飲みながら『マンハッタン』を食べる」というカタチに落ち着きました。
星:☆☆☆☆★
冷やしておく
今度は冷やしてみました。「サクッ」というより、ザクッと感が増して、食べごたえのあるクッキーみたいな感じ。冷やしてもしっかり風味が感じられるのでおいしいです。あ、これ、あったかいブラックコーヒーと一緒に食べたら最強なやつだ。
星:☆☆☆☆★
オーブントースターで軽くあたためる
予熱したオーブントースターにアルミホイルを敷いて、30秒~1分弱くらい軽く加熱してみました。チョコでコーティングされているので、あくまで軽く、短時間で、というのがポイント。
とはいえ、多少はチョコが溶けるので、手がベトベトにはなりますが、ドーナツの風味が増して、チョコの香りもふんわり立っています。心なしか、サクッと感も増した気がします。個人的にはいちばん好きかも!
星:☆☆☆☆☆
ということで、若干前のめり気味に進めてきましたが、結局のところは「食べてみないとわかってもらえないだろうな」と思っています。私の地元ではコンビニやスーパーで普通に売ってるような「おなじみの商品」なので、もし見つけたらすかさずゲットしてください! 話はそれからです!
取材協力
株式会社リョーユーパン
ウェブサイト:http://www.ryoyupan.co.jp