町中華の定番メニュー木耳玉子炒めに迫る
こんにちは、酒場案内人の塩見なゆです。
中華料理店に行くといつもメニュー決めに悩んでしまう私。豊富なメニューがある中で毎回気になってしまうのが木耳玉子炒めなんですが、賛同してくれる方はいらっしゃいますか?
木耳のコリコリ食感と玉子のふわふわ感を同時に楽しめる、唯一無二の魅力を持った木耳玉子炒めですが、新宿思い出横丁にお店を構える岐阜屋の木耳玉子炒めがおいしいと評判なんだとか。
なんと今回、木耳玉子炒めの作り方を直接見せていただけるとのことで、早速お店に向かいました。
昭和22年(1947年)に創業した岐阜屋は、新宿思い出横丁の中でも古参の飲食店。店内は、日中からお酒を楽しむ人の姿がちらほら。
ボリューム満点の木耳玉子炒めは、お酒を飲む人のおつまみとして長年の愛されてきたメニューなんだとか。一皿580円(税込)と非常にリーズナブルな価格設定もありがたいですね。
ということで、早速岐阜屋のスタッフさんに木耳玉子炒めの作り方を見せていただこうと思います。
岐阜屋流木耳玉子炒めの作り方
──本日はよろしくお願いします。岐阜屋の木耳玉子炒めを作っている様子を見せていただけるということで、気持ちが高まっています!!
岐阜屋のスタッフさん:期待を裏切らないように頑張っていつも通りに作らせていただきます(笑)。
──いきなり素朴な質問をさせていただいてもいいですか? 木耳ってニッチな食材という印象があるのですが、おいしく調理するポイントはあるんですか?
岐阜屋のスタッフさん:大きめの乾燥木耳を選んでたっぷりの水で4~5時間程かけて戻すこと。火を入れすぎずにサッと炒めることですかね。木耳の食感を損なわないことがポイントになると思います。
──中華料理店のような木耳の玉子炒めは、自宅でも再現することは可能なんですか?
岐阜屋のスタッフさん:作り方や材料はシンプルなので、家庭でも再現しやすい料理だと思いますよ。
──ちなみに木耳はどんなお店で購入するのがいいでしょうか?
岐阜屋のスタッフさん:スーパーなどに売っている乾燥木耳でいいと思います。大きめの乾燥木耳を選ぶとより食感を強く感じられると思いますよ。
──スーパーで買える木耳でも十分おいしく作れるんですね! では、材料と作り方を教えていただけますか?
岐阜屋のスタッフさん:使用する材料は、たっぷりの木耳、湯通しした豚肉、ニラ、人参、玉ねぎ。玉子は2個使います。木耳玉子炒めはよく出るメニューなので、材料も多めに用意しています。
──岐阜屋でも乾燥木耳を使っているんですか?
岐阜屋のスタッフさん:うちは乾燥木耳を使っていますよ。たっぷりの水で丁寧に戻せば、プリッとした食感になりますから。
岐阜屋のスタッフさん:では早速作っていきますね。まずはボウル等で玉子をよく混ぜて、油を引いて強火で熱した中華鍋に投入します。
岐阜屋のスタッフさん:中華料理で玉子をふっくらと仕上げるポイントは、油を多めに使うことです。油はケチらずに使って、強火でサッと炒めるようにするといいですよ。
岐阜屋のスタッフさん:全体に火が入って半熟の部分がなくなるくらいまで炒めたら、一度お皿などに取り出しておきます。
──ちなみに玉子には味付けはするんですか?
岐阜屋のスタッフさん:岐阜屋では玉子には何も味付けしてません。玉子本来の味を楽しめるようにしています。
岐阜屋のスタッフさん:次に、再度油を引いて強火で熱した中華鍋に、豚肉、人参、玉ねぎを入れて炒めていきます。
岐阜屋のスタッフさん:具材に軽く火が入ってきたところで木耳を入れます。
──木耳は他の具材に比べてたくさん入れるんですね。
岐阜屋のスタッフさん:木耳が主役の料理なのでたっぷり入れています!
岐阜屋のスタッフさん:全体を軽く炒めたら紹興酒と胡椒を入れていきます。
岐阜屋のスタッフさん:ここに岐阜屋特製の鶏ガラと豚ガラで出汁をとったラーメン用スープを中華お玉一杯分入れます。
──このスープが味の決め手になりそうですね。家庭で代用するにはどうすればいいでしょう?
岐阜屋のスタッフさん:家庭で作る場合は、市販の鶏ガラスープの素である程度代用できると思いますよ。
岐阜屋のスタッフさん:続いて、ごま油、すりおろしたニンニクをひとつまみ、砂糖、隠し味に少量の豆板醤を入れます。
──豆板醤を入れているんですね。どんな効果があるんですか?
岐阜屋のスタッフさん:岐阜屋では木耳玉子炒めに塩を入れないのですが、その分の塩味を豆板醤で代用している感じです。少量の豆板醤を入れることで全体の味がグッと引き締まるんです。
最後に、醤油とうま味調味料を少々加えて味を調えていきます。
──ここまで使った材料や調味料はスーパーで買えるものばかりですね。
岐阜屋のスタッフさん:そうですね。なので、木耳を戻す時間や炒めすぎないなどに配慮すれば、家庭でもおいしい木耳玉子炒めを作ることができると思います。
岐阜屋のスタッフさん:最後に先ほど炒めた玉子とニラを入れます。
岐阜屋のスタッフさん:全体が馴染むように中華鍋を数回振って混ぜ合わせれば完成です。
岐阜屋のスタッフさん:木耳がトップにくるようにお皿に盛り付ければ……
早速できたてをいただきます!
大きめの木耳がゴロゴロはいっていてなんとも嬉しい気持ちになりますね! 玉子のふわっとした食感と、コリコリとした木耳のコントラストがなんとも楽しい一品。
途中で投入されていたラーメン用スープが動物系のうま味をブーストしてくれているのが分かります。濃いめの味付けでビールがどんどん進む味わいです!
また、隠し味の豆板醤は辛さを出すというより、塩味を補いつつ全体の味わいをまとめている感じ。調理工程を細かく見せていただかないと、豆板醤がはいっていると気付かなかったと思いますが、あるのとないのでは味のバランスは全く違うものになっているんだろうなと思います。
豆板醤にはこんな使い方があったなんて……。
▲アイドルタイムに取材を実施したのですが注文が続々はいってきます
さて、本日は新宿に店舗を構える中華料理店、岐阜屋に木耳玉子炒めの作り方を教えていただきました。
もちろん中華料理店特有の火力の強さも重要になると思いますが、ポイントを意識すれば家庭でも十分おいしい木耳玉子炒めが作れるそう。シンプルな素材と調味料で作ることができますので、ぜひ気になる方は作ってみてくださいね。
【岐阜屋の木耳玉子炒めのPOINT】
- 木耳は乾燥したものでOK。たっぷりの水で5~6時間かけて戻す。
- 玉子は多めの油で炒める。
- 木耳の食感をいかすように短時間で炒める。
- 隠し味に少量の豆板醤を使う。
※この記事は感染対策を行なったうえで取材したものです。
お店情報
岐阜屋
住所:東京都新宿区西新宿1-2-1
電話番号:03-3342-6858
営業時間:月曜日〜水曜日・日曜日9:00〜翌1:00、木曜日〜土曜日9:00〜翌2:00
定休日:無休
※営業状況は蔓延防止措置等の関係で変更になる場合がありますので、店舗までお電話でご確認ください。
書いた人:塩見なゆ
酒場案内人(飲食・酒類専門ライター)。東京都杉並区・荻窪生まれ。 得意分野は街と酒。 新宿ゴールデン街に通ったお酒好きの両親を持つ。両親が飲んでいた瓶ビールに憧れて成長する。趣味からはじまった酒場めぐりは、次第に仕事になっていく。