みなさん、こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキストSatoviです。
いきなりゲームのキャラみたいな画像から失礼します!
今回はまたまた新企画! 私たちタベアルキストが様々な食の体験にチャレンジ、その体験レポートをみなさんにお届けしようという体当たり企画です。
体験内容はメンバーもジャンルも多岐に渡る予定ですので、楽しみにしていてくださいね。
江戸の技、あめ細工
さて、第1回目のミッションは「あめ細工の技をジャックせよ!」です。
これ相当高度な職人技だと思うのですが、できるのでしょうか? 乞うご期待!
昔懐かしい「あめ細工」。子どもの頃にお祭りの屋台で見かけたような。
江戸時代にはあめ職人が細工をしたあめを街に出て売り歩き、細工の技術と種類が増えたとか。
「あめ細工」はお客さんの目の前で一瞬で様々な形を作る、大道芸的な手練れの技が魅力。まずはその技に触れるべく、懐かしい街並みが残る千駄木の「あめ細工 吉原」を訪ねました。
▲あめ細工吉原のオリジナルキャラクター「あめぴょん」
店内に入るとかわいい「あめ細工」がところ狭しと並んでいます。
動物やキャラクター、季節の花など、まさにバリエーションも数も豊富! 飴だけでできているとは思えないほどの表現力や技術力の高さに、まずはびっくり。
▲本当に飴だけ? と思うような、手の込んだ現代風のデザイン作品
そして一つ一つが全て手作りなので、同じ種類でも表情などが微妙に違い、全く同じものは一つとしてないのです。奥の工房では、職人さん達がせっせと「あめ細工」作りに勤しんでいます。
まずはその驚愕の技を見せてもらうことに
代表の吉原さんに「あめ細工」作りを見せてもらうことにしました。
吉原さんは元々イタリアンの料理人。イタリア修行時代に日本文化を見直すきっかけがあり、日本に戻って子どもの頃から興味のあった、「あめ細工」の世界に弟子入りしたそうです。それから14年、現在の店舗での実演販売にたどり着いたそう。
さてさて、その技ですが、間近で見たらもう驚愕の一言! みるみるうちに飴に生命が吹き込まれるような、そんな瞬間に立ち会うことができました。
材料のあめは、もち米やトウモロコシから採れるでんぷんを原料とした水あめに砂糖を加えたもの。水あめ自体にはほぼ甘さがないので砂糖で糖分を足すんだそう。水あめにはほんのりとした甘さしかないというのは少し驚きでした。そしてマット感があり色が白いのが和あめの特徴だそうです。甘味料や着色料を使わないナチュラルな素材にもこだわっているとのこと。
専用の容器で約80℃に温められたあめを、ひと塊り手に取り、伸ばしながらよく練っていきます。練っていくと空気を含んで白く滑らかに。
色を入れる場合はここで練り込みます。今回は食紅を少し入れてピンクの生地にします。
丸めて棒の先端に取り付けたら、そこからは勢いよく作っていきます。あめは温度が下がると急激に固くなってしまうので、固まり始める前に一気に作り上げることがポイント。
一部を引っ張り出して伸ばし、先端を少し曲げたらもう何やら頭のような部分ができてきました。さて何が出来上がるのか?
ここから和ハサミで生地を切りながら形を作っていきます。耳を切り出し、伸ばした首のような部分にスッスッと切り込みを入れていくとタテガミができてきました。そして深い切り込みを入れて、根元をぐい〜っと持ち上げると今度は羽根が現れました。
ペガサスだっ!!
すごい! もうペガサスの原形が出来上がりつつあります。ここまでほんの数十秒です。
あめに生命が吹き込まれる瞬間を見た!
羽の先に切り込みを入れていくと、まるで羽ばたいているような躍動感が生まれてきました。ただサクサクとハサミを入れているだけに見えるのに本当に不思議。
そして前足と後ろ足を引っ張り出し、ひょいひょいと体の形を整えていくと……。
あら不思議! 魔法のようにフ〜ッと命が吹き込まれ、
吉原さんの手の中ではばたき出すような、いきいきとしたペガサスが誕生しました。
最後に目を描いて、完成です。ここまでほんの3分もかかっていないくらい。
いや〜、すごい技術! まさにあめに命が吹き込まれる瞬間を見ました。
作りながら、その動物の動きを捉えて表現していくのがポイントとのことでした。
こちらが完成したペガサス。
たった3分間でアート作品の出来上がり! タテガミや羽や尻尾の細工の細かさ、そして躍動感は感動的ですよね。
感動的な吉原さんの技を動画でどうぞ!!(1:43)
いよいよ「あめ細工」にチャレンジ!
お手本を見せていただいたところで、いよいよ「あめ細工」作りにチャレンジです!
あまりにもすごい技の後で少し尻込み気味になりましたが、気を取り直して、まずは基本のウサギを吉原さんと一緒に作ります。
あめが熱いので、木綿の手袋をしてその上に薄いゴムの手袋を重ねます。80℃のあめは思った以上に熱い! 同じところをずっと持っていられないくらいなので、自ずと焦ってきます。
丸くなったあめの一部を引っ張り出し、まずは頭を作っていきます。少し曲げて首の部分を作ったら、今度はハサミを使って引っ張り出した先端を上下左右に小さく挟んで、鼻を丸く作ります。ここまではかなり余裕な感じ。
さあいよいよハサミを入れて、大きな耳を作ります。ざっくり大胆にハサミを入れようとしたら、むむむ、あめが意外に固い。先ほど吉原さんが軽〜くさっくりとハサミを入れていたのを見ていたので、まさかの硬さです。
思い切りぐっと力を入れて切り出し、持ち上げて形を整えます。何とか耳らしきものができましたが、思いがけないあめの抵抗に、少し余裕が無くなって焦ります。
▲前足部分を切り出して持ち上げたら折れて……
次に胴体と首の間のくびれを作り、胴体全体の形を粘土細工のように形を整えていきます。左右対称にならなくて、もう少し形を整えたいのですが、あめが固まってくるので、追い立てられるように次の工程、前足の切り出しです。胴体前面部に小さく二箇所に切り込みを。
しかし、さっきよりもさらに固く、ぜんぜんハサミが入っていきません。
無理やりハサミを入れて持ち上げたら……ぽろりん。
右手が半分折れてしまいました(泣)。
気を取り直し、逆さに持ち替えて後ろ足の切り出し。切り出して伸ばしていくのですが、もう飴あめの柔らかさがほとんど無く、全く伸びてくれません。
う〜ん、意外と難しい。
後ろ足は諦めて、最後に尻尾を作ります。鼻を作った要領で少し大きめにハサミで上下左右から丸く挟み出します。
さて、どうでしょう?
手足がやけに短い……。ウサギっぽいものが完成しました。
「あめ細工」作りは3分の壁との勝負だということがよくわかりました。80℃のあめが冷えて固まってしまわない3分以内に、いかに形を作っていくかがポイントなんですね。
わかっていても、焦るとさらに手元が狂ってしまうという悪循環。体験してみて、改めて吉原さんの技術の高さを実感しました。
でも簡単でないとはいえ、本当に楽しい体験でした!
最近では海外のイベントへの招待など、グローバルな活動も増えているそうです。日本の伝統芸の伝承という意味でもどんどん活躍の場を広げて欲しいですね。
「あめ細工体験会」
毎週日曜日の午前10時〜11時に、60分の「あめ細工体験会」を催しているそうなので、ぜひ参加してみてください。
今回体験したウサギのほか、イルカやゾウなどの「あめ細工」も作れるそうです。
※要予約、参加費用 2,500円
最後にもう一度、吉原さんの妙技を動画で!!(1:08)
▲吉原さんがモデルの肖像あめ細工、リアルな表現にびっくり!
▲季節のモチーフ、今は夏らしく朝顔
お店情報
あめ細工 吉原
住所:東京都文京区千駄木1-23-5 巴ビル1階
電話番号:03-6323-3319
営業時間:12:00~19:00(実演販売受付18:00まで)
定休日:火曜日(祝日は営業)
ウェブサイト:http://ame-yoshihara.com/