すっぱ辛くてハマる味! いちどは食べたい「ポークビンダルー」の作り方【でらいつカレーvol.17】
「ポークビンダルー」って聞いたことありますか?
「ポーク」っつーからには、“豚肉のなんか”であることは中学英語レベルがあればわかると思いますが、「ビンダルー」ですよね、問題は。
「ビンダルー」のビンは……。あっ、今これ書いてて思い出しましたが、去年シモキタで実際にあった話。
おっと、シモキタってのは、下北沢(東京)のことですよ。
「そんなのわかってるわ!」とおっしゃるのは東京及びその近県の方だと思いますが、どっこい、これが青森の人だと「シモキタ」イコール「下北半島」のことですから(これホント)。
だからちゃんと「シモキタザワ」って言っときます。
そう、「シモキタザワ」であった話。
ワタクシが某カレー屋さんの前で順番待ちしていると、男女3人組(男2 女1)が、メニューを見てこんな会話をしていました。
男:「この『ポークビンダルー』ってどんなの?」
女:「え~っとーぉ、ポークはポークでしょ。ビン……、ん~ビン……、ダルー、ダルー……、あ、ダルーは豆だ!」
男:「そうそう、ダルーって豆ね。豚肉と豆のカレーってことだよ」(キッパリ)
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「ちがうちがうちがう!」……ワタクシは心の中で叫びました。それもかなり早口で。
「え、違うの?」と思ったあなた! もしかしてあの時の方では?
はい、そーです。「ビンダルー」ってのは豆のことではありません!
「ビンダルー(ヴィンダルー)」はVindaloo と書きまして、
これが何を意味するか……、
すぅーーーーーごくハショッて、ざ~~~~~っくり言いますと、ポルトガル語で「ワイン」と「ニンニク」のことを意味します(詳しくは「ビンダルーとは」とかでググって見てください)。
つまり、「ポークビンダルー」ってのは、ポルトガルにおける「豚肉とワインとニンニクの料理」ってのがもとになってるんですね。
それがインドの西海岸地方、ゴアに伝わりカレーになったとき、「豚肉と酢(ビネガー)とニンニクのカレー」になりました。
はい。
とゆーわけで「ポークビンダルー」がなんとなくどんなカレーかわかったところで、今回のレシピ紹介はコレでいきましょう!
お酢とにんにくをたっぷり使ったすっぱカラ~いカレー!
でらいつカレー流・超かんたん「ポークビンダルー」!
まずは食材の紹介から。
材料 (2人分)
- 豚肉(スペアリブ):400g程度
- 玉ねぎ:小1個
- ニンニク:3片
- しょうが:1片
- トマトピューレ:大さじ3
- ヨーグルト:大さじ3
- お酢:大さじ4
- 赤ワイン:大さじ1
- ケチャップ:大さじ1
- 粒マスタード:小さじ2
- ココナッツパウダー:小さじ2
- 塩:小さじ1/2
- カレーパウダー小さじ2
- ガラムマサラ:小さじ1
- レッドチリパウダー:小さじ1
- ブラックペッパー:小さじ1/2
(※詳細は最後に記載します)
もう少しこだわりたい場合は「カレーパウダー」の代わりに個別のパウダースパイス、「クミン」「コリアンダー」「カルダモン」「クローブ」「シナモン」「ターメリック」等を使って、自分の好きな香りに仕上げるのもいいかもしれませんね。
「クローブ」、「シナモン」の香りが立つと、ぐっと本格的になります。
レッドチリパウダーは、一味唐辛子でもいいですよ。
辛いのが苦手な場合は、同量をパプリカパウダーに変更してもOKです。
「ガラムマサラ」、過去のレシピで既出だと思いますが、改めてどんなものか見てみましょう。
何度も書いてますが、今やガラムマサラも100円ショップとかで売ってます。
今回のカレーはこの香りが重要になってきますので、ぜひご購入を!
「ガラムマサラ」とは、「数種類のスパイスをミックスしたもの」のことですが、その配合には、使うスパイスの種類や数も含め、コレと言った明確な決まりがありません。
なので、本当は「ガラムマサラの香り」ってのは1種類じゃないんですよね。
このように、メーカーによって使っているスパイスはさまざまなので、その香りもさまざまです。
とはいえ、香りの系統としては、クローブやブラックペッパー、シナモンを少なからず含むので、重くガツンとくるタイプの香りです。
ちなみに、カレーパウダーも数種類のスパイスをミックスしたものですが、「それと何が違うの?」という疑問が出てきますよね、きっと。
まーそのへんは、「カレー粉 ガラムマサラ 違い」見たいなキーワードでググっていただければ、きっちり的確な回答が得られますので、すみませんが、どうぞそちらでお調べください(他人任せだな~。笑)。
え? どーしてもワタクシに説明してもらいたい。
んー、ならば、こう答えましょう。
カレーパウダーがTPOならば、ガラムマサラはTOPだ! ってね。
TPOは東京フィルハーモニーオーケストラのことで、TOPはタワー・オブ・パワーのことです。
余計わからない?
ん~も~……じゃぁー、ググって(♪チャンチャン)。
はい!
とゆーことで、前置きがかなり長くなりましたが、ガラムマサラについてもご理解いただけたところで、さっそく「ポークビンダルー」の作り方をご紹介しましょう!
作り方
いつもの通り、スムーズな調理のため、下ごしらえをしましょう。
と、言いたいところですが、
今回は下ごしらえとか、ほぼ必要ありません!
するとしたら、ニンニク、しょうがをすりおろすことと、玉ねぎをみじん切りにすることくらいです。
調理時間は少々かかりますが、やることはもう、ほとんどナシ!
時間がおいしくしてくれる!
時間が解決してくれる!
そう、それはまるで失恋から立ち直る心のように……そんなレシピです(どんなだよ!)。
だから今回は先に作り方を書いちゃいます。
- スパイスと調味料を全てよく混ぜ合わせ、豚肉を一晩マリネする。
- 多目の油に豚肉をマリネ液ごと加え、強火にかける。
- 刻んだ玉ねぎと水を加え弱火で40分煮込む。
以上!
これだけです。
いつもしつこく言ってる「玉ねぎ炒め」とか、必要ありません。
玉ねぎなんて「炒めなくたっていいんだぜ~♪」と、ロックなレシピです。
さあ、それでは実際のレシピです。
とくとご覧あれ。
▲ボウルにマリネ液の材料を全て加えよく混ぜ合わせる
- マリネ液の材料:左上から
- ココナッツパウダー:小さじ2
- ヨーグルト:大さじ3
- 赤ワイン:大さじ1
- お酢:大さじ4
- ニンニク(すりおろし):3片分
- しょうが(すりおろし):1片分
- トマトピューレ:大さじ3
- ケチャップ:大さじ1
- 塩:小さじ1/2
- カレーパウダー小さじ2
- 粒マスタード:小さじ2
- ガラムマサラ:小さじ1
- レッドチリパウダー:小さじ1
- ブラックペッパー:小さじ1/2
ヨーグルトはダマになりやすいので事前によくかき混ぜておくといいでしょう。
開封する前のパック容器に入っている状態なら、容器ごとよくふる(シェイクする)と楽です。
ボウルがない場合は、なんとかロックみたいな保存袋に入れてもみ混ぜ合わせてもOKです。
いずれにせよ、しっかり混ぜ合わせることが重要です。
▲マリネ液に豚肉(スペアリブ)を加え、しっかり混ぜ合わせる
ジップなんとかみたいな保存袋を使った場合は、よくもんでおきましょう。
▲ラップをして、冷蔵庫で一晩寝かす
「一晩寝かす」とサラーッと書きましたが、「寝かす」って表現、コレなんなんでしょうね?
「一晩おく」とか「一晩漬け込む」でもいいんですが、やっぱりなんか、「一晩」ときたら、「寝かす」と書きたくなりますね。
「たらちねの」ときたら、「母」、みたいな……。ちがうか。
ちなみに、ワタクシが「一晩寝かす」と書いた場合、おおよそ8時間程度を想定しています。
次からは、実際の調理に入ります。
まずは冷蔵庫から一晩寝かせたボウルを取り出しておきましょう。
常温に戻しておく必要はありませんが、このあと火にかけるので、出したての冷え冷えの状態よりは、少しでも温度を上げておいたほうが調理はしやすいです。
続いて、玉ねぎをみじん切りにしましょう。
▲玉ねぎをみじん切りにする
いつも紹介しているレシピより細かめ、5mm角程度に切ってください。
といっても、細かいみじん切りが苦手でしたら、1cm角程度の粗みじんでも大丈夫ですし、なんなら2mm程度のスライスでも問題ありません。
あ、フードプロセッサーにかけてもいいですよ。
▲フライパンに油をひく
今回のレシピは油多めで作ります。
2人前で大さじ3くらい。 4人前を作るなら大さじ6です。
注意:この時点ではまだ火をつけません。
▲マリネした豚肉(スペアリブ)をマリネ液ごとフライパンに加え、強火にかける
マリネ液はなるべくボウルに残らないよう、ゴムベラなどですくい入れましょう。
この時点でも、まだ火はつけていません。
▲強火にかけ、沸騰したら弱めの中火にし、フタをして10分程煮込む
※10分というのはあくまで目安です。
使用するフライパンの素材や大きさ、火力の強さ、スペアリブの大きさよって差が出ます。必ず目で確認しながら煮込みましょう。
ちなみに、フタをして煮込む理由は、水分の蒸発を防ぐためと、鍋中を高温で維持するためです。
今の時点の水分はマリネ液に使ったお酢、ワイン、ヨーグルト、あとはお肉のもつ水分程度しかないですから、なるべく逃さないようにします。
途中何度かフタを開け、フライパンの底を刮ぐ(こそぐ)ようにしながら、全体をよくかき混ぜてください。
これは5分経ったところです。
オイルが多いので焼け焦げることはほぼありませんが、一応焦げ付き防止のため、底からしっかり刮ぎましょう。
最初の煮込み終わりの目安は、オイルがマリネ液とはっきりセパレートし、きれいなオレンジ色になるまでです。
▲玉ねぎと水(150ml)を加え、肉が柔らかくなるまで煮込む(40分程度)
調理工程としては、この煮込みが最後の行程です。
玉ねぎを加えた状態。ここに水を加えます。
水を加えるときは、直接フライパンに加えるのではなく、マリネで使ったボウルを経由させて加えましょう。
ゴムベラできれいにすくったつもりでも、ボウルにはわずかにマリネ液が残っています。
ほら、こうやって水を加えると、ボウルをキレイにできるでしょ?
このようにマリネで使ったボウルを経由させてから加えます。
もちろん、なんとかロックのような保存袋の場合も同じで、それを経由させて加えます。
玉ねぎと水を加えている間も、弱めの中火のままですが、この後、全体をよく混ぜ合わせたら、一度強火にし、沸騰させます。
全体をよく混ぜ合わせたところです。
当然ですが、水っぽい状態で、玉ねぎが目立っていますね。
まずはボコボコと沸騰するまで強火にかけます。
沸騰を確認したら、弱火にして40分程度煮込みます。
今度はフタをせず、弱火(極弱火)でコトコト煮込んでいきます。
弱火というのは、表面が小さく沸々とする程度の火加減です。
途中何度か底を刮ぐようにしながらかき混ぜましょう。
生の玉ねぎが底にたまるのでそれを全体に混ぜ合わせるためです。
オイルのセパレートがはっきりしてきたら、完成間近!
40分煮込み終わりました。
キレイな赤いオイルが浮かんでいるのが分かりますよね?
これがおいしいカレーの目印です!
(って、自分で作っといてよく言うわね)
でらいつカレー流「ポークビンダルー」の完成でーす!
ネッ! 超簡単でしょ?
調理時間はトータル60分くらいかかりますが、水分や塩分、そしてスパイスの量を間違えなければホントーに誰でも簡単に作れます。
さぁ、お皿に盛り付けて、いただきましょう!
と、その前に……。
このレシピは、2人前を大さじ3の油を使って調理しています。
「さすがにそれは多いな~」と感じたら、このように、盛り付ける前にすくい取って食べなきゃいいだけの話。
でも、この程度ならすくわなくていいと思いますけどね。
そっちのほうがおいしいと思うんだよな~。
ま、これは、お好きなように。
ちなみに、油をあまり摂取したくないからと言って、最初から、調理に使う「大さじ3」の油を、「大さじ1」とかに減らして調理するのはよしてくださいね。
調理油「大さじ3」としているのは、「大さじ3」としている意味があるんですから。
詳しくはまた今度。
さ、彩りと味のアクセントにパクチーなんぞ散らして盛り付けましょう。
すっぱ辛い「ポークビンダルー」完成!
でらいつカレー流「ポークビンダルー」の完成でーす!
ん~、ほんのりカレーの縁にたまるオレンジ色のオイル。
食欲をそそりますね~。
これ絶対、ウマイやつでしょ?
温かいうち、いただきましょう!
まずは、スペアリブ!
大胆に手づかみでイっちゃいましょう!
トータル50分煮込んでますからね。
もう骨から肉がホロリと……。
あ~、ウマイー!
マリネ液に使ったスパイスとたっぷりのお酢とニンニク、アンドその他もろもろ、そして、一切炒めていない生の玉ねぎをただただ、ただただ煮込んだだけのソース。
もうこのひと口だけで、あっちの世界へいってしまいます。
これだけでこの味が出せるんだったら、「もう玉ねぎなんか、炒めなくていいじゃん!」
そう叫びたくなる味ですよ、ホント。
あ~、カレーソースとごはんを混ぜ混ぜして食べた日にゃぁ、もう、こっちの世界に帰って来たくない、そんな思いになるはずです!
いつだって、終わりはやってきます……。
最後のひと口です。
あっという間の完食、ごちそうさまでした!
「ポークビンダルー」、またあう日まで……。
フォーエバー、「ポークビンダルー」……。
おさらい
ポークビンダルー 材料(2人分)
- 豚肉(スペアリブ):400g程度
- 玉ねぎ:小1個(150g程度)
- ニンニク:3片
- しょうが:1片
- トマトピューレ:大さじ3
- ヨーグルト:大さじ3
- お酢:大さじ4
- 赤ワイン:大さじ1
- ケチャップ:大さじ1
- 粒マスタード:小さじ2
- ココナッツパウダー:小さじ2
- 塩:小さじ1/2
- カレーパウダー小さじ2
- ガラムマサラ:小さじ1
- レッドチリパウダー:小さじ1
- ブラックペッパー:小さじ1/2
- 水:150ml
- 調理油:大さじ3
下準備
豚肉、玉ねぎ、水、調理油以外のすべての材料を混ぜ合わせマリネ液を作る。
マリネ液に豚肉を一晩(8時間以上)漬け込む。
- フライパンに調理油をひき、マリネした豚肉をマリネ液ごと加える。
- フタをして10分煮込む。(途中フタを開け、何度かかき混ぜる)
- 刻んだ玉ねぎと水を加え、弱火で40分煮込む。
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最後にワンポイント!
「ポークビンダルー」は「お酢」と「ニンニク」と「ブラックペッパー」でキメッ!
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いかがでしたか?「ポークビンダルー」。
こんな簡単なのに、こんなに本格的な味のカレーになるなんて。
きっとそう思ってもらえる味になるはずです!
作ってみてください! 是非に!