こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。
今回は、専用の器具がなくてもしっとり香ばしく焼ける「低温ローストポーク」をご紹介します。
家庭用オーブンレンジでも低温調理はできる
ここ数年、料理好きの間で湯煎式の低温調理器が普及しました。
温度を細かく管理でき、長時間放置で調理ができるので、これまで難しかった微妙な火入れが手軽にできます。しかし、密閉湯煎で肉を低温調理すると、香ばしさを加えるには最後に表面を焼き付ける必要があります。
ならばと、最初から低温のオーブンで加熱するのが今回の低温ローストポーク。
うまく焼けると脂ふわふわ、肉はしっとり、スジも柔らか。噛みしめるほどに旨味がほとばしります。脂を落としスジを柔らかくするため、冷やしても美味しく食べられますよ。
オーブンによっては、時々世話をしなければならないのでずっと放ったらかしで、とはいきませんが、それでも手間は少ないです。
オーブン加熱5時間、時間はかかるが旨味がほとばしる
肉はだいたい68度を超えると、縮んで旨味が流出し硬くなってしまう。といって、温度が低すぎると安全の確保とスジ部分を柔らかくするのに時間がかかりすぎる……。その兼ね合いで、今回は肉の芯温(中心部の温度)を60~65度程度にして長時間キープする調理法です。
いろいろ試しましたが、我が家の家庭用オーブンレンジの場合、
- 豚肩ロースに味付けして冷蔵庫で1~2日置く
- 120度のオーブンで1時間半加熱(芯温60度到達)
- 100度にして3時間半加熱(途中1時間おきに上下返す。合計5時間加熱)、30分放置
でだいたいうまく焼けます。
とはいえ、オーブンによって設定温度と実際の温度の差、温度の上がり具合などに違いがあるので、肉に刺して測るタイプの温度計で肉の芯温を確認しながらやると確実です。
味付けはお好みでいろいろ試してみてください。ここでは塩こしょうのプレーンなものと、おまけで最近のお気に入り、ちょっとエスニックにナンプラーとクミンシードを使うものをご紹介します。
今回のレシピメモはこんな感じ。
なお、今回のレシピは、片側に脂がついた豚肩ロース500gの肉を基準にしています。(幅10cm、高さ6cm、長さ14cmほど)
脂が多すぎてもしつこくなるので、厚ければ5mmほどに削いでおきましょう。
ツジメシの「低温ローストポーク(プレーン塩こしょう)」
【材料】(作りやすい量)
- 豚肩ロース塊 片側に脂のついているもの 500g
- 塩 小さじ1(6g)
- 粗挽き黒こしょう 適宜
- 粒マスタード 適宜
- クレソン、ルッコラなど 適宜
作り方
1. 豚肩ロースは水気を拭き、塩とこしょうをまぶして冷蔵庫で1日置く。
2. オーブンを120度に余熱する。天板に、オーブンシート、バットの金網を乗せ、オーブンシートを箱状に折りフチを作る。
出た脂を吸わせるため、クッキングペーパーを小さく折って網の下に挟んでおくと後の片付けが楽。
3. 脂を上にして肉を置き、オーブンに入れ、
120度で1時間半加熱する。(ここで芯温60~65度程度)
4.100度に下げて3時間半加熱。
下になった面は脂が回ってしっとりするので1時間おきに上下を返す。このドアの開け閉めで庫内の温度が下がり、ちょうど肉の芯温が65度程度にキープされる。
6. 時間になったらドアを開けたオーブンでそのまま30分ほど放置する。
7. 薄切りにして味をみて薄ければ軽く塩をし、クレソン、ルッコラなどの野菜を付け合わせ、粒マスタードを添える。
もし、仕上がりの肉が白っぽいかパサつくようなら、120度の時間(工程3)を短くして、100度(工程4)のドアを開ける頻度を増やして調整。
逆に、スジ部分が硬いようなら100度の時間を長くする。
エスニック好きには「ナンプラークミン赤唐辛子」もおすすめ
【材料】(作りやすい量)
- 豚肩ロース塊 片側に脂のついているもの 500g
- ナンプラー 大さじ1+小さじ1
- はちみつ 小さじ1
- クミンシード 小さじ1
- 粗挽き赤唐辛子(韓国やスリランカ産などあまり辛くないもの) 小さじ1
- パクチー、春菊、青ネギ、カイワレなど 適宜
- レモン汁 適宜
作り方
1. 豚肩ロースは水気を拭く。ポリ袋にナンプラーとはちみつとを混ぜ合わせたところに豚肉を入れてよくもみ、冷蔵庫に2~3日おく。
2. 軽く汁気を拭き、クミンシード、赤唐辛子をまぶす。
3. 焼き方はプレーンと同様。じっくりと。
4. 焼けたら薄切りにして、パクチー、春菊、青ネギ、カイワレなどをレモン汁で和えたものをたっぷり添える。
お好きな味付けで、絶品ローストポークを
プレーン、エスニックともにお手ごろな肉が見事なローストポークに仕上がります。しょうゆ、みりん、砂糖などを使った焼豚風や、バーベキューソース的な味付けにしたものも美味しいですよ。
ちなみに、厚生労働省によると、豚肉の安全な加熱は中心部63度30分または同等の加熱、となっています。60度だと2時間ほどが同等となるので、今回のレシピであれば(120度1時間半の時点で芯温が60度以上になっていれば)心配ありません。
作った人:ツジメシ
本名は辻村哲也、ツジムラの飯でツジメシです。本業は各種製品を手がけるプロダクトデザイナーながら、料理好きが高じて間借り飲食店でも料理中。手抜き日常食からマニアックな料理まで図解したレシピが人気。著書に『付箋レシピ デザイナーときどき料理人のスケッチごはん』(アース・スターエンターテイメント)。
- ブログ:ツジメシ。プロダクトデザイナー、ときどき料理人
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