こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。「ツジメシの日常メシと週末メシ」シリーズ、今回はひと手間を楽しむ週末メシ。
以前、「製麺してラーメンを作って食べる会」で出して好評だった「牡蠣つけ麺」。その時は鶏の足を何時間も煮込んだりと大変だったのですが、その後どうにか手軽に再現できないものかといろいろ試していて、よいものができたのでご紹介します。
炒めて煮込んで十数分、これだけで複合的な味わいでとても美味しい、今どきのラーメン屋さんの限定メニューでありそうな感じのつけ麺ができます。
煮干しや昆布、豚肉がうま味の下支えをしつつ、形はなくても強く感じる牡蠣の風味。そこに揚げたごぼうとニンニクの香ばしさ、春菊のほろ苦さと香りのバランスがばっちりで、多めの麺でもぺろりとなくなってしまうこと請負いの自信作です。
これ、ほんとにおすすめなので、牡蠣好き、つけ麺好きの方はぜひお試しください。
<今回はフードプロセッサを使うレシピです。>
すり鉢すりこぎがあれば、がんばればいけると思います。
ツジメシの「牡蠣つけ麺」
材料(1人分)
- 水 150ml
- 昆布 3g
- 煮干し (頭とはらわたを除いて)10g
- サラダ油 小さじ1
- 玉ねぎ 50g(約1/4個)
- 豚バラスライス 50g(約2枚)
- しょうが 7g(約1-2cm角)
- 加熱用生牡蠣 100g
- ナンプラー 小さじ2
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ
- 赤唐辛子 1本
- ごぼう 30g(約10cm)
- 塩 少々
- 生中華太麺 適量(150-200g)
- 春菊 適量
- 黒胡椒 適量
作り方
頭とはらわたを取り除いた煮干し、昆布を水に浸し30分以上おきます。今回煮込み時間が短いので、時間があれば一晩くらい冷蔵庫に入れておくと、よりうま味が出ます。(写真は一晩おいたもの)
和食では煮干しの頭とはらわたは取り除くのが原則ですが、ラーメン界ではえぐみも個性のうち、と取らない場合も多いです。でも今回は牡蠣をメインの風味に、煮干しは下支えに回ってもらうため取り除いて使います。
玉ねぎは5mm厚にスライス、豚バラは2-3cm幅に切ります。牡蠣は水洗いして水気を切っておきます。しょうがは皮ごと粗みじん切りにしておきましょう。
今回、牡蠣はスーパーの生牡蠣(水に入っていないもの)を使いました。冷凍の牡蠣でもOKです。ものにより加熱すると水が出てかなり縮んでしまうものもあるため、量は多めにしたほうがよいかもしれません。
鍋(一人分なら直径16cmくらい)に油を引いて火にかけ、豚バラ、玉ねぎを入れ、いったんざっくり混ぜて油を回したら、広げて触らず強めの中火くらいで2-3分放置、焼き色がついたら上下をざっくり返してまた焼き色をつけます。
豚肉と玉ねぎに焼き色がついたら、しょうがのみじん切りを加えてさらに1分ほど炒め、
昆布と煮干し、浸した水を加え、牡蠣、ナンプラーも加えて火を強めます。このとき後で粉砕しやすいよう大きい昆布は適当に切っておきましょう。
沸騰したら弱火にし、混ぜながら5-6分煮ます。
(加熱用の牡蠣を安全に食べるためには、中心温度で85度1分の加熱が必要とされています。この作り方で何度か試しましたが、3-4cmの小粒の牡蠣で、中心が85度になるには沸騰後5分ほどかかりました。)
具用に大きめの牡蠣を1-2粒取り出します。
このあたりで麺茹で用のお湯(1人分1.5L程度)を沸かしておきましょう。
少し冷ましてから(温度が高いと吹き出す恐れがあります)残りをフードプロセッサにかけます。(すり鉢すりこぎを使う場合は、固形物だけ取り出してすり、煮汁と合わせるといいと思います。)
ハンディタイプのプロセッサがあると、こういうとき鍋で直接粉砕してそのまま温め直せるので便利です。これでひとまずつけ汁はできあがり。つけ麺の汁としてはかなり濃度のある仕上がりです。
ごぼうを斜めに切り(今回は太かったので縦半分に割ってから斜めに切りました)、
ニンニクは縦に割って焦げやすい芯を取り除き、1-2mm幅にスライスします。
小さめのフライパンにサラダ油、ニンニク、赤唐辛子、ごぼう、塩を入れて中火にかけます。油がふつふつとしてきたら弱火に落とし混ぜながらニンニクがきつね色になるまで3-4分揚げ焼きにします。
(ニンニクチップを作るとき、油に塩を少しだけ入れるとニンニクにうっすら塩味が付いて美味しいです)
麺の指定茹で時間が5分ほどなら、このあたりで茹ではじめましょう。
ニンニクがカリッとして色づいたら取り出し、中火程度に火を強めてごぼうがこんがり香ばしく火が通るまで揚げ焼きにし、こちらも取り出しておきます。
ニンニクとごぼう、唐辛子の香りの移った油は香味油として使いますよ。
麺が茹で上がったらザルに上げ、水洗いしてぬめりを取り、水気をよく切ります。
つけ汁の鍋を火にかけて温めておきましょう。
麺を器に盛り、春菊の葉を乗せます。
このつけ汁と春菊がとても合うので、春菊がお好きな方はたっぷり乗っけちゃってください。
お椀につけ汁を注ぎ、トッピングの牡蠣、揚げたごぼう、ニンニクを乗せ、揚げ油も回しかけ、お好みで黒胡椒を挽いたら出来上がりです。(赤唐辛子は乗せなくてもOK)
麺をつけ汁に浸して、というか濃度があるのでまぶす感じにしてすすると、口の中が「牡蠣!」という風味で満たされます。昆布と煮干しと豚肉でつけ麺らしい力強さがあり、揚げ焼きしたごぼうとニンニクの香ばしさ、そこに春菊のほろ苦さとシャキシャキ食感。たっぷりの麺と春菊もぺろりとなくなりますよ。
麺を食べ終わってつけ汁が残ったら、お湯150-200mlに鶏ガラスープの素を小さじ1/2ほど(分量外、薄めがよいと思います)を溶かしたスープで割ると、最後まで無駄なく美味しく食べらるので、こちらもおすすめです。
ちょっと工程多いですが、順番にやれば難しくありません。
気になる方、今度の週末にぜひお試しください。
作った人:ツジメシ
本名は辻村哲也、ツジムラの飯でツジメシです。本業は各種製品を手がけるプロダクトデザイナーながら、料理好きが高じて間借り飲食店でも料理中。手抜き日常食からマニアックな料理まで図解したレシピが人気。著書に『付箋レシピ デザイナーときどき料理人のスケッチごはん』(アース・スターエンターテイメント)。
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