こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。「ツジメシの日常メシと週末メシ」シリーズ、今回は週末メシ。
インド料理店で見かける緑のカレー。お店では茹でたほうれん草をペーストにしたものを使うことが多いようですが、現地では色々な青菜を使い、菜の花もメジャーだそうです。ということで、今が旬の菜の花をたっぷり使った、シンプルなカレーをご紹介します。
使うスパイスはホール(丸のもの)スパイスはクミン1種類だけ、あとは定番パウダースパイス3種類と最小限。
鶏肉と一緒に30分煮込んでほろほろくたくたになった菜の花の食感と、ほろ苦な春の香りが楽しめます。
いつもは1食分のレシピで書いていますが、余った分は冷凍しておけるので、作りやすい量ということで2食分でご紹介します。
今回インド料理的セオリーを踏襲したりしなかったりしてますが、なぜこの作り方なのかをレシピの合間に書いています。もちろんそんなのめんどくさいという方は飛ばして読んでいただいても大丈夫。
ツジメシの「菜の花くたくたチキンカレー」
材料(2食分)
- 玉ねぎ 150g(中1/2個)
- ニンニク 10g(1かけ)
- しょうが 10g
- ししとう 4-5本
- 菜の花 150g
- 鶏もも肉 250g(約1枚)
- サラダ油 大さじ1
- 塩 小さじ1/2
- カイエンペッパー 小さじ1/2
- ターメリック 小さじ1/3
- 水 200ml
- バター(有塩) 20g
- クミンシード 小さじ1/2
- ガラムマサラ 小さじ1/2
作り方
玉ねぎは粗みじん切り(5mm×1-2cm)、ニンニクとしょうがも粗みじん切り(5mm角くらい)、ししとうは1cm幅の小口切りに。菜の花は1-2センチにざく切り、鶏もも肉は3-4cm角程度に切り分けておきます。
インド料理では辛さのほかに青臭さを加えるために青唐辛子を使います。ここでは手軽に手に入るししとうで代用しています。手に入れば、ししとうの代わりに青唐辛子を1本ほど加え、そのぶんこの後のカイエンペッパーは控えめにしてみてください。
鶏肉はインド風に皮なしを使っています。お好みでどちらでも大丈夫です。
直径20cmの鍋にサラダ油を熱し、玉ねぎを入れて炒めます。
最初にざっと混ぜて油が全体に回ったら、玉ねぎを平らにならして強めの中火くらいで2-3分放置し、ふちの方が茶色く色づいてきたら上下を返すように混ぜ合わせ、再度ならして放置、を2-3回繰り返します。
炒め時間は合わせて8-10分ほど。
お店のほうれん草カレーでは、茹でたほうれん草をペーストにして後から加え、鮮やかな色を活かします。そのため玉ねぎも色がつき過ぎないよう軽めに炒めます。
今回は、煮込んだ菜の花のほろほろとした質感優先で、色はくすんだ緑の仕上がり。そのため玉ねぎもカレーとしての味の満足感を出せるようしっかり炒めにしています。
このくらいの色になったら、
焦げないよう火を弱めて、ニンニク、しょうが、ししとうを入れて30秒ほど炒め、
さらに塩、カイエンペッパー、ターメリックを加えてさらに30秒ほど炒めます。
具材を入れると鍋の温度が下がるため、先にパウダースパイスを炒めて香りを立て、粉っぽさを飛ばします。インドカレーの作り方の定番としてはここでトマトを加えて炒めますが、菜の花の風味と色を活かすため、今回はあえて使いません。どちらもやってみましたが、菜の花と鶏肉のうま味でトマトなしでもじゅうぶんな美味しさに仕上がります。
鶏肉を加えたら中火にし、肉の表面が白っぽくなるまで炒め、
さらに菜の花も加えて炒めます。
菜の花に油が回り、かさが減ってきたら、
水を加えて火を強め、沸騰したら蓋をして、沸騰を保つ程度に火を弱めて20分ほど煮ます。
20分経ったら蓋を取り、水分を飛ばしながらさらに10分ほど煮ます。
仕上がりの水分量はあまりしゃばしゃばより、ややとろっとした液体部分が肉にまとわるくらいを目標に。
煮込むときの水分の飛ばし加減はレシピで指定しにくいため、途中で蓋を取って調整するようにしています。
ちなみに出来上がりはこの2食分で500g程度を想定しています。レトルトカレーは1人分180gくらいなので、ちょっと多め。家で作るカレーは、カレー/ご飯比率を気にせずたっぷり食べたいですよね?
ここで小さめのフライパンにバターを入れ中火で溶かし、クミンシードを加えて熱します。
バターが泡立ち、クミンがやや膨らんできたら、
火を止め、ガラムマサラも入れてひと混ぜし、鶏と菜の花の鍋にジャッと入れます。
インド料理では最初に油でホールスパイスの香りを出し(テンパリング)、途中パウダースパイスを使うことが多いです。今回は菜の花の風味を活かすためスパイスは最小限に、そして今回唯一のホールスパイス、クミンは香りをダイレクトに感じるよう、仕上げにバターでテンパリングする方法にしています。ついでに最後のガラムマサラもバターの温度で香りを立たせるようにしました。
軽く混ぜ合わせ、バターとスパイスがなじむよう1-2分煮ます。
味をみて、塩(分量外、煮詰め加減にもよりますが、有塩バターを使った場合はほぼなしで大丈夫なはず。無塩バターを使った場合は2つまみ程度を目安に加えてください)で味を調整したら出来上がり。お好みのご飯と一緒にどうぞ。
ご飯は硬めに炊いた日本米でも、茹でたインドやタイのインディカ米でも、日本米インディカ米ミックスを炊いたものでもお好みで。無発酵薄焼きパン、チャパティ(ロティ)も合いますよ。
写真はもち麦を多めに混ぜた日本米を硬めに炊いたものを合わせています。ぷちぷちもっちりしたもち麦の食感もアクセントになって、なかなかいい組み合わせです。
ほろ苦い独特の風味の季節の菜の花に、鶏肉も入って食べ応えもじゅうぶん。クミンシードの食感と噛むと弾ける香り、バターのコクで満足感もあります。
菜の花を見かけたら、次の週末にでもぜひお試しください。
作った人:ツジメシ
本名は辻村哲也、ツジムラの飯でツジメシです。本業は各種製品を手がけるプロダクトデザイナーながら、料理好きが高じて間借り飲食店でも料理中。手抜き日常食からマニアックな料理まで図解したレシピが人気。著書に『付箋レシピ デザイナーときどき料理人のスケッチごはん』(アース・スターエンターテイメント)。
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