こんにちは。お茶に関するさまざまな活動をしているTeaist(茶人)の矢島愛子と申します。
突然ですが、家飲みをする際にはどんなお酒を飲まれていますか?
ビール・ハイボール・チューハイ・日本酒・ワインなどを楽しまれている方が多いと思いますが、私がおすすめしたいのは甲類焼酎をお茶で割った「お茶ハイ」です。
今回はお茶ハイの魅力や、さまざまな種類のお茶ハイの作り方をご紹介させていただければと思います。無限に広がるお茶ハイの世界を感じていただければ幸いです。
美味しいお茶ハイを作る2つのポイント
美味しいお茶ハイの作り方からご紹介していきます。ポイントはこの2つ。
①茶葉やティーバッグは規定(パッケージ表示)の倍量を使用して、お茶の味を濃く抽出すること。
②「冷水でじっくり抽出する水出し」「熱湯で抽出した後に氷で一気に冷やす急冷法」「熱湯で抽出するお湯出し」の3種類からお茶の特徴に合う抽出方法を選ぶこと。
規定の量でお茶を抽出すると、焼酎を割った時に味がぼやけてしまいます。そのため、規定の倍量を使用して濃いめのお茶を抽出することが重要なんです。
次に、お茶の抽出方法には大きく分けて「水出し」「急冷法」「お湯出し」の3種類があります。
「水出し」は苦みや渋みが出づらい淹れ方なので、角のないサラッとしたお茶ハイになります。「急冷法」は苦みや渋みを氷が和らげてくれるため、お茶の個性と飲みやすさを両立させてくれます。「お湯出し」は短時間で抽出可能で、お茶の苦みや渋みを引き出します。お茶の特徴によって3種類の抽出方法から選んでみてください。
この2つのポイントを抑えることができれば、美味しいお茶ハイを作ることが可能です。それでは早速、さまざまなお茶を使ったお茶ハイを紹介します!
夏以外も楽しめる「麦茶ハイ」
まず紹介するのは麦茶ハイです。夏に消費量の多い麦茶ですが、シーズンを過ぎると飲まない人も多いはず。
季節を問わずに飲むことができる麦茶ハイの作り方を紹介していきます。
作り方
1.麦茶バッグは、スーパーなどで購入できるもので構いません。麦茶は水出しで抽出しますので、水出し用、もしくは、煮出し用・水出し用の両方に対応したものを選んでください。
2.次に規定の倍量で麦茶を抽出していきます。水1Lを入れたピッチャーに麦茶バッグ2つを入れて抽出します。
※以下全て、メーカーごとにパッケージに表示されている分量は異なる場合がありますので、確認した上で抽出してください。
※以下全て、パッケージに表示されている分量の倍のティーバッグや茶葉を使用します。
3.2時間ほど冷蔵庫に入れておけば麦茶の抽出は完了です。あとはグラスにお好みの割合で焼酎と氷と麦茶を注ぐだけ。あっという間に麦茶ハイの完成です。
麦茶ハイは、倍量の濃度で抽出したこともあり、麦茶特有の穀物の甘みが強く感じられます。夏に飲んでいた麦茶とは全く違う一面を垣間見ることができますよ。焼酎との相性もよく、お風呂上がりに飲みたくなる1杯に仕上がります。
異国情緒が感じられる「ジャスミンティーハイ」
次に紹介するのはジャスミンティーハイです。飲食店ではペットボトルのジャスミンティーと焼酎を混ぜて作られることもあるのですが、規定の倍量の茶葉で抽出することで、しっかりとジャスミンティーの味を楽しめる1杯を作っていきます。
作り方
1.ジャスミンティーはお湯出しで抽出していきます。急須に70度前後に沸かしたお湯250mlとティーバッグ2つを入れます。その後はしっかりと蓋をして、温度が下がらないように抽出します。
2.急須の中で2分ほど置いておけば抽出は完了です。ピッチャーなどに注ぎ入れ、粗熱がとれたジャスミンティーに、お好みで焼酎と氷を合わせれば、ジャスミンティーハイの完成です。
※抽出時間が長くなり苦みや渋みが出てしまった場合は、焼酎を合わせる前に、ジャスミンティーに氷を入れて急冷することで苦みや渋みを抑えることができます。
さて、濃いめに抽出したジャスミンティーハイですが、さっぱりとした味わいと、甘い花の香りがしっかりと感じられるお茶ハイでした。アジア系の料理に合わせると、より異国情緒が漂う1杯になりますよ。
レモンで色が変化する!? 「バタフライピーティーハイ」
次にご紹介するのはバタフライピーティーハイです。タイ原産のバタフライピーというハーブから出る天然の青色が特徴のお茶です。
いま需要が高まりつつあるお茶の1つで、最近はカフェなどでもよく目にするお茶です!
作り方
1.バタフライピーは急冷法で抽出していきます。70度前後のお湯700mlにティーバッグを2つ投入し、3分ほど抽出した後に300gほどの氷を追加して一気に冷やします。
バタフライピーは水出しやお湯出しで抽出すると、色が多少濁ってしまうことがありますが、急冷法を用いて氷で急速に冷やすことで、美しい青色のバタフライピーを抽出することができます。
※急冷法とは、お湯でお茶を抽出した後に氷で一気に冷やす抽出方法です。
2.20分ほど冷蔵庫などで保存し、しっかりと温度が下がれば抽出は完了です。お好みの分量の焼酎と氷を合わせれば、バタフライピーティーハイの完成です!
華やかな見た目なのでフローラルな香りや味わいをイメージされるかもしれませんが、実際にはかなり素朴な味になります。ほんのりと豆の風味が感じられる程度ですので、物足りない方は、ガムシロップやはちみつを追加するのがおすすめです。
そしてバタフライピーティーには、レモン汁を数滴入れると紫色に変化する性質があります。途中でレモン汁を数滴入れて、色の変化も楽しんでみてください。
焼酎と相性がいい「紅茶ハイ(加糖)」
次に紹介するのは紅茶ハイ(加糖)です。基本的にどんな紅茶の品種でも焼酎に合いますので、お手軽に紅茶ハイにできてしまうのが魅力です。
それでは早速作っていきましょう!
作り方
1.紅茶ハイは急須を使ったお湯出しで抽出していきます。急須の中に沸騰した熱湯200mlとティーバッグ2つを入れます。
そして、抽出の段階で小さじ1強の砂糖を投入します。砂糖の甘みによって、紅茶のコクが増して、氷や焼酎で多少紅茶が薄くなっても、それに負けない存在感を引き出すことができますよ。
※砂糖の分量はお好みでご調整ください。自分が飲みやすい配分を探してみてください。
2.急須に入れたまま3分ほど待てば抽出は完了です。ピッチャーなどに注ぎ入れ、粗熱がとれた紅茶に、お好みの分量の焼酎と氷を合わせれば、紅茶ハイ(加糖)の完成です!
お茶ハイ初心者の方には、紅茶ハイ(加糖)から試していただきたいと思えるほど、砂糖が紅茶のコクを引き出して焼酎とよく合います。ぜひお好きな紅茶の品種で、自分好みの紅茶ハイを作ってみてください。
また、スッキリした味わいがお好きな方は、無糖の紅茶ハイでも美味しく楽しんでいただけます。砂糖の有無はお好みで調整してみてくださいね。
食物繊維が豊富な「ごぼう茶ハイ」
次に紹介するのがごぼう茶ハイです。実はこのごぼう茶ハイは、特に強く推していきたいお茶ハイの1つです。
なぜなら、スーパーで手軽に買えることに加え、食物繊維やポリフェノールが豊富なお茶だからです。
ごぼう茶は、乾燥させたごぼうを使用し、茶葉が入っていないものが一般的です。そのためノンカフェインになるので、麦茶と同様に安心して飲みやすいお茶の1つです。(※お茶をブレンドしたごぼう茶も存在するため、購入の際は原材料などをご確認ください。)
そんなごぼう茶を使ってお茶ハイを作っていきます!
作り方
1.ごぼう茶は水出しで抽出していきます。1Lの水を入れたピッチャーに、ティーバッグを2つ投入します。1時間ほど冷蔵庫に入れておけば抽出完了です。
また紅茶と同様に、ごぼう茶の場合も砂糖を加えるとコクがグッと増します。ごぼう茶のザラザラした野菜味(やさいみ)が気になる場合は、砂糖やガムシロップを入れてみてください。
2.抽出したごぼう茶に、お好みの分量の焼酎と氷を合わせれば、ごぼう茶ハイの完成です!
ごぼう茶を飲んだことのない方もいらっしゃると思いますが、ごぼうの土臭さよりも香ばしいごぼうの野菜味を強く感じる味わいになっています。
そして砂糖を入れると、ごぼう特有のえぐみを抑えることができるため、ごぼうが得意ではない方にも美味しく飲んでいただけるようなお茶ハイです。
極上の緑茶ハイを〜足久保ティーワークス「さえみどり」
さて、ここまではスーパー等で手軽に買えるお茶を紹介してきましたが、ここからは極上のお茶ハイを作るなら! という視点で選出した3種のお茶ハイをご紹介します。
はじめに、足久保ティーワークスさんの「さえみどり」を使用した緑茶ハイからご紹介させていただきます。このさえみどりは、お茶処静岡の中でも名の知れたお茶の1つで、さまざまな受賞経験があるお茶です。
美味しい緑茶ハイを飲んでみたい! という方にはおすすめしたいお茶です。
それでは、足久保ティーワークスさんのさえみどりを使った緑茶ハイを作っていきましょう。
作り方
1.足久保ティーワークスさんのさえみどりを使用した緑茶はお湯出しで抽出していきます。10gの茶葉に対して、70度前後のお湯を200ml急須に注ぎます。
足久保ティーワークスさんのさえみどりは、渋みが少なく甘みの強い貴重な品種です。そして、倍量で抽出すれば、お酒と合わせてもしっかりとお茶のうま味を感じることができます。なので、思い切って贅沢に茶葉を使うことがポイントです。
2.急須の中で2分ほど置いておけば抽出完了です。抽出した緑茶を冷ました後、お好みの分量の焼酎と氷を合わせれば、さえみどりを使用した緑茶ハイの完成です!
味についてですが、焼酎と合わせても緑茶の甘みと風味が強く感じられ、一般的な緑茶ハイとは一線を画する味わいでした。飲み干した後にも、口の中に爽やかな緑茶のうま味が残り、おつまみがなくてもゴクゴクと飲み進められます!
加えて、鼻を抜ける香りと美しい緑も楽しむことができますので、目でも舌でも鼻でも楽しむことができます。
緑茶ハイが好きな方には、ぜひ試していただきたい1杯です。
香ばしさとうま味の両立 NAKAMURA TEA LIFE STORE「玄米茶」
次にご紹介させていただくのは、NAKAMURA TEA LIFE STOREさんの「玄米茶」を使用した玄米茶ハイです。
まずNAKAMURA TEA LIFE STOREさんについてですが、東京の蔵前にお店を構えるお茶屋さんで、静岡県藤枝市で栽培・収穫された上質な茶葉を使ったさまざまなお茶を販売しています。
そんなNAKAMURA TEA LIFE STOREさんの数あるお茶の中で、お茶ハイにぴったりだと思ってセレクトしたのが玄米茶です。
基本的に、玄米茶は焙煎した香ばしいお茶と玄米をブレンドしたものが一般的ですが、NAKAMURA TEA LIFE STOREさんの玄米茶は、無農薬で有機栽培した一番茶と香り高い国産玄米を合わせて作られています。
それにより、しっかりとお茶の味を楽しめる上に、良質な玄米のうま味が合わさり、非常に飲みやすくなっているんです。
それでは早速、NAKAMURA TEA LIFE STOREさんの「玄米茶」を使って、玄米茶ハイを作っていきましょう。
作り方
1.NAKAMURA TEA LIFE STOREさんの玄米茶はお湯出しで抽出していきます。10gの茶葉に対して、85度前後の少し熱めのお湯を250ml急須に注ぎます。
※高めのお湯で抽出することで玄米の香ばしさを高めてくれます。
2.3分ほど急須の中に置いておけば、抽出完了です。今回は玄米茶のうま味をダイレクトに感じるために、温かい玄米茶をそのまま使用します。
抽出した玄米茶にお好みの量の焼酎を合わせれば、NAKAMURA TEA LIFE STOREさんの玄米茶ハイの完成です!
一口飲んでみると、一番茶の優しいお茶の味がしっかりと感じられます。そして、次の瞬間には玄米の香ばしさとうま味が追ってきますので、一辺倒ではない複雑な味わいを感じることができます。
水出しでも作ってみましたが、ホットの方が玄米の香りやうま味を感じやすくなっていました。食事中はもちろん、食後に出てきても嬉しい玄米茶ハイです。
レモングラスのブレンドハーブティー TSUNAGUTO「スッキリ茶」
最後にご紹介するのは、TSUNAGUTOさんの「スッキリ茶」を使用したハーブティーハイです。
一般的にハーブティーは、酸味や渋みを感じやすい上に、抽出の難しさもあり好みが分かれるお茶でもあります。
そんなハーブティーなのですが、TSUNAGUTOさんのスッキリ茶は、緑茶好きもハーブティー好きも納得する味のバランスと安定感があると評判の商品なんです。
それでは早速、TSUNAGUTOさんのスッキリ茶を使って、ハーブティーハイを作っていきましょう。
作り方
1.TSUNAGUTOさんのスッキリ茶は水出しで抽出していきます。500mlの水を入れたピッチャーなどに、茶葉15g分をを使用して抽出します。
※茶葉はティーバッグに入れておくと散らばりません。
2.1時間ほど冷蔵庫に入れておけば抽出完了です。お好みの分量の焼酎と氷を合わせれば、TSUNAGUTOさんのスッキリ茶で作ったハーブティーハイの完成です!
実際に飲んでみると、焼酎よりもレモングラスの香りを強く感じた後に、日本茶とハーブティーの風味が追いかけてきます。焼酎と混ぜても味がブレず、上質なハーブで優雅な気分にさせてくれる上品なお茶ハイになりました。ハーブティーが好きな方は試していただきたいと思います!
まとめ
今回は、手軽に購入できるお茶から、とっておきのお茶を使って作るお茶ハイまで、幅広くご紹介させていただきました。
自宅でお酒を飲む機会が増えた昨今ですが、さまざまなお茶を使って自分好みのお茶ハイを作ってみてはいかがでしょうか?
書いた人:矢島愛子
茶人、Teaist(ティーイスト)。国際基督教大学大学院修了。現代茶人の研究で文化人類学の修士号を取得。カジュアルな場での茶会を催し、現在は抹茶だけでなくあらゆるお茶を活用。お茶の撮影やレシピ開発、論文執筆を通し、「これもお茶だ」と言い続けることをライフワークとしている。復興庁の大臣への呈茶やTED Talksなどイベント出演多数。