南極の味を98%再現!越冬隊で最も評価の高いビーフシチューが京都で食べられるぞ

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みなさま、こんにちは。メシ通レポーターのナガオヨウコです。

寒い寒いとつぶやく日がまだ続いておりますね。突然ですが、ここで想像を絶する寒さの中にいる南極の越冬隊に思いをはせてみましょう。


南極は最高気温約8度、最低気温約マイナス89.2度(ロシアボストーク基地での観測データより)、見渡す限り雪と氷に包まれた最果ての地。突然吹くブリザードにおののきながらも、懸命に調査を続ける日々。時おり思い出すのは、日本に残してきた妻と子ども、そして田舎に住む母親の優しい顔。

 

おかあちゃあああああーーーん!!!

(ひゅるひゅる、びゅううううん〜〜〜)※ブリザードの音にかき消される


そんな越冬隊員の、芯まで冷えた体と心を温める料理を、なんと京都で食べられると聞き、行ってまいりましたよ!

 

アカデミックな施設内のレストラン

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場所は、京都市西京区の桂坂。国道9号線から坂をぐんぐん上がった住宅街にある「国際日本文化研究センター」(通称・日文研)。

日本の文化や歴史に関する文献や資料を収集・保存するほか、国内外の研究者たちを支援する、国の交付金で運営されている大学共同利用機関です。

 

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この日文研の施設内にあるのが、「旬彩レストラン 赤おに」。こちらのレストランは、施設関係者だけでなく一般の方も利用できるレストラン。

 

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日替わりの「赤おにランチ」(750円)のほか、エビフライランチ(1,080円)、スパゲティ、会席料理(予約のみ)などを提供しています。

 

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レストランの隣には、誰でも利用できる情報公開コーナーあり。

日本と海外文化の比較研究レポートや海外の国立美術館に所蔵されている日本美術品図録など、なんだか難しそう(でも面白そう)な本を閲覧することができます。

私が気になったのは、日文研による「小学校で椅子に座ること」という研究書でした。

 

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料理長の北田克治さんは、第38次(1996年)、第45次(2003年)の2回、南極観測越冬隊で料理人を務めた方。
北田さんが手にしているのは、ほんまもんの南極の氷。

 

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この氷は、約1〜2万年前に降った雪が押し固まったもの。南極の観測隊が昭和基地近くの氷山から手作業で割って持ち帰った氷を、宅配便で送ってもらっているそうです。

北田さんは小中学校や企業で講演をする際にこの氷を持って行って体験談をお話ししています。

 

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ということで、宅配便の品名は「南極の氷」でした。

 

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この氷が白く濁って見えるのは、当時の空気がそのまま閉じこめられているためだそう。

 

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グラスに入れて水を注ぐとプチプチと音がして、約1〜2万年前の空気が弾け出るんですよ! ああ、太古の空気が現代の京都に出て行く……!!

 

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僕は大阪出身。京料理の名店「美濃吉 本店」、天ぷらで有名な「吉川旅館」などで修業を積んでいたのですが、南極地域観測の越冬隊に応募する機会がありまして。

小学校のころに昭和基地に強く憧れていたなあ〜と当時の夢を思い出し、ガンガン自己アピールして、見事採用されました。
あっ、一番右が僕ですよ。

 

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ペンギンはね〜、すぐそばでカメラを向けても逃げないんですよ。南極のペンギンは人間を見たことがないから、自分たちの仲間だと思っているのかもしれませんね。安心しているのか、僕たちの足もとをとことこと歩くんですよ。かわいいでしょ?

 

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僕にとって、南極は〝夢の大陸〟。25億年前の地表があったり、冬はほぼ毎晩オーロラを見られたり……。夏(日本の1月)は1日中ほのかに明るい〝白夜〟ですが、冬(日本の7月)は1日中真っ暗の〝極夜〟。南極はロマンにあふれているんですよね〜。

 

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レストランの奥に緑が多いのも、僕にとってはいやしになりますね。南極では緑の植物なんて皆無でしたから、日本に帰ってきてから無性に植物が好きになりまして。観測隊に参加していた岩の研究者から毎晩岩の話を聞いていたら、岩や石にも興味を持つようになりましたね。南極は僕の人生を大きく変えてくれたんですよ。

 

……と、南極体験談は止まりません。

 

水以外はすべて南極仕様

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▲南極ビーフシチュー(1,980円)※サラダ・ライスまたはパン付き
※南極ビーフシチュー単品は1,780円


南極の昭和基地では、食料の補給が行われるのは1年に1度のみ。食材は冷凍や缶詰、乾物が主で、生の肉は手に入りません。
ペンギンやアザラシといった動物に触るのも条約で禁止されているため、射止めて食べるなんてもってのほか。

ですから正直、南極ビーフシチューは「デミグラスソースの缶詰に、冷凍の食材を合わせただけなのでは」と思ってました。

……間違いでした。

 

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牛の骨をベースにしたスープに、約1カ月もかけて仕込んだデミグラスソースと自家製トマトピューレを合わせているんですってよ! 手間がかかりまくりじゃないですか!


こちらのレストランでは北田さんが同じレシピで手作りされていますが、南極へは、専門業者が作ったスープやデミグラスソースの真空パックを冷凍して持って行っているのだとか。

 

缶詰の味じゃないかと勝手に思いこんでいて、すみません……。

でも、食べたらわかります。きちんと正統派の、奥深〜い洋食の味です。ソースがけっこう多めなのですが、そのままずいずい飲めるほどウマくってスプーンが止まりません。

 

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国産牛のバラ肉がごろんごろん。炊きあがりで約130グラムも入っています。程よく柔らかく、そして食べ応えもあり。

牛肉は2日かけてゆっくりと解凍し、ソースと合わせて約5時間かけて炊きあげています。

 

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南極の味を再現するため、ブロッコリー、ニンジン、ポテトといった野菜はあえて冷凍を使用。


越冬隊員は北海道から沖縄まで全国各地の出身者30〜40人が集まっているため、味の好みがバラバラで北田さんはメニュー構成や味付けに苦心されたそうです。
しかし、越冬隊員全員が大好きだったという一番人気のメニューがこちらのビーフシチュー。
ちょっぴり濃いめで本格派の味が、厳しい自然から基地に戻ってきた隊員たちの体と心を温め、いやしてくれたのです。

しかし、北田さんは悔しそうにつぶやきます。

 

水、水だけは……南極と同じではないのですよ……。

南極では氷を溶かした水を使って調理していたのですが、日本では不可能でね……。

 
ということで、水以外はすべて南極の味!

ビーフシチューは秋から春までの限定の味。寒いシーズンのうちにはるか遠く、南極に思いをはせながら、極ウマのビーフシチューを食べにぜひ出かけてみてくださいね。

 

お店情報

旬彩レストラン 赤おに

住所:京都京都市西京区御陵大枝山町3-2 国際日本文化研究センター内
電話番号:075-331-9358
営業時間:10:00〜14:00(LO)17:00〜20:00(LO)
定休日:日曜日・祝日、年末年始

※金額はすべて消費税込みです。
※この記事は2017年1月の情報です。

 

書いた人:ナガオヨウコ

ナガオヨウコ

ライター歴22年、京都在住のフリーライター。食、手芸、子育て、京都関連の雑誌や書籍、webに執筆中。10年間続けている自然農業の畑では、20~30種の野菜やハーブ、花を栽培。

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