名は体を表す、って本当ですか。こんにちは、メシ通レポーターのナガオヨウコです。
今回ご紹介するお店の名前は「フジヤマプリン」です。でも、プリン専門店ではなく、カレーがメインのお店。
そして先に申し上げると「フジヤマ」に、意味はありません。どんなこっちゃ。
ということで、調べてまいりました。
お店を支えているのは家族の歴史
場所は、京都市右京区。天神川通り西側に面していて、高辻通りと五条通りの間。
お店の南脇には、駐車場が4台分。徒歩3分の場所には+2台分の駐車場がありますよ。車派の方はチェックを!
こちら「フジヤマプリン」は、1999年にオープン。その後いろいろあって現在に至ります。その「いろいろ」の中に、ネーミングの理由やカレーの秘密がありますので、分かりやすいよう登場人物別にまとめました。
●店長……30代男性、写真は「恥ずかしいからちょっと……」とのことでしたが、爽やかなメガネ男子です。
●祖母……西京極運動公園の前で、昭和40年より喫茶店「MOKU」を経営。長く続いていたが、1990年代に閉店。
●母親……「MOKU」のカレーを引き継ぐ。
●父親……この場所で印刷会社を経営していたとき、飲食部門を立ち上げることになる。印刷会社の頭文字が「FP」だっため、同じ頭文字になる「フジヤマプリン」を命名。「世界進出したときに、名前がフジヤマだったら日本ぽいよな!」というのも理由のひとつのよう。
ということで、
「フジヤマプリン」という店名に意味はないのです。
●母親……「MOKU」で受け継いだカレーを提供する「フジヤマプリン」店主となる。
半年後いったん閉店。
●弟……大学卒業後の2007年、「フジヤマプリン」を再開。
店名が「フジヤマプリン」なのに、プリンを出していないのはおかしいかも……と、プリンを開発。
2015年、突如、宮崎県の地にほれ、縁もゆかりもない地で「フジヤマプリン」を開店。
●(ふたたび)店長……会社を辞め、こちらの「フジヤマプリン」を引き継ぐ。
弟さんが「フジヤマプリン」を始めて、2017年で10周年を迎えました。お店の中のかわいい飾りは、10周年パーティーのなごり。
店内は、木のテーブルやバラバラの椅子が置かれていて、ナチュラルな雰囲気。女性ウケしそうな感じですが、平日の昼間は男性のお客さんが多いそう。
パッチワークのコースターは、お母様による手作り。
1人でもくつろげるカウンター席。窓の外に見える緑は、天神川沿いの桜の木です。
昼にちょっと立ち寄って、緑を眺めながらぼんやりするのもいいですね。
カウンター席の端にあった、木を削りだしたと思われる椅子が好みでした。店長さんに、どこのものかお聞きしましたが「いや〜、僕、引き継いだだけなんで分からないんですよ」。
アンティーク風の椅子も「母親がアンティークショップを巡っていたような気がしますが、これもどこのものなのか分からないんです、すみません」。
私見ですが、こんなゆるさっていいと思うんです。
すべてがすべて「1890年代、ヨーロッパで主流だった○○○を、日本の職人がアレンジしたもので、僕たちはリペアを繰り返し」的なうんちくは、まあ、なくてもいい。カレー店ですし。
ついでに言うと、店名の由来もわからなくていいんですよ。世の中、すべて解明できてしまったらつまらないじゃないですか。「まあ、どうでもええけどな」的なのって、人生に必要だと思うんですよ(いきなり人生論)。
店名の英字表記は「FUJIYAMA PURIN」です。プリンって、英語表記だと「pudding」なのになぜ??
しかしやはり、店長さんからの回答は「それも分からない(笑)。まあ、読めるからええんちゃうかな」と、これまたゆるい。
ちなみに、お店の外壁の一部が工場っぽいのは、印刷会社時代のなごりだそうです。
意外とスパイシーな、おばあちゃんのカレー
▲近江牛すじライスカレー(980円)
※平日11:30〜15:00(LO 14:30)のランチタイムは950円でプチサラダ付き
カレーは13種類ありますが、基本のルーは同じ。おばあちゃんが喫茶店時代に作っていた、昔ながらのカレーです。
カレーは、カレーライスではなく「ライスカレー」。なぜかというと……、はい、理由はやはり不明でした。
鹿児島産豚しゃぶライスカレーと迷いましたが、一番好評のすじライスカレーを注文。
ルーはもったり、まったり、そして奥深い。最初は「甘いな」と感じるのですが、後からピリッと辛さがやってきます。
ばくばく食べてると、おばあちゃんに「辛いよ、おばあちゃん、お水お水!」って話しかけてしまいそう。おばあちゃん、会ったことないけど。
甘さを支えているのは、玉ネギとニンジン、そしてマンゴー(!)や桃などのフルーツだそう。マンゴーなんて、生でもめったに食べる機会ないのに、こんなところで出合えるとは。桃だって高級品ですよ。うわあああ、ぜいたくやん!
そしてですよ、この牛スジ。むっちゃくちゃウマイ。むっちむちのぷりんぷりん。スジの脂身すら主役。さすが近江牛!
そして、この牛スジがごろんごろん入っておりまして、けっこうなボリュームなんですよ。
ぱくぱく食べるというよりも、かみ締めながら食べる、「食べるカレー」です。いや、カレーは本来、飲み物ではなく食べ物なんですけどね。
はいっ、ルーの中に黒いつぶつぶ見つけました!
こちらは、ルーを作るときに一緒に煮込まれて形がなくなった、近江牛の角切り&赤身部分の片りんです。うわ、ぜいたくだああ〜〜(2回目)。
箸休めはこちらのピクルス。酸っぱくなくて、ピクルスと浅漬けの間くらいの穏やかさ。どことなく家庭っぽい、そんな味わいです。
プリンも絶品
そして、もう一つの名物もいただいちゃいますよ! それはもちろん、プリンです!!
「フジヤマプリン」という名前から想像するのは、こういうボリューム大な感じですよね。
▲画・ナガオヨウコ
しかし、またしても裏切られました。でかい山型プリンではありませんでした。
小ぶりサイズでおしゃれでした。
▲(左より)沖縄産黒糖・宇治抹茶ミルク・珈琲牛乳・キャラメルチャイ
(各280円/ランチタイムは各250円 ※宇治抹茶ミルクのみ300円/ランチタイムは250円)
プリンはお持ち帰りもできますよ。ちょっとした手みやげに喜ばれそうなルックスです。
プリンはそれぞれ、シロップをかけていただきます。
黒糖プリンと宇治抹茶ミルクには黒蜜、珈琲牛乳にはアイス珈琲のシロップ。チャイはそのままでいただきます。
私が選んだのは黒糖プリン。これ、むっちゃつるんつるんなんですよ。絹ごし豆腐よりもキメが細かくて、舌の上でとるぅりと滑るほどに。プリン本体もシロップも甘さ控えめなので、カレーの余韻が消えることもありません。
そもそもこちらのプリンは、「カレーの後に食べたくなるプリンを」と、カレーありきで開発されたそう。確かに、カレーの後に焼きプリンや濃厚プリンは合わないですもんね。ということで、プリンは卵を使わず、牛乳と寒天であっさりと仕上げてあります。
気負いなくふらり訪れて、おばあちゃんの喫茶店カレーを食べて、プリンでたおやかに締めくくる……。そんな時間を求めて訪れる、車派の営業マンも多いそうです。あなたもぜひ。
お店情報
フジヤマプリン
住所:京都府京都市右京区西京極北大入町68
電話番号:075-311-3499
営業時間:11:30~20:30(LO 20:30)※月曜日・金曜日は〜18:00(LO 17:45)
定休日:火曜日+不定休
ウェブサイト:http://www.fujipuri.net/
※本記事は2017年6月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。