みなさまこんにちは。メシ通レポーターのナガオヨウコです。
近年、大学内の学食レベルってかなり上がってきていますよね。大学生でなくとも、学食巡りをするという人も多いと思います。しかし、ここまでインドすぎるカレーを食べられる大学は、なかなかないんじゃないでしょうか。
京都のインド料理レストランやカレー専門店も顔負けなレベルなので、レポいたします!
京都造形芸術大学のカフェテリア
京都造形芸術大学は、左京区の白川通い沿い、北大路通りと今出川通りのあいだにあります。
お店があるのは、瓜生館という建物の1F。
閑静な高級住宅街として知られる左京区下鴨、自家焙煎コーヒーの名店「カフェ ヴェルディ」の2号店です。
オーナーの続木義也さんはコーヒーのスペシャリスト。しかし、カレーにも造詣が深い方。
コーヒーを飲んだら「どのような豆を、どのように焙煎したかがわかる」そうで、カレーを食べたら「だいたいのスパイスがわかる」そうです。神の舌の持ち主だ!
手に持っているのは、続木さんが書いたカレー本です。
▲「カレーの海で泳ぎたい」(続木義也 著/マリア書房)
京都カレーの歴史をひも解きつつ、今のカレーシーンを解説。「新しいものを吸収したいから」と、月に一度は東京に出向いているそうで、東京の本気カレー店も紹介しています。(もちろん京都も!)
かなーり濃い内容なので、カレー好きは必読です。カレーバイブルとして手元に置いておきたい一冊です。
帯には、続木さんが泳いでいる(?)写真が!
インドすぎるカレーがある
フードメニューは、肉料理などのセットやサンドイッチ、スパゲティ、に混じってインドカレーが2種と合いがけがあります。
喫茶店のカレーとも、学食のカレーとも全く違う、インドスタイルのカレーなんですよー。
▲鹿肉のキーマカリー(980円) ※サラダ付き
鹿肉は岡山県美作(みまさか)産。オーナーの続木さんがこちらの鹿肉と出合ったのは、先輩からの紹介。
続木さんは美作の加工場に出かけ、加工の様子を見学したところ「鹿肉の品質にここまでこだわっているところは他にない」と確信。
「山で鹿を捕まえた時に、状態が良くないものは一切扱わない、衛生管理がしっかりしているなど、加工までの過程が徹底されている。だから、臭みがなくおいしいんですよ」と、続木さん。
カレーが大好きで大好きでたまらない、そして研究熱心な続木さんは「実際に食べてみること」を大切にしています。最近ブームのスパイスカレーについては「スパイスを重ねすぎて、何が言いたいかわからないカレーが多い」とのこと。
「カレーもコーヒーも、カッコよく美しく作ることを意識しています。仕上がりが同じであっても、ごちゃごちゃいじったり回り道をするのは美しくない。
aという答えを求めるために、私はa=fxという美しい方程式を使いたいんです。結局のところ、シンプルかつ究極の方法こそが、おいしさにつながると思うんです」(続木さん)
こちらの鹿肉カレーは、クセのないマトンカレーをイメージしたのだそう。
「差し支えない程度で結構ですので、どうやって作っているか教えてください」とお願いしたら……。
「まず、マスタードシードとフェンネル、次にフェネグリーク、カレーリーフ、玉ねぎを炒めて、それからショウガをプラス。あとは、ターメリックとコリアンダー、チリペッパー、ココナッツファインをほんの少しだけ。
鹿肉のひき肉を加えてさらに炒めて、隠し味に西京白味噌(!)を。仕上げにはカスリメティをさっと」
文字に起こしてみると呪文みたいですね(笑)。しかし、先におっしゃっていたように、ただスパイスをガンガン投入しているのではありません。
主役は、あくまでも鹿肉。そして、軸となるいくつかのスパイス。
鹿肉のうま味と香りを、スパイスがボトムアップしてくれているんです。わたくし鹿肉大好きなので、こんなに気軽なカフェテリアで鹿肉に出合えるなんて幸せすぎます。
▲特製野菜カリー(980円) ※サラダ付き
もうひとつのカレーは、季節の野菜が5〜6種類入っているバージョンです。イメージは、北インドの野菜カレーだそう。これがまたスゴいんだ。
「クミンとシナモン、クローブ、カルダモン、スターアニスで香り付けしたオイルに玉ネギを投入、やや茶色くなるまで炒めます。酸味を付けるため、トマトと自家製ラズベリーペーストを加えています。仕上げにはターメリックとチリペッパー、ブラックペッパーを」。
呪文、再び。
食べてみると、酸味というより爽やかさがふわぁん……と、口の中に広がる感じ。酸味を押し上げているのは、自家製ラズベリーペーストだそうですが、ベリーが主張していないので、言われてみても「隠し味って、やっぱり隠れているんだ」という感想しか思いつかず。
野菜ひとつひとつのおいしさが立っているのが本当に素晴らしい!
ご飯は、バスマティライスというインドの香り米です。インドでも高級なのですが、日本でも高級。ネットで見たら1kgで850円とかでした……。
▲ダブルカリー(1,300円) ※サラダ付き
※提供は14時以降
鹿肉のキーマと野菜の合いがけもありますよ! 両方食べたいという方は、14時以降にどうぞ。
バスマティライスの上にはフライドオニオンをたっぷりと。フライドオニオンを混ぜ混ぜしていただいちゃいます!
それぞれのカレーには、サラダが付いています。
サラダの上に乗ってるクリスピーなつぶつぶは、インドのナムキンという庶民派スナック。ドレッシングは、自家製のハニーマスタード。
なじみのあるグリーンサラダに、甘くて酸っぱくてどこかインドなアクセント。カレーの箸休めというかスプーン休めにぴったりです。
自家焙煎コーヒーは20種類以上
ハンドドリップのコーヒーは、本店と同じく20種類で、各500円。
ブレンドは浅煎り〜深煎り、シングルは銘柄や好みによって選べます。
どれにしようかなあ。うーん、インドカレーの後なので、バランスが良くて、すっとした味わいがいいかなあ。
「では、中深煎りのヴェルディブレンドにしましょうか」と、続木さん。ミルで豆をひき……。
専用カウンターで入れていただきました!
こちらのカウンターは、こうやってコーヒーを入れるほか、ペーパードリップでの抽出体験やコーヒー飲み比べ体験など、コーヒーに関するセミナーの場としても使われています。
また、先ほどの焙煎を見学して、同じ豆の浅煎り〜深煎りの飲み比べをするセミナーもありますよ。
セミナーは学生でなくても参加できるので、気になる方はウェブサイトでチェックしてみてくださいね。
ドリッパーは、京都の和モダンデザインブランド「SOU・SOU」とのコラボ。かわいいな!
ドリッパーは、市販品に模様をつけただけじゃないんですよ。型から作ってもらったそうです。お店で販売もしています。
▲ハンドドリップコーヒー(500円)
こちらは中深煎りのヴェルディブレンド。すっと口になじんで、体に染み入る感じ。香りが深すぎず、たしかにバランス良し! インドカレーを食べた後、まったりする時間に合う!
カップ&ソーサーも、「SOU・SOU」とのコラボ。4種類ありまして、各2,700円で販売されています。おしゃれ!
飲み終わったら、カップの底にコーヒー豆のイラストが。ちょっと憎い仕掛けです。
コーヒーはマシンドリップもありますよ。Sサイズ 420円、Rサイズ 500円。
「本日のコーヒー」として日替わりで3種類が登場。テイクアウトもOKです。
オーダー後に、機械が豆をひいてドリップしてくれるマシーン。「コンビニで見たことある! 」って言ったら、「コンビニよりももう少しランク上の機械ですよ」って教えていただきました。
「カフェ ヴェルディ」は自家焙煎コーヒーのお店。ということで、本店でも焙煎をされていますが、こちらのどでかい焙煎機も使っておられます。
「そろそろ焼き上がりですね」と、豆の仕上がり具合をチェック。20秒違うだけでも味がまったく変わってしまうほど、焙煎は繊細なのだとか。「うん、これくらいやね」というところで……。
豆をざざーっと一気に出していきます。あたり一面にいい香りが漂います。
コーヒー豆はこんな感じで販売されています。
豆をハンドピック(つまりは手作業での検品)して、自家焙煎した「カフェ ヴェルディ」のコーヒー豆は、全国にもファンが多いそう。
お店の中は広々としていて、ゆったりくつろげますよ。
「今日はちょっといいコーヒーを」という学生のほか、大学の教授や職員、ご近所さんの姿が見えます。
ほぼ毎週末に開催される、クラシックなどの演奏会はコーヒー付き。ファミリーやマダムも訪れて優雅な時間を過ごしているそうです。
気になったのがロッキングチェア! カフェにロッキングチェアって! 続木さんによると「ゆらゆら揺れながらコーヒーを飲むのが好きな人も多いですが、合わない人もいます……」とのこと。4席限りなので、空いていたらぜひチャレンジを。
お店情報
Verdi(ヴェルディ) 京都造形芸大店
住所:京都府京都市左京区北白川瓜生山2-116 瓜生館1F
電話番号:075-746-4310
営業時間:8:30~21:00(LO 20:00)
定休日:火曜日
ウェブサイト:https://arti.verdi.jp
※本記事は2017年10月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。