あえてカシワ=老鶏を使う「笠岡ラーメン」に全国のラヲタが熱い視線を送る理由

笠岡ラーメン

日本の各地にはさまざまなラーメン文化があって、多くのご当地ラーメンが存在する。

そんな中、ラーメンマニアのあいだで密かに注目されているご当地ラーメンがある。

それが、岡山県の最南西、広島県境にある笠岡市の「笠岡ラーメン」だ。

 

具にもダシにも老鶏「カシワ」を使うのが特徴

「笠岡ラーメン」とは、いったいどんなものだろうか?

笠岡市の笠岡商工会議所に、地元の笠岡ラーメンをこよなく愛し、知り尽くす人がいると聞いて向かってみた。

それが高橋 宏文(たかはし ひろふみ)さんだ。

笠岡商工会議所 高橋 宏文さん

▲笠岡商工会議所の高橋 宏文さん

 

──はじめまして。まず、笠岡ラーメンの定義や特徴を教えてください。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:笠岡ラーメンの定義は……

  • スープのダシに「トリガラ」を使っている
  • 具材として「カシワ」の煮鶏が入っている

以上!

 

笠岡ラーメン

 

──そ、それだけなんですか!?

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:はい。実は、笠岡ラーメンの起源は戦前に遡ります。「笠岡ラーメン」と呼ばれるようになったのは、2000年頃から。名前の方があとなんですが、すでにいろいろなスタイルのお店があったので、定義付けは難しかったんです。それで、共通する特徴的な部分がさきほどの2点になるということです。

 

ここで念のため言っておくと、「カシワ」とは、老鶏(ろうけい)のこと。岡山県を中心に香川県や広島県東部などでの呼び名で、卵を産まなくなったニワトリの肉のことだ。

なお、関西地方などではニワトリの一部の品種を「カシワ」と呼んでおり、「カシワ」という呼び名の語源は諸説あると言われている。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:傾向としては、スープは醤油味が多いこと、カシワの煮鶏以外の具材はメンマとネギくらいのシンプルな場合が多い、というのがありますね。でも全部の店舗ではなくて、なかには塩味の笠岡ラーメンを出すお店や、いろいろな具材を乗せているお店もありますので、あくまで「傾向」です。

 

──定義が2つだけだとしても、とても個性的です。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:やっぱり、ただの鶏ではなく「カシワ」だという点でしょう。しかも、ダシだけでなく具材にまで使っているのは、全国的にもかなり珍しいようです。

 

養鶏が盛んな地域だから自然発生的に生まれた

そんな笠岡という地域独特の特徴を持つ笠岡ラーメンだが、どのような歴史があるのだろうか。

笠岡商工会議所の高橋 宏文さん

 

──ここ笠岡でカシワを使ったラーメンが生まれた背景は?

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:岡山県は養鶏が盛んです。とくに笠岡市のある井笠(いかさ)地方(岡山県南西部)は養鶏場が多いので、安いカシワがたくさん流通していたと思われます。あと笠岡だけではないですが、昔は各家庭でニワトリを飼っていましたよね。だから、カシワが身近な食材だったんです。養鶏場も多かったんですが、鶏肉をメインに扱う精肉店も多かったんですよ。実は、私の実家も精肉店(笑)。現在、笠岡で一番古いラーメン店の「中華そば 坂本」も、ラーメン店をする前は精肉店でした。そのため、ラーメンでも自然とカシワを使っていたと思われます。

 

たしかに、たまごかけごはんで有名な美咲町には巨大な養鶏場がある。

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またB級グルメとして名高い真庭市蒜山地区の「ひるぜん焼そば」も具材にカシワを使っている。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:くわえて、麺が好きな土地柄もあるかもしれません。もしかしたら、東隣に古くから製麺が盛んな浅口市(あさくちし)や浅口郡里庄町(さとしょうちょう)があるので、その影響があったのかも。笠岡市街地には、すでに戦前に中華そば(ラーメン)を提供するお店があったと地元に暮らす年配の方が語っています。そして、その中にカシワを具材とダシに使うお店がいくつかあったんです。大衆食堂などで出されていたんですよ。

 

──現在では笠岡ラーメンを出すお店はどれくらいあるんですか?

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:2019年現在、笠岡市内には40数店のラーメン提供店があり、そのうち14店が笠岡ラーメンの提供店です。笠岡市外、さらには岡山県外にも笠岡ラーメンを提供するお店があります。

 

──人口5万人の都市としては、かなりラーメン店が多いですね。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:そうなんです。やっぱりもともと笠岡人はラーメンが好きなんでしょうね。ちなみに市内では笠岡ラーメンを提供するお店が多数派ですが、笠岡ラーメンのスタイル以外のラーメンもいろいろ味わえるのが笠岡の魅力なんですよ。変わり種ではミルクラーメン・カレーラーメン・納豆ラーメン・シャコラーメンなどがあります。もちろんスタンダードな味や特徴のラーメンも。だから商工会議所では「ラーメンのまち 笠岡」としてPRしているんです。

 

独特のラーメン文化が注目を浴び始める

やがて、笠岡ラーメンはインターネット上の口コミや、メディアへの露出によって全国のラーメンマニアに知られることに。

ラーメンのまち笠岡

 

──笠岡ラーメンが注目されたのはいつ頃からですか?

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:2000年頃だったと思います。なにやら笠岡でしか食べられない特徴的なラーメンがあるようだと、口コミでラーメンマニアのあいだに広まりまして。それでいつしか「笠岡ラーメン」と呼ばれるようになりました。実は、そのころ笠岡商工会議所では、市内にある笠岡諸島の観光振興に力を入れていました。その資金を捻出するための取り組みとして、商工会議所の青年部でイベントにラーメンを出すようになったんです。メンバーの中にラーメン店の店主がいたのがきっかけでした。2003年のことです。実際にイベントに出店してみたら、ものすごく笠岡ラーメンが好評で。それで、ラーメンを地域振興の目玉にしてみようとなったんですよ。資金集めのためのイベントから、大きく方針転換したわけです。その後「ラーメン委員会(ラーメンのまち笠岡 全国展開プロジェクト推進委員会)」を設置し、本格的に活動をスタートして今に至っています。

 

──地元の人間でも特徴的なラーメンだと気付かなかったんですね。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:我々は当たり前のことでしたから……。 でも、カシワを具にもダシにも使う例は、全国的に見たら本当に少ないんです。その珍しさがウケたのかなと。しかも、局地的な現象です。ラーメンマニアのあいだで「こんな小さなエリアで、ほかにはない独特のラーメン文化があるなんて!」という驚きと発見があったのではないかと思います。

 

せっかくのイベントも客の傾向の違いを見抜けず……

笠岡商工会議所の高橋 宏文さん

 

──笠岡商工会議所では、どんな活動をしていたんでしょう。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:笠岡ラーメンのPR活動として、笠岡でラーメンのイベントを開いたり、岡山県を中心としたいろいろな地域の食のイベントに参加したりしました。そして、徐々に笠岡ラーメンが浸透していったんです。そんな中「新横浜ラーメン博物館」から1年間出店ほしいという打診が来たんですよ。2010年のことでした。現在、笠岡ラーメンを代表するお店となっている「坂本」というお店が出店して、私たちもPR活動で手伝いました。また2013年の「東京ラーメンショー」にも、市内の「お多」(現在休業中)と「味々亭」のコラボ店が参加しました。

 

──すごい、メジャーデビューみたいな感じですね!

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:でも、失敗もあったんですよ。ずっといろいろな地域の食のイベントに出てきて、笠岡ラーメンはとても好評でした。そこでは「どこの地域か」が重要だったので「笠岡市」はアピールできていました。ただ、たとえば東京ラーメンショーに来るお客さんはラーメン通なので、地域ではなく「のれん」、つまり「どこのお店か」「どんなお店か」「どんなラーメンか」が重要なんですよ。そういう違いも見抜けずに我々はひたすら「笠岡市」という地域を大きくアピールしてしまって。

 

──それはちょっと悔しいですね……。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:コアなラーメンマニアにはウケていたんですが、まだまだ知名度は全国区ではなかったですね。そこで戦略を変更して、近くにある倉敷市や尾道市といった有名観光地に来る観光客に、笠岡を含む周辺エリアも回遊してもらって、そこで笠岡ラーメンにも触れてもらおうと「備中備後 麺の道」を企画したんです。笠岡ラーメンの他にも、岡山県や広島県には特色のある麺類がいろいろあるんですよ。ちなみに東京ラーメンショーは、2013年にも笠岡ラーメンにお声がけいただけました。

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──あらためて振り返ってみて、笠岡ラーメンがブレイクしたきっかけは何だと思いますか?

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:正直、直接的なブレイクのきっかけはないのかもしれませんが、しいて言うなら市民が当たり前で気付いていなかった「笠岡ラーメン」という地域の文化を「発掘」したことでしょうか。それを地域住民のみんなで楽しんで広めてきたことですね。結局みんなで楽しめないと続かない。だから、商工会議所も単年度での活動から離れて「ラーメン委員会」をつくって長く活動できるようにしました。

笠岡ラーメン提供店マップ

▲商工会議所「ラーメンのまち笠岡 全国展開プロジェクト推進委員会」作成の笠岡市内のラーメンマップ

 

笠岡ラーメン提供店リスト

▲商工会議所「ラーメンのまち笠岡 全国展開プロジェクト推進委員会」作成の笠岡市内のラーメン提供店リスト

 

──笠岡商工会議所が「笠岡ラーメン」の地域ブランド(地域団体商標)を申請し登録されたと新聞に出ていました(山陽新聞 2019年10月1日付)が、どのような経緯で申請することになったのでしょうか?

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:笠岡ラーメンは笠岡みんなの文化だから、さらに育てていかなければいけません。同時に、守っていく義務がある。そのために、公平な立場である商工会議所が、地域ブランドを取得する必要があるということとなりました。2017年(平成29年)に申請して、2019年(令和元年)9月20日に登録されましたよ。

 

──笠岡ラーメンに詳しい高橋さんだからこそお聞きしたいのですが、笠岡に来てはじめてラーメンを食べるなら、どこがおすすめですか?

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:正直、どのお店もおいしいし、どのお店も個性があります。個人の好みもあるでしょうし、どこがいいかは難しいですね(笑)。ただ、ひとつの目安としていうならば、市内で現存しているラーメン店の中で一番古い「中華そば 坂本」さんでしょうか。笠岡ラーメンの中でも一番王道のスタイルなので、まずはスタンダードを知ってもらいたいと思います。

 

現存する最古の笠岡ラーメン店「坂本」

というわけで、「中華そば 坂本」へ。新横浜ラーメン博物館にも1年間出店した、笠岡最古の現役ラーメン店だ。

坂本の外観

▲いかにも老舗といった雰囲気のノスタルジックなたたずまい

 

坂本の店内

▲店内も老舗の雰囲気たっぷり。パイプイスがいい味を出している

 

坂本のメニュー

▲メニューは「中華そば」の並盛り(600円)と、大盛り(700円)のみというシンプルさだ

※ 価格は消費税込み。2019年10月時点のもの

 

超シンプル! カシワと水と醤油だけでつくるスープ

坂本の店主 坂本さん

60年以上にわたり正統派の笠岡ラーメンのスタイルを守る「中華そば 坂本」の店主・坂本さんにお話を聞いた。

 

──はじめまして。坂本さんの笠岡ラーメンの味の決め手はなんですか?

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:見た方が早いですね。ちょっと鍋の中を覗いてみてください。

 

──ラーメン店の鍋を見るのはタブーといわれているのに……いいんでしょうか。では恐縮ながら拝見いたします。

 

坂本のスープのダシとり

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:スープは、水にカシワの鶏ガラを入れてダシを取っています。あと、鶏ガラのほかに具材として乗せるカシワの煮鶏の皮も入れているんです。化学調味料はいっさい使っていません。

 

坂本の醤油ダレ

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:このダシにタレを合わせてスープができます。実は、スープのタレは、煮鶏を煮たあとの醤油ダレなんですよ。

 

──なんとタレにもカシワが!!

 

坂本のカシワの煮鶏(スライス前)

▲なかなか見ることのできない、スライス前の煮鶏(カシワのモモ肉)。いわゆるチャーシューのような役割で、しっかり煮込まれて濃い醤油色になっている

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:具材の煮鶏は、カシワのモモ肉を使っています。毎朝、カシワのモモ肉を醤油で煮込んでいるんですよ。煮込んだカシワは、冷蔵庫で一日寝かせます。

 

坂本の煮鶏を煮込む鍋

▲毎朝、この鍋を使って煮鶏を醤油で煮込む

 

坂本の煮鶏(皮をむいたところ)

▲煮鶏の皮をむいたところ。むいた皮は鶏ガラとともにダシに

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:そして、寝かせたカシワは皮をむき、包丁でスライスしてラーメンの具材になります。むいた皮は、さきほどのように鶏ガラといっしょにダシになるんです。

 

──本当にカシワづくしですね。

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:だから、うちの味の決め手はカシワでしょうね。

 

──ラーメンは麺も重要ですが、麺の特徴は?

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:うちの麺は「丸新麺業(まるしんめんぎょう)」という製麺会社でつくってもらっています。丸新麺業は、笠岡市内にある老舗の製麺会社です。すごくおいしい麺で、とても信頼しています。麺のおいしさの秘訣は「丸新麺業だから」ですね!

 

──ほかにこだわっていることは?

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:あとは、素早くラーメンを提供することですね。注文いただいて1〜2分くらいで出すようにしています。うちの場合、大変うれしいことにたくさんのお客さんに来ていただくこともあって、なるべく早く提供したいんですよ。ただ、私ともう1人しか店員がいませんから、会計の時間を調理や準備にまわすため「勝手に精算機」を導入しています。

 

坂本の「勝手に精算機」

 

──勝手に精算機? もしやこれのことですか(上写真を指しながら)。

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:会計のセルフサービスです(笑)。お客さん自身に会計をしてもらっています。自分でお金を置いて、お釣りがいるときは、自分で取ってもらってるんですよ。だから、うちは万札お断りです。

 

味のルーツは鶏肉メインの精肉店

坂本の店主 坂本さん

昔からこだわりのラーメンを作り続ける坂本。そんな坂本のルーツは、どこにあるのだろうか。

 

──「中華そば 坂本」はいつ創業したんでしょうか?

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:ラーメンを始めたのは、昭和33年(1958年)からです。実は、うちは最初は鶏肉がメインの精肉店だったんですよ。

 

──最初は精肉店だったんですね。

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:はい。それでカシワを使ったラーメンを、精肉店と並行してやるようになりました。場所は、今より少し西の方。精肉店の横でやっていました。やがてラーメン店のみになって、現在に至っています。

 

──坂本さんは二代目だそうですが、跡を継ごうと思ったきっかけは?

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:私が継いだのは、2010年(平成22年)ごろ。それまではラーメンはおろか、飲食店も経験がなかったんです。まったく畑違いの事務職の仕事をしていました。初代は父親なんですが、まさか自分が二代目になるとは思ってもみませんでしたね。長年働いてきて、あるときふと自分の将来を考えたとき、家業を継ぐという考えがフッと出てきたんですよ。やはり市民に愛されているお店は、残していかないといけないなと。「笠岡ラーメン」もいろいろな人に注目されるようになって、坂本も注目されるようになっていましたしね。

 

──「坂本」は長年営業されていますが、ほかの笠岡のラーメン店にはどのような影響があったと思いますか?

 

中華そば坂本の坂本さん坂本さん:実は、初代の頃からうちのラーメンを習いたいといってくれる方がいるんです。今も笠岡市内で営業しているラーメン店の中にも何店かうち出身の人もいますよ。でまた、その店で習った「孫弟子」的な人もいたりしますね。私の代になってからも、ラーメンを教えた人がいて、今も市内どころか、岡山県外で営業しているお店もありますよ。

 

これぞ正統派!「坂本」の笠岡ラーメンを実食

そんな笠岡最古のラーメン店「坂本」で、笠岡ラーメン(中華そば 並)を注文してみた。

坂本の笠岡ラーメン並

▲これが笠岡ラーメン(中華そば 並、税込600円)

 

写真では伝わらないのが残念だが、運ばれてくると同時にスープのいい香りが漂う。鶏ガラに醤油の塩気、甘さが合わさったなんとも懐かしさを感じる香り。

インタビューのとおり、注文してわずか1〜2分ほどで運ばれてきたのは見事だ。

 

坂本の笠岡ラーメン並

▲具材はシンプル! 笠岡ラーメンの特色であるカシワの煮鶏、そして長く斜めに切られた青ネギ、メンマが乗る。もっともスタンダードな笠岡ラーメンのビジュアルだ

 

坂本の笠岡ラーメン並のカシワ肉

▲笠岡ラーメンの一番のポイントであるカシワの煮鶏。一口サイズにスライスされている

 

坂本の笠岡ラーメン並のカシワ肉

▲醤油でしっかり煮込まれたカシワは、とても歯ごたえがある。噛めば噛むほど、カシワのうま味が染み出てくるのが魅力的

 

坂本の笠岡ラーメン並のネギ

▲長ネギを斜めに切るのは、古くから笠岡ラーメンにあるスタイル。これは「ネギがおいしく食べられる」という先代のこだわりだったとか。今も坂本のほかにも、このネギのスタイルを継承しているお店がいくつかある

 

坂本の笠岡ラーメン並の麺

▲坂本がこだわる、老舗・丸新麺業製の麺。中細のストレート麺だ

 

麺の固さは、普通と固めが選べる。取材時は固めにしてもらった。

モチッとした食感もありながら、しなやかで、思わずスルスルと食べ進めてしまう。

 

坂本の笠岡ラーメン並のスープ

▲そして、カシワでダシをとった醤油風味のスープ

 

坂本の笠岡ラーメン並のスープ

▲透明感がある澄んだキレイなスープだという印象

 

一口すすると、口の中にカシワのダシのうま味と醤油ダレの甘い風味が広がってくる。

上品でコクのある味わいで、何度もスープを口に運んでしまう! 最後には、最後の一滴まで飲み干してしまったほど。

 

坂本の笠岡ラーメン(中華そば)は、カシワのうま味が存分に生かされた一品。ついもう一杯ペロリと食べてしまいそうなおいしさだった。

 

今はなき名店「斉藤」の味を再現するお店も

冒頭で登場いただいた高橋さんによれば、笠岡ラーメンは大きく分けて2系統ある。それは、スープのダシで分かれるのだという。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:ひとつは「坂本」に代表される、カシワの鶏ガラのみでダシを取る系統。もうひとつは今は閉鎖してしまった「斉藤」 というお店の、カシワの鶏ガラダシと魚介系のダシを合わせたスープの系統です。

 

笠岡という地方の小都市に独特のラーメンがあるだけでも驚きなのに、さらに2系統に分かれるのは衝撃だ。

 

笠岡商工会議所 高橋さん高橋さん:ちなみに「斉藤」と「坂本」は、まったく別の系譜ですよ。師弟関係などはありません。また、笠岡ラーメンは戦前からありますが、資料が残っていないため、どこが元祖なのかたどるのは難しいです。

 

数ある笠岡ラーメンを提供するお店の中には、現在では閉店して食べられなくなった斉藤の鶏ガラ+魚介のスープを再現するところもある。それほど斉藤のラーメンは市民の印象に残っているのだ。

 

坂本の店主 坂本さん

個性的な笠岡ラーメンには、坂本系・斉藤系の2つの系譜があった。

地元の食文化から自然に発生した「カシワ」を使った個性あふれるラーメンは、長いあいだ笠岡という小さな街に根付いている。スッキリとしていて、カシワのコクのある味わいを楽しめるのが笠岡ラーメンの魅力といえるだろう。

笠岡に来たら、ぜひ笠岡ラーメンという個性あふれる食文化を味わってみて欲しい。

 

店舗情報

中華そば 坂本

住所:岡山県笠岡市中央町34-9
電話:0865-63-6454
営業時間:9:30〜14:30
定休日:日曜・木曜・祝日

www.hotpepper.jp

書いた人:アサノヨウスケ

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岡山県出身、広島県在住のライター。昭和50年代生まれ。好奇心旺盛で、フラッと出かけて地域の文化を探るのが好き。特に名物・銘菓・名産などに興味があって、裏側のストーリーをいろいろ調べたい。ほかにも地名由来を探ったり、古い町並を散策したり、神社に参ったり、食べ歩きをしたり、写真を撮ったりしている。 Web:きびナビ Twitter:@asnyskJP Instagram:yosukay

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