寿々女鮨

寿々女鮨 おすすめレポート

おすすめレポートについて

徒然さん

投稿日：2018/03/25

ランチ | 来店シーン：家族・子供と

昔、町によくあった庶民の寿司店～豊かな時間とおもてなしが体験できるお店

ペリーロード付近で食事（ランチ）をするつもりで探していたところ、フラッと入店。

周辺には、幟を立てて旅行客を招き入れるお店が多く、
寿々女鮨さんは入店しづらい雰囲気かもしれません。

入店の決め手は、
店の引き戸横に、いい感じに汚れた過去の暖簾が掛かっていたことでした。

昔、お寿司屋さんを評価するポイントの一つが暖簾で、
それもボロボロであればある程繁盛店でした
（お寿司を手で食べていた昔、退店時に暖簾で指をぬぐったので、その汚れ度合が客足と比例していました）。

引き戸から入店したところ、すでに３世帯家族が座敷に入店していたため、
カウンターに通していただきました。

金目鯛の寿司、さんまの箱寿司等を注文しましたが、
金目鯛は、すでに別の飲食店が食べていたものの、
寿々女鮨さんの金目鯛の握りは別ものでした。
金目鯛の良さが最大限引き出た状況のものを初めて食べました。

さんまの箱寿司も６００円でしたが、
酢〆の箱寿司をカウンターの寿司店でこのお値段は、逆に申し訳ない気がしました。

先に入店された家族の特上、地物の握りを
店主がカウンターで握っていたのを拝見していましたが、これで各２０００円とは。

それぞれのネタの下処理の丁寧さ、ネタの厚み等、
どれをとっても２０００円で提供して大丈夫なのか、とかえって心配になりました。

クオリティとともに、店主の配慮が行き届き、心地よいお店でした。
回る寿司専門の子供は、久しぶりのカウンターの寿司店。

緊張していたところ、店主が、カウンター横の水槽にストックしている伊勢海老に、
マグロのネタを少し割いて、入れ、エビの食事風景を見せてくれました。

また、笹切り等、昔ながらの寿司を知らない子供に実演をみせてくださったり、
カウンター越しの「会話」も交わす等、昔ながらの寿司文化を
体験させていただきましたが、客を見て距離感を測っておられるので、
べったりということもないでしょう。

食事の面でも、
さんまの箱寿司を８貫に分けて、子供が食べやすい幅にしていただいたり、
ワサビを別置きして、子供とシェアできるようにしてくださったり、
こちらが特にお願いをすることなく、色々と配慮していただきました。


高級店、廉価店が多くなり、昔ながらの庶民のお寿司屋さんが減ってきています。
下田駅周辺について言えば、
駅からペリーロード付近で、近年、子供連れを嫌がるお店も眼に付き、
「騒ぐ子供の面倒を見ない家族の入店禁止」の張り紙が増えている気がします。

確かに、マナーが悪い子連れ家族も見受けられますが、
張り紙を見ると子連れ家族はドキッとします。

その点、
寿々女鮨さんのように、店主の目の届く範囲のお店の広さ、
かつ子供を飽きさせない配慮はありがたいです。

また、海外の方であっても
日本の作法等がわからなくても、あたたかく見守っていただけることでしょう。

きっと、
旅先での豊かな時間、人と人の琴線に触れる時間を過ごすことができることでしょう。


最後に、
お店のメモスタンドに、店主がご病気で声が出せない旨の記載を目にしました。
特に説明を受けず、こちらが状況を察したこともあり、
カウンター越しの「会話」は、筆談、ジェスターでした。

下処理、手間を惜しまず、クオリティも下げず、年齢面、病気等、
自分なら、店を畳むと判断しますが、
それでもカウンターに立つ店主に寿司職人の矜持を感じました。

寿司屋というのはこういうもの、というのを次世代に語り継ぐ面でも、
下田に立ち寄った際には、必ずお伺いすることにします。

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