【閉店】お店はアパート下? 隠れた名店で紹興酒片手に創作中華を満喫しチャイナ「上海バンド」【京都】

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~ライター川上のある日の出来事~

 

わたし:ご飯なに食べましょう。

先輩:中華とかどう?

わたし:いいですね~。この近くに中華料理屋さんあるかなぁ?

先輩:おっ、それなら本格的な中華が食べられる、いい場所があるよ~!

 

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と、先輩に連れられて到着したのは、京都市内でも“ディープな場所”とされている左京区は元田中。

 

市内の北を走るローカル線、叡山電鉄の元田中駅から「東大路通」という大きな通りを南に直進し、3分ほど歩いたら見えてくる「田中里ノ前交差点」を右に曲がると……

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わたし:ここ……ですか?(疑いの目)

先輩:うむ。私が京都でいちばんおすすめの中華料理屋さん、『上海バンド』だ。行くぞ~!

わたし:は、はいッ!(確かに看板はあるけれど……)

 

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ズンズンズンズン

 

わたし:(普通に木造アパートなんだけど……本当にお店があるのかな?)

 

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わたし:あったわ。

 

ガラガラッ

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なんだかエキゾチックな店内だ! ただ内装自体は中華料理屋ではなく、居酒屋っぽい感じですね~。

 

ちょうどうかがった時間には、店長の福岡さんがひとりでいらっしゃいました。席についってメニューをちらほら見つつお話をうかがいます。

 

わたし:ここは中華料理屋さんなんですか?先輩が『本格中華が食べられる』と言ってるんですけど。

福岡さん:うーん、お客さんの声を聞いて、現地ものから作り方を変えてたりもするので「本格中華」とは言えないかなぁ。ただ、どの料理も中国に行ったときに食べたものを真似して作ったものです。強いて言うなら「創作中華かな」。

 

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▲レトロな空間を演出するポスター

 

福岡さんは京都のアジア料理屋さんでの実務経験を経て、2003年2月にこちらのお店をオープン。「上海バンド」という店名は中国の地名からとったもので、お店が上海料理を提供しているわけでない!とのことなので注意!

 

わたし:アジア料理でアルバイトをしていたときから、いつかは中華料理屋さんをやりたいと思っていたんですか?

 

福岡さん:う~ん。自然に創作中華料理屋になりましたねぇ。コンセプトをガチガチに固めてやるのは好きじゃないんです。最近、中華料理を作るのに飽きてきたので台湾料理をやってみたい。だけど、このお店は中華料理を作る設備なので無理ですね……」

 

わたし:(ゆ、ゆるい)

 

福岡さん:お店を元田中に構えたのもたまたまだったんですが、結果一見さんが来ないのでよかったですね~。

 

わたし:(やっぱりゆるい)

 

柔らかな口調の店長の福岡さん、独特なゆるさがかもし出す店内は心地良くクセになります。それにしても中華に飽きてきたって……。

 

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「本格中華ァ!」知ったかしちゃって撃沈の先輩を横目に、お腹もへってきたのでご飯をいただきましょう! カウンターの上に掲げられた季節のメニューと、卓上にある定番メニューの中から選びます。ぐひぃ~、全部美味しそうだ!

 

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▲蒸し鶏(650円)

 

1品目はあっさり蒸し鶏から。山椒、胡麻、紹興酒ソースのいずれかから選ぶことができます。全部美味しそうだ!!

 

先輩:胡麻は間違いなくウマイだろうね。う~ん、どれが良い?

わたし:紹興酒ソースはこのお店ならではですよね! でも山椒大好きなので食べてみたい~。

と、カウンター席でうだうだ悩む私たちに「山椒がオススメですねぇ」と店長さんが鶴の一声。はいっ、山椒にします!

 

蒸し鶏は柔らかジューシーでウンマ~。上海バンド特製山椒ソースがこれまた合う! 少し舌にピリッときて、山椒好きにはたまりません!!

 

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▲紹興酒/ロック(550円)。カウンター奥の甕からサーブしてくれました

 

お酒は、ビールや焼酎などありますが、ここはやっぱり紹興酒をチョイス。実はわたし、紹興酒初体験。アルコールが強そう……、とヒヨってしまい、いままで挑戦できずにいました。しかし、ここはロックでいただきます。

 

紹興酒は蒸したもち米と麦麹からつくられているそうで、飲み口は辛めなんですが、鼻から抜ける芳醇な香りがふわりとただよい、後味は独特の甘さ。香りが抜ける前に、蒸し鶏を食べると、相乗効果でおいしさが5倍くらいに膨らみます。

 

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▲水餃子(520円)。興奮のあまり写真がブレる

 

創作メニューが多数並ぶなか、おなじみの水餃子もあります。もちろんお店で皮から手作り。舌触りのよい皮はモチモチ、噛めば肉汁じゅんわー&黒酢のソースが口の中に広がり、もう、し・あ・わ・せ。

 

これを一口で食べるじゃろ、そのあと紹興酒をグイッと飲むじゃろ。う~〜〜〜〜ん。たまらんっ!

 

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▲秋鮭白子の麻婆豆腐風(920円)

 

黒板に書いてあったメニューのなかで最もそそられたのがこちら。紹興酒をおかわりして、(先輩はKIRINクラシックラガーの中瓶へチェンジ)ちびちび飲みながらいただきます。

 

豆腐に見えるのは大ぶりな白子です。白子といえばポン酢で食べることが多かった私ですが、ラー油や豆板醤などピリ辛調味料で炒めるとこんなに美味しいのね!

 

まったりとした白子の濃厚さに、花椒や五香粉などのスパイシーな香りが合わさった一品。白子とひき肉って普通では思いつかない組み合わせですよね。創作中華料理、めっちゃ好吃(ハオチー)!

 

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▲海老・卵・野菜の唐辛子炒め(1,080円)

 

炒め物も外せません。海老がプリッ、卵ふわっ。昔はこれを食べると「白ご飯食べた~い!」となっていたことでしょう、今のわたしは「お酒が足りな~い!」となってしまいました。紹興酒のおいしさにも目覚め、ああ、大人になるってまさにこういうことですね。

 

結局、先輩と二人でクラシックラガー中瓶を3本、紹興酒2杯、桂花陳酒(白ワインに金木犀の花を漬け込んだお酒)を1杯いただきました。ちょっと飲み過ぎた。

 

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オープン時間からいたのですが、気がつけば満席。遅い時間に来たお客さんには「材料がなくなってしまって……」と入店をお断りしている場面を何度か目撃しました。来店は予約がベターかもしれません。

 

飲みながら先輩とアレコレ話していたら、いつの間にか他のお客さんは帰ってしまいました……。いかんいかん、そろそろ失礼せねば。

 

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わたし:すっごく美味しかったです、ごちそうさまでした! 自分の中の中華料理の幅が広がりました。

 

先輩:中国4,000年の歴史。中華料理も奥が深いよね~。

 

後から調べたところ、西洋の食材を中華の調理法で味つけしたり、フレンチのコース料理のように料理を提供する「ヌーベル・シノワ」という中華の1ジャンルがあるそう。日本も文明開化後に西洋の食材や調理法をまねて、カレーライス、トンカツ、肉じゃがが生まれたように、世界の料理は日々、各国のエッセンスを取り入れた「創作料理」によって進化し続けているのかもしれませんね!

 

古くからの伝統を守り続ける味もステキですが、こうして新しい食材や調理法との出会いが、新しい「本格」を作り出すのかもしれない……。まだまだ知り尽くすことのできない中国の世界を少し感じられた気がするなぁ。お酒を飲んで少しぼーっとした頭の片隅でそんなことを思いながら、お店を後にしたのでした。

 

店舗情報

【閉店】上海バンド

住所:京都京都市左京区田中里ノ内町26
電話番号: 075-711-4566
営業時間:18:00~24:00
定休日:日曜日、不定休あり

※本記事は2015年9月の情報です。

※このお店は現在閉店しています。
飲食店の掲載情報について。

 

書いた人:川上ひろこ

川上ひろこ

大阪府出身。「京都好きが知らない京都」をコンセプトにした京都の情報サイト『ナポリタン』の編集・ライター。タイ料理が好きすぎて、京都のおいしいタイ料理屋さんでアルバイトをはじめました。

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