【姫乃たま】仏様の前で、元セクシーアイドル範田紗々ちゃんと内緒話【今夜もヒミツ酒:5軒目】

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誰にでも秘密はあります。たとえば、故郷などないような顔をしている酒場の人たちにも、きっと。おいしいごはんとお酒に緩んだ、その口元から溢れる、あなたの秘密を教えてくれませんか……。

 

「タマリンド」っていったい……?

繁華街ってお祭りのようで、密集した屋台の群れから少し離れると、あれ、みんなどこに行ったのだろう、あんなに大勢の人がいたのに、と思います。路地に人気がないのはいつも通りなのに、遠くに見える屋台のぼんやりとした灯りや、かすかに聞こえる祭りの音のせいで、いつもより寂しく感じられます。

だからつまり、この道はいつもうら寂しい。新宿駅を歌舞伎町と反対側の南口に出て、さらに新宿から遠ざかるようにして幡ヶ谷方面へと続く道。

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目的のタイ料理屋「バンコクガーデン」に着いた時、あれっ、と思いました。待ち合わせ時間より、そこそこ早めに到着したのに、もう範田紗々ちゃんが立っていたからです。聞くと、迷子になって遅刻するのを恐れて、30分も前から待っていたとのこと。

隙がないほど可愛らしい格好をして、「オーディションの帰りだから」と笑います。言わずと知れた女優がオーディション! 今夜は会ってから驚きっぱなしです。

 

今夜のゲスト:範田紗々(はんだささ)

範田紗々

女優、タレント。1985年、沖縄県生まれの横浜育ち。グラビアアイドルから2006年、セクシー女優へ転身。現在は芸能界に復帰し、テレビやラジオ、映画、舞台などで活動中。

 

紗々ちゃんはタイ料理が好きで、お酒も好きだけどあまり飲まない、と言います。お酒を飲むと何もできなくなる、そうです。「たまちゃん! タマリンドジュースだって!」たま、タマ、と、静かに興奮する紗々ちゃんと、二日酔いの私とふたり、タマリンドジュースで乾杯しました。

 

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紗々ちゃんは「桃の仲間かな? 好き好き」と言い、はなから、タマリンゴ(タマネギのような)の誤植だと思っていた私は、リンゴの品種だと信じて疑っていなかったのですが、タマリンドという果実があって、タイ料理では一般的だそうです。いつもお酒しか飲まないからなあ、と、いうのは思いっきり往生際の悪い言い訳で、甘酸っぱい水分が二日酔いの体に沁みました。

 

ひとまわり年上のソフレに金を貸すべきか。

範田紗々(以下、紗々):ヒミツ! ヒミツ話さないと! 小さいのから大きいのまで、昨日寝る前にいろいろ考えたから、どれを話そうか悩む-。

姫乃たま(以下、姫乃):うはあ、ものすごいサービス精神!

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店内には、でっかい仏様が

 

紗々:参考にしようと思って前の記事を見てたら、お金を貸して逃げられちゃった人(「姫乃たまのヒミツ酒」3軒目)が載ってて、それで思い出したんですけど、私も一回だけ年上の男性からお金貸してって言われたことがあるんですよ。

姫乃:あれですか、お付き合いしてた人とかですか。

紗々:ううん、ハタチくらいの時にバイトしてたカフェの常連さん。ひとまわりくらい年上だったかなあ。よくドライブ行こうよって、海とか温泉とかに連れてってくれてたから、車の中で会ってた思い出が多いな。仕事も名字も知らなかったんだけど、すごくお世話になった。

姫乃:あの、それは、その、何もなく……?

紗々:ないない。なんて言うのかな、今で言うとソフレ(添い寝をする「だけ」の異性の友人、添い寝フレンドの略)みたいな感じ。

姫乃:添い寝こそしてないけど、友達以上、恋人未満、どちらかという恋人寄り、みたいな人だったんですね。

紗々:でも、ある時、お父さんの会社が倒産しちゃったとかで、「こんなことを年下の女の子にお願いするのは申し訳ないんだけど、15万円貸してほしい」ってメールが来たの。毎月5万ずつ、3カ月で返すから、って。

姫乃:わはは、数字がリアルですねえ。

 

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紗々:もう、どうしたらいいか分からなくて。お金って返ってこなかったら、貸した方が悪いみたいになっちゃうし……。女友達にもメールで相談してみたんだけど、貸さない方がいいよって。私も「お金ない人が月に5万円ずつ返せるわけないもんね」って返信したら、間違えて彼に送っちゃってた!

姫乃:ええええええ!

紗々:しかも、当時はガラケーだったから、誤送したことすら気づいてなくて。ある日、バイトの休憩中に「そうだよね、ごめん」ってメールがきて、ヤバー……って。その時は何も返信できなくて、一ヶ月後に電話したら現在使われておりませんって。家も知らないから、それっきり。

 

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姫乃:この記事を読んでたら、ご連絡ください!

紗々:でも私の仕事知らないからなあ。本当にお世話になったから、いまならお役に立てるかもなぁ。

姫乃:それよりも、どうやったらプライベートの紗々ちゃんと仲良くなれるのか知りたいですよ。

紗々:でも女の子のアルバイトって、みんなそういうお客さんいたような気がするなあ。でも、その人ちょっとだけかっこよかったんだよね(笑)。

 

人形の服を全部脱がして丸坊主に……

生春巻きがテーブルに到着し、「このソース好き好き」と、真ん中から食べ始めようとする紗々ちゃんの箸の中で、もちもちの皮がくっつき合って、紗々ちゃんを困らせるのでした。

姫乃:小さい時はどんな子だったんですか。

紗々:幼稚園の時は、りかちゃんとかお人形が好きで、お母さんも好きだったので60体くらい揃えてもらってました。でも、私が全員、お洋服を全部脱がして、丸坊主にしちゃったんですよ。それを並べて見るのが好きで。

姫乃:なんというか、控えめに言うと犯罪者予備軍っぽいですね。

紗々:返ってきたお母さんが「お人形がかわいそう!」って号泣して。

姫乃:それ以外は普通の子で……?

紗々:普通でした! 友達もいたし。でも、友達と遊ぶのはそんなに楽しくなかった。なんでも半分こしないといけないから疲れちゃって、ひとりで遊ぶ方が楽しかった。

姫乃:でも、私が私がっていう、押しの強さは感じないですよね。

紗々:うーん、そうですね。オーディションとかでも、何が何でも私が! みたいなタイプではないかも。審査員の前に立っても「最近何やってるの?」とか聞かれると、なんて答えようか悩んじゃう。ベラベラ喋って、もういいよって思われるかもしれないと思うと、「何もしてないです」って言っちゃう。

姫乃:何もしてなくないのに! それよりこんなに有名な女優さんがオーディションを受けてることが驚き。

紗々:もちろん仕事のオファーをいただいてお芝居をやるときもあるけど、受けるよー。もう何度も受けすぎて、監督さんやスタッフさんとか顔見知りになっちゃうくらい!

 

 「オマエは芝居を舐めてる」

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姫乃:あ、これはビールと一緒に食べないと(とビールを注文)。

紗々:前にね、アイドルの女の子達がいっぱい出演するライブに出させてもらったんだけど、控え室の会話がすごくて……。私は正統派アイドルの子からしたらちょっとジャンルが違うから楽屋の隅っこで待機してたんだけど、アイドルグループの子達が世間話で「パパ」の話してたの!「ねぇ、いくらもらってる?」「あたし50」「えーあたし30」みたいな。ホントですよ! もうびっくりしたー。だから、この子たち毎日違う服とか高そうな服を着れるのかなって、妙に納得しちゃって。

姫乃:さ、30って……。月3万でも羨ましい。

紗々:私も。せめて家賃の半分でもいいから(笑)。

姫乃:わはは、質素ですね。

紗々:セクシー系の女優の子って世間のイメージよりずっと大人しいですよぉ。恵比寿とか西麻布とか住んでないもん。

姫乃:はー、そういう、なんか華やかなイメージあるんですかね。女優さんはファンも優しいですよね。

紗々:活動の最初からずっと支えてくれてる人もいますよ。でも時々、新しいファンが来ておしゃべりしてると拗ねちゃったりして。

姫乃:それでも面識のあるファンはいいですけど、SNSだけで交流持とうとする人って、ちょっと変わった人多いですよね。

紗々:食事のこととか書くと「そのごはんはどんな味がしますか?」とか、質問が来たり。

姫乃:それは……なんとも言えないですね。

紗々:イベントに来てくれてるファンの人でも、一緒に仕事したいって脚本を書いてた人がいて「いつか私が演じられたらいいな」って言ってたんだけど。

姫乃:素晴らしい模範解答!

紗々:そのファンの人、気付いたら俳優になるためのワークショップに通い始めてて「やっと君と同じ舞台に立てた」って私のブログにコメントくれてたのに、だんだんネガティブな書き込みが増えてって最終的には「オマエは芝居を舐めてる」ってコメントが……。

姫乃:わははははは。

紗々:でも、そんなにファンの人と大きなトラブルになったことないです。すごく怖いオニーサンが事務所にいると思われてるのかも(笑)!

 

父親の中では「いまだに現役ニート」

姫乃:あ、そういえば最初に話してた大きいほうのヒミツってなんだったんですか。

紗々:あ、えっとね、父親が私のセクシー方面でやってた仕事を知らないっていうのと。あと、なんだっけ、えーっとね。

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姫乃:それって、実はお父さんは知っているんだけど、あえて黙っているとかではなく……?

紗々:この間もお正月に帰ったら「お前、まだ何にもしないでふらふらしてるのか?」って言われた。

姫乃:ええっ、ニートだと思われてるんですか!

紗々:そう。働いてなくて、年上のサラリーマンの彼氏が養ってくれてるの。

姫乃:そのサラリーマンは実在するんですか?

紗々:いない(笑)。

姫乃:いないんだ! お母さんは?

紗々:お母さんは知ってる。セクシー業界でデビューした時に、週刊誌とか新聞の見出しで見つけちゃって。やっぱり最初は泣いてましたね。でも最終的には認めてくれたというか、DVD収録のときはインタビューまで出てくれました。よくある「母だけが知っている範田紗々の素顔」みたいなトーク。しかも、顔出しはしないのにプロのメイクさんにメイクしてもらって。お母さん、前に出る気マンマンじゃん!っていう(笑)。

姫乃:テンション上がりますよねー、プロのメイクって。

紗々:思い出した! 今日はね、私、なんにもできないんですよーってことを言いたかったの。こうやってメニューもなかなか決められないし、道もわからないし。でも、嫌なことも忘れちゃう。私、いろいろ忘れちゃうんだよね。今日久々にいろんなことを思い出せてよかったかも。またぜひ呼んでください!

 

帰り道。紗々ちゃんはずいぶんと離れた駅まで、歩いて帰ると言います。彼女のことを昔からよく知る編集さんは紗々ちゃんを「タレントとしての資質に恵まれた人」と言っていました。それから「紗々ちゃんは本当に道がわからない」とも。

 

【副業の宣伝】

本業は(一応)地下アイドルとしての歌手活動なのですが、すっかり副業だと思われている私と、女優なのに歌手活動も順調な範田紗々ちゃんのCD情報です。でも本当はCDよりも、接近して写真を撮りたかっただけとも言えます。

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右:沖縄生まれの範田紗々と、沖縄大好きDJ SASAによるコラボユニット、範田紗々 with DJ SASAの2nd CD『DOUBLE S』(2015年5月9日リリース)。TVドラマ『デート』の主題歌に使われたザ・ピーナッツ「ふりむかないで」、アニメ『魔法のプリンセスミンキーモモ』の「BON VOYAGE」、NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』の主題歌「BEST FRIEND」の3曲を南国テイスト+テクノポップ調でアレンジ。

左:2015年8月19日リリース、姫乃たまプロデュースアルバム『僕とジョルジュ』。サウンドプロデュースに佐藤優介(カメラ=万年筆)、コ・プロデュースに金子麻友美、 ゲストとして澤部渡(スカート)が曲提供、山﨑春美(タコ、ガセネタ)がデュエット、シマダボーイ(NDG)がパーカッションとして参加。歌詞カードは書き下ろしマンガ「僕とジョルジュ」です

 

今夜の一品

ポーピアソッ(生春巻き)

紗々ちゃんが取るのに一苦労するほど、皮がもちもち。端っこから食べれば問題ありません。

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今夜のお店

バンコクガーデン

住所:東京渋谷区代々木2-19-12 唐沢第2ビル B1F
電話番号:03-6300-4322
営業時間:11:30~14:00、18:00~23:30
定休日:日曜、祝日

 

書いた人:姫乃たま

姫乃たま

1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を軸足に置きながら、文筆業も営む。そのほか司会、DJとしても活動。フルアルバムに『僕とジョルジュ』があり、著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)があ る。

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