モチモチのパンに肉とチーズを詰め込んだキューバサンドで、本場のモヒートを流し込まないか?

キューバ人が作る本格的なキューバサンド専門店「CUBAN SANDWICH & DELI AHINAMA 上野店」に行ってきました! オーナーのロベルトさんがキューバで食べていた“故郷の味”とは?

エリア上野(東京)

サンドイッチ、ハンバーガー、イングリッシュマフィン、ホットドッグ……。パンで具を挟んだ料理は大体食べ尽くしてきたと思っていたのですが、恥ずかしながら最近になって初めて食べて、衝撃を受けたものがあります。それが、キャンプをしたときに友人が作ってくれた「キューバサンド」です。

キューバサンドとは、細長いバゲットのようなパンに、プルドポークやチーズなどの具を挟んでプレスした料理のこと。キューバ系移民がアメリカで広めたといわれています。とあるロードムービーがきっかけで日本でも話題となり、キャンプ飯として取り上げられたり、専門店がオープンしたりと、ジワジワと知名度を高めているようです。

そんなことを調べているうちに、本格的なキューバサンドを食べてみたくなりました。どうやら、東京上野に本場のキューバサンドを味わえるお店があるようです。百聞は一見にしかずということで、早速行ってきました!

外はカリッ、中はモッチモチのパンに、ぎっしりと詰まったプルドポークがクセになる!

上野駅から徒歩数分、落ち着いた雰囲気の路地にあるのが、キューバサンド専門店「CUBAN SANDWICH & DELI AHINAMA 上野店」です。

▲キューバの美しい海岸のような、ターコイズブルーの外観が目印

キューバ出身のオーナーがオープンしたお店で、キューバ人が作る本格的なキューバサンドを提供しているようです。もともとテイクアウトをメインに営業していたそうですが、現在は店内にもイートイン用のカウンターと椅子があり、外のベンチで食べることもできます。

プルドポークを使った、看板メニューの「エル・クバーノ」を注文してみました。

▲エル・クバーノ レギュラー(980円) ※ハーフは550円

バターを塗って表面をカリッと焼き上げたパンの断面から、たっぷりの具が顔をのぞかせています。「エル・クバーノ」の具はプルドポーク、ハム、チーズ、マヨネーズ、マスタード。ぎっしりと敷き詰められていて、持ち上げると重みを感じます。

思いっ切りかぶりついてみると、まず驚いたのがパンのフワフワ感! 見た目の焼き上がり具合からハードな食感を予想していたのですが、中は程よくモチモチで、絶妙なかみ応えがあります。そこにホロホロにほぐれたプルドポークと溶けたチーズが絡み合い、とにかく食感がずっと心地いい(笑)。

プルドポークはしっかりとした塩気の中にほんのり甘みがあり、スパイスの香りも感じられます。チーズと合わさってパンチはきいていますが、プルドポークがそれほど脂っぽくないので、意外とサクサク食べられます。マヨネーズの酸味やマスタードの辛み、バターのリッチな香りやハムの柔らかい食感との相性もバッチリです。

キューバで食べていた“故郷の味”を再現

こちらがオーナーのロベルト・ミロ・ルアセスさん。料理のこだわりやお店のコンセプトを聞いてみました。

 

──キューバサンド、食べ応えがあってとってもおいしいです! プルドポークの作り方など、料理のこだわりを話せる範囲で教えてください。

ロベルトさん(以下、敬称略)一番のこだわりは、やっぱり肉ですね。お店で開発したオリジナルのモホソースにブロック肉を漬け込み、時間をかけてホロホロのプルドポークに仕上げています。この柔らかさが、パンの食感とマッチしてクセになるんです。

 

──そうそう、パンの食感も絶妙ですよね。

ロベルト:はい、パンもお店専用に作ってもらっています。キューバで食べていたパンの味を再現したくて、いろんなパンを探し求めてようやくたどり着きました。フランスパンでも作れますが、冷めると硬くなりますよね。アゴが疲れちゃうのは良くないからね(笑)。うちはオーダーをいただいてから焼き上げるので、出来たて、アツアツを楽しめますし、パンが硬すぎないので冷めてもおいしく食べられますよ。

 

──焼き方のコツはありますか?

ロベルト:パンにバターを塗り、ホットサンドメーカーでプレスしながら焼いています。おいしく作るコツは、プレスしすぎないこと。パンのふんわりした感じや、プルドポークのホロホロとした食感を残しています。

▲ホットサンドメーカーを使用。一度にレギュラー6本を焼ける。忙しいときは2台を稼働させることもあるのだそう

──具は意外とシンプルですよね。キューバサンドはアメリカに移住したキューバ人が作ったものだと聞いています。お店で出しているのはアメリカで食べられているキューバサンドに近いイメージですか?

ロベルト:いえ、アメリカのキューバサンドは肉だけでなく野菜もたっぷりと入れるスタイルが主流なんです。でも、私が小さいころにキューバで食べていたのはもっと質素なもので、学校から帰ってきたときに食べるおやつのような位置付けでした。決してぜいたくなものではないけれど、とにかくパンや肉のおいしさ、独特の食感がずっと記憶に残っていました。その故郷の味を再現したかったので、具はなるべくシンプルにしています。お好みでピクルスやアボカドペーストなどをトッピングすることもできますよ。

 

──なるほど、キューバで食べていた味を再現しているんですね。「エル・クバーノ」以外にもおすすめメニューはありますか?

ロベルト:メインの具はプルドポークのほかに、プルドビーフやプルドチキン、エビがあります。それぞれの具に合わせてモホソースを変えているので、同じキューバサンドでも味の違いが楽しめます。

 

──それは試してみたいです!

ロベルト:ドリンクもおすすめですよ。特に有機キューバコーヒー豆を使用した「キューバーコーヒー」と、本場の味わいを再現した「本場キューバ・モヒート」はぜひ味わってほしいですね。

▲キューバコーヒー ホット/アイス(各300円) ロベルトさんのイラストが描かれたオリジナルカップで提供

──お酒好きとしては、「本場キューバ・モヒート」が気になります。何が違うんですか?

ロベルト:イエルバブエナというキューバ産の有機ハーブをたっぷりと入れています。日本のモヒートに使われることが多いスペアミントよりも香りが豊かで、ハーブの力強さが感じられます。もちろん、ラム酒もキューバ産。これが本場の組み合わせですね。

▲イエルバブエナの葉

▲本場キューバ・モヒート(700円) イエルバブエナのたくましいハーブ感が、ラム酒や砂糖の甘みを引き立てる。ソーダの炭酸と合わさり、爽快感のある一品。キューバサンドとの相性も最高!

コロナ禍のテイクアウト需要に応えてオープン。初日から大盛況に

──お店のことも教えてください。そもそも、ロベルトさんはいつ日本に来たのでしょうか?

ロベルト:もう20年以上前になります。もともとはダンサーとして来日したんです。

 

──ダンサーだったのですか!

ロベルト:そうなんです。日本ではずっとダンスの先生をしていたのですが、年を取ってもやり続けられる仕事ではないので、次のステップとして、もう一つの夢だった自分のお店を持つことにしたのです。最初はバーを開き、そのあと2012年ごろにキューバ料理専門レストランを赤坂にオープンしました。

 

──そのお店でもキューバサンドを出していたのですか?

ロベルト:はい、メニューにはありました。ただ、当時は日本で知っている人はほとんどいませんでしたね。大きなターニングポイントになったのは、2014年ごろです。キューバサンドをテーマにしたロードムービーのプロデューサーが来日したとき、うちのお店で食べたキューバサンドを絶賛してくれたんです。それがきっかけで、映画のプロモーションでうちのキューバサンドを使ってくれたり、フードトラックを一緒に作ったりしました。

 

──そうだったんですね! その映画をきっかけに、日本でもキューバサンドを知っている人が増えたそうですね。

ロベルト:そうそう、テレビや雑誌の取材もけっこう来てくれて、そこからキューバサンドが日本に少しずつ広まっていきました。

 

──このお店をオープンしたのはいつですか?

ロベルト:2020年です。コロナ禍で赤坂のお店をどうしようかと考えていたとき、キューバサンドはテイクアウトとの相性が良いのではないかと思い付いて、キューバサンドの専門店としてオープンしたんです。

 

──オープン後の反響はどうでしたか?

ロベルト:初日から私たちも驚くほど、たくさんの人が来てくれました。毎日繁盛して、開店後1時間で売り切れになることも。どれだけパンを作らないといけないの? って、スタッフ一同でうれしい悲鳴を上げていました。

 

──それは良かったですね! お店作りで大切にしていることはありますか?

ロベルト:まるでキューバの家に遊びに来たかのように、お客さんに楽しさや温かみを感じてもらうことを大切にしています。キューバの料理にこだわるだけでなく、スタッフもみんなキューバ人、BGMもキューバの音楽を流しています。

──キューバ人のお客さんも来ますか?

ロベルト:はい、しょっちゅう来ますよ(笑)。「そうそう、この味だよ」って小さいころに食べていたキューバサンドの味を思い出してくれますね。アメリカ人もよく来るけれど、アメリカで食べていたキューバサンドと少し違うから、それはそれで新鮮みたい。「アメリカで食べていたものよりおいしいよ」って言ってもらえることもあって、それはすごくうれしいですね。やっぱり、お客さんにおいしいと言ってもらえて、また来てもらえるのが一番です。

 

──すてきですね。今後やりたいことや、ロベルトさんの次の夢を教えてください!

ロベルト:私の大きな夢は、全国にキューバサンドのお店を出すことです。まだまだキューバサンドを知らない人もたくさんいると思うので、北海道から沖縄まで日本全国にその魅力を届けていきたいですね。

 

──壮大な夢ですね! 楽しみにしています!

明るく朗らかなロベルトさんが提供する本場のキューバサンド、ぜひ味わってみてください。上野恩賜公園が近いので、キューバサンドとモヒートを買ってお花見や散歩を楽しむのもおすすめです!

店舗情報

CUBAN SANDWICH & DELI AHINAMA 上野

住所:東京都台東区東上野3-23-5 新井ビル1F
電話番号:03-6284-4547
営業時間:月曜日〜金曜日 11:30〜17:00、土曜日 12:00〜18:00、日曜祝日 12:00〜17:00
※キューバサンドが無くなり次第クローズ。
定休日:不定休
※都合により、早じまいや臨時休業することもあります。HPX(Twitter)、Instagramをご確認ください。

www.hotpepper.jp

書いた人:松山響

沖縄生まれ東京育ち。

編プロ→ブランディングカンパニー→フリー編集者/ライター。

女性誌のグルメ特集で“カフェ巡り”の真髄に触れ、食品宅配サービスのPR媒体で自炊にハマり、日本全国の酒蔵ストーリーをつくる企画に挑戦して太るなど、食と酒には公私ともにお世話になっている。

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