みなさんこんにちは、メシ通レポーターのタベアルキストWakuiです。
今回も我々タベアルキストが、わざわざ食べに行く価値のある逸品を提供している
お店へ実際に訪れ、食べまくる究極の食べ歩き「名店巡礼」をお届けします。
名店巡礼のセレクト店の定義やこの企画ポリシーなどは、ぜひ以前の記事をご確認ください!
~名店巡礼 外房編~
今回の巡礼先は「外房」を選びました。内房に続いて千葉県2回目です!
太平洋に面した外房エリアは、鰯で有名な銚子やはまぐりの名産地九十九里を擁する、おさかな天国。季節が春へと進む中で主役となる食材も移り変わる時期。
訪れたのは春の訪れが待ち遠しい2月某日。今なら、冬の魚と春の魚両方楽しめる! ということで、今回はテーマを「旬の魚介」に絞って、外房エリアのお魚の美味しいお店をリストアップ。こだわりの5軒が出そろいました。
1軒目:カントリーハウス 海辺里 逸品:どぶ汁仕立てあんこう鍋
タベアルキストの3人が車で向かった先は外房。
都内から高速道路を使い2時間程で辿りついた1軒目は、日本の夕陽・朝日・夜景100選の名所として知られている刑部岬にあります。
店の目の前から見下ろせば飯岡漁港が、さらにその先には九十九里浜の絶景が一望できます。
1軒目は、旬魚を存分に味わえるペンション併設の店「カントリーハウス 海辺里」
もちろん宿泊せずに、料理だけを楽しむこともできます。
ウリは、飯岡漁港から直接仕入れる新鮮で食べ応えがある旬魚料理と素晴しい景色。季節によっては、目の前の海で採れる天然の磯牡蠣も食べることができます。
こちらのあんこう鍋は、飯岡漁港で水揚げされた新鮮なあんこうを使用。
敷地内にはつるし切りできるスペースがあり、包丁1本で豪快にさばかれたあんこうの食感が異なる7つ道具(トモ(肝)、鰭、ヌノ(卵巣)、柳肉(身肉、ホホ肉)、水袋(胃)、鰓、皮)が、地元野菜とともに山盛りで提供されます。
なかでも今まで見たことのない量の生のあん肝は、鮮度の良さを感じることができる見事な色合い。
このあん肝をヘラで丁寧に刻みながら火を通してペースト状になるまで溶かし、鍋に他の具材を投入し煮立つまで数分待ちます。
▲あんこう鍋どぶ汁仕立て 3,000円
できあがった鍋は、通常「ドブ汁」と呼ばれるもので、あんこうの本場と言われる茨城県の漁師達の食べ方から端を発しているスタイル。水を一切使わないのが特徴の鍋です。あん肝から出る肝油で汁がオレンジ色に濁り、その肝やあんこうから出る濃厚な旨みがこの鍋を作り上げています。
ホクホクの柳肉やプルプルの皮の異なる食感も楽しく、ひと口飲むと体の隅々まで温かさが広がっていくような滋味豊かなスープはクセになります。
そして〆の雑炊は、あんこうの旨味をたっぷり含んでおり、一口たりとも無駄にしたくないと思える内容でした。
お店情報
カントリーハウス 海辺里
住所:千葉県旭市上永井1217
電話番号:0479-57-3190
営業時間:11:00~19:00(ラストオーダー18:30)
定休日:月曜日
ウェブサイト:http ://tuberi.jp/
執筆者 :Masayuki Wakui
2軒目:観音食堂七兵衛 逸品:極上さば寿司
2軒目にやって来たのは銚子にある「観音食堂 七兵衛」。
魅力的な評判店が多い銚子ですが、我々の目的はこちら1店のみ!
観音食堂七兵衛は青魚に特化しており、しかも生に限りなく近い状態で提供されております。
▲極上さば寿司 1,450円
800g以上の魚体のみを選りすぐったものこそが、極上さば。頂いてみると肉厚な身に脂がノリノリで、三温糖を使用した酢飯との相性が良好。程良く〆てさばの旨味を閉じ込めており、ご主人の研究の証とも言えるさば寿司です。
さば寿司と言えば酢飯が甘いケースが多いものの、こちらは比較的控えめで飽きずにパクパクと 頂いてしまいます。
なお、「全水揚げ量の1%未満のさばなんて、行った時に頂けるの?」と不安を覚える方もおられるかと思いますが、大丈夫。
こちらでは厳選された上物を、揚がったタイミングで調理を行い、高度な技術で冷凍されておりますので、安心して訪問してください。
▲真いわし漬丼 900円
期待を超える絶妙な塩梅の漬け加減。
さっぱりとしたタレと優しい漬け加減で、いわしの風味を壊すことなくその魅力を引き出しています。
プルプルした身を噛みしめるといわしの脂と香りがふわっと広がり、たまりません!
いわしの旬は夏ですが、旬以外でも美味しく頂けるのは、漬けの技術があってこそ。
お店情報
観音食堂 七兵衛
住所:千葉県銚子市飯沼町1-26
電話番号:0479-25-3133
営業時間:10:00~20:00(ラストオーダー19:30)
定休日:水曜日(水曜日か祝日の場合営業)
ウェブサイト:http://www.shichibee.com/
執筆者:Yuya Otani
3軒目:café 椎の木 逸品:九十九里地はまぐりパスタ
九十九里海岸沿いを走ると、そこかしこに「焼はまぐり」の文字が。じゅわっと焼きあがった、はまぐりも魅力的ですが、今回は我慢。
3軒目は、今が旬のはまぐり料理がいただける「café 椎の木」
オーベルジュ椎の木併設のお店になります。
▲九十九里地はまぐりパスタ 1,600円
こちらの逸品は、大ぶりな地はまぐりを使った、スープ仕立てのパスタ。
はまぐりは贅沢に3つも入っています!(個数ははまぐりの重量で計算しているため、増減することあり)これでも普通サイズとのことなので、驚きです。
はまぐりは絶妙な火入れ。大きな身と、ぷりぷりの程よい弾力が口の中で生み出す満足感はかなりのもの。
パスタは、はまぐりの出汁をたっぷり含んだスープに、添えられたゴマとシソの香りがとても良く合う、和テイストの仕上がりになっています。
はまぐりのうま味を、別の素材にも移して楽しめるという点は、焼きはまぐりにはない魅力。パスタがもう少しアルデンテな仕上がりなら、さらに1ランク上の美味しさになりそうです。
▲九十九里産はまぐりの地酒蒸し 1,180円
さらにもう一品。
こちらは九十九里の地酒「梅一輪」で蒸しあげた酒蒸し。
口の中にはまぐりの上品な出汁の味が広がる、ストレートにはまぐりの美味しさを味わえる一皿です。
ワイン蒸しだと、どうしてもワインの個性が出てしまうことが多いので、これは日本酒で大正解!
はまぐりの魅力は、大きくて食べ応えのある身と、上品な出汁。シンプルな焼きはまぐりも素敵ですが、出汁を活かしたひと手間かけたお料理も魅力的です。
お店情報
café 椎の木
住所:千葉県長生郡長生村驚12-580
電話番号:0475-32-5555
営業時間:11:00~22:00
定休日:不定休
ウェブサイト:http://www.shiinoki.com
執筆者 :Kazushi Kikutani
4軒目:うおたみ 逸品:鯵フライ
更に車を走らせ4軒目にやって来たのは、山武市にある「うおたみ」。
こちらのお店は Web上の情報が少なく、お店のご主人も「地元の人ばかり」とおっしゃっていましたが、地元だけに留めておくには勿体無い海鮮居酒屋さんです。
もともと魚屋さんで、現在も魚屋さんの横にお店がくっついています。
我々タベアルキストの経験では、魚屋さんと居酒屋さんがくっついているお店はヒット率が高い...…。
更に、二代目など若いご主人が始めたお店は、キラリとセンスが光るケースが多い。
「うおたみ」さんでは、鮮度の高い刺盛りや絶妙な揚げ加減のフライなど、旬の九十九里素材をリ ーズナブルに楽しむ事が出来ます。
また、詳細は敢えて伏せますが、日本酒の品ぞろえがとんでもなく素晴らしいです...…。
▲イワシの胡麻漬け 500円
まず頂いたのは、外房の郷土料理。
酢をしっかりと浸透させイワシのクセを取り除き、たっぷりの胡麻がアクセントになっております。
▲刺身の盛り合わせ 1,000円
肉厚な刺身がたっぷり乗っておりますが、なんと一人分。一人で訪問したら、たじろいでしまいます(笑)
日によって内容は変わるかと思いますが、訪問した日はカツオ、アジ、マグロのトロ、イナダ。カツオは爽やかな鉄分が初鰹らしく、アジは脂が乗っており繊維質はプルプル。全体的に鮮度抜群で満足度が高いです。
▲ヒラツメガニ(通称 H蟹))※入荷は不規則で値段も変動
背中にH型のマーク(くぼみ)があるため、「H 蟹」と呼ばれるワタリガニ。蟹ミソに独特の苦味があり、お酒の肴になる蟹です。
▲鯵フライ 650円
ミディアムレアの揚げ加減が抜群!
カリッとした衣をかじると、アジの香りがフワッと漂い、柔らかに揚げられた身はジューシィ。ご主人自らオススメされるだけあり、必食とも言える味わいです。
お店情報
うおたみ
住所:千葉県山武市蓮沼ロ2208-3
電話番号:0475-86-3241
営業時間:11:00~14:00、17:00~21:00
休業日:月曜日
執筆者:Yuya Otani
5軒目:漁夫料理 まるしち 逸品:白子流ブイヤベース
今回の巡礼のトリは、白子町にある「漁夫料理 まるしち」。
何と言うか、実に味のある外観。タベアルキストはこんな感じのお店を心から愛しています。
こちらの逸品は「白子流ブイヤベース」というご当地グルメ!
「白子流ブイヤベース」とは?
白子町の特産品である玉ねぎとトマト、そして九十九里で捕れた青魚のつみれがふんだんに入ったスープで、和風・洋風・中華などいろいろな味の白子流ブイヤベースが楽しめます。
ブイヤベースというとフランス料理店で、高い料理ではないかというイメージがあるかもしれませんが、白子流ブイヤベースは気軽に手頃な値段で食べることが出来ます。
また、「白子流ブイヤベース」と名乗るためには、白子町の特産である玉ねぎ、トマト、青魚のつみれの3つを材料にしなければいけません。
(白子町商工会HPより引用)
がんこ親父の増田さんが、具材を見せてくれました。
旬の白玉ねぎに、特産のトマト、魚介はカニ、はまぐり、エビ、イカ、鰯つみれ、etc……優に10種類を超える具材が入ります。
▲白子流ブイヤベース 2,000円(1人前)※2人前より 前日まで要予約
土鍋いっぱいに詰め込んだ、これらの具を特製ブイヤベーススープで煮込んでいきます。このブイヤベースの下味は商工会が共同で開発したものになります。
まるしちでは、さらに別で魚介スープを作り、この下味と合わせて独自の味に昇華させています。
外房の海の幸を、それこそ骨の髄まで吸い出したブイヤベースは濃厚そのもの。混然一体となった、とても濃い旨味が味わえます。
アクセントになるのが、丸ごと入れたトマト。程よい酸味が、口の中をさっぱりとさせ、また次の一口へと向かわせます。
ふわっふわの鰯のつみれは絶品。口の中でホロリと崩れる食感は一食の価値ありです。
こちらのブイヤベース、2人前からの注文で、前日までに要予約とのこと。
こんなにいっぱい食べられない! という方もご安心を。ブイヤベースの素をお店で販売しています。
これがあれば自宅でも白子流ブイヤベースを楽しめる!
お店情報
漁夫料理 まるしち
住所:長生郡白子町浜宿2503
電話番号:0475-33-3513
営業時間:17:00~22:00
定休日:不定休
ウェブサイト:http://www.shiinoki.com
執筆者 :Kazushi Kikutani
名店巡礼 外房編まとめ
今回の5軒のセレクトいかがでしたでしょうか。
もうすぐシーズンオフを迎えるあんこうに、旬のはまぐり、職人のこだわりが詰まった逸品、新旧ご当地グルメなど、様々な切り口で外房の魚介グルメを発掘してみました。
内房編や湘南編ではあえて魚介から少し外したグルメを取り上げましたが、やはり王道は王道。海岸沿いの町の魚介の美味しさは、やはり抜群です!そして、どこのお店も自慢の一品に誇りを持っています。外房のグルメを語るうえで、季節折々の旬の魚介は外せないでしょう。
方言で「召し上がれ」を意味する「やったいよ」を拝借しまして、シンプルですがグルメキーワードは「旬の魚介」を「やったいよ」としたいと思います!
(取材日/2016年2月27日)