こんにちは。ぶどう大好きライターの少年Bです。
夏から秋にかけてのフルーツと言えば、ぶどう。話題のシャインマスカットやおなじみの巨峰、デラウェア……といった名前が思い浮かびますが、じつはここ数年でもあたらしい品種が続々登場しているホットなフルーツなんです。
そんな旬のぶどうを使って自家製レーズンづくりに挑戦してみませんか?
ドライフルーツの中でももっともポピュラーなレーズン、その原材料はぶどうだけ。
自宅で作るならレーズン用の品種を使えば間違いないのですが、スーパーに行けばいろんな種類のぶどうが並んでいますし、品種によって見た目も味も食感もまったく違います。
じゃあ、生で食べてもおいしいシャインマスカットや巨峰を使えば、もしかして市販のレーズンよりもおいしいものができるのでは……?
ということで、今回は独断と偏見で7種類のぶどうを集めて、レーズンを作ってみました!
7種のぶどうを集めました
レーズンになってもらうぶどうは次の7種類。すべて近所のスーパーや八百屋さんで揃えました。
デラウェア
スーパーでもよく見る、おなじみの品種です。今回の7種の中ではもっとも粒の小さいぶどうで、甘味とさわやかな酸味が特徴。小粒なので、かんたんにレーズンになってくれそうな気がします。
ゴールドフィンガー
指のような、繭のようなかたちが特徴的なぶどうです。レーズンになってもこのかたちのままなんでしょうか。また、ゴールドフィンガーは今回集めたなかでは唯一、種がある品種です(種なしのものも存在します)。種ありのレーズンってどうなんだろう……?
巨峰
みなさんご存じのとおりの巨峰です。種ありのものも出回っていますが、今回は種なし巨峰を買ってみました。皮はかなり厚いですが、果たしてちゃんとレーズンになってくれるのでしょうか?
藤稔(ふじみのり)
1粒30gにもなる大粒のぶどうです。巨峰よりもあっさりとしていて、ジューシーなのが特徴。1万種以上あると言われるぶどうの中でも最大級の粒の大きさを誇る品種で、かなり食べ応えがありそう。きちんと乾いてくれるのかどうかが心配です。
シャインマスカット
いま大注目の緑のぶどうです。完熟すると黄色くなり、砂糖菓子のような甘さになります。高級ぶどうですが、今回は完熟したものが安く手に入りました。シャインマスカットのレーズン、想像するだけで楽しみです……!
トムソン・シードレス
主にアメリカやチリなど、海外から輸入されている品種。「トンプソン・シードレス」と書かれていることもあります。一般的なレーズンの原料になっている品種でもあり、「サルタナレーズン」と書かれているものはこのぶどうを使って作られています。間違いなくおいしいはず!
クイーンニーナ
大粒の赤いぶどう。強い甘さもさることながら、ぶどうとは思えない硬めの食感が最大の特徴です。この食感はレーズンになった時にどう変わるのでしょうか?
1粒ずつ並べてみました。大きさもかたちも味もそれぞれ違った7種類のぶどう。いったいどんなレーズンになるのでしょうか。
干してみよう
さっそく干してみましょう。「野菜干し用の網はどこかに売ってないか!」といろんなお店を手あたり次第探したんですが、最終的に最寄りの100円ショップで見つけました。100円ショップ、何でも売ってるな……!
ぶどうは粒が多いため、半分はそのまま生で干し網へ。
そしてもう半分は、オーブンで焼いてから干してみることにします。
▲クイーンニーナ(左)、ゴールドフィンガー(中央)、藤稔(右上)、シャインマスカット(右下)
なお、量が多いため、2回に分けてオーブンに入れることにしました。ぶどうが焦げてしまわないよう、低温で焼いていくのがいいでしょう。我が家のオーブンレンジのスペックでは150度で30分が限界でしたが、ところどころ焦げてしまったので、100度で30分おきに裏表を返すのがいいと思います。
▲150度のオーブンで30分焼いた状態
オーブンにかけると、ほとんどのぶどうは皮が裂けてしまいました。かなり不安になります……!
▲巨峰(左)、トムソン・シードレス(中央)、デラウェア(右)
▲150度のオーブンで30分焼いたところ、デラウェアはもうそのまま完成でもいいんじゃないか? って感じになりました
ぶどうを外に干します。生のものはそのままでもいいのですが……
問題はオーブンで焼いた方のぶどうです。皮の裂け目から果汁がどんどん滴り落ちてくるため、下にキッチンペーパーを敷きました。
紙が風をさえぎって干す効果は半減しそうですが、我が家はベランダがない2階なので、下の住人に迷惑をかけるわけにはいきません。
ぶどうを干してわかったこと
そして干し始めてから3日が経ちました。オーブンで焼いたほうから、途中経過を見てみましょう。
果汁の量は品種によっても違い、特にジューシーな藤稔からはどんどんあふれてきます。この時点ではとにかく出てくる水分が多く、こまめにふき取り、キッチンペーパーを毎日交換するという手間が必要になりました。
一方、デラウェアは小粒なこともあってか、ほぼ乾燥していて、果汁の流出はありませんでした。
ゴールドフィンガーは最もレーズンっぽい見た目に。
干し始めて3日目のクイーンニーナ。赤ぶどうだった面影はなく、ゴールドフィンガーのような緑のぶどうと同じく褐色になりました。
一方、生のぶどうは3日干してもまったく様子が変わらず……! 皮がぶ厚いため、中の果汁(=水分)がほとんど蒸発しないようです。ちゃんとレーズンになってくれるのでしょうか……?
10日後、自家製レーズンの完成!
そうしてさらに数日が経過。
皮の裂け具合にもよるかもしれませんが、オーブンにかけたシャインマスカットや巨峰、クイーンニーナは時間が経つにつれて果汁が徐々に出てくるように。他の品種は表面がしっとり濡れる程度に留まりました。
ゲリラ豪雨のためにあわてて室内に取り込んだり、強風で網が落下したり……さまざまな苦難もありましたが、10日間かけて、レーズンが完成しました。
まずは、生のぶどうを干したものがこちら。
▲左上から時計回りに、デラウェア、ゴールドフィンガー、巨峰、藤稔、シャインマスカット、クイーンニーナ、トムソン・シードレス
デラウェア、巨峰、藤稔、トムソン・シードレスは少し乾燥して干からび、ゴールドフィンガーは付け根が変色、シャインマスカットは全体的に褐色になり、クイーンニーナはまったく変わらない、という結果になりました。
結論から言うと……ぎりぎり食べられるけど、レーズンとしては失敗!
クイーンニーナは10日前とまったく変わらず、抜群の日持ちのよさを見せつけました。でも、干す前とまったく変化がないならば、レーズンとしては大失敗ですよね。シャインマスカットとトムソン・シードレスは少し乾いているものの、レーズンになるまでには至りませんでした。デラウェアや巨峰、藤稔はすこしワインのような香りを発しているものもあり、こちらは若干危険な感じの味がしました。乾燥と言うより、「腐敗」のほうが近い気がします。
もし生のまま干すのであれば、実を縦半分に切るなどして、果肉に直接日光が当たるようにすればよかったかもしれません。
一方、オーブンで焼いたものはこの通り!
▲こちらも左上から時計回りに、デラウェア、ゴールドフィンガー、巨峰、藤稔、シャインマスカット、クイーンニーナ、トムソン・シードレス
想像以上にちゃんとしたレーズンになっていました。すごい!
水分が出まくった藤稔はカラカラに乾燥した反面、終盤まで果汁が流出しなかった巨峰やシャインマスカット、クイーンニーナは表面が糖分で覆われて、しっとりとした仕上がりになりました。
一般的なレーズンっぽい感じに仕上がったのはデラウェア、ゴールドフィンガー、トムソン・シードレスでしょうか。ゴールドフィンガーは種が表面に浮き上がっています。どうやら、皮が裂けた品種ほど水分が飛び、レーズンらしくなるようです。
ぶどうは皮が厚く、果汁が多いため、生の粒のまま干しただけではレーズンになり切らない品種が多いようです。家でレーズンを作るのであれば、オーブンなどを使って加熱したほうがいいでしょう。
それでは、さっそく試食してみましょう!
デラウェア
食感はそのままレーズンです。甘味が濃縮されていてうまい! 市販のものよりも少し酸味が強く、しっとりしている印象。粒が小さいこともあって、ちょっと焦げた感じが気になりました。やはり、もう少し低温で時間をかけて焼いたほうがよさそうです。
レーズン度★★★★★
おすすめ度★★★
ゴールドフィンガー
生よりも種が取りにくい……! 含まれている糖が結晶化したようで、ジャリっとした食感が特徴的でした。ほかの品種よりも糖分が多いのかもしれません。甘味は強めですが、種を噛んでしまうと苦味があるので、種ありの品種はレーズンには向かないと実感しました。
レーズン度★★★★★
おすすめ度★
巨峰
水分が抜けきっておらず、レーズンというよりプルーンみたいな感じです。とはいえ、厚い皮もまったく気になりませんし、巨峰の甘味が凝縮されていておいしい。いくらでも食べられます!
レーズン度★★
おすすめ度★★★★
藤稔
巨峰とは逆に、水分が抜けていて硬い。干し野菜とか乾物って感じで、レーズンとは思えない食感です。反面、味は甘味よりも酸味が強くて、ちょっと大人の味。あえてレーズンにするよりは、生のほうが食べ応えがあっていいかも……!
レーズン度★★★
おすすめ度★★
シャインマスカット
水分がかなり残っていて、プリっとした食感。噛むと中からシャインマスカットのジュースが出てくる。皮はすこし気になりますが、問題ない範囲です。味はとても甘味が強くて最高! レーズンっぽさはないけども、新感覚の食べものです!
レーズン度★
おすすめ度★★★★★
トムソン・シードレス
見た目は赤みがかっていますが、いわゆるグリーンレーズンって感じです。味は基本的に市販のものと似てるけど、すこししっとりしています。これは市販のレーズンよりも断然うまい!
レーズン度★★★★★
おすすめ度★★★★★
クイーンニーナ
くにゅっとした食感はレーズン感強め。トムソン・シードレスもおいしいけど、これはさらに甘味が強く、適度な酸味もあっておいしい! ひたすら甘いシャインマスカットよりも好きな人は多いかもしれません。
レーズン度★★★★
おすすめ度★★★★★
・・・
どれもおいしかったのですが、特に後半の3品種はどれも最高でした!
シャインマスカットはレーズンっぽさこそないものの、独特の食感と甘さは唯一無二。一度は作っていただきたいです。
トムソン・シードレスは世界各国でレーズンの原料として使われるのも納得の味わい。生で食べるよりもはるかにおいしく、レーズンになることで「化けた」と言えるでしょう。
そしてなんと言ってもクイーンニーナ。レーズンには甘さのほかに適度な酸味も必要なんだな、と改めて感じました。個人的にはいちばん好きかもしれません。比較的新しい品種ですが、最近スーパーでも見かけるようになってきたので、ぜひともチャレンジしてみてほしいです。
ちょっとアレンジ! お酒のつまみにも
「みなさんも、ぜひとも自家製レーズンを作ってみてはいかがでしょうか?」
……そんな文面で締めてもいいのですが、せっかくレーズンを作ってみたんだから、ここからはちょっとアレンジ。もう少しだけ時間をかけて、おつまみにもなる自家製レーズンバターを作ってみてはどうでしょう。
レシピはとってもかんたん。
今回はレーズンをしっかり味わうために、バター25g、レーズン10gという分量で7種類のレーズンをそれぞれレーズンバターにしてみました。
まずはレーズンが焦げないように、弱火で2~3分程度乾煎りして水分を飛ばし、包丁で粗めに刻みます。
常温で戻しておいたバターと混ぜます。
バターがなめらかになって、うまく混ざったらOK! ラップの上にクッキングシートを敷いて……
レーズンバターを棒状にして、まとめたらラップで押さえます。
このまま冷蔵庫に3時間入れておけば、自家製レーズンバターの完成です!
7種類のレーズンバターができました。こちらも味の違いを見ていきますよ!
レーズンバターの味わいは……?
デラウェア
クラッカーの塩気で酸味が気になりません。レーズンとして食べるよりおいしい! 甘さと塩気のバランスがいいですね。
おすすめ度★★★★★
ゴールドフィンガー
甘味が強くて、普通のレーズンバターよりおいしい。ただ、バターの濃さに少し負けている印象……レーズンの分量をさらに増やしてみると、さらにおいしくなるかもしれません。
おすすめ度★★★
巨峰
水分が抜けたからでしょうか、ぶっちゃけ味がしません。風味はいいんですが……残念!
おすすめ度★
藤稔
酸っぱさは影をひそめましたが、とにかく味が薄い……! 甘味が強くないとバターとは合わないのかもしれません。
おすすめ度★
シャインマスカット
バターの濃さと甘さがマッチしておいしい。ただ、期待したほどではないかも……レーズンのままのほうがおいしかったです。
おすすめ度★★★
トムソン・シードレス
めちゃめちゃうまい! コクのあるバターがトムソン・シードレスの甘味をしっかり受け止めていて、ワンランク味が上がった感じがします。積極的にレーズンにしていくべきぶどうです。
おすすめ度★★★★★
クイーンニーナ
一口食べて思わず「うまいな!」と叫んでしまいました。生でもレーズンにしてもおいしいけど、バターと合わせてもいけます。甘味と酸味が引き立っていくらでも食べられそう。クイーンニーナもレーズンの適性がかなり高いぶどうですね。
おすすめ度★★★★★
・・・
ということで、レーズンバターにしてもおいしいぶどうは「クイーンニーナ」「トムソン・シードレス」「デラウェア」の3種。特にデラウェアのレーズンは、バターと合わせることで一気に味に広がりが生まれました。
酸味はバターとクラッカーが打ち消してくれるので、少々酸っぱくても甘味の強いレーズンがレーズンバターに向いているようです。逆に、穏やかな甘さのレーズンはバターの濃さに飲み込まれてしまう印象がありました。
わたしはお酒を飲めませんが、ウイスキー好きな人は止まらなくなるという話もあるのでご注意を!
まとめ
今回試してみた中では、レーズン単体でもレーズンバターにしても間違いないのが「デラウェア」「シャインマスカット」「トムソン・シードレス」「クイーンニーナ」の4種。
シャインマスカットやクイーンニーナは高級品なので、なかなか試しづらいかもしれませんが、デラウェアやトムソン・シードレスは値段もお手頃。ぜひとも試していただきたいです!
そして、10月はぶどうのハイシーズン。 スーパーや八百屋さんなどには、今回試した7種類のほかにも色や形、味や食感の違う品種がたくさん並んでいるはずです。
ぶどうひと房はちょっと多いな……と思うかもしれませんが、半分はそのまま生で、もう半分はレーズンにしてみると、新たな魅力を発見できるかもしれませんよ。