
こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。「ツジメシの日常メシと週末メシ」シリーズ、今回は週末メシ。この週末はちょっと一手間かけて、普段と違う美味しいものを作ってみませんか?
空豆+ディル+インディカ米+ラムがクセ強でうまい!
何年か前にイラン料理屋さんで食べて、その組み合わせに驚きつつとても気に入って、それ以来空豆の季節には毎年作っている「空豆ディルご飯」こと「バガリポロ」をご紹介します。
ペルシア語でバガリは空豆、ポロはご飯(ポロ/ポロウは中央アジアのプロフ、インドのプラオ、そしてヨーロッパのピラフとも繋がっている言葉ですね)。
彼の地では骨付き羊肉の煮込み「マヒチェ」が一緒に食べられることが多いようで、お店でもセットで提供されていたりします。確かにこのご飯と羊肉の相性は抜群です。煮込みはちょっと大変なので、今回は手軽にラム肉のステーキ添えにしました。
ディルは上の写真の緑色の細い葉っぱ。サーモンに合わせたりと西洋では魚料理に使う印象ですが、独特の甘く青い香りは、意外に青臭仲間の空豆との相性もよく、さらに長粒香り米のナッツやコーンを思わせる香り、牧草由来とも言われる香りを持つラムと合わせると、これがもう!最高なんですよ。
もちろん、日本米で作っても間違いなく美味しいのですが、最近は入手しやすくなっていますので、せっかくなのでインディカ米をおすすめします。特に、インドやパキスタンのふんわり軽い炊き上がりの香り米「バスマティライス」なら、よりラムやディルとの香りの組み合わせ、空豆やじゃがいもとの食感の妙が楽しめます。
本家バガリポロの作り方も様々あり、インドのビリヤニのように固茹でした米をさらに蒸し焼きにしたりもするようなのですが、普通に炊飯するだけでも、じゅうぶんに美味しくできます。

ツジメシの「空豆ディルご飯とラムステーキ」
材料(1食分)
- 米 100g(バスマティライスの場合はかさが増えるので90g)
- じゃがいも 中1/2個(70-80g程度。小ぶりの新じゃがなら1個分)
- 空豆 10-12粒(Lサイズ4さや程度)
- サラダ油 大さじ1
- 塩小さじ1/3
- ディル 小1パック(6g)
- ラム肉ステーキ用(もも肉、肩ロース、ラムチョップなどお好みで)100-150g
- 塩 肉100gに対しひとつまみ程度
- ガラムマサラ、またはカレー粉 適量
- サラダ油(肉焼き用) 適量

作り方

米(ここではバスマティライスを使っています)は折れないよう優しく水洗いして30分浸水させておきます。
じゃがいもは皮を剥き、7-8mm厚にスライスします。この時期、あれば新じゃがを使うとバスマティライスや空豆のふんわりやさしい食感によりマッチすると思います。新じゃがなら皮ごとでOKです。
空豆はさやから取り出し、薄皮もむきます。
ディルは茎の硬い部分を外し、荒く刻んでおきます。

ラム肉は水気を拭き取り、塩とガラムマサラ(またはカレー粉)をまぶしておきます。
ここではもも肉ですが、手に入れば肩ロース、ラムチョップなど脂のある部位のほうがストライクゾーンが広く焼きやすいです。

フライパンか鍋(1-2人分なら直径16-20cm)にサラダ油、じゃがいもを入れて軽く混ぜて油をなじませ、じゃがいもを平らに並べます。

その上に水をしっかり切った米を広げ、水(分量外、後述)に塩を混ぜたものを回しかけます。最後に鍋底のじゃがいもを焼き付けたいので、ここで混ぜないようにしましょう。
水の量は1人分で、日本米やタイ米なら米100gを浸水してしっかり水切りしたものに対して130ml。バスマティライスは水を吸ってかさが増えるので米90gに同じく水140mlが目安です。
ディルは1/3ほどを仕上げ用に残して米の上に散らし、さらに空豆を並べて蓋をします。

中火にかけ、沸騰し蒸気が出てきたら弱火にし、10分そのまま火にかけます。
10分経ったら、最後に1-2分火を強めて鍋底のじゃがいもを軽く焼き付けたら(パチパチ音を確認、軽く香ばしいくらいに)火を止め、10分おいて蒸らします。

炊き上がりに合わせてラムを焼きましょう。スパイスをまぶしているのであまり強火だと焦げて苦くなってしまう可能性があるので、中火程度でじっくり焼きます。この量なら片面2-3分ずつ焼いて適度な弾力になったところで取り出して、5分休ませるとちょうどよいと思います。

蒸らし終わったところ。しらすかな?というくらいバスマティライスが伸びています。
はい、上手に炊けました。

器に空豆ディルご飯、切ったラム肉を乗せ、残しておいたディルを散らしたら出来上がりです。
空豆、ディル、香り米、ラム。
個性の強いもの同士の、香りと食感の組み合わせがもう最高です。
周りの役者に比べると地味な印象のじゃがいもも、まとめ役としてナイスアシストなんですよこれが。
最後にじゃがいもにカリッと焼き色をつけたくてフライパン直火で炊きましたが、もちろん炊飯器でも同様に作ることができます。
イランでは肉を焼く時はサフランで風味付けをして、あとは塩胡椒程度のシンプルな味付け、または独自のミックススパイスを使ったりするようです。さらにイラン的ではなくなってしまうかもしれませんが、クミンシードを多めにまぶしてラムを焼くと、ご飯部分と相性がよく、それはそれでとても美味しいです。
空豆が多く出回るのも6月ごろまで。ラム肉と空豆がお好きなら、やらない手はありません。ぜひお試しください。
作った人:ツジメシ

本名は辻村哲也、ツジムラの飯でツジメシです。本業は各種製品を手がけるプロダクトデザイナーながら、料理好きが高じて間借り飲食店でも料理中。手抜き日常食からマニアックな料理まで図解したレシピが人気。著書に『付箋レシピ デザイナーときどき料理人のスケッチごはん』(アース・スターエンターテイメント)。
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