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ホットペッパーグルメ外食総研セミナー2021開催レポート ~コロナ禍の外食市場の変化~

2021.09.21

外食市場の調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は、2021年9月14日(火)に業界メディア向けオンラインイベント「ホットペッパーグルメ外食総研セミナー2021」を開催いたしました。本イベントは、今年で6回目を迎えます。毎年最新の消費者動向の解説とともに、外食産業の課題を取り上げてまいりました。本年は、新型コロナウイルス感染症による影響が続く外食市場と消費者の意識についてデータを元に解説、また、コロナ禍でもデジタルツールを駆使し、先進的な取り組みにチャレンジする飲食店の事例もご紹介いたしました。

①データ解説「2020年度 外食&中食市場概況」

コロナ禍における外食市場の変化について、2020年4月~2021年3月に毎月1万人規模で実施している「外食市場調査」をもとに、上席研究員の稲垣昌宏から説明いたしました。 新型コロナウイルスの影響を色濃く受けた2020年度の外食市場は、外食市場規模は前年比44.8%減の、2兆1630億円となりました。特に性年代別においては、中高年における外食規模の減少幅が大きく、又外食場所においては、居住地近くでの外食シェアが増加しました。 一方の中食市場は、前年度比19.8%増の1兆4715億円となりました。回数でみると、外食が約40%減少で、中食が約20%増加しており、残りの約20%は自炊が増えた可能性が高いと考えられます。 更に、2021年4月~2021年7月までの最新データをご紹介いたしました。外食市場規模は2019年度比約57%減と厳しい現状となりました。一方で中食市場規模は2019年度比約26%増となり、好調に推移しています。

第一部: ②データ解説「ワクチン接種と外食意向について」

次に「ワクチン接種と外食意向」について、2021年7月実施の調査を基に説明いたしました。「ワクチン接種後を想定した際に、外食に行こうと思うか」について聞いたところ、2020年6月と11月時点の調査と比較し、ワクチン接種後も外食に対してはまだ慎重な姿勢を取ると答えた方が多いという結果となりました。理由としては「感染しないか不安だから」「まだ自粛すべきだと思うから」という回答が上位を占めました。既にワクチンを指定回数接種し一定期間経過した人においても、まだ外食に行くのに積極的ではないという結果となりました。 一方、ワクチン接種後に行きたい外食店の業態については「焼肉・ステーキ・ハンバーグ等の専業店」等、現在人気の業態が引き続き人気であり、ワクチン接種後に体験したい外食シーンとしては、特に女性において「食事相手との会話」「自宅では難しい料理」「プロの料理」という、外食ならではの理由も挙がりました。

第二部:トークセッション「“DXと人”で生み出す飲食店の新たな価値」

飲食店を取り巻く環境が激変するなかDXが注目されています。今回はエヴァンジェリストである竹田 クニがモデレータとなり、DXツールを活用する飲食店経営者2名をゲストに、お店に与える影響、また活用するなかで見えてきた課題についてもお話いただきました。

【モデレーター】ホットペッパーグルメ外食総研 エヴァンジェリスト 竹田 クニ

【登壇者】株式会社 ネクストファクトリーイノベーション 代表取締役 中谷 俊文

     株式会社 Cocorodining 代表取締役 松岡 保浩

2社のDX取り組み>

株式会社ネクストファクトリーイノベーションのDXの取り組みについて:中谷氏より

現在はモバイルレジやセルフオーダーなどを導入。 導入の目的は人件費の削減。従業員と多くの話し合いを重ね、導入を決定しました。導入後は、削減した人件費をお客様へ還元するために食材費にあてるなど、顧客満足度の向上を図りました。 お客様からは、セルフオーダーを使うことにより、コロナ禍で非接触であることが安心、また、スタッフを呼ぶことのストレス軽減になる、との声をいただいています。一方で、スタッフとのコミュニケーションが減少することで味気なさを感じるという声もいただくことがあるため、ここを埋めるための新たな人的サービスを検討中です。 最近オープンした店舗では、全テーブルにセルフオーダーを導入したことで、自身の飲食人生の中で初めての大きな売上を作ることができました。今後はバックオフィスの管理などもより簡単にできるようDXに取り組んでいきたいと思います。

株式会社 CocorodiningDXの取り組みについて:松岡氏より

現在はモバイルレジやセルフオーダー、シフト管理ツールなどを導入。 導入の目的は、売上の分析にかかる時間を削減したいということと、事務のコスト削減でした。 セルフオーダーの導入当初、使用率100%を目指したものの50%止まりで、便利と感じ使用してくれる人がいる一方で、年配のお客様からは操作が面倒だとお叱りをうけることもありました。 導入後の変化としては、客単価が上がりました。更に、オーダーミスがなくなったことで、お客様もスタッフもストレスを感じることが少なくなりました。

 

モデレーターの竹田からは、お二人の話を総括して「セルフオーダーなどを導入している2社の共通点として、非接触やオーダーミスの軽減など、顧客満足度が上がることがメリットとしてあげられました。一方で、顧客との接点が少なくなるため味気なさを感じてしまうことについて、どのような人的サービスを創っていくかが課題。」また、「DXに取り組むことにより、本部費用の削減や営業時間外の労働時間の削減はパフォーマンスの向上にもつながり、従業員にもメリットを感じてもらうことができます。ただ導入にあたっては、システムを覚えるなど手間を感じてしまう従業員も少なくないのが現状です。従業員に理解・納得してもらうことが大切であると考えています。」とのコメントがありました。 そして最後は、「DXは手段であり、CX(顧客体験価値)、EX(従業員体験価値)向上が大事。手間やコストを減らすだけでなく、従業員や顧客にとっての価値を“足す” ”増やす”ことを目的として設定すべき」と締めくくりました。