高円寺にたたずむスナック「美星」は予約いっぱいの評判のお店。そのワケは……

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漫画家のなかむらみつのり氏と「美星」に行ってみた

占い好きの女性は多いが、男性の場合、なかなか占い師のもとに足を運ぶことは少ないのでは? しかし、かの西郷隆盛どんを初め、政治家や実業家など、権力を持つ男性たちは、古来よりしばしば占いを頼りにしてきたといわれる。男性とて、時には占いに自分の未来を尋ねてみたくはないですか?

ということで、高円寺の「エトアール通り商店会」にある、飲みながら占いをしてもらえるというスナックに、本厄まっただ中のメシ通レポーターの増山かおりと、同じく本厄まっさかりの漫画家なかむらみつのり氏の2名が潜入してきました。

 

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古着屋も並ぶ商店街の一角。赤いテントに青いドアが目印の「美星」が今回のお目当て。これで「ビスター」と読む。

確かに、占いをしてくれるスナックであることがわかる。

 

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体を張った体験モノの漫画(メシ通での連載漫画はこちら→「ひものみち」)を多く執筆しているなかむら氏(左・42)と、厄年と結婚適齢期のはざまで揺れる増山(右・31)。

 

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半月状の窓から中をうかがいつつ、なかむら氏がその扉を開くと……。

 

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とってもいかついマスター、大清水高山氏が登場! マスターは、かつて警視庁に勤め、さまざまな人物を見てきた経験をいかし、ここ高円寺にて20年このお店を続けているのだ。

 

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マスターの占いは「人間鑑識学」というタイプのもので、参考までに手相も見るが、店に入ってきた瞬間の表情から、すでに占いは始まっているのだという。

 

なかむら氏「今まで占いって2回くらいしかしてもらったことがなくて、『人間鑑識学』というのは初めてなので緊張します!」

 

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占いを受けるにあたって、マスターから1枚記入用紙を受け取り、

 

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名前や生年月日などを記入する。

 

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「メガネも外したほうがいいんですかね?」となかむら氏。無防備な素顔があらわになった。

 

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大清水マスター「では、お顔の相からいきます」

 

マスターは真剣な面持ちで、なかむら氏の表情を見つめる。 

 

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大清水マスター「……はい! では、参考までに利き手から手相を見ます」 

 

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なかむら氏は、やはり緊張を隠せない様子だ。

 

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大清水マスター「次は、反対も」

 

マスターが一通りなかむら氏を見終えたところで、なかむら氏が口を開く。

 

なかむら氏「2年前、健康診断で飲んだバリウムが喉にひっかかって、炎症を起こして入院しそうになったり、去年も胸のあたりが痛くなりまして。まず不安なのは、体のことなんです」

大清水マスター「まず、結果として長生きするのは間違いないです。もともとみつのりさんは生まれながらにして、自分が持っている法律や法則、正義感にしたがって生きていらっしゃる方だと思います。なので周りの人が言うことを真に受けてはならない。不安がちらっとでもよぎると、自律神経からくる体の不具合が起こります」

なかむら氏「非常に思い当たるフシがあります! 気持ちの持ちようによって、体調も変わってくるっていうことなんですね?」

大清水マスター「そうです。なかむらさんという商品を、不安から過小評価してしまうことには、ご注意されたほうがいいと思います」

 

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と、ここで、おもむろにマスターの携帯電話が鳴る。

「いつご希望ですか? お名前は……はい、じゃあ、あした待ってますね。よろしくどうぞ」

新たな占いの予約の電話だったのだ。手元の予約表には、びっしりと占いの予定が詰まっていた。

 

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なかむら氏「いやあ驚きました……。それ、ちょうど今朝書いていたネームで使った言葉なんですよ! 上司が部下に対して、『商品を売る前に、お前自身が商品なんだからしっかりしろ』っていうセリフを書いたんです。いや〜、お見事です!」

 

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大清水マスター「おでこに、掲示板のように出てましたよ」

なかむら氏「そういえば、“オーラの色”があるって聞きますけど、僕は何色なんでしょうか?」

大清水マスター「例えば俳優さんはレインボー、お医者さんや歯医者さんは傷みを和らげるピンク色のオーラを持っている人が多いのですが、なかむらさんは、リトルコスモです」

なかむら氏「リ、リトルコスモ? なんだか宇宙みたいで、かっこいいじゃないですか! リトルコスモの上は、ビッグコスモなんですか?」

大清水マスター「いえ、人間としてはリトルコスモが最上級。100万人近くの人を見ていますが、非常に少ないです。人間としての卒業に近づいていますね」

なかむら氏:「マジっすか!」

 

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なかむら氏「ということは、政治家に向いてるとか、世の中を動かす道もアリということですか?(ニヤリ)」

大清水マスター「政治家になることも考えてらっしゃるとのことですが、自分の生業としているやり方で、社会風刺をしたほうが力強いという気がいたします」

なかむら氏「政治家になるんじゃなくて、社会風刺をする漫画を描いていけばいいんですね! 健康が一番心配で、あとはなせばなると思ってやってきたので、安心しました」

大清水マスター「なかむらの前になかむら無し、なかむらの後になかむら無し、一生現役、一生一人親方ですから」

 

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ちなみに、なかむら氏の手相の中には大きくカーブしている線「霊感線」があり、これによって、さまざまな人や場所に呼ばれ、偶然のような必然が生まれているのだという。漫画家という職業も、なかむら氏が選んだことではなく、漫画のほうに呼ばれた結果なのだそうだ。これにより、なかむら氏が漫画に選ばれし男であることが判明した。

 

なかむら氏「もう、迷うことはないですね!」

 

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すっかり忘れかけていたが、ここはスナックでもあるのだ。マスターにお酒を注いでいただき、しばしまったりタイム。

 

大清水マスター「うちは無制限飲み放題、カラオケも歌い放題で女性は2,800円。男性はプラス1,000円で3,800円。この料金で朝まで飲めます」

なかむら氏「めちゃくちゃ安いじゃないですか!」

 

9割方のお客さんは別料金での占いを受けつつ飲んでいくというが、占いをせず飲みだけでの利用もOKだ。

 

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大清水マスター「ここで20年やってるけど、1日も休んだことがないんです。出張のときを除いては」

なかむら氏「1回もですか! そもそも、なんで占いを始めたんですか?」

大清水マスター「占い自体は小学生からやってたんです。中学生のとき、学校の先生の不倫相談にものってましたから。保健室の先生と教頭とかね……」

 

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「子どものときから変に正義感が強くて、悪い人間にやめてくれといっても通じないということで、警察官になろうと思っていました。でも、いざなってみたら、拳銃をもった公務員としか感じなかったんです。内部からのバッシングもあったし、いろんな修羅場を見てきましたね」

カラオケ盛り上げグッズにも、マスターの過去が刻まれていた。

 

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「警察を退職したあと、日本にいちゃいけないと思って、アメリカのサンタモニカのビーチで、1年半毎日スクワットして過ごしました。週末はグランドキャニオンでずっと逆立ちしたりして」

そう話しながらグラスを傾けるマスター。ちなみに、このグラスをマイクに持ち替えると、素晴らしい美声を披露してくださるので、来店の際はぜひリクエストしてみてほしい!

 

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ふと、店内に気になる貼り紙があることに気づいた。

 

なかむら氏「これは何ですか?」

大清水マスター「毎年、宣言してるんです」

なかむら氏「あっ、平成二十八年に貼り替えてあるじゃないですか! 延長したんですね。今、何キロなんですか?」

大清水マスター「136キロですね」

なかむら氏「……増えてるじゃないですか!」

 

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こんなおちゃめなマスターだが、さきほどのハードトレーニングのエピソードからもわかるように、大変な肉体派だ。この写真は、かつてボディービル大会に出場したときのもの。真ん中でポーズを決めている逞しい青年が、マスターその人である!

 

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なかむら氏「うわー! こんなに筋肉が!」

 

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思わずおさわりしてしまう、なかむら氏。

 

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続いて、増山も占いをお願いすることに。彼氏と結婚したいと思いながらも言い出せず、モヤモヤとした毎日に業を煮やし、いま付き合っている男性と果たして結婚できるのか? と尋ねることにした。用紙には自分と相手の名前、生年月日を記入する。

 

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「人間鑑識学」ということで、携帯に入っている彼氏の写真も見ていただくことに。

 

増山「2年半くらい付き合っていて、わたしは最初から結婚したいと思って付き合っているんですけど、彼が果たしてどう思っているのか……教えてください!」

 

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大清水マスター「健康のバイオリズムは3カ月、運命のバイオリズムは6カ月周期で変わると言われているんです。あなたがこういうバイオリズムだったら、彼はこう。8月生まれのあなたと、3月生まれの彼の誕生日で計算すると、真逆なんですね。でも、真逆だから悪いというわけじゃない。あなたが彼をフォローし、彼があなたをフォローできる、助け合いという関係になりますんでね。特に2016年は、信頼できるもの同士が力を合わせてひとつの価値観を共有するコラボレーションの時代。彼にとっても、そろそろ年貢の収め時という気がいたします」

 

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大清水マスター「結婚して揺るぎないステイタスを確保するまでは、あなたは役者でなければいけない。あなたは今、試されているんです。彼はそこまで責任のない男ではないですよ。彼はそろそろ決断すると思います。彼は野心家の顔をしてますんで、仕事でなにか野心を抱いていると思うけれど、そろそろ彼も自分の力量を自覚して行く気がします。今年の春くらいには、今まで以上に、俺にはかおりが必要なんだなと思うようになるので、そこまでは最後の詰めが必要です。1%でもうがった気持ちがあったら、100%だめなのと同じ。信じるなら、100%信じてあげましょう」

 

増山の目に、思わず涙が……。

 

増山「自分にも悪いところがいっぱいあるし、今仕事ができているのもその人のおかげだし……うう……」

大清水マスター「取材の方が泣くなんて、いいことですね。今まで苦しかっただろうけどもね、往々にして女性は答えありきで物事を進める。男性はプロセスを大事にして決めていくというところが、違うと思いますのでね」

増山「2016年は自分の気持ちをリセットして、100%彼を信じて、生きていきたいです!」

 

 

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なかむら氏が「リトルコスモの持ち主」であることが明らかになり、増山も新たな道を見いだしたこちらのお店、占いだけでも、スナックとしても、ぜひ足を運んでみてくださいませ。マスターが力強く、迎えてくれますよ!

 

※ 金額はすべて消費税込です。

 

お店情報

美星(ビスター)

住所:東京都杉並区高円寺南3-48-4
電話:03-3312-2554
営業時間:13:00〜翌5:00
定休日:なし(出張鑑定のため臨時休業あり)
鑑定料金:30〜45分 3,240円
スナック料金:女性2,800円、男性3,800円
ウェブサイト:http://fortune-bisuta.jimdo.com/

 

書いた人:増山かおり

増山かおり

1984年、青森県七戸町生まれ。東京都江東区で育ち、百貨店勤務を経てフリーライターに。『散歩の達人』(交通新聞社)にて『町中華探検隊がゆく!』連載中。『LDK』(晋遊舎)『ヴィレッジヴァンガードマガジン』などで執筆。著書に『JR中央線あるある』(TOブックス)、『高円寺エトアール物語~天狗ガールズ』(HOT WIRE GROOP)。

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