
日本で一番最初にサラダチキンをつくった会社
最近ちまたで話題の食材、サラダチキン。
サラダチキンは、鶏のムネ肉を使った、高タンパク低カロリーの加工商品。現在ではコンビニ各社をはじめ、さまざまなメーカーから売り出されており、好評を博していますね。
皆さん、このサラダチキンはどの会社が一番最初に作ったのかご存じですか?
実は、岩手に本社がある「株式会社アマタケ」という鶏肉の会社が元祖らしいんですよ。そして、この「アマタケ」のサラダチキンが、「かなりウマい」だという話を小耳に挟んだわけです。

▲宮城県多賀城市にある「アマタケ」の自社工場
なんでも、「アマタケ」は自社ブランドの国産鶏「南部どり」を育成し、生産から製造、加工、流通まで、一貫したシステムを組んでいる、全国でもまれに見る鶏肉のトレーサビリティーを実現した会社なのだとか。
これはすごい!
そんな鶏肉のスペシャリストな会社が開発した、元祖・サラダチキン。
これ何が、どう、そんなにスゴイのか!?
その秘密を探るべく、会社に直接うかがっちゃいました!

はい。というわけで、やって来ました。「株式会社アマタケ」。
ぶっちゃけ岩手まで行く気満々だったんですが、東京本社があるとのことで、こちらに。
さて、今回、お話を聞かせていただくのは……。

戦略事業部マーケティング課・課長の巴由紀子さんと、戦略事業本部長の佐藤優さんのお二人です。
──さて、今回は「アマタケ」のサラダチキンについて深く掘り下げたいと思って足を運ばせてもらったのですが……。そもそも、「アマタケ」がサラダチキンを作るに至った経緯とは、どんなものだったのでしょうか?
佐藤優さん:実はサラダチキンの原型って、20年ほど前にとあるカフェチェーンのサンドイッチ用に開発したのが始まりだったんですよね。
──えっ!? そうなんですか?
「アマタケ」は独自のトレースシステムを確立してモモ正肉、ムネ正肉を販売する会社として、昭和39年に創業したのですが、30年ほど前からは加工品の製造・販売にも力を入れ始めたんです。
巴由紀子さん:そこから、もっと安心・安全・健康な加工品を作りたいと考え、ムネ肉を使ったローストを作っている中でサラダチキンが生まれました。つくねやハンバーグ、レバーを使った甘露煮などと一緒に作っていて、とりたてて推している商品というわけでもなかったんですけどね。

──そうは言っても、それが大評判となっているサラダチキンの元祖なわけですよね? いったいどれくらい前から作られていたんですか?
発売開始から、今年で17年目を迎えます。
──17年!? え……そんなに前から? だってサラダチキンがブームになり始めたのってせいぜい……。
5年ほど前でしょうかね。
──どうして、そんな急にブームが!? サラダチキンに何があったんですか?
数年前から鶏ムネ肉の良さがテレビで特集されたり、ネット上での口コミが拡大していました。当社も生のムネ肉やサラダチキンがじわじわ伸びていました。ちょうどその時期にコンビニが販売をスタートしたことが、ブームのきっかけと感じています。
──確かに最近、テレビや雑誌でも鶏ムネ肉ってフィーチャーされてますけど、実際のところ何がそんなにスゴイんですか?
まず、脂が少なくアッサリしてます。高タンパク・低カロリーで、ずばり健康にいいわけですよ。さらに鶏ムネ肉には、イミダゾールジペプチドという成分がたっぷり入っています。これが、疲労回復に抜群に効果があるんですね。
──ふむふむ。その辺は、なんとなくわかりますよ。
あと、実は最近、鶏ムネ肉はシニア層からも人気が高まってるんです。その理由は、認知症予防に効果があることが発見されたから。前出のイミダゾールジペプチドは、脳の活性化にも有効なんです。
──な、なんと~! 鶏ムネ肉には、予想外の効果が……そりゃもう、シニアの皆さんもこぞって食べますよね!
鶏ムネ肉のポテンシャルは、とても高いんですよ。ぶっちゃけ鶏モモ肉というのは、すでに出来上がった市場なのですが、ムネ肉に関してはまだまだ需要が伸ばせる。それを引き出すのが我々の役目だと思っています。

──では、「アマタケ」の鶏ムネ肉は、ほかのものとはどう違うんでしょうか?
「安全性と、おいしいという基準が違う」と我々は言っています。日本人は舌が肥えているので、基本中の基本ですが、どこよりもおいしい鶏肉に仕上げています。さらに、4〜5年おきに親鳥の交配を変えたり、飼料や設備環境を変えたりすることで、よりおいしく……というよりも、より時代ごとのテーブルミートの変化に対応できる鶏肉を作っているのです。今年も3月に「南部どり」はリニューアルしております。
──テーブルミート……つまり、食卓ということですね? 時代ごとって、そんなに好まれる鶏肉が違ってきているのですか?
30年ほど前は、歯応えがあり、硬いものがいいとされていました。今は、年配者以上に若い人が柔らかいものを好むので、時代の変化に合わせて鶏肉の食感を変え続けているのです。
──肉の食感にも流行があるなんて、驚きです!
現在好まれる食感は、適度な歯応えの柔らかさがあるけれど水っぽくないものですね。そのあたりの調整は、主に飼料で行っています。「アマタケ」では、健康的な鶏を育てるために、鶏に腸活をしてるんですよ。
──えっ。腸活って、最近流行りの「腸が健康や美容をつかさどる」ってやつ!? 鶏がアンチエイジングしてるってことですか!?
そうなんですよ。飼料には、納豆菌・ハーブエキス・乳酸菌・オリゴ糖・ブドウ由来のポリフェノールなんかも入れています。
──鶏に女子力負けてる気分です……。
「アマタケ」では、20年近く前から、飼育過程の中で抗生物質や合成抗菌剤などの薬を一切使っていないんです。その分、そうした自然の栄養素をたっぷり与えて、より健康に育てているんですよ。
──なるほど……。「アマタケ」の鶏肉のすごさがよくわかりました。そんな鶏でサラダチキン作ったら、そりゃもうおいしいでしょうね……。

サラダチキンは、その名の通り野菜に相性の良いチキンとして売り始めたんですよ。味の設計が、生野菜と一緒でちょうどいいものになってます。だから、他社に比べて味が薄いんです。
──えっ! そうなんですか!?
2014年には皮をなくしてカロリーを40%カットしましたし、素材の味がいきている分、食材として使いやすいと思いますよ。パスタや炊き込みご飯に合わせるのもおすすめです。
──そういえば、サラダチキンの置き換えダイエットなんてものも流行ってますけど、毎日飽きずに食べ続けるなら食べ方にも工夫が必要ですよね。
他社のサラダチキンだと、その辺が満足感が少ないかもしれませんね。ですが、うちは何といっても味の種類が豊富ですからね! なかなか飽きは来ないかと。
──そんな自信たっぷりに……。いったい何種類あるんですか!?

一枚のブロック肉で作られた「南部どりのサラダチキン」は、ハーブ、たまり醤油、ガーリック、タンドリー、プレーン、レモン、ゆず胡椒で7種。独自の製法でムネ肉を結着させて作った、新製法のサラダチキンは、燻製風とチーズの2種。全部で9種類ですね。
──たくさん種類があるんですね!
ただ、「南部どりのサラダチキン」は、生肉の「南部どり」を扱っているお店や南部どりオンラインショップに特化して販売してるので、大手スーパーやコンビニでは手に入りづらいんですよ。買いやすいのは、「国産鶏肉のアマタケ サラダチキン」の方なんです。

──「国産鶏肉のアマタケ サラダチキン」? それって、「南部どりのサラダチキン」とどう違うんですか?
原料に当社が厳選して仕入れた国産鶏肉を使用したサラダチキンですね。「南部どり」のコラーゲンやガラクトオリゴ糖入りで機能性を加えました。味も「南部どりのサラダチキン」と変えています。たとえばプレーンにしても、「南部どりのサラダチキン」は洋風な味付けですが、「国産鶏肉のアマタケ サラダチキン」は昆布だしを加えた和風テイストです。
──ちなみに、「アマタケ サラダチキン」の味のバリエーションは……。
もうすぐで10種類になりますね。一枚肉バージョン5種と、4月に発売開始する新製法バージョン5種です。新製法の方では、タンドリーとはまた違う、カレー味が誕生しました。
──お、おいしそう……。味がバラエティに富んでて、かゆいところに手が届く絶妙なラインアップ! これはもう拍手を送るしかない!!
でも、長い歴史の中でイマイチ受けの悪かった味もけっこうあるんですよね。販売終了したやつが。
──ほう。ちなみに、その味とは?
ハバネロ、グリーンペッパーは主婦層からの支持が得られませんでしたね。あと、紅茶&オレンジも料理に使いづらいということで早々に姿を消しました。
──紅茶&オレンジ!? さてはデザートに走ったんですね!? どう考えても斬新すぎるでしょ、その味は!
フルーツ感覚で、ヨーグルトをかけて食べるレシピを浸透させたかったんですが……無理でしたね。
──それ絶対、まだ時代が追い付いてない! とはいえ、このインタビューで「アマタケ」のサラダチキンのすごさの秘密は理解できたような気がします。
いつか、受け入れてもらえる時代が来ることを祈っています。新製法で作るサラダチキンは、フレーバーが中までしっかり入るので、さらにいろんな新しい味に挑戦していけると思います。
さっそく食べてみると……
さっそく食べてみましたが、正直なところ「うまっ!!!」と声に出してしまうくらいおいしかったです。個人的にはチーズがツボでした。
アッサリしっとりのムネ肉の中にチェダーチーズが入ってるんですよ。
これ、確実にビールに合う……!
なのに、カロリーは120kaclとか、ちょっともう「アマタケ」さん。
なんなの天才なの。
他の味も着々と食べ進めていますが、マジで毎食でも飽きないですよ。すごすぎじゃないですか、これ。
このままいけば1カ月後には10キロくらい痩せられるんじゃないですかね(間食さえしなければ……)。

というわけで、いかがでしたか?
「アマタケ」のサラダチキンの魅力、皆さんにも伝わったのではないでしょうか。
これを機に、サラダチキン生活にレッツトライ!
取材協力:株式会社アマタケ
※この記事は2017年3月の情報です。



