いよいよ夏本番。定食店やラーメン店などがこぞって「冷やし中華はじめました」というのぼりを立てるシーズンである。こののぼりを見かけるたびに、「暑くて食欲が落ち気味な人でもこれなら食べられるだろう」と踏んだ飲食業界の配慮を感じていた筆者だが、それならば果たして冷やし中華だけでいいのだろうかと常々思っていた。
冷たい食べ物でクールダウンしようと目論んだとき、無意識のうちに「そうめん→そば→うどん→冷やし中華」のルーティンワークをはかっている自分がいるのだが、そうめんはともかく、冷やしそばや冷やしうどんは1年中食べられるので新鮮味がない。夏の冷たい食べ物は他にもないものだろうか。
そこで、夏の定番食に新たな風を吹かせる“珍・冷感フード”をいくつか見繕ってみた。
冷やしラーメンに新旋風を巻き起こした「冷やしパイナップルラーメン」！
いきなりだが、かなり奇抜な一品をご紹介したい。一見普通のホットなラーメンに見えるが、これはガッツリ冷たいラーメンなのだ。しかもパイナップルをふんだんに使用したインパクト絶大な冷感フードである。
東京・西荻窪のラーメン店『パイナップルラーメン屋さん パパパパパイン』の「冷やしパイナップルラーメン」（税込770円）は、スープの4分の1がパイナップル果汁というパイナップルにまみれまくったラーメン。
同店運営責任者の倉田さんによると、「パインの甘味、酸味がアクセントとなり、さっぱりと食べられる」とのこと。このラーメンしか注文しないお客もいるため、通年提供しているのだとか。とはいえ、夏に多く出る傾向にあるので、これはまさしく夏のソウルフードと言って申し分ない。
酢豚のパインをはじめ、塩キャラメルや塩バニラ、蜂蜜とチーズの組み合わせなど、甘さに塩味や酸味を掛け合わせたフードが市民権を得た昨今、一瞬、「ん？」と思ってしまうようなパイナップルとラーメンという組み合わせも大いにあり得る。きっと女性ウケ抜群に違いない。
お店情報
パパパパパイン（＊2015年取材時より移転）
東京都町田市原町田3-1-4 町田ターミナルプラザ 2F
電話：042-709-3987
我らが『やよい軒』の納涼飯！ 南国・宮崎の冷たい郷土料理「冷汁」メニュー
お次に紹介するのは、ご飯のお代わり自由な定食が食べられる、みんな大好き『やよい軒』から発売中の夏季限定メニュー「冷汁ととり南蛮の定食」（税込890円）。
冷汁とは、豆腐ときゅうりの入った冷たい味噌仕立ての汁のこと。このメニューでは、別皿のアジをほぐし、ご飯と一緒に入れて食べるという、ユニークな食べ方をする一品だ。最後まで冷たく食べられるよう、冷汁にはクラッシュアイスが入っている。
暑い夏の食欲がないときでもサラサラと食べられる、南国・宮崎の知恵がつまった冷感・郷土料理ということで、2009年より毎年この時期に販売しており、やよい軒ユーザーからも夏の定番として親しまれているという。
猫まんまのような印象を受けるが、そこにアジが加わることで、今までにない味を体感できるのではないだろうか。そして何より、肉と魚を同時に食べられる贅沢さは、ランチ時に「A定食かB定食か迷っちゃう～！」という優柔不断な筆者にもってこいなのである。
お店情報
やよい軒
冷感フードがわんさか！ ミスドの夏季限定メニュー「涼風麺」4種
「四川担々涼風麺」（税込432円）
最後にご紹介したいのは、『ミスタードーナツ』の飲茶シリーズとして発売中の夏季限定メニュー「涼風麺」4種。「四川担々涼風麺」（税込432円）、「四川棒々鶏涼風麺」（同）、「鶏野菜涼風麺」（同）、「柚子涼風麺」（税込334円）から選べる楽しさがある。
「四川棒々鶏涼風麺」（税込432円）
「鶏野菜涼風麺」（税込432円）
「柚子涼風麺」（税込334円）
「四川担々涼風麺」は、クリーミーなゴマだれとピリ辛なラー油を合わせたスープに、ラー油と花椒で味を整えた豚の肉味噌をトッピングした一品。「辛いものが好きだけど、キムチ鍋や激辛ラーメンは、この時期暑くてしんどいわ……」とお悩みの人にオススメしたい。
また、ほんのり柚子の風味がきいた塩スープに具だくさんのトッピングが味わえる「鶏野菜涼風麺」も夏に打ってつけだ。個人的に柑橘類のアクセントは夏に欠かせない。どれも違った味わいを楽しめるので、ぜひ全制覇していただきたい。
お店情報
ミスタードーナツ
※ミスタードーナツ飲茶取扱い店のみ販売
王道の冷やし中華やそうめんに代わって、今夏はこれらのメニューで夏を乗り切ってみてはいかがだろうか？
書いた人：藤田佳奈美
セーラームーン世代。幸せに満ち足りた時よりも、おセンチだと筆が進むタイプ。未婦人の頃から「婦人公論」が愛読書。蕎麦に熱燗の組み合わせと、台所で料理しながら飲む麦酒が好き。かわいい系のアルコールって肴に合わないよね？
