沖縄ネイティブの間で密かに愛されてきた幻の銘菓「ドラゴンボール」を食べてきた

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夏の思い出は、たいがい甘くて切ない。

まだ二次方程式も解けないガキだった頃、カブトムシ採りに熱中した早朝の鬱蒼とした林の中で嗅いだ、熟れた樹液の匂い。そして10代後半、憧れのあの娘と初めて行った海の碧さ。少しだけタイトな水着から覗く柔らかそうな胸元。花火大会の会場で隣に座った浴衣姿の彼女からほのかに漂うシャンプーと汗の匂いの混じったミラクルスメル。

そんなキラキラした青年も、いつしか凡百のオジサンへと成長(劣化?)し、ただただ暑いだけで昨日と同じような毎日をやり過ごす日々……が定番のサマーアクティビティなのですが、

今年は違った。

行ってきました沖縄

目的の1つは、隠れた銘菓として徐々に知名度が上がりつつある噂の「ドラゴンボール」を食すことだ。

 

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5年ぶりの沖縄。海は変わらず碧くて美しかった。

 

ドラゴンボール誕生の地、恩納村へ

ドラゴンボールというと、マンガやアニメとして世界的な評価を得ている鳥山明の『ドラゴンボール』が反射的に思い出される。が、今回の目的は、恩納村の老舗製菓店、琉球銘菓 三矢本舗が製造販売しているお菓子、「三矢琉球」(ドラゴンボール)である。

 

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1日100個限定。知る人ぞ知る、隠れた沖縄銘菓なのだ。

恩納村は沖縄本島中部の村で、本島でも指折りのビーチリゾートを擁している。LCCを使って成田から那覇へ。そして、国際通りも歩かず、ソーキそばに目もくれずレンタカーを借り、一路、恩納村へ。那覇から沖縄自動車道を利用しておよそ1時間。本島の西側、沖縄本島の背骨と言われる国道58号線沿いが恩納村のメインストリート。

 

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ローカル感溢れる国道58号線。地場の銀行やJA、売店などが並ぶ道沿いを、観光客がのんびりと歩いている。先のT字路を左に折れると沖縄有数の景観地、万座毛だ。

車を降りてお店を探す。恩納村役場の対面に三矢本舗はあった。店頭右手には「三矢琉球(ドラゴンボール)」と書かれた写真付きの広告幕が下がっている。

 

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沖縄らしい独特なデザインの恩納村役場。国道58号線を挟んだ向かい側、赤瓦の上に「琉球銘菓 三矢本舗」の文字が。

ここです、ドラゴンボール発祥の地は。

店に入り目当てのドラゴンボールを探したのだが……ない! 残念ながら、売り切れである。時間は午後2時過ぎ。店員さんに話を訊いたところ、できるだけ揚げたてを食べてほしいということで、何度かに分けて作るのだそう。どうやら品切れのタイミングで来店してしまったようだ。出来たてのものが店頭に並ぶまでに30分くらいかかるという。

OMG! 

待つべきか否か……考えていると、「道の駅の支店のほうならまだあるかもしれませんよ」と店員さんからのアドバイス。恩納店より道の駅の支店のほうが、販売するドラゴンボールの数が多いらしい。そうなんですね、道の駅に行ってみます!

せっかく来たので、移動する前にぶらりと58号線沿いを歩いてみた。恩納村だけに、「おんな」の文字にいちいちドキドキしてしまう。

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本当にバカですね、俺……。

 

ドラゴンボールを求めて「おんなの駅」へ走る

ドキドキしてばかりもいられない。まだ見ぬドラゴンボールを求めて道の駅へ。恩納店から58号線を那覇方向に走っておよそ15分ほどの道のりだ。

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正式名称は「なかゆくい市場 おんなの駅」。軒下には、デザートや飲み物、軽食を売る店が並ぶ。

おんなの駅に到着。「『おんなの駅』って少しだけ演歌っぽいな」などとしょうもないことを考えながら車を停め、三矢本舗を探す。様々な飲食店の並ぶ駐車場に面した一角に、ありました! サーターアンダギーの専門店だけにプレーンのほかココナッツや紅芋ほかバリエーションは8種類と豊富。そして念願のドラゴンボールのみならず、「ドラゴンボールZ」まで! 思わずニヤニヤしてしまう。

 

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おんなの駅なかゆくい市場店の店頭。地元の有名店らしく、サーターアンダギーを求めて訪れるお客さんが絶えない。

「Z」のほうはすでに売り切れだったものの、目当てのドラゴンボールはカウンターの上に置かれたケースのなかに。琉球発祥の茶色いボール。会いたかったよ!

 

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手書きのポップには「限定」の文字が。

 

ドラゴンボールはもっちりとしてフカフカだった

ドラゴンボールとプレーンのサーターアンダギーを1つづつ購入。お店の近くに設けられたオープンエアの飲食スペースの椅子に座り、両者を比べてみる。左がサーターアンダギー。右がドラゴンボールだ。ゴツゴツした容貌のサーターアンダギーに比べて、ドラゴンボールのほうは角張った部分は皆無。まさに球(ボール)である。

 

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素朴な手作り感を感じるサーターアンダギーと、丸みを帯びた上品なフォルムのドラボンボール。

まずはサーターアンダギーのほうを食してみる。外側の部分はカリカリで香ばしい。中はモフモフ。そして素朴な甘さ。脂ぎったドーナツとは違う、正真正銘、由緒正しきサーターアンダギーのお味。うまい!

お次はドラゴンボールをひとくち。こちらもうまい! ……うん? 明らかに、サーターアンダギーとは違う。外側の部分の香ばしさはそのままだが弾力のある歯ごたえ。そして、中はしっとりとしてフカフカなのだ!

 

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中を覗いてみると柔らかなスポンジのような質感がジェントルな印象だ。

先に食べたサーターアンダギーとドラゴンボールを並べてみる。

サーターアンダギーに比べて、ドラゴンボールは中の気泡が細かく均等な大きさ。これが、滑らかで弾力ある歯ごたえの秘密だったのか。沖縄だけに、あえて海に例えるなら、ワイルドな外海のようなサーターアンダギー。かたや、ドラゴンボールは凪いだ内湾といった感じだろうか。

 

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並べてみると、気泡のサイズや形状に違い見られる。サーターアンダギーとドラゴンボールは別物だ。

でも、両方美味しい。

タピオカ粉を生地に使うことで実現したこのもちもち感。素材の違いだけでなく、生地の練り方や寝かせ方、揚げ方など、作るプロセスも違うのかもしれない。

読者諸兄、沖縄を訪れるさいには、三矢本舗でしか食べられないドラゴンボールとサーターアンダギーをぜひ食べてみてください。食の世界は冒険の世界。

そうさ、いまこそアドベンチャー!

 

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三矢本舗オリジナルのお菓子はドラゴンボールだけじゃありません。この「幻の味 ブルース」も試してみる価値ありですぞ。

 

お店情報

琉球銘菓 三矢本舗 
恩納店(本店)
住所:沖縄県国頭郡恩納村恩納2572-2
電話:TEL(098)966-8631

おんなの駅なかゆくい市場店
住所:沖縄県国頭郡恩納村仲泊1656-9

 

書いた人:堀江肉文

堀江肉文

アキバ系ストリートマガジン編集部を経てフリーに。日本のヤヴァいモノ、人、ムーブメントをテーマにWeb、書籍、雑誌などの仕事をしています。1週間でいいから剛力彩芽と付き合いたい。

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