逗子パンプキンズ~食材のルーツを辿る旅 其の5(前編)~産地を巡る冒険【タベアルキスト】

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みなさん、こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキストKikutaniです。

「料理」と「生産者」。両者を繋げる魅力ある「食材」。そのルーツを辿る旅も、今回で5回目となりました。

今回ご紹介するのは、地域ブランド野菜として知名度の高い神奈川県の「三浦野菜」です。

その名は「三浦こだわりかぼちゃ」。名前に臆することなく【こだわり】と入れてしまう、その姿勢。いったいどれほどのこだわりなのか。

まずはその実力を知るべく、三浦半島の入り口、逗子へと向かいました。

 

きっかけは一枚のチラシから

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なぜ逗子かというと、こんなチラシを入手したから。

全部で7軒、8メニューを対象とした「三浦こだわりかぼちゃ」のグルメ&スイーツをスタンプラリー形式で展開するイベントです。

タベアルキスト×野菜ソムリエの私には、うってつけのイベント。いや、挑戦状!

完全制覇して、「三浦こだわりかぼちゃ」の真髄をつかもうではありませんか。

タベアルキストの企画「名店巡礼」番外編 一人かぼちゃ巡礼開幕です!

※イベントは8月8日ですでに終了しています。

 

1軒目 :COTO COTO 「かぼちゃのクリームアペリティフとミルキームース」

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まずは、路地裏にたたずむCOTO COTOから。主にデリカテッセンを扱われているお店です。普段であれば、スパイシーな唐揚げをいただくところですが、今回はかぼちゃで攻めます。

 

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▲三浦かぼちゃクリームアペリティフ 450円

甘くないかぼちゃのムースに、ブイヨンのジュレと夏野菜のグリルを合わせた一品。ムースというより、ペーストといえるほど、濃厚でどっしりとかぼちゃの香るムースとシャキシャキの野菜がマッチしています。

 

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▲三浦かぼちゃミルキームース 450円

かぼちゃの甘いムースに、牛乳と練乳のムース、キャラメルナッツをトッピングした一品。ラム酒の効いた、大人の味わいです。ナッツとの相性が抜群!

アペリティフに比べると、かぼちゃの「味」は控えめですが、濃さは健在。

滑らかなのに、どこかホクホクした野菜に共通する紛質感が感じられます。これが「三浦こだわりかぼちゃ」の特徴の1つなのかもしれません。

 

お店情報

COTO COTO

住所:神奈川逗子逗子5-8-3
TEL:046-871-1017
営業時間:11:30~18:00
定休日: 日曜日・月曜日
ウェブサイト:https://www.facebook.com/zushi.COTOCOTO

 

2軒目:アーセンプレイス・カフェ 「三浦こだわりかぼちゃマフィン」

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先日公開された、「名店巡礼 逗子葉山エリア編」でもご紹介した、アーセンプレイスも今回のイベントに参加されていました。前回はカレーをご紹介しましたが、私の獲物はかぼちゃ。

 

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▲三浦こだわりかぼちゃマフィン 380円

コロンとした小ぶりなサイズのマフィンの上にベイクされたかぼちゃが2切れ。

たっぷりとかぼちゃと、ココナッツオイルを練りこんだ生地はとてもしっとり。アクセントのクリームチーズと、隠し味のブラックペッパーが絶妙な味わいを醸し出します。

この美味しさ、かなりのもので、自分の中のマフィンに対するイメージが変わるほどのものでした。

ベイクされたかぼちゃは濃く、甘く。それ自体がベイクドチーズケーキのような存在感を持っています。皮の食感もしっかりしており、カリカリの歯触りが良いです。

存在感とベイクした皮のカリ感。これも「三浦こだわりかぼちゃ」の特徴かもしれません。

 

お店情報

アーセンプレイス・カフェ 逗子

住所:神奈川逗子逗子5-4-29 1F
TEL:046-876-9878
営業時間:9:30~18:00(L.O17:30)
定休日: 無休、年末年始・夏季休業有り
ウェブサイト:http://www.earthen-place.jp/

 

3軒目:せろりや 「三浦かぼちゃと豆乳の冷やし麺」

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3軒目はせろりや。野菜を主体とした中華料理が中心で、ほとんどのメニューに料理に旬や地元の野菜が使われています。よだれ鶏が看板メニューのようですが、今回は、かぼちゃです。

 

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▲三浦かぼちゃと豆乳の冷やし麺 1,000円

すごく、黄色いです……。チラシの写真はほんのり黄色いぐらいのスープだったのですが、実物は真っ黄色。ちなみに上の黄色い千切りは、コリンキーという生食用のかぼちゃで三浦かぼちゃではありません。

三浦かぼちゃをたっぷり使用したスープは、ポタージュのような濃厚な仕上がり。一般的なベジポタ系スープの比ではない濃さ。そしてとても甘みを感じます。しかし聞いたところによると砂糖は一切使用しておらず、かぼちゃの甘みのみとのこと。

スープの重さを和らげるのは、ラー油と別添えの黒酢。この2つがアクセントとなって、味の奥行きを広げています。

 

どんぶりは小ぶりながら、圧倒的な食べごたえ。このボリューム感を生み出すのも「三浦こだわりかぼちゃ」の特徴なのかもしれません。

 

お店情報

せろりや

住所:神奈川逗子逗子1-11-6
TEL:046-854-7372
営業時間:11:30~14:00(LO)、17:30~21:00(LO)
定休日:木曜日
ウェブサイト:http://www.seloriya.com/

 

4軒目:長嶋屋 「三浦かぼちゃのくずぷりん」

f:id:tabearukist:20160827143756j:plain 4軒目は長嶋屋。創業124年となる、老舗の和菓子屋になります。あんこ好きとしてはいろいろいただきたいところですが、やはりかぼちゃグルメをいただきます。

 

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▲三浦かぼちゃのくずぷりん 270円

かぼちゃ、くず、牛乳、ざらめのみで作り上げるシンプルな逸品。舌触りなめらかでムチっとした食感は、10㎏のかぼちゃを5kgまで裏ごしするというご主人の手間暇と、くずぷりんならではのもの。ざらめ特有の風味が、すごく合っています。

かぼちゃの甘さとあいまって、巡礼イチ甘い一品でしたが、添えられたお茶との相性が抜群で、まったく気にならず。奥様が日本茶の資格を持っており、お菓子に合うよう、茶葉を厳選しているとのことで、納得の組み合わせでした。

※普段、イートインはありません。ご注意ください。

 

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熱いご主人とつい、長話をしてしまったのですが、その際いただいた、この「求肥」だけは別枠でご紹介したい。私は「求肥」を食べるために、あんみつを食べに行くほどの人間なのですが、ここの求肥は極上の逸品。赤ちゃんのほっぺとも形容すべき、すべすべ、もちもち、やわやわな食感は一度食せば虜になります。

 

お店情報

長嶋屋

住所:神奈川逗子逗子5-2-47
TEL:046-871-3278
営業時間:9:30~17:00
定休日: 日曜日
ウェブサイト:http://nagashimaya1892.jp/

 

5軒目:海畑marché 太陽 「三浦かぼちゃの天ぷら」

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5軒目は、海畑marché 太陽。駅からほど近いビルの5階にあり、若干場所はわかりにくいものの、いつも常連さんでいっぱいのお店です。いよいよ後半戦、さらにかぼちゃを極めます。

 

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▲三浦かぼちゃ天ぷら 518円

大ぶりなカットの天ぷらが5枚付き! ワンコインとは思えないボリュームです。
そとはカリっと、中はほっくりと揚がった天ぷらを、オリジナルの山椒八角塩でいただきます。山椒の香りがかぼちゃの甘みを引き立てる一品。断面のキメはとても細かく、口当たりの良い天ぷらです。

天ぷら以外のメニューも魅力的で、横須賀ビーフで作ったローストビーフなど、地元の食材をつかった、食べてみたいと思わせる料理がたくさん並んでいます。

 

お店情報

海畑marché 太陽

住所:神奈川逗子逗子2-6-31 魚佐次ビル5F
TEL:050-5786-2889
営業時間:ランチ(月曜日~金曜日)12:30~14:30、ディナー 17:00~23:00 
定休日: 火曜日
ウェブサイト:https://www.facebook.com/umihatake.taiyo/

 

6軒目:おでん酒場あっかんべー 「三浦かぼ丸ちゃん」

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6軒目は、おでん酒場あっかんべー。昭和レトロ感のある、逗子の海の男御用達! という雰囲気で、若い男性に評判のお店です。

 

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▲三浦かぼ丸ちゃん 500円

ターゲットの三浦かぼ丸ちゃんのほかに、いくつかおでんを合わせていただきました。

かぼちゃのおでんは出汁をたっぷり含んでとろけるような食感に。しかし煮崩れてはいないところがすごい。メインのかぼ丸ちゃんは、魚のすり身とかぼちゃを1:8ぐらいの比率で合わせ、バターを加えて揚げたもの。洋風の一風変わったおでんは、滑らかに口の中で溶けていきます。

その他のおでん、特に半熟卵のおでんはとても美味。加えて、お通しの「づけ茶豆」が素晴らしいです。ニンニクと唐辛子、出汁を合わせたものに枝豆を漬けたものですが、こちらも一食の価値ありです。

 

お店情報

おでん酒場 あっかんべー

住所:神奈川逗子逗子5-1-12 カサハラビルB棟3階303
TEL:046-871-3747
営業時間:17:30~23:30(LO)
定休日:お電話で確認ください。

 

7軒目:ハトコヤ湘南餃子と泡 「三浦かぼちゃとラムレーズン 大人のSweet餃子」

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ラスト、7軒目! ハトコヤ 湘南餃子と泡にて、〆のスイーツ餃子です。カウンターだけのこじんまりとしたお店で、美味しい餃子とワインをいただけます。

が、やっぱり最後もかぼちゃです。

 

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▲三浦かぼちゃとラムレーズン 大人のSweet餃子 378円

もっちもちの皮に包まれたかぼちゃあんの餃子に、バニラアイスとシナモンを添えた逸品。想像以上にスイーツに仕上がっています。あんに加えてある、ラムレーズンの香りが、バーならではの大人の味わいをプラス。三浦かぼちゃにはラムの香りがよく合うようです。

小さなお店ですが、焼き機には南部鉄器の特注品を使用するというこだわりっぷり。この後いただいた、スタンダードな餃子も、もちもちの食感が特徴的な美味しい一品でした。

 

お店情報

ハトコヤ 湘南餃子と泡

住所:神奈川逗子逗子7-6-20
TEL:046-872-1855
営業時間:17:00~23:00
定休日: 月曜日・火曜日
ウェブサイト:
https://www.facebook.com/hatocoya1855/

 

スタンプラリーコンプリート!

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イベントで5軒以上訪問すると、抽選で景品をいただくことができます。聞いたところでは、コンプリートしたのは、私で二人目とのこと。さて、何が当たるか。

 

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おそらく一等賞? の「三浦こだわりかぼちゃ」一玉が当たりました!

最初から最後までかぼちゃ尽くしの巡礼でした!

 

次回は農家を訪問します

7店、8メニューのかぼちゃグルメを食べ歩き、「三浦こだわりかぼちゃ」の特徴が見えてきました。

大きな特徴は、なんといっても「濃さ」。きめの細かい果肉が密度濃く詰まっており、質の低いカボチャにありがちな、水っぽさや、繊維化した感じが全くなく、クオリティーの高さがうかがえます。

そして「甘さ」。かぼちゃの甘さは、蓄えたでんぷんが収穫後の保存中に分解されることで生まれますが、この甘さは、でんぷんをたっぷりと蓄えていた証拠。

でんぷんの含有量で、ホクホクとネットリと食感が変わってきますが、今回いただいた料理の食感の幅広さは、このあたりも関係していそうです。

後編では、このクオリティーを生み出す秘密を、農家の方へ取材に行ってきます!

 

書いた人:Kazushi Kikutani

Kazushi Kikutani

ご当地グルメフリークで、野菜ソムリエの資格をもつタベアルキスト。B級グルメや郷土食、旬や特産品を活用した料理に目がない。食べ歩きに際しては、情報よりも店舗から感じるインスピレーションを重視。「美味しいもイマイチも丸ごとひっくるめて楽しむのが食べ歩きの醍醐味」と語る。

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