
こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキスト Kikutaniです。
この企画は、こだわりの食材と情報誌が届く『食べる通信』を取り寄せ、どんな食材なのか実際に食べてみよう! という企画です。
『食べる通信』とは?
一般社団法人日本食べる通信リーグが全国展開している食材付き月刊情報誌。
会費制で、読者になると各地域における農水産物の生産者に焦点を当てた特集記事を掲載した冊子と、彼らが収穫した食物が毎月セットで届けられる。
第9回は『東北食べる通信』 山形県鶴岡市の鈴木剛太さんたちが獲った鰆(サワラ)
今回は『東北食べる通信』をセレクトしてみました。山形県の食材は大蔵村の最上鴨に続いて2回目になります。

今回の食材
届いた食材は1種類。鰆のサクのブロックのみ!
こだわり食材:鈴木剛太さんたちが獲った「庄内おばこサラワ」
山形県内の漁師13人でつくる、「庄内おばこサワラブランド推進協議会」がブランド化を進めている鰆。
船上での神経抜きや活け締めという高度な技法を駆使して、釣り上げた鰆の鮮度を長時間保つことに成功しました。
「おばこサワラ」を名乗れるのは、この高度な処理を施すなど一定の基準をクリアした上質な鰆のみなのです。
そういえば、生の鰆って食べたことがない
鰆を使った料理と言えば……。
「西京焼き」はすぐに思いつきますが、その他が出てこないそんな魚の印象。
今回もいつもと同じく付属のレシピに合わせて料理しますが、そのレシピはなんと
「カルパッチョ」!
鰆の刺身を食べるのは意外にも初めてです!

食材の量が少ないので、下処理も慎重に。
解凍温度が重要らしく、指示通り42℃のぬるま湯に2分で半解凍状態に。

材料一式。
パプリカ等の西洋野菜と合わせ、柚子胡椒でいただく和洋折衷の一品です。

今回の見せ場、「炙り」。
鰆の皮目をバーナーで炙り、軽く焦がします。
香ばしい香りがあたりに立ち込めます。

5mm厚ぐらいの薄造りに。
パリッと炙られた皮がくだけやすいので、きれいに切るのはなかなか難しいです。
良く研いだ包丁で、前後に動かさず、引くように切るのが美しく仕上げる秘訣。

野菜を刻みます。
パプリカを5mmのみじん切りに。

続いて、キュウリも5mmのみじん切りに。

ミニトマト(イエローアイコ)も5mmのみじん切りに。

野菜の処理が終わるころには、鰆も完全に解凍されています。
皮が取れてしまわないように気を付けつつ、皿に盛り付けます。

野菜を散らして、オリーブオイルで仕上げて完成。
料理自体は至ってシンプルです。

味の比較をするために、同じ材料で真鯛(マダイ)のカルパッチョも作ってみました。

それでは、いただきましょう。
初めて食べる生の鰆のお味は……。
サラッと口の中でほどけていく、すごく繊細な食感と、柔らかい甘みが特徴です。
これは美味しい!
比較で作った真鯛は、もちっとした食感で、これはこれで美味しいけれど、「おばこサワラ」と比べると、今一つ野暮ったい印象。
同じ白身魚でも随分違うなぁと思わされます。
「おばこサワラ」、築地のプロが高評価つけるのも納得のクオリティー。
炙った皮の香ばしさと、全体をビシッとまとめてくれる柚子胡椒の辛みと塩味も、ばっちり合う一品に仕上がりました。
その他に紹介されていたレシピは、湯引きやあら汁、から揚げ等々。
絶対に美味しいんだろうな……。
材料切れにつき、今回は一品だけ。残念無念。
漁業を「つくる」人たち
今回届いた鰆は、食材の量で言えば過去最少。
正直、箱を開けた瞬間、「こんだけかーい!」と言ってしまいました。
もっとも、付属の冊子を読んで、関東で生の鰆を供するための手間暇や希少価値、味を知ると、納得してしまうわけですが。
冊子の特集のタイトルは「漁業を『つくる』男たち」。
何を「つくる」んだ? って話になるのですが、私の解釈は「付加価値を『つくる』」に落ち着きました。
もともと、足が早くて産地以外では生で食べることが難しかった鰆。
これが、「生で食べられたら」というところに価値を見出して、その実現のために努力し、技術を生み出したり、流通の流れを変えた漁師たちの姿にはグッとくるものがあります。
常日頃、「付加価値のある商品を顧客提供しよう!」なんて言っている、一介のビジネスマンとしては、大いに参考にしたい、得るものの多いお魚でした!
さて次回は区切りの10食目!
『おきなわ食べる通信』の「今帰仁アグー」が届く予定です。お楽しみに!



