【家飲みを愉しくするシリーズ①】 ビールの「性格」に合わせたグラス選びで、いつものビールが格段に旨くなる!

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突然ですが、お気に入りの「ビールグラス」はどんな形ですか?

一応子持ちのビアラバーの筆者は、ほぼ毎日家で飲んでいます。

お店で飲むビールはうまいです。そりゃもう当然です。でも独身時代は当たり前だった「今夜飲みに行っちゃお!」の難易度がスペシャル上がった現在、イエノミストとして重視することは「少しでも家飲みを美味しく、快適に」です。

 

好きな音楽を流したり、おつまみにこだわったり、映画やテレビを見ながらダラダラ寝落ちしたり、TwitterやSkypeでネット飲み会に参加してみたり、気分やTPOによって好きな「家飲みの作法」があると思いますが、「ビールを美味しくするアイテム」として、是非こだわってもらいたいのが【グラス】。

たかがグラス、されどグラス。

 

せっかくの美味しいビールも、グラスの扱い方次第では残念なことになってしまうことがあるんです! そこで、まず今回は「グラスの選び方」から。

グラスが変わると口当たりが変わり、香りや泡立ちも変化します

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筆者宅のグラス一例(個人的には銘柄や文字がプリントされていない無地が好き)

ビールは「性格」に応じて適した形のグラスがあります。ベルギービールは銘柄ごとに専用グラスがあるように、そのビールが持つ個性を存分に引き出すために、考えられて設計してあるんです(逆に言えば、グラスの形でだいたいどのようなビールか想像できます)。

個性豊かなクラフトビールを楽しむときは、その個性を引き出すグラスの形がとってもとっても大事! そこで、主なビアグラスの形状と、適したビールをご紹介します。

 

パイント型

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1UKパイント(568ml)が入る最も一般的なグラス。底より口がやや広く、丈夫で扱いやすいのが特徴。ビール全般に広く使われており、泡立てないで注ぐことが多い。

  • 適したビール:イギリス、アメリカ系のエール中心にビール全般

 

タンブラー型

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200ml程度の細長い円柱型。ドイツのケルシュビールによく使われる。泡持ちが良く、保冷性もある。パイントグラスの派生型としてオールマイティに使われる。

  • 適したビール:ケルシュ、アルト中心にビール全般

 

ピルスナー型

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パイントグラスより細身で容量が少ない。脚のあるタイプが多く、ピルスナーの特徴である明るい黄金色を綺麗に見せて、爽やかな苦味を引き立てる。

  • 適したビール:ピルスナーなどラガー全般

 

ヴァイツェン型

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ドイツのヴァイツェン(小麦を使った白ビール)専用のグラス。泡も含めて500ml注げるトールタイプが多い。底にくびれがあり、小麦特有のフルーティな泡と香りを保てるように飲み口が膨らんでいるのが特徴。

  • 適したビール:ヴァイツェン系(デュンケルヴァイツェン、ヘーフェヴァイツェン等)

 

フルート型

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シャンパングラスのように細長く華奢なタイプ。グラスが薄く、狭い飲み口で発泡を長持ちさせ、きめ細かな気泡や色を綺麗に見せる視覚効果も。

  • 適したビール:フルーツビール、ランビック

 

聖杯型、ゴブレット型

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キリスト教の聖杯を模った、大ぶりな脚つきグラス。豊かな香りをゆっくり楽しむために飲み口が広く、舌全体でビールを味わえる。ゴブレット型は聖杯型よりグラスが薄く、軽いのが特徴。

  • 適したビール:トラピスト、アビィ、スモークビール、バーレイワインなど度数の高いストロングビール

 

チューリップ型

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丸いボディと飲み口付近のくびれが特徴。くびれの下の部分まで注ぐことで、くびれによって豊かな泡を引き締め、グラスから溢れ出ないように保ち、香りを引き立てる。

  • 適したビール:ベルジャン系エール、ボック等、泡立ちや香りが良いもの

 

特殊型

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パウエル・クワック(左)、コルネ・ブロンド(右)。

歴史的な理由でこんな奇抜な形も。もちろん注ぎにくいし、飲みにくい(話のネタとしてどうぞ!)。

他にもドイツビールに多い陶器製のマグや、最近では保温性の高い金属製、繊細なうすはりグラスなど様々なものがありますが、ざっくり簡単にまとめると、

  • グラスの口が広がっているもの=ちびちび飲むタイプ、度数が高く香り豊かなもの。
  • グラスの口が狭くなっているもの=ゴクゴク飲むタイプ、度数が低くライトなもの。

だいたいそんな感じです。

 

……と、つらつら書いたものの、前提として、グラス選びは「家飲みライフ」を楽しくするためのもの。

 

そのグラス選びが楽しくなければ本末転倒なので、もしお気に入りのグラスがあるならば、テンションが上がるものを使うのが一番だとも思うわけで。出張帰りの新幹線とか、缶からそのまま飲みたい気分の日もあるわけで。

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「こだわらないのも流儀である」

と、無責任な〆で失礼いたします。

 

書いた人:山口紗佳

山口紗佳

ビアジャーナリスト/ビアテイスター 1982年愛知県出身、名古屋と東京の編集プロダクションで雑誌や広告、書籍の制作経験を経て、静岡県西部でビール代を稼ぐフリーライターに。休日はオートバイで食材調達ツーリング。ビールとバイクと赤が好き。

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