
「旧コマ劇場(現TOHOシネマズ 新宿)裏に、焼き鳥のうまい店があるらしい」
そんな情報を聞いて、正直最初は……半信半疑でした。歌舞伎町といえば、やはり男と女の夜の国。飲食よりもやはり「盛り場」がメインとなるエリア。個人的に食を楽しみたいときは、新宿三丁目エリアに足が向いちゃうんですよねえ。なーてことを思いつつ足を運べば……それはすべて、まったくの杞憂となりました!
店主がこだわって選んだ無濾過生原酒の銘酒
店の名は「鳥みつ」。オープンして4年経つそうです。

場所は、新宿東宝ビルの真裏。そう、ゴジラが屋上で牙をむく、あのビルの裏手に回ってちょっとだけ路地を入ったところにあります。

10人も入ればいっぱいの店内。平日の18時頃に入店しましたが、問い合わせの電話が何度となくかかってきていましたよ。そのたびにくりかえされる、店員さんの「申し訳ありません、本日はいっぱいで……」の声。それだけ評判のお店ということですね。
このお店のウリは、まず日本酒。その日は、店主が特に好きだという『秋鹿』が3種類、そして『綿屋』『開運』『風の森』『十旭日』など、いずれ劣らぬ銘酒が10種類用意されていました。

▲日本酒だけでなく、ビールやサワー、焼酎などいろいろと用意されています。ちなみに日本酒は半合350円~。値段・メニュー内容はすべて取材当日のもので、変更の場合あり
日本酒本来のうまさをダイレクトに味わえる、濾過なし、火入れなしの生原酒の数々。味わいもすっきりタイプから濃醇までいろいろとあり、それぞれ半合から飲めます。
後述しますが、鶏肉は部位によって淡麗な味わいの部分あり、ダイナミックで濃厚な旨さが楽しめる部分もあり。これらの生原酒はそのいずれにも見事な相性をみせてくれます。この組み合わせの妙を、店主は心得ているのでしょう。
ジューシィな旨みが口いっぱいに広がる「なんこつ」
店内の壁にはメニュー札が並べられており、その日にないものは赤字で書かれています。

はじめてならば、「おまかせで、○○本ぐらい焼いてください」と頼むのがおすすめ。
「鶏肉はブランドを特に決めず、その日の良いものを選んでいます」と店員さん。「日本酒はあまり詳しくなくて……」という人なら、日本酒も一緒におまかせしてもOK。では、お待ちかねの焼き鳥、まいります。
「白レバ」
この日まず最初に供されたのが、こちら。ふっくらしてツヤもあります。

うーん……うまいっ! レバーとしてのうま味がきちんとありつつ、すっきりと軽い。健康な、いい鶏なんだなあ。塩加減、火加減もまさに理想的で、中心部がほんのりと、ぬくい。「こうでなくっちゃ!」と言いたくなる。
「ささみ」

これまた火の通し方が見事で、ほれぼれ。淡白なささみ本来の味とワサビを味わいつつ、日本酒をひと口飲んでみてちょうだいな。ああ、なんて素敵なアンサンブル!
「なんこつ」

たっぷりと身をしたがえた軟骨で「ごちそう感」たっぷりの1本。ジューシィな濃い旨味が口いっぱいに広がります。「焼き鳥を味わってる!」という充足感に満たされること、間違いなし。こういうパンチのある鶏の味わい×日本酒、これまた妙なるもの。脂がすっきりと流されて、口中に残るは旨味の余韻ばかりなり。次の串がさらに待ち遠しくなること、うけあいです。
弾力に富む食感と、あっさり上品なタレが絶妙な「くびにく」
「すきみ」

すきみとは、手羽元のつけ根の肉のこと。薬味的にあしらわれているのがバジルペーストで、こういう変化のつけ方が、なんとも心憎い。
「はらみ」

続いてこちらはニンニクゴマ風味で、食欲をかきたてる1本。全体的に口飽きさせない構成が、なんとも見事でした。
「ねぎま」

もも肉のうまさ、言うことなし! ネギの香ばしさを引き立たせる焼き方……うーん、嬉しくなるねえ。
「くびにく」

最後に出されたくび肉はタレで。首の部分は弾力に富む食感が楽しく、そしてあっさり上品なタレが印象的。
「鳥みつ」は、これらの焼き鳥1本が180円~300円。はい、恐れ入りました。ちなみに今回は2人でおじゃまして、焼き鳥11本、日本酒3合半をいただいて約5,000円ちょっとと、なんとも良心的でした。立地を考えれば、なかなか出来ないことだと思います。心残りは「だんご」(つくね)がこの日はなかったこと。ぜひまた近いうちに再訪するぞ!
しかし、いやはや……知らなかったなあ、こんな炭火焼鳥の佳店があったとは。願わくばこちらのお店、焼き鳥大好きな人と訪れてくださいね。会話を楽しむなら2軒目で。焼き鳥が出されてアツアツの一番おいしいときを逃さない連れ合いと、ぜひ! もちろん、予約は必須です。
お店情報
鳥みつ
※このお店は現在閉店しています。
※飲食店の掲載情報について。



