手前は、飲み物になったカレー。他は何を飲み物化したかわかりますか?
かつて、ウガンダ・トラは言った。
「カレーは飲み物である」と。
“おデブキャラ”のパイオニア的存在であった、ウガンダ・トラの発したこのフレーズは、彼が故人となった現在でもなお、枯れることなく使い続けられている。
「カレーは飲み物。」というカレーチェーンまであるというから、その浸透度合いは推し量ることができるだろう。
しかし、私はカレーを飲み物として飲んだことはない。
具材がゴロゴロ入っているわけだし、きちんと咀嚼して“食べる”。
そういうわけで、本当にカレーを飲み物にして、飲んでみようと思う。
せっかくなので、カレー以外のものも飲み物にして、飲んでみようと思う。
ミキサーで液状にします
どうやって飲み物にするかというと、そう、ミキサーで液状にするのだ。
用意したのは、この4品。
カレー、シチュー、親子丼、牛丼だ。
親子丼と牛丼は、ご飯がないと鶏肉の卵とじと牛皿になってしまうので、ご飯も一緒にミキサーにかける。
手前から反時計回りに、カレー、シチュー、親子丼、牛丼
まずはカレーから。ミキサーに入れる
スイッチ、オン!
大きめの具材がうれしいシチューだって……
ミキサーの手にかかれば液状に!
親子丼も汁を多めに入れて……
粉々に!
ツユダク牛丼も……
ホラ、こんなにトロトロにしちゃったよ!
それでは飲んでみましょう
本物の飲み物よろしく、グラスに入れてみる。
ただのペースト状の食べ物だと言われればその通りだが、「これは飲み物だ、飲み物だ」と言い聞かせれば、そう見えないこともない。
冒頭の写真の答え合わせ。手前から反時計回りに、カレー、シチュー、親子丼、牛丼でした!
カレーの見た目は、さほど変わらない
まずはカレーからいただきます!
「ゴクゴク」というよりは、「ズ、ズズ……」という擬音が近いが、ミキサーで攪拌したことにより具材が溶けこみ、滑らかになっているので、噛まずとも飲み込める。
普通にウマイ。
煮込みすぎて具が溶けたカレー、みたいな。
旨みが凝縮されているカレーだ。
シチュースープ
次は、シチュー。
見た目でいうと、元々の色より赤みがかっている。ニンジンが溶けて、スープ自体に色がついたからだろう。
シチューはそもそもスープっぽい食べ物なので、ミキサーにかけたら本当にスープだった。ジャガイモが入っていることもあり、色といい、風味といい、ビシソワーズスープみたい。
ここからは問題の丼編。これは親子丼。ごはんもミキサーでかけたが、大丈夫だろうか……
液状化した親子丼は、かなりの吸引力ですすった。
「ゾボゾボゾボ……」みたいな音を立てながら口の中へ入ってくる、“親子丼だったもの”。
ん…… !? これは……!
ふわふわした食感で、メレンゲみたい。
新しい食感(いや、のどごし!?)の親子丼だ。
最後は牛丼。大丈夫なのか?
牛丼も親子丼と同じように、ものすごい勢いで吸った。
これは、めちゃくちゃ牛丼の味だ。
牛丼をミキサーにかけたんだから、牛丼の味がして当然なのだけれども。
例えば親子丼は食感が変わったことで、味すら変わったような感じがしたのだが、牛丼は味の再現度が高い。
でも、普通に肉食べたいな~。
全体を通して、確かに滑らかになったのだけれども、どんどん食が進む感じではないのだ。
そしてなんというか、“噛みたい”欲が満たされない……。
「肉の味はしっかりするのに、肉の食感がない」ことが、こんなにつらいとは。
今回の実験で、飲み物としてもっとも飲みやすかったのはシチューだが、元の食べ物と比較してもっとも変化がなかったのはカレーだった。
「あぁ、こういうカレーあるな」という感じだった。
残りを白米にかけて食べたら、具なしのカレーライスだった。
飲み物化したカレーでも、白米があれば普通のカレーライスレベルで食べられる。
つまり、カレーは飲み物って言っても差し支えないと思う。
ウガンダ・トラはカレーの本質を突いていた。
白米と一緒に食べたら、具はなくてもご飯を噛めるので“噛みたい”欲は満たされました
書いた人:栗本千尋
1986年生まれ。青森県八戸市出身(ですが、実家が最近なぜか仙台に引っ越しました)。情報系雑誌をはじめ、旅行やグルメ雑誌、webメディアなどでお仕事しています。旅行会社→編集プロダクション→任侠系DVD会社勤務を経て、2011年からフリーライターに。2014年に出産し、一児の母になりました。