最近、渋谷の道玄坂上~松濤近辺にかけた、渋谷駅から少し奥にある「奥渋谷」に、
こだわりを持った独創的なお店が次々とオープンしています。
その中でも、「ザ・居酒屋」な、「赤提灯」な、オヤジ好きするお店が大好物のおいどんの興味をそそったのが
2015年8月にオープンした酒呑気まるこ。
なんでもそのコンセプトは、“ネオ大衆居酒場”。
なるほど、だが“ネオ”てなに?
つーかそもそも“大衆”て?
これは行ってみるほかないわけです。
渋谷駅を出たら、マークシティの4階までエスカレーターでのぼって
長い通路をずーっと西へ西へ……
すると、なんということでしょう。
道玄坂を上ることなく道玄坂上交差点に出られるではありませんか。
ほいで交差点を鋭角に左に曲がると、すぐに目的のまるこがある…はずなんだけど…。
ない。
いくらうろついてもないんで、まるこに電話しましたよ。「どこにあるの?」と。
「寿司屋の奥です」
あ……
ん……?
あった……
縄のれんをかきわけ……おじゃましま~す。
か、隠れてるわ~! まるこ。
手前になんにも看板ないんだもん、これ知ってないと奥入んないわ~。
で、結論から言うと
奥渋谷のさらに奥まったところにある「まるこ」ののれんをくぐったらそこは、この世の楽園でした。
バン!
ババン!
バババン!
う~ふふふふふふふ……
なんてやってる間に
ぎゃ~っ!キター!
▲カツオのたたき650円(税込702円)
さっき業火で炙られていたカツオのたたきが~っ!
何この厚み!
すんごい脂のっててふっくらしていて、生臭さなんて一切なし。
そしてこのたたきは、淡路島産の藻塩で作った塩だれが表面にほどこされているのだ。
カツオの旨みと香ばしさののち、舌と唇に甘さのある塩味が残ってたまらんっ!
「そもそも“カツオのたたき”とは塩だれを付けるもので、付けないものは“焼きぎり”って呼ぶんですよ」
この、今しゃべった人は代表の小嶋さん。
お父さんが北海道で創業100年にもなる米屋を営んでいたのだけど、いとこが継いだ後、あと4,5年のうちに店を閉めることになったので歴史ある紋章をいただき、形は変われどうまい米を人々に提供するスピリッツを継いだんだって。
「まるこ」は「○小」の紋章なわけです。
そんなこだわりの米を使った鮭茶漬けをいただきましたよ~。
▲鮭茶漬け 1合972円
米は高知の仁井田米をブレンドし、萬古焼の土釜で炊飯。
鮭の切り身がドドンと!この鮭、なんと糠漬けされているのです。
北海道では魚を糠漬けにするのは一般的な保存法だとか。
あ~。糠漬けの鮭ってこんなに味わい深いのね~。
土釜で焚いた美味しいお米と青じその風味が相まって、とにかく至福。
とっくりに入ったおだしを注いで、ワサビやら薬味やらをのせたり
さまざまに楽しませていただきました。
サラサラっと流し込むのがもったいないお茶漬けは初めてだ~。
こうなんか……奥歯で噛みしめたい味わい深さなんよね。
また付いてるお漬物が、「おばあちゃんちで食べた!」という家庭の味そのもの。
化学調味料の雰囲気ゼロ。
実際どの料理にも化学調味料は一切使ってないってこだわりなんよ。
ほいでもってこれ、ポテトサラダなんすよ。
▲ポテトサラダ 486円
ホゲー!
みたことない状態!
ポテトにはカツオフレークがミックスされてるんだって。
ぶぎゃー!!!
混ざり具合はお好みで!
カツオの、ツナより力強い味わいとポテトがいい塩梅!
とろーり半熟卵が絡んで、たまらん!
なんとマヨネーズも手作りなんだって~!
小嶋さん「うちはマヨネーズも、ドレッシングも、ポン酢も、すべて手作りです。
本来、料理を出す時は当たり前のことなんですよね。」
実はカツオのたたきを食べた時の醤油も、鰹節や昆布を使用して作ったこだわり調味料。
甘味と旨み、そして意外とあっさりとした味の引き具合が
素材のよさを最大限に立てていました。
そいでもって、もいっちょお勧め。
▲白煮つけ 702円
白煮つけ(この日は鯛)。
店長の好きな沖縄のマース汁からヒントを得て、昆布だけで煮つけた白煮なのでございます。
出汁がとにかくおいしくて、ぐいぐい飲みたくなりますよ。
鯛の上品な味わいが、なんとも滋味深く、
アオサの磯の香りに、思わず遠い目になってしまうって寸法です。
うぃ~。
思わず手が伸びる、目の前のドブ漬け。
ホッピー、ソフトドリンク216円、焼酎90ccの瓶が270円。ビールは大瓶で594円。
ややや、安い~! 気軽に取りやすい~!
そして
縁日みたいでワクワクしちゃう~!
これ、昔の大衆酒場では、普通にやってるシステムだったんだって。
フラッと入ってきてサッと好きなの取って飲んで、
せっかちさんにも対応できる気軽なノリが“大衆”ならでは。
作り置いておいて客を待たせずサッと出せるメニューも用意している。
全体的に400円台の品が多く、あれこれ頼んで飲んでも2,000~3,000円で済ませられるのが大衆の魅力。
そいでもって食の安全と信頼にこだわっていて、
高知をはじめとした各産地との直なやり取りで得る本場の旬な食材で、
清潔感があり女性一人でも入りやすい気さくな雰囲気っつうんで……
これがネオ大衆酒場の“ネオ”部分だっ!
小嶋さん「うちはカツオのたたきがメインだから、高知の現場にしょっちゅう行って関係を築いて、仲買さんに直接指示出しながらせりに参加してもらったりしてます。せっかく今から大衆やるんだから、すべて国産にこだわり、食の安全を考えてやろうと。一番大事なのは、『腹いっぱいより胸いっぱい』。今日一日をここで締めてよかったと思ってもらえる店にしたいと思ってます。」
理想は、お客さんが仕事帰りに食事をしに“通う”ようなお店だとか。
そのためのリーズナブルな価格設定であり、
体に優しい素材と、どの皿にも見られるちょっとうれしい一工夫。
うちの近くにありゃあ、そして私が一人暮らしだったりしたら、間違いなく通い詰めますわ。
……でも、この場所、隠れすぎじゃないですか?
小嶋さん「いやー、人づてに噂を聞いて探してくれると嬉しいんですよね。そう思って、広告も出してないし、看板も出してないし、奥渋谷を選びました。でももうちょっと、周りで働いてる人たちにも来てほしいですね。」
みんな!目印は、ナチュラルローソンの並びの寿司処博さんだよ!
お店情報
大衆酒場 酒呑気まるこ
住所:東京都渋谷区道玄坂1-18-4 和田ビル102
電話:03-5784-1626
営業時間:16:00〜23:30(L.O.)
定休日:年中無休
※本記事は2015年10月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。
書いた人:矢島史
食うこと飲むことでメンタルをやりくりしているライター。収納やライフスタイルなど暮らし系の書籍の執筆協力、広告・クリエイティブ系の方々のインタビューなど。4コママンガも描くんだけど、今はPTAの仕事が大変でお休み中。脳みそがあっちこっちに飛んで落ち着きのない四十路。
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