明方(みょうがた)と明宝(めいほう)、プレスハム界の二大スターはなぜ“因縁のライバル”なのか

エリア岐阜

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岐阜で生まれたふたつの高級ハム

岐阜県のほぼ中央に位置する郡上市(ぐじょうし)。

「日本三大盆踊り」の地として、盆踊りマニアには非常に有名な場所だ。

郡上八幡エリアの古い町並みは「奥美濃の小京都と言われる豊かな風情が流れる。毎年夏になると盆踊りで全国から観光客が押し寄せるが、特に3日間かけて行われる「徹夜踊り」はほとんど阿鼻(あび)叫喚の混雑ぶりだ。

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▲もはやどこをどう踊っていいかわからない「徹夜踊り」

 

しかしこの郡上市には、もう一つ、別の顔がある。それは、知る人ぞ知る「ハムの聖地」という顔だ。

 

実はここ郡上市で、超高品質なハムが昔ながらの製法をかたくなに守って作られ続けている。

そのハムの名は「明宝(めいほう)ハム」そして「明方(みょうがた)ハム」

東海地方の住民なら誰もが知っている、岐阜の高級ご当地ハムの2大巨頭だ。

東海地方に住んでいれば、テレビCMも放映されているし、一部スーパーでも店頭で販売されている。

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愛知県内のスーパーで売られていた明方ハム

 

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▲「明宝ハム」のテレビCM。東海地方限定なのかは知らない

 

その一方で、全国的な知名度はその流通量の少なさからほとんど知られていない。だからこそ、ハムマニア垂ぜんのカリスマハムとして君臨しているのだ。

 

似たもの同士、ルーツは同じだった!?

この両者、手に取るとずっしりと重い。そして、まぁ〜ウマいのだ。

がぶっとかじると、肉をそのまま固めたような肉肉しさは、ほかのハムでは味わうことができない。値段も超一流で、ヘタすると大手メーカーの倍はするプライスにはちょっとビビるが、東海エリアでは昔っからの定番商品として定着している。

しかしこのハム、東海エリアの人間ですらたまーに間違えるほど、どこかしら似ている。

パッケージの風合いはもちろん、そもそも、商品がまとっているオーラが同じような気がするのだ(そもそもハムのパッケージ自体、まぁどんな商品も似たり寄ったりになるけど、それはともかくとして)。

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▲左が「明宝(めいほう)ハム」(1,134円※)、右が「明方(みょうがた)ハム」(1,190円※)。お分かりだろうか、このそこはかとなく感じる“同じにおい”を。ただし明宝ハムの方が少しだけコンパクトではある
※執筆時の公式オンラインショップの値段。スーパー等での店頭販売では値段が異なります

 

明宝ハムだと思って手に取ったら「あ、これ明方ハムだった!」ということは、東海地方に住んでいる者なら経験しがちな「あるある」だ。そもそも商品の名前も「明宝」「明方」と、“完全一致ではないが空目する”レベルである。

 

え、なんでこんなに似てんの?

もしかして、どっちかがパクリなのか?

 

最初からネタバレすれば、この両者、実はもともと同じハムだった。正確に言えば、明方ハムから明宝ハムが枝分かれして誕生したものなのだ。

「明宝ハムと明方ハムの奇妙なライバル関係」。そこには何か大きなものが横たわっている気がする……。

これは、何としても『メシ通』でレポするしかない。そう思いたち、クルマを岐阜へと走らせた。

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▲「明宝ハム」「明方ハム」の工場に向かう道中。郡上市の中心地からクルマを飛ばす。見ての通りのド田舎(失礼!)である

 

由来は農家の食生活改善のためだった

東海北陸自動車道「郡上八幡IC」を下車し、山あいの道を15分ほど進み、最初に足を運んだのは「明方ハム」を製造販売する「めぐみの農業協同組合(JAめぐみの)」加工事業所だ。

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▲めぐみの農業協同組合(JAめぐみの) 加工事業所

 

ここで、所長の和田雅さんに話をうかがった。

最初に断っておくが、草創期の当事者などはすでに鬼籍に入っている。そのため、古い話は伝聞や資料からの類推しかない部分も多いため、正確性に欠ける可能性があるのは了承していただきたい。

……という前置きは置いといて、あれこれ聞いてみた。

 

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▲所長の和田さん

 

── そもそも明方ハムって、どんな経緯で出来たんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181128205601p:plain和田さん:明方ハムは1953年(昭和28)、奥明方村(後の明方村)で生まれました。当時、山間部の農家の主食は、雑穀や漬物程度で、動物性たんぱくを食べる機会が少なかった。そのため農協が旗振りして、全国の農協で「食生活改善事業」の一つとしてハム作りを教えたのです。

 

なんと! 最初は農家の食生活改善を目的に、ハム作りが伝授されたのだ。

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▲ちなみに明方ハムのCMキャラクターは鈴木ちなみさん

 

和田さんいわく「よくあるハム作り体験の作り方と、明方ハムの作り方はほとんど同じなんです」と、いう。もともとプレスハムの技法は、食材と簡単な器材があれば誰でも作れるものだ。この「誰でも作れる」というところが、食生活改善事業としてはミソだったのだろう。

また当時は、村内でも畜産は黎明(れいめい)期だったそうで、昭和30年代には村内に簡易屠場が設けられるなど、ハムの商品化は畜産振興の意味合いもあったのだろう。

しかし、この取り組みは、結局のところうまくいかなかったようだ。

 

f:id:Meshi2_IB:20181128205601p:plain和田さん:当時は、肉自体が高級品ですから、ほとんど売れなかったんです。日本のハムやソーセージは安価な「魚肉ソーセージ」から一般化しましたからね。それに、そもそも農協の事業なので「たくさん作って、外で売ろう」という発想がなかったんでしょう。

 

実際、「明方ハムの沿革」なる資料を見ると、昭和30年代のトピックとしてこう記されている。

 

期待に反して村民の蛋白質供給源とはならず、高級品として捉えられて、かつ存在では知名度の低さもあって、販売が不振を極め、農協の経営を圧迫することとなり、土産用として郡上八幡での販売に乗り出し経営の安定を目指した。

 

昭和40年代には高度経済成長の波に乗り、日本の食卓は急激に洋食化。ハム業界も大手メーカーの進出で、市場に多くのハム製品が出回るようになった。

そしてトピックには、

 

明方ハムは大量の大手メーカー製品に追われてその影を潜めた。(後略)

 

とまで記されている。

いやー、かなりのセルフ・フルボッコやないですか! ここまで書かれるともう身もふたもない……。

 

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▲明方ハムの商品カタログ(左)と明方ハムの年表が記載されている「明方ハムの沿革」。事業初期はかなりすごい記述が目立つ

 

でも、なんでそこまで“お荷物”だったのに、ハム作りをやめなかったんだろう?

 

f:id:Meshi2_IB:20181128205601p:plain和田さん:それは、農協だからでしょう。赤字でも「これは事業だから」という名目で作られ続けました。まぁ一般企業なら確実に撤退案件です。ちなみに当時のハム事業は、昭和45年ごろまで2〜3人しか携わっていなかったと聞いています。「いつか必ず認められる」という、何かしらの使命感もあったんでしょうか。

 

経済の弱肉強食の世界とは無縁だったからゆえ、生き残った明方ハム。完全なガラパゴス化の道をたどることになる。日陰で細々と、スタッフ数人で作り続ける日々が続いた。

 

テレビに取り上げられ売上倍増

そんな潮目が変わったのは、昭和40年代の後半のこと。消費者の目線が厳しくなり、本物志向になっていった。そのため完全手作り・添加物ナシの明方ハムが徐々に注目を浴びることになった。

そんな上り調子の明方ハムが一気にブレイクし、一躍世間に知られるようになったのは、1980年(昭和55)にNHKの『明るい農村』に取り上げられたことだ。

 

f:id:Meshi2_IB:20181128205601p:plain和田さん:この番組で認知度が飛躍的にアップして、それまで年7万本ほどの売り上げが一気に10万本に増えました。ここから、むしろ需要に供給が追いつかなくなり、ここから「幻のハム」と呼ばれるようになりました。

 

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▲郡上インターを下車するといきなり登場する明方ハムの看板

 

明方ハムは順調に増産を続け、1988年(昭和63)には年間生産数100万本を目標に、明方村と農協が協力して、工場の増築の計画を立ち上げる。

 

しかし、ここからがややこしい。

農協は1973年(昭和48)、郡上郡南部4カ町村の7つの農協が合併して「郡上農協」が誕生。明方ハムの製造法人は、郡上農協ということになっていた。

しかし明方ハムの工場増築に関して、農協の中で意見が割れて難航。計画が遅々として進まない状態に陥ってしまった。

ここで動いたのが、農協の理事の一人でもあり、当時の明方村の村長でもあった高田三郎氏だ。ヤリ手で知られたこの高田氏、計画の遅れにしびれを切らせて「農協がやらないなら、もういい! ウチでやる!!」とばかり、第三セクターで「明方特産物加工株式会社(現・明宝特産物加工株式会社、いわゆる明宝ハムのこと)」を設立するというウルトラCをやってのけた。そしてスタッフのかなりの数を農協から引き抜いて、新たに村内に工場を建設し、ハム事業に乗り出したのだ。

 

ちなみに再度念を押すが、このあたりの経緯は、資料や証言などによっても見解の相違などが見て取れる。もう30年も前の話なので、すでに「藪の中」感も強い。もう、当事者的にはこの辺りはアンタッチャブルでもいいのかもしれない。

まぁ、あれですよ。黒澤明の「羅生門」ですよ。ハハハ(汗)

 

そして、である。

スタッフを引き抜かれた明方ハムの方はというと、工場を明方村のお隣の八幡町に移転。またイチからスタッフを育てざるを得ないという、苦難の時代を迎えることになる…。

 

なんと村名まで「明宝」に変更

明方ハムの工場を後にして、さらにクルマで15分足らず。

次にお邪魔したのが、明宝ハムを作る明宝特産物加工株式会社だ。

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▲あった、看板。ここ左折!!

 

農協が作る明方ハムに対して、三セクとはいえ企業が作る明宝ハム。1988年(昭和63)に会社が立ち上がったので、2018年(平成30)の今年で30周年に当たる。

明宝ハムでは今年、新工場が建設された。1階では明宝ハムの販売コーナーのほか、窓越しに工場見学ができ、肉の解体作業やハムの製造工程をパネルなどで見ることができる。

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▲出来たばかりの新工場では加工の工場見学ができる

 

対応してくださったのは、専務取締役の名畑和永さんだ。

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▲名畑さんには、新工場を案内していただいた

 

とりあえず、最初に聞かねばならないのは「明宝」のネーミングだ。

いくら何でも、明宝と明方じゃあ、似過ぎてる。どうしてこんな名前にしたのか……。

 

── どうして「明宝ハム」という名前になったんですか?

 

f:id:Meshi2_IB:20181128211652p:plain名畑さん:私も、地元の明方小学校出身なんです。でも当時から、村外の人には「明方(みょうがた)」を「めいほう?」って普通に誤読されていたんです。そういう経緯もあって、「めいほう」という“アナザーネーム”にかけて、「明方村の宝」という思いを込めて、ネーミングされたと聞いています。

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▲30周年を迎えた明宝ハムのCMキャラクターは俳優の酒井敏也さん。なかなか絶妙なキャスティングだと思ったら岐阜県のご出身だった

 

なんとなく軽いノリに聞こえるが、もっとビックリするのは、当時の村長がそのままの勢いで、村名まで変えてしまったことだ。

ハムには直接関係ない話だが、この村は東海地方では「村名をころころ変える村」として有名だった。

そもそも、元々の村名は「奥明方村(オクミョウガタムラ)」という村名だったのだ。それが1970年(昭和45)、「“奥”が田舎丸出しでイヤだ!」という理由で(?)「明方村(ミョウガタムラ)」に村名変更したのだ。

 

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▲「明方ハム」の「奥」マークは、かつて奥明方村の農協がこのハムを製造していたことを示す。村を出た明方ハムに奥明方村の名残りがあるのはちょっと皮肉だ

 

その後、1988年(昭和63)に明宝(めいほう)ハムが生産開始。1989年(平成元)には村内に「めいほうスキー場」というスキー場がオープンした。

つまり、次第に「みょうがた」よりも「めいほう」の方が、ブランド力としては大きくなってしまった。このブランド力に乗っかって、1992年(平成4)に村名をとうとう「明宝(めいほう)村」に変更したのだ。

いやー、使えるものはなんでも使う。これぞ村おこしのかがみであります。

 

明方が「元祖」なら明宝は「本家」?

それはさておき。話をハムに戻そう。

── 明宝ハムの特徴を教えてください。

 

f:id:Meshi2_IB:20181128211652p:plain名畑さん:まず、明方ハムを最初に作った農協職員のSさんは、農協と別れたときにうちに来てくれました。Sさんは1994年(平成6)に退任しましたが、それまでいろいろなハムを開発してくれました。今、うちが販売しているものは、ほとんどSさんが開発したものです。

 

な、なるほど。そういう意味では、明方ハムが「元祖」なら、明宝ハムが創始者の血筋を引く「本家」とも言えるわけか……。複雑だなぁ。

 

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▲分裂前の農協時代の写真には、ハム製造の技術者だったSさんも写っている(明宝特産物加工株式会社 提供)

 

f:id:Meshi2_IB:20181128211652p:plain名畑さん:品質はもちろん大前提ですが、企業ですから、ニーズに柔軟に対応した商品を開発しています。

 

そう名畑さんが言うとおり、商品展開は、明方ハムよりも明宝ハムの方が多彩なラインアップを誇る。例えば、魚肉ソーセージのように片手で食べられるスティックタイプのハムやソーセージは「腹持ちがするので、登山などにも人気です」と、名畑さん。

なるほど、この辺りがJA(農協)が母体の明方ハムとの違いなのだ。

ちなみにハムのボリュームも、前述したように明方ハムが400gに対して明宝ハムは360gと、少しだけ小さい。原価高騰により、そのままの値段が維持できなくなったので、3年前に1割減量して価格を維持したそうだ。

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▲その名も「とんこ」(216円)。目ん玉がかわいいではないか!(分類はソーセージです)

 

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▲見た目はギョニソ。しかし圧倒的な「食べた感」がある

 

名畑さんいわく

「ハムが村(この地域)の宝なのは、従業員の全員が分かっています。だから、いいものを作る気持ちが高いんです。一般企業ではこうはいかないでしょう」

と、強調する。いや〜、ええ話や……。

 

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▲工場の売店では試食もできる。ラリホー!

 

ちなみに明方ハムの方はというと、分裂後は常に明宝ハムの後塵を拝していた。理由は簡単、やっぱりJA(農協)だからということに尽きる。

昔の製法をかたくなに守る反面、売り出しや新商品の開発には疎かったのだ。

 

新商品ラッシュで追い上げる明方

では、ここで明方ハムの和田さんに再登場していただこう。

 

f:id:Meshi2_IB:20181128205601p:plain和田さん:私はハム事業に5年携わりましたが、その後、25年間は別の部署にいたんです。その頃の明方ハムは、明宝ハムがウサギだとすると、カメのような存在で、悔しかったですねぇ。8年前に「JAとしてハムに力を入れてくれるなら」という条件で、ハム事業所に戻りました。それ以降は、新しい商品をドンドン開発しています!

 

ちなみに明方ハムならではの強みは、全国のJAネットワークがバックにあることだ。食材の多くはJA経由で仕入れ、各地のJA製品の委託製造なども今は行なっている。意外とアグレッシブなのだ。

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▲カタログを手にニヤリとする和田さん

 

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▲こちら明方ハムの商品ディスプレイ。新商品が続々と開発されている

 

不公平なんで商品パンフ持った明宝ハムの名畑さんも載せておきますね。うふ。

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▲こちら明宝ハムのパンフレット

 

市町村合併という運命のいたずら

明方村(明宝村)を離れた明方ハム。

明方村(明宝村)にこだわった明宝ハム。

 

それぞれが互いをライバル視し、その相乗効果で成長を遂げたことは間違いない。

 

しかし運命のいたずらか。

明方ハムの工場のある八幡町と、明宝ハムの工場のある明宝村は、2004年(平成16)に大規模な町村合併により、あろうことか同じ郡上市になってしまったのだ。

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▲郡上市のシンボル「郡上八幡城」

 

紆余曲折あって、どちらも郡上市の名産品となったのは、どんな運命のいたずらと言うべきか。

しかし、だからこそ、これからの「明方ハム」「明宝ハム」のライバルストーリーに、目が離せないのだ。

 

製造法はいたってシンプルゆえ原価が高い!

さて、ここからが本当の本題。そう、ハム自体のクオリティーの話だ。

そもそもプレスハムという商品は、戦後、日本で開発されたオリジナルのハムである。

もともとは、日本が貧しかった時代に安価の小肉(こにく)を集めて固めたハムで、豚肉以外の肉も混ぜたことから「寄せハム」とも言われたという。

明方ハム、明宝ハムの魅力は、昭和28年からの製法がいっさい変わっていないプレスハムだということだ。

 

素材は国産のモモ肉だけ。着色料・防腐剤・酸化防止剤は使わない。本来のプレスハムとは真逆で、非常にコストがかかる。繰り返すけれど、もうけ度外視の農協の事業(汗)だからこそ、ガラパゴスのように生き残ったのだ。

 

プレスハムの作り方はいたってシンプルだ。

  1. 豚のモモ肉を15ミリ角、脂身を8ミリ角にサイコロ状にカットする
  2. 塩と砂糖、ハム作りに最低限必要な微量の添加物を練り込み、寝かせて熟成させる(明方ハムは2週間、明宝ハムは1週間)
  3. 熟成後、少量のつなぎと、数種類の香辛料で味付ける
  4. 袋詰めして金型にはめる
  5. ボイルして加熱処理し、冷却する

 

明方ハム、明宝ハム、両方の工場を見学させてもらったが、どちらも重要なポイントは「下処理」。豚肉のスジや無駄な脂などを、丹念に取り除いていく。たくさんのスタッフが寄ってたかってナイフを片手に手作業で肉を切り取るさまは、かなり壮観だ。

 

その工程の一部を、写真で見てみよう。

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▲こちら明方ハムの解体風景

 

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▲こちら明宝ハムの解体風景(いや、どっちも変わらんやろ)

 

以下、明方ハムの製造工程写真。明宝ハムも基本的には一緒だ。ただし一部の機械化が異なっているそうだ。

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▲フィルムに袋詰めして……

 

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▲金型にパキンとはめて……

 

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▲ボイ〜ル!!!

 

ちなみに通常、明方ハムでは工場見学は公開されていないが、明宝ハムの工場では、ビデオ映像で製造過程を流してくれている。こりゃ親切!

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▲こちら明宝ハムの金型セット作業(のビデオ)。ガラスの奥でもいろいろ作業中だけど

 

サイコーにおいしい食べ方とは

さて、こうして作られたプレスハムの最高峰、「明方ハム」「明宝ハム」。いったいどうやって食べるのが、正解なのか?

明宝ハムの名畑さんに、おいしい食べ方を伝授していただいた。

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f:id:Meshi2_IB:20181128211652p:plain名畑さん:豚肉そのままの、“肉肉しい状態”で食べるのが一番おいしいです。ただ、冷蔵庫から出したままの状態は、少し固いんです。カットして1時間くらいがちょうどいいんですが、ちょっと見た目の色合いが悪くなるので、カットしたら軽くレンジでチンして温めて食べると最高です。

ただし、水分が飛んでしまうと固くなってしまうので、レンジのかけ過ぎや焼き過ぎは注意です。

 

── 味をつけるなら、何がいいですかね?

 

f:id:Meshi2_IB:20181128211652p:plain名畑さん:マヨネーズに七味がいいですかね。でも、本当はそのまま食べて欲しいですね。むしろ、他の味をつけるのはもったいないような気もします。

 

── 究極の食べ方は?

 

f:id:Meshi2_IB:20181128211652p:plain名畑さん:「大人食い」ですね! フィルムのまま、熱湯で10分ほどボイルします。すると、出来たての状態に戻るんです。豚肉は脂がおいしいじゃないですか。脂が溶けてハム全体に回るので、一番おいしい状態になります。それを8〜10ミリの厚めにカットして、バクッと食べてください。

 

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▲これぞ1センチ厚にカットした「大人食い」。何もつけずにガブリだ!!

 

 

── 他に、名畑さんオススメの食べ方はあります?

 

f:id:Meshi2_IB:20181128211652p:plain名畑さん:「ハムご飯」ですね! 炊きたてご飯にサイコロにしたハムを散らし、黒コショウで味付けます。ご飯の熱でハムが温まり、ハムの塩気と黒コショウが合うんです。

 

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▲これが「ハムご飯」。確かにやたらうまい! ご飯がススム……

 

まあ、最終的には「思い思いでおいしく食べてください」とのこと(当たり前か)。

というわけで自分でも考えた。「水分を抜くな」というアドバイスから「スープに入れればいいんじゃね?」と思い、あさりコンソメスープにぶち込んでみた。

う、うまい……。

 

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▲我ながらこれはイケル。ハムとアサリって合うのよね〜

 

ちなみに、「明方ハム」「明宝ハム」とも、アレンジレシピをWEBやチラシなどで公開している。ハムを購入される方は、大いに参考にされたい。

 

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▲左が明宝ハム、右が明方ハムのオリジナルレシピ

 

「道の駅 明宝」がメッチャ楽園

そして最後に余談。

明宝ハムの工場近くには、明宝ハムが経営する「道の駅 明宝」がある。

ここはなかなかのパラダイスなので、近くを通ったらぜひ立ち寄ることを強くオススメする!

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▲ここが「道の駅 明宝」という名の楽園である

 

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▲「明宝ハムになろう!!」って、オイッッ!

 

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▲当然ながら明宝ハムはドーンと販売している

 

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▲売店で販売している、明宝ハムとソーセージが串になった「明宝フライ」(100円)。悔しいけどウマイ……

 

余談もういっちょ。

郡上八幡旧庁舎記念館の物産コーナーでは、「郡上ハム競演セット」(3,200円)と銘打って明方と明宝が2in1になったお土産を売っている。

 

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▲観光都市・郡上八幡のたくましき商魂が生んだ越同舟セットとでもいうべきか。でまたこのコンビ、かな〜り好評なんだそうな(ま、県外の人にしちゃ美味しければなんでもいいもんね……)。

gujohachimanya.com

 

現 場 か ら は 以 上 で す 。

 

販売情報

明方ハム

www.myogata-ham.jp

明宝ハム

http://www.meihoham.co.jp/

 

お店情報

道の駅 明宝

住所:岐阜県郡上市明宝大谷1015
電話:0575-87-2395
営業時間:月曜日〜金曜日 9:00〜18:00、土曜日・日曜日 8:00〜18:00
定休日:無休

www.hotpepper.jp

 

書いた人:イシグロアキヒロ

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名古屋を拠点に活動するフリーライター。カリブ海音楽と台湾ラーメンとキンキンに冷えたビールと朝ドラ「カーネーション」とハロプロをこよなく愛する。

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