出世魚のようなお店。立石バーガーはモッチーピザをへて「立石バーガー&モッチーピザ」になった【別視点ガイド】

▲わたくし松澤(左)と立石バーガー店長・濱野さん(右)。真夏でも節電のためクーラーをつけないのでこういう顔になる
 
東京は葛飾にかつて立石バーガーというハンバーガー屋さんがあった。
私と立石バーガーとの出会いは2011年。運営している珍スポット紹介サイト「東京別視点ガイド」の取材で訪れたのが最初だ。
 
2011年当時の立石バーガーの外観がこちら。
わびさびだけで構成された、年代物の茶器みたいな建物である。
看板は上半分しかないが、立石バーガーと書かれていたことが推測される。
 
・手動販売機 
立石バーガー最大の見どころだったのが、自動販売機ならぬ手動販売機だ。
 
販売機にお金を入れる→チャリンと音をたて落ちる→その音を聞いた店長さんが厨房のテグスを引く→台が傾きハンバーガーが滑り落ちてくる、という人間の五感に頼り切った超アナログな手作りマシーンである。
 
手動販売機には何種類かバージョン違いがあって、この台はニコニコ動画の生主が歌を歌ってくれた。
 
・ネーミングライツ
商品は物だけではない。以前は、ネーミングライツも販売していた。
500円払うと、一カ月間ハンバーガーに好きな名前がつけられるのだ。
渋谷公会堂は一時期「渋谷CCレモンホール」になっていたけど、一カ月で数百万円かかったとか。それにくらべればなんてお得な権利売買だろう。
 
私もこの権利を購入して、サイト名を冠したハンバーガーを販売していた。
ハンバーガーなのに意表を突いて「東京別視点ガイド丼」と命名したところ、「……できれば丼じゃなくてバーガーで締めてほしいな」と店長さんが悲しそうにつぶやいたので、最終的に東京別視点ガイドバーガーにした。
 
・1日店長権
権利売買も行くところまで行って、とうとう1日店長権を販売していたころもあった。
5,000円で立石バーガーの1日店長になれるうえに儲けもすっぽり懐に入れていいのだ。ハンバーガーを50個ほど用意しておいてくれた。
 
▲真夏のめちゃくちゃ暑いときに1日店長をやった
 
1日店長をしている間、本物の店長さんは秋葉原のジャンクショップに買い物に出かけてしまう。
「お客さんがたくさん来たらどうしましょう! 1人でまわせますか?」とたずねたところ「ぜんぜんお客さん来ないから、楽だよ」とのこと。
お客さんが来ないことをこんなにもポジティブに表現できる店主が、ほかにいるだろうか。たしかに楽だった。
 
ことほど左様につぎつぎ斬新なアイデアを実行していて、目が離せない存在であったのだが……。
 

2016年夏、突然ピザ屋さんになった

 
2016年夏、突然モッチーピザと店名を変え、業種もピザ屋さんに変更。おなじみの手動販売機も取り除かれてしまった。
ピザ屋さんということもあってか、余白を存分にいかしたデザインでスタイリッシュな看板だ。
 
Twitterでは「あれ? 立石バーガーが閉店してる!」と局所的に騒ぎになったが、店長さんは変わらずそのまま濱野さん。
 
▲モッチーピザ 350円
 
モッチーピザとはお餅をつかったピザのこと。
チーズやアンチョビ、ベーコン、トマトのしたにお餅がごろごろ入ってる。
 
「なんで急にピザ屋さんにしたんですか!?」と尋ねたら「いや、ハンバーガーよりピザのほうがおいしいじゃない」とクールな表情。
「それ、ずっとハンバーガー屋さんをやっていた人が言うこと!?」とビックリしてしまった。
 
話しをしている間にも、地元の常連客が何人かやってきて「ハンバーガーください」「いや、もう、バーガーやってなくて……」「え? なんで??」というやりとりをしていた。
あまりにも急な業種変更に常連さんもビックリしてるようだ。
 
店長さんの趣味のひとつは、秋葉原のジャンクショップ巡り。
イートインスペースでジャンクパソコンを売るようになっていた。
この写真は1年前のものだが、2017年のいまなお同じパソコンが売られている。
 

とまらぬ進化!「立石バーガー&モッチーピザ」になった

そんな立石バーガーがこの夏、さらなる進化を遂げていた。
看板を見ていただければ分かるとおり「モッチーピザ&立石バーガー」になり、ハンバーガーが復活したのだ。
どんどん名前を変えて、進化を続けるさまは出世魚ブリのようだ。
 
濱野店長いわく「モッチーピザがぜんぜん売れないから、ハンバーガーを復活させた」とのこと。
「あ~、やっぱり立石バーガーのほうが売れますか!?」と尋ねたら「売れない。なにも売れてない」「とはいえ、ピザとハンバーガーくらべたらどっちのが売れてます?」「なにも売れてないよ」「ホットケーキもありますよね、ホットケーキはどうですか?」「売れてない」ときっぱり答えてくれた。
 
そう、なにも売れていないのだ。
 
ほんとはあれこれ手を出したくないしヒットも生み出したいけど、仕方なくハンバーガーも復活させたそうだ。
看板の余白的にはまだまだいろいろ手を出す余地がありそう。
 
ショーケースには、夏野菜をふんだんに盛りこんだ「夏バーガー(100円)」があった。
 
裏側から自分で取りだす方式だ。
 
カウンター席が3つあるのでイートインも可能。
 
こちらがメニュー表。
 
最近復活したばかりのはずなのに、どうしてこんなに写真が焼けてるのだろうか。
 
立石バーガー(300円)は注文してから作ってくれる。
トマトやレタスなどたっぷり野菜が入っているし、お肉もジューシー。アツアツでうまいし300円ならお得だ。
 
▲モッチーミート 350円
 
常時、節電中なので今年の夏も冷房なし。
こちらは汗をだくだく流しながらアツアツの餅とハンバーガーをほおばっていたのだが、店長さんは涼しい表情。
最近、千葉の九十九里に古民家を借りたので、ちょくちょく原チャリで出かけていて、 原チャリ故障中は自転車で片道6時間かけて行っていたとか。
どうやら暑さに根っから強いようだ。
 
最後に「手動販売機は復活させないんですか?」と問うてみたところ、
「今度は商品で勝負してみたいんだよ。ぜんぜん技術が足りてないけど」と笑っていた。
 
進化をつづける立石バーガー、ますます目が離せないぜ!
 
お店情報
立石バーガー&モッチーピザ
住所:東京都葛飾区堀切3-17-15
電話番号:なし
営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜日
※この記事は2017年7月の情報です。
※金額はすべて消費税込です。
 

書いた人:松澤茂信

観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」を書いてます。