下北沢の老舗定食屋「とん水」が閉店……。が、半年ぶりに店主のおじちゃん・おばちゃんと一緒に帰ってきた!

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皆さんは、東京・下北沢を訪れたことがあるでしょうか? 演劇とサブカルチャーの街として広く知られていますが、一方でここでしかない味わい深い名店がひしめくグルメの街でもあるのです。

 

今回紹介するのは、この街の定食屋さん「とん水」。下北沢の街で創業45年という老舗中の老舗。トンカツをはじめとしたおいしい定食と、温かい店主のおじちゃん・おばちゃん夫婦の人柄で多くの人々に愛されてきた名店です。

 

惜しまれつつの閉店から、半年ぶりに復活

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しかし……なんと昨年(2017年)10月「とん水」の閉店が決定。その衝撃的なニュースに、下北沢の街は悲しみに包まれました。雨の降りしきる最終営業日、そこには多くの常連客が訪れ、大好きだったメニューを注文する光景が広がっていました。

 

あれから半年。久しぶりに訪れたお店には、一切の光がありませんでした。お客さんのにぎわう姿やトンカツのいい匂い、そしておじちゃんやおばちゃんの笑顔……ああ、もう本当に俺たちの大好きだった「とん水」はないんですね……。寂しく思いながら、立ち去ることに。

 

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立ち去ることに。

 

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立ち去……ん? ん?

 

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んんんん!!!????

 

なんと旧店舗から歩いて3分のところに「とん水」の看板が。

見間違いか? 恐る恐る奥へ進むと、ありました! あの茶色いのれんは、間違いなく「とん水」ののれん! ど、どういうこと!?

 

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▲ドアをくぐると、間違いなく店主のお二人の姿が!

 

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▲すでに多くのお客さんで賑わっていました

 

「ただいま」の味。とろーりチーズカツ定食

「いらっしゃい〜、よう来たね〜」

お店に入ると、いつものあのトンカツの匂い、そして変わらないおばちゃんの笑顔が出迎えてくれました。どうやら本当に復活していたようです。よかった、わかってたくせに変な演出しちゃってごめんなさい。

 

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お店に入るとすぐ目につくのが、この尋常じゃないメニューの数々。これぞ、定食屋さん「とん水」の魅力。場所が変わっても、多彩なバリエーションは健在でした。

 

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ヒレ、ロース、チーズ、玉子とじ、さらにケチャップとマヨネーズ……カツ定食だけでかなり多彩。

 

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マグロフライ、焼ソバライスと変わったメニューも。特にピリ辛オイル定食など、中身の想像できないものも。

 

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一品料理もすごい数。どれにするか、たいへん悩みます。とりあえず、移転前から僕が一番好きなメニュー「チーズカツ定食」(750円)と「ハムエッグ」(200円)を注文しつつ、おじちゃん(野口光二さん)おばちゃん(野口トシ子さん)にインタビューをすることに。

 

── どうして一度閉店したんですか?

 

おばちゃん:前のお店がね、もうだいぶボロボロだったから壊すことになったのよ。で、新しい移転先を探してたら、あらまあ、すぐ近くでパッと場所が空いたのよ。そこに入ったわけ。ラッキーだったわ〜。

 

── 元々復活する予定だったんですね。ちなみに移転するまでの半年間はどうされていたんですか?

 

おばちゃん:今までいけなかったいろんなところ、旅行してたよ〜。秋田の温泉とか。紅葉がすごいきれいだったの。

 

おじちゃん:はい、チーズカツ定食。おまちどうさん。

 

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── いただきます! これが、とん水名物「チーズカツ定食」。

 

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── この衣のサクサクぶりと、中のチーズのトロトロぶりが、最高にたまらないんですよ。このおいしさの秘密は、一体なんなんですか?

 

おじちゃん:うちの油はね、昔ながらのラード油を使ってるんだよ。揚げている時の音が今売っている油と全然違う。他の油じゃ、この味と食感は出せないんだ。

 

── あと、ご飯もすごくおいしいですよね。何かこだわりが?

 

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おじちゃん:実家がお米農家で、そこから新鮮なお米を毎年1年分仕入れたのを使ってるんだ。いろいろ混じっている市販のお米は、一切使わない。さらに炊飯器じゃなくて、特別に用意したかまどで炊いててね。前は台所の見えない場所だったけど、ほら、今はお客さんの見える場所に置いて炊いているんだ。

 

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おじちゃん:うちの定食は、何よりお米を大事にしてて。おかず、お漬物、そして取り寄せの味噌で作った味噌汁とおいしく食べられるようこだわってきたんだ。これが、45年間下北沢でやってこれた秘訣(ひけつ)かなあ。はい、ハムエッグ。

 

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この半熟タマゴを、ご飯の上にのっけて食べる常連ファンも多いとか。自分も半年ぶりの再会に、ちょっと泣きそうです……。

 

45年間の歴史の終わり、そして「おかえり」

── そもそもこのお店を始めたのは、お二人がいくつの時なんですか?

 

おばちゃん:24歳の時だったかな〜。当時はまだお互い結婚もしてなかったね。あの頃の下北、活気があったんだよ〜。どの飲食店もお客さんがいない時間がなくて。お昼ご飯はどこもいっぱいで、全然座れなかったの。

 

おじちゃん:うちのメニューも、最初こんなにはなかったんだ。ところがさ、やってくるお客さんが「おじちゃん、ビールのつまみにこれ作ってよ」とメニューにない注文をどんどんくれて。断らずに45年間一品一品応えていたら、それが定番になって、自然とこのたくさんのメニューができてたんだ。

 

── このメニューは、お二人とお客さんたちでつくった「とん水」の歴史そのものだったんですね。

 

おばちゃん:でもね、下北も変わった変わった。ほとんど若い人のおしゃれなお店に、入れ替わってね。この通りだと、うちが一番古いほうじゃない? 街全体だと、他には4軒くらいしか当時のお店残っていないかな。ヒマな時間もずいぶん増えたし、知っている人も全然通らなくなっちゃったのよ。

 

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おばちゃん:それでも前のお店閉める時にね、常連さんがたくさん来てくれて。来づらい雨の中、昔からの人もみ〜んな来て食べて行ってくれたの。最後の日に、ずっと来てくれたフランス人のお客さんもいたんだけど、一緒に来ていた彼のお子さんがご飯食べ終わった後に泣いてたのよ。閉めないでって。

 

── 辛い光景でしたね……。

 

おばちゃん:みんな、最後は泣いたり、笑ったりだったよ。だから私たちの代わりに「とん水」復活したって知らせてくれる?「場所変わっても、待ってるよ〜」って。

 

「じゃあね、仕事もいいけど、働きすぎて体壊すんじゃないよ〜」

食べ終えたお客さん一人一人に、優しい言葉を投げていた二人。場所は変わっても、下北沢随一の温かい定食屋さんの空気はちゃんとありました。まだ行っていない常連の皆さん、そしてまだ「とん水」を知らない皆さん、週末に足を運んでみてはいかがでしょう。おばちゃんたちの笑顔が、おいしい定食とともにあなたを待っています。

 

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お店情報

とん水

住所:東京都世田谷区北沢2-40-15 芦田ビル1-2
電話:03-3468-3621
営業時間:11:30~23:00
定休日:火曜日

 

書いた人:ダイゴロ

ダイゴロ

コピーライターを営んでおります。 広告制作に携わる一方で、月刊公募ガイドにて「コピーはコーヒー牛乳飲みながら。」を連載中。人狼が、最近のマイブームです(強くはない)。

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