

東急田園都市線高津駅から15分ほど歩いた国道246号線沿いだ。
アクセルを踏むためだけにあるかのような直線道路の脇に、

あった。

ここだ。

煮込み
と
めし
看板に記された内容が潔い。

店名は「タイガーワン」。
心のよりどころになるかどうかはまだ分からない。

タイガーだけに「虎」柄ってことか。
やっぱりフツーのお店じゃない
さっそく店内へ。

広さは12帖ほど。カウンターのみの牛丼店くらい、といったところだろうか。
余計な装飾のない「無骨なお店」とも言えそうだが、店内を見回してみるととてもそれだけで片付けられないことが分かる。

たとえばカラフルな安全ヘルメット。

窓際には手旗信号。

指差喚呼(しさかんこ)とは、よく工事現場などで用いられる安全確認を意味する四字熟語。……って、ここ飲食店のはずだが。

壁には、こんな掲示が。

しかし、よく見ると……なんの確認なんだ。

ん?

え?(思わず空目)

どれからツッコミ入れていいのか分からなくなってきた。

やっぱフツーじゃねーわ、このお店!
めしは盛り放題
せっかく来たので、ひとまず注文を。

店内の自販機で食券を買うシステム。
メニューは大まかにいうと、もつ煮込み(牛 or 豚)、めし、ツマミ系、ドリンクという構成である。

「ちょこっと飲みたい」という人には、アルコールの選択肢も。

「第三の」と書くあたり、正直である。

いきなり銘柄で書かれているのが親切だ。しかも安い。
なんたってウーロンハイや緑茶ハイも100円なのだ(さっきの自販機の写真参照)。

そして、注目すべきは「めし」の量。
めしはセルフで盛るシステムで「大、並、小」と三段階に分かれているのだが、

それぞれの器で、好きなだけ盛ることができるのだ。

とんでもない大食漢を迎え撃つ準備もできている。
ネギ、辛味までもが盛り放題

しばし悩んだ末、豚もつ煮込み(並480円)と、めし(並200円)を選択。
カウンターに食券を出すと、

ものの10秒ほどで、お膳にのっかっためし用の空の器と、もつ煮が。

めしはセルフで。

学生寮に置いてあるかのようなでっかい炊飯器のフタを空けると、

白米がどっさり。

好きなだけ盛ったれや! と言わんばかりの量である。

ただし盛りすぎてこぼすなよ、というアラートも。

もつ煮込みのためのネギも盛り放題。見るからに、みずみずしい。

辛いのが好きな人にはこれ。
刺激が欲しいなら思う存分オンすればいい。

たとえ辛すぎて涙や鼻水が出ても、備え付けのティッシュがあるから無問題。

水もどれだけゴクゴク飲んでもしかられることはあるまい。
新鮮なもつ煮に白飯がとまらない
さてと、すべての準備が完了。

まごうことなき、もつ煮込み定食である。

やわらかいのに、臭みゼロ。一口含んでみると、新鮮なもつを使っているのがよくわかる。
味噌の濃さも濃すぎず、薄くもなく絶妙。
最後はこの中にめしをぶっ込んでかっこんだ。

こちらは牛すじ煮込み(並580円)。

よく煮込まれた牛すじがトロットロ。
しっかりした味付けで、白飯が永遠に食べられそうな気がする。

つまみの「にんにく煮」は、豚のガツをにんにくダレに漬け込んだもの。
めちゃパンチのある味わいで、酒飲みにはたまらない伏兵だ。

ちなみに店内は禁煙。

ただし、お店の裏手にはちゃんと喫煙スペースが設けてある。
これも工事現場風。どこまでコンセプチュアルなお店なんだ。
こだわり抜いた肉選び
それにしても、一風変わったお店である。いったいどんな人が、どんな狙いでやってるのだろう。
お店を切り盛りする島田職長……じゃなかった島田店長に話を聞いてみる。

▲一見コワモテだが、笑うと一気に親しみがわく人。島田店長はそんな印象だ
お店がスタートしたのは、2016年の4月。当初から「工事現場」を連想させる内装だったようだ。
もともとお店の関係者が土木・建築関係者で、いろんな工事現場アイテムがあるんで、じゃあそれもお店の個性にしちゃおうということで、こういう形になったんです。私自身は飲食関係が一番長いけど、過去には建設現場で働いたこともありますよ。
店内の中央にデッカイ炊飯器を置き、お客さんはそれぞれ盛り放題にしたのも、工事現場の詰め所(昔は飯場と呼ばれていた)をイメージしたのだそう。
煮込み一本で勝負したのは、島田店長が焼き肉店で長年働いたこともあり、肉の見立てやもつ料理に精通していたからとのこと。

そのわりには、ニッカボッカが似合いすぎである。
でもね、ここだけの話、自分ホルモンが昔から苦手で(笑)。そんな自分でも食べられるくらいのもつ煮込をあえて作ろうと思ったんですよ。新鮮なホルモン使ってね。

言葉に偽りなし。
ここ「タイガーワン」で使っている5種類のホルモンや牛スジは、素人が見ても新鮮と分かるものばかりだ。

現在、お客さんは男性がほぼ100%近くを占める。といっても、現場関係者もいればサラリーマン、自営業者、学生も多く、実に幅広い層が食べに来るらしい。
「世界でもっともデートに使えないお店」と自負してますが(笑)、まぁご夫婦のようなお客さんがごくたまに。女性のお客さんがおひとりでいらっしゃるのは1年に2回くらいかなぁ。ただ、ウチは持ち帰りもできるんで、たまに近所の奥さんが夕飯とかダンナさんの晩酌用に買いに来てくれたりしますね。
ちなみに、店名「タイガーワン」の由来はコレなんだそうだ。

現場作業員御用達ブランド「寅壱(とらいち)」。
英語に訳すと……ナルホド。
筋通ってる。
謎の数字「1414881」の意味は……
もつ煮込の定食を食べ終わり、それでは失礼しようかというところで、島田店長が意表を突くことを言ってきた。
ウチ、実は2階もあるんですよ。せっかくなんで見てみます?
えっ、マジで?

と思って外へ出てみたら確かにあった。

階段を上り、

ドアを開けると、

学生の頃住んでいたアパートのような景色が。
ここで宴会できるじゃん!!
ここは、ごくたまに常連さんグループに使っていただいてるくらいですかね。
最後に、さっきから気になっていたこの数字について触れてみる。

1414881……いよいよヤバイ!?
お店が……ヤバイの?
実はウチ、オープンして2年ちょっとの間、ずっと赤字続きでして。このままだと本気でヤバイので、ぜひ自慢のもつ煮込を食べにきてほしいです。男性のお客さんはもちろん、カップルさんや女性お一人も大歓迎です(笑)。
現場はまだまだ人手不足である。
男たちよ、ぜひこの「タイガーワン」でもつ煮込みの消化作業に参加してみてほしい。盛り放題の白飯と新鮮な臓物を使った柔らかいもつ煮込みが、空きっ腹を完璧に埋め合わせてくれるに違いない。
現場からは以上!
お店情報
タイガーワン
住所:神奈川県川崎市高津区溝口5-16-18
電話番号:090-4425-0001
営業時間:11:30〜14:30、17:30〜23:00(土曜日は22:00まで)
定休日:日曜日、祝日



