【鳥取・境港】漁港から近い回転寿司店の鮮度レベルがどれだけ高いのか確かめてみた

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北海道の回転寿司店で味わえる鮮魚レベルが高いのは有名だが、山陰地方も漁港が近いので負けず劣らずの域にある。鳥取県の境港にほど近く、その日に捕れた魚がすぐに並ぶ「回転すし北海道は「観光客におすすめしたい回転寿司」として、地元でよく店名を聞く。

 

鳥取なのに「北海道」というチェーン店

「回転すし北海道は、鳥取県全域と島根県東部に店舗があるチェーン店だ。こちらの店舗は、境港の「水木しげるロード」からアクセスしやすく、皆生(かいけ)温泉も近いため観光客もよく訪れる。

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▲回転すし北海道(皆生店)

 

筆者は出身地が近いのでおいしいと評判なのは知っているのだが、いったいほかのお店と何が違うんだろう。そのほかにもいろいろ気になるところはあるのだ。

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考え出すと次々と疑問が出てくる。せっかくならおすすめのネタや、都会では食べられないネタなんかも教えてもらいたい。

 

おすすめされるがままに寿司ネタを食べてみる

まずは、おすすめメニューから出してもらった。

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▲「中トロ」(380円)

 

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▲「寒ぶり」(280円)

 

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▲「炙り三昧(炙りトロサーモン、炙り平貝、炭火焼うなぎ)」(380円)

 

この3メニューから食べてみよう。

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「中トロ」はトロットロだし、「寒ぶり」は歯応えがシャキシャキしてるし、「炙りトロサーモン」なんて脂がたっぷりで口の中でとろける。

 

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魚介以外だと、「お客さんからよくおいしいと言われる」という玉子のにぎりもおすすめされた。回転レーンのところに材料の玉子がディスプレーもされてるぐらいのイチ押しメニューなのだ。

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その場で焼いてもらい、すぐに食べることができる。

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そして出てきたのがこちら。

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▲超<特製>厚焼玉子(180円)

 

これがにぎり? なんで? と思うだろう。なんと、中にシャリが入ってる。こう見えてちゃんと寿司だ!

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玉子の温かさとふわふわ感、出汁の風味を堪能。食べ応えある。

 

ここで次のネタにいきたいところだが、ひとまず店長の前田さんにお話をうかがってみよう。よろしくお願いします。

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朝捕れた魚が4~5時間後には届き、その日のうちに使い切る

漁港も近いから新鮮なのは分かるが、具体的にどの程度新鮮なんだろう。

 

──産地直送の魚って、捕れてから何時間でお店に並ぶんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015442p:plain前田さん: 漁が3~4時ごろで、お店に来るのは4~5時間後ですかね。けど、お店の開店は11時半なんで、7時間後ぐらいになります。

 

──どういう流れで来るんですか? いっぱい店舗があると思うんですけど、同じネタが全店舗に届くんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015500p:plain前田さん: 水揚げされたものがその日の朝5時にはうちの「セントラルキッチン」という工場に届くんですよ。その後、内臓やはらわたが洗われたものがそのままお店に9時半ぐらいに届きます。それをすぐにネタにはせずに陳列して、お客さんが食べる時間帯に合わせて切っていく。切りたてをお客さんに提供できるっていうこともあって、より新鮮なものを、さばきたてで出せるのがうちの強みだと思ってます。

 

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▲その日の朝に捕れた魚が届いたら陳列する

 

──やっぱりそれって漁港が近くないと無理なんですかね。

 

f:id:exw_mesi:20190117015523p:plain前田さん:そうですね。漁港から遠いと配達までに時間がかかってしまって、揚がった次の日に使うことになってしまうと思うんですけど、うちの場合は朝届いたものは基本的にはその日に使い切ります。

 

──えっ、そんなにうまく使いきれるものなんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015535p:plain前田さん:店舗ごとに売上の予想っていうのがありまして、どれぐらい魚を発注するだとかっていうのは決められています。なので、その日に使い切れる分だけ発注をして、その日に使い切って、次の日は新しいものっていうのを毎日繰り返してます。

 

──それは各店舗でデータを持っているってことなんですね。

 

f:id:exw_mesi:20190117015547p:plain前田さん:はい、そのデータを元にしてます。前年の売り上げとか天気とかのデータも元にしてますね。

 

──そのデータの数値を元にすると、そんなに無駄になることがないんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015600p:plain前田さん:ほぼほぼないですね。よっぽどこの日にこれが爆発的に売れた、みたいなのがたまにあるんですけど。

 

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▲へぇぇ〜〜と思いつつ、この白子の解説を眺めていたが、白子はこの日入っていなかった

 

山陰ならではの珍しい産地直送ネタも堪能

──「この地域だからこそのネタ!」みたいなものってありますか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015613p:plain前田さん:「バイ貝」という巻貝ですね。「赤バイ」「白バイ」

 

──「バイ貝」って、回転寿司ではあんまりないんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015626p:plain前田さん:「白バイ」はほかの地域で見たことないかな。ほかの魚を目当てに漁をしたときに、たまたま採れる貝なので、量は採れないんです。

 

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──魚だと何がありますかね?

 

f:id:exw_mesi:20190117015637p:plain前田さん:「のどぐろ」も時期によっては入ってるんですけど……。

 

──今はないんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015702p:plain前田さん:2〜3カ月前(10~11月頃)は週に2~3回入ってましたよ。一皿(2貫)480円なので、それは絶対都会では出せない価格だと思います。

 

──都会だとどのくらいで食べられるんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015715p:plain前田さん:1貫で1,000円超えます。こっちのほうが絶対鮮度はいいのに。

ここで、「のどぐろ」の写真を見せてもらった。ますます食べたくなる。次こそは、なんとしてもあり着きたい。

 

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▲のどぐろ(480円)(写真提供:回転すし北海道

 

──ほかにおすすめの魚はありますか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015729p:plain前田さん:あとは「マコカレイ」。カレイは普通煮つけになるんですけど、うちの場合は鮮度がいいから生で出します。

 

──「バイ貝」と「マコカレイ」、せっかくなので食べてみたいんですが……。

 

f:id:exw_mesi:20190117015740p:plain前田さん:それが漁の関係で、今日たまたまないんですよ。
(※この日は年始の漁が始まった翌日だった関係で、メニューがイレギュラーだった)

 

──明日ならありますか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015752p:plain前田さん:明日ならありますよ。

 

──せっかくなら食べたいです。家から行きやすい別の店舗に明日行くので、テイクアウトさせてください。

 

という訳で、翌日はテイクアウトをしに行った。どれでも自由に持ち帰れるが、「鮮度の関係で、なるべく20分以内に食べてもらいたいです」と言われた。急いで帰らなくては。

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▲「赤バイ」(280円)

 

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▲「炙りさわら」(280円)

 

ほかにもおすすめの「マコカレイ」「あん肝」も一緒にパックに詰めてもらった。

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▲「炙りさわら」、「赤バイ」、「マコカレイ」(280円/左上)、「あん肝」(280円/右上) をテイクアウト

 

お店で食べるのも良いけど、家で楽しめるのも良い。家だと寿司を見てるうちに飲みたくなり、真昼間っから飲んだ。

日本酒と合わせて食べると、口の中でとろけるようだ。

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▲写真が一旦正月の実家に飛んでしまったが、気を取り直してお店でのインタビューに戻ろう。

 

ほかのお店との違いは何なのか?

「漁港が近い」というだけなら、ほかのお店だって条件は同じだ。ライバル店に負けないような工夫って何かあるんだろうか。

 

──「ネタが新鮮」ということ以外に、何かこだわってるところはありますか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015813p:plain前田さん:「人肌のシャリ」っていうこだわりがあります。魚だけだと同じ境港だから、ほかのお店も同じ鮮度の魚を提供できるんですけれども、それ以外にシャリが人肌ぐらいの温かさで提供すると、よりおいしいんじゃないかと。

 

──シャリの温かさでそんなに違いが出るものなんですね。

 

f:id:exw_mesi:20190117015824p:plain前田さん:違いますね。あとは社長が定期的に来店して、酢がちょっとまわってないとかシャリがちょっと硬いとか、すぐに気づいて調整します。

 

──細かくチェックが入るんですね! そういえばこのお店って、ほかの回転寿司のお店にあるような注文パネルがないですよね。

 

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▲各テーブルには注文パネルがない

 

f:id:exw_mesi:20190117015836p:plain前田さん:タッチパネルを置いてしまうとお客さんがあんまりレーンを見ずにタッチパネルでオーダーすることをメインにやってしまうと思うんです。それを避けたいっていうのが一番にあります。やっぱり回転寿司なんでレーンを見てもらって、レーンに回ってるお寿司を「これなんだろう? 食べてみよう」という感動や驚きを感じてもらうことをメインにしたいんです。

 

──昔はどこでもそうでしたよね。たしかにここ最近、回転する寿司を見てなかった気がします。

 

f:id:exw_mesi:20190117015904p:plain前田さん:そうなんですよ。もう最近は回転させる必要がなくなってしまってるんですよね。

 

──じゃあ、今後もタッチパネルは置かないんですね。

 

f:id:exw_mesi:20190117015914p:plain前田さん:そうですね。置くつもりはないです。

 

うどんの出汁、ソフトクリームミックスも自社開発

今回取材にうかがわせていただき、経営元の社員の方と雑談してた時に「寿司以外のメニューも、出来合いのものをほぼ使ってないんです」という話が出た。

コーヒーゼリーのコーヒーもドリップして作ってるし、和風サンデーのあんこも地元産の小豆から作ってるし、うどんの出汁も自社開発なんです」と。

 

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▲「こぶうどん」(180円)

 

小さめなので、寿司のサイドメニューとしても程よい。しっかりとした昆布だしの汁が飲み応えある。

そして、次にソフトクリームの話になった。

ソフトクリームミックスも自社開発していて、地元の「特選大山(だいせん)山麓牛乳」というとてもいい牛乳を使っているそうで、そこに練乳入れたり生クリームを足したり、乳脂肪分を上げるようにして、機械も普通の回転寿司のお店で使ってるようなものではなく、イタリア製のソフトクリーム機を使い、空気の含有量も高くて、すごくなめらかなんだとか。

社員の方いわく、ソフトクリームの専門店ぐらいのことはやってるつもりと豪語するほど。

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▲「ソフトクリーム」(180円)

 

サイズは、食後にちょうどいいように小さめだ。

食べてみると、
「なめらかだ、なめらかだ」と事前に聞かされハードルが上がっていたのに、それを上回った……。えらいことだ!

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個人的には回転寿司のソフトクリームへの期待値は全然なかったので、知らなかったらきっと食べなかっただろう。これは今後来店した時にも必ず食べたい。

 

お店の名前について聞いてみた

──ところで、鳥取県なのになんで店名が「北海道」なんですか?

 

f:id:exw_mesi:20190117015935p:plain前田さん:店名については、昔うちの社長が北海道の回転寿司に研修に行って、そこですごく良くしていただいたので、その北海道の回転寿司」へのリスペクトで「北海道って名前を付けよう!」ってなって付けたんですよ。

 

──そういうことだったんですか。前々からなんでだろう? と思ってました。じゃあ北海道の回転寿司みたいな回転寿司を目指したいってことで。

 

f:id:exw_mesi:20190117015947p:plain前田さん:そういうことですね、最初は。

 

──お店の前の看板には別の意味みたいなのも書いてありますよね。

 

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▲頭文字が「北」「海」「道」の標語

 

f:id:exw_mesi:20190117020009p:plain前田さん:あれはこじつけです。

前田さんによると、開業当時は本場北海道のネタばかり仕入れていたそうだが、地元にこんなにいいネタがあるのに、という考えに行きつき、ちょっとずつ境港のネタが増えていったそう。ただ、中には今も北海道から仕入れてるものもあるという。

ちなみに「北海道」は観光客が多く来るお店なので、駐車場に県外ナンバーが停まっているが、本場北海道札幌ナンバーがいたときには「本場かよ!」と驚いたそうだ。

 

次は違う季節の夜に行きたい

最後に、冬以外のメニューについての話も聞いてみた。四季それぞれでメニューも一切違うので、別の時期に行けばまったく違う楽しみ方ができる。

お店の方が「うちで一番おいしいのは菜の花だと思ってます」と言われていたので、写真を見せてもらった。

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▲「菜の花」(120円)(写真提供:回転すし北海道

 

「菜の花」が採れる時期は、「3月初旬から5月に入るまであればいいかな?」ぐらい。かなり限られている。

夏だと「岩ガキ」、「サザエ」、「アゴ(トビウオ)」、「いさき」などがおすすめになり、今現在お店に並んでるメニューはひとつもなくなる。

ちなみに現在の冬季メニューは、11月下旬から2月いっぱいまでだそうだ。

たくさん話を聞かせてもらって、すっかり寿司を堪能した。

ランチとして活用するのもありだが、夜だったらまったく頼むものも変わりそうだなという印象を持った。というのも、寿司のほかに居酒屋メニューも多いのだ。

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▲ここだけを見ると居酒屋さんっぽい(これは島根県松江市の学園通り店)

 

取材にうかがった皆生店は温泉街とも比較的近いので、温泉のついでにここで飲めたりしたらきっと最高過ぎる。

その時に備えて、すぐに閉店時間を調べてしまった。(22時でした)

そのうち絶対に温泉とセットで行こう。

 

お店情報

回転すし北海道 皆生店

住所:鳥取米子市皆生新田1丁目9-20
電話:0859-33-5511
営業時間:11:30~22:00
定休日:無休
ウェブサイト:http://www.sushibenkei.co.jp/

www.hotpepper.jp

 

書いた人:さくらいみか

さくらいみか

レバ刺しが好きだったが、違法になってからはゴマ油を舐めて満足しようとしている。 塩辛いものばかりを好んでいるので、病気にならないよう気を付けて生きていきたい。 長生きをしたい。

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